情報漏えい対策サービスの市場規模と成長動向
市場規模は「セキュリティ関連産業全体」や「情報漏えい対策に直結する領域」に分けて捉えると理解しやすくなります。国内は政策面の後押しもあり投資が増え、海外では規制対応やサプライチェーン要件の強化が拡大を支えています。
国内市場規模と政策動向
国内の情報漏えい対策サービスは、サイバーセキュリティ関連投資の拡大と連動して成長しています。経済産業省の「サイバーセキュリティ産業振興戦略」では、サイバーセキュリティ産業における国内企業の売上高を、足元の約0.9兆円から約3兆円超へ、今後10年程度で伸ばす目標が示されています。
情報漏えい対策はこの需要の中核に位置づきやすく、監視や運用支援、データ保護、アクセス管理など周辺領域も含めた投資が拡大する見通しです。製品導入にとどまらず、継続的な運用を前提としたサービスへの関心が高まっています。
参考:我が国から有望なサイバーセキュリティ製品・サービスが次々に創出されるための包括的な政策パッケージ「サイバーセキュリティ産業振興戦略」を取りまとめました|経済産業省
海外市場の拡大傾向
海外では、規制対応や取引要件の強化により、情報漏えい対策への支出が継続しやすい構造があります。特にクラウド移行が進む地域では、データ保護とアクセス管理を組み合わせたサービスの採用が広がっています。
国や地域ごとに求められる要件は異なるため、多拠点運用に耐える統合管理やログの一元化など、運用負荷を抑える仕組みが重視されます。こうした背景から、単体製品よりも包括的なサービスへの需要が高まっているといえるでしょう。
成長率の推移と拡大要因
情報漏えい対策サービスの成長は、攻撃件数の増加だけでなく「守る範囲の拡大」によって支えられています。従来は社内ネットワーク中心でしたが、クラウド利用や取引先連携、外部委託など対象領域が広がりました。
そのため、単一機能の導入だけでは十分とはいえず、複数の対策を組み合わせる投資が増えています。景気動向の影響は受けるものの、事故が経営課題になりやすい分野であることから、投資が大きく落ち込みにくい点が特徴です。
企業の投資動向と予算傾向
近年の投資は「事故を防ぐ」対策に加え、「事故発生時の影響を抑える」視点にも広がっています。例えば、データを暗号化して万一持ち出された場合でも内容を読み取れないようにする仕組みや、操作履歴を保存して原因を追跡できる体制の整備が挙げられます。
さらに、運用人材が不足しがちな企業では、監視や運用支援を含むサービスが選ばれる傾向があります。中小企業向けに初期負担を抑えた提供形態も増えており、市場の裾野は今後も広がっていくでしょう。
情報漏えい対策サービス市場が拡大する背景
市場が拡大する理由は、働き方やシステム構成の変化により、情報が社外へ出る経路が増えたためです。加えて、個人情報の取り扱い強化や取引先要件の厳格化が進み、対策を後回しにしにくい状況になっています。
テレワーク普及によるリスク増加
テレワークでは、社外から社内データへアクセスする場面が増えます。自宅や移動中など、管理が届きにくい環境で作業するため、端末の紛失や誤送信などのリスクが高まります。
そのため、端末の制御やアクセスの制限、操作ログの取得など、複数の観点から漏えいを防ぐ仕組みが求められます。利用者の負担が大きいと形骸化しやすいため、運用が続けやすい設計も重要です。
クラウド利用拡大と管理課題
クラウドは利便性が高い一方で、設定ミスや権限管理の不備が情報漏えいにつながる可能性があります。利用部署が増えるほど共有設定や外部招待の管理は複雑になり、継続的な監視と明確なルール整備が欠かせません。
企業におけるクラウドサービスの利用状況は、総務省の「情報通信白書」でも示されており、年々活用が広がっていることが分かります。利用拡大に伴い、アクセス管理やデータ保護を強化する情報漏えい対策サービスへの需要も高まりやすい構造です。
個人情報保護強化と法令対応
個人情報を扱う企業は、適切な管理措置を講じることが求められます。情報漏えい対策サービスは、権限の管理やログの保存、持ち出し制御などを通じて、管理体制を整えやすくします。
法令対応は業種や扱う情報によって異なるため、まずは自社が扱う情報の範囲を整理し、対策の優先順位を付けることが大切です。社内ルールとシステム対策をセットで整えると、運用が安定しやすくなります。
サイバー攻撃の高度化と対策需要
近年のサイバー攻撃は、標的型メールや偽のログイン画面など、日常業務に自然に紛れ込む手口が増えています。侵入後に利用者の権限を奪い、データを持ち出したり、暗号化して金銭を要求したりするケースもあり、被害が連鎖しやすい点が特徴です。
そのため、入口対策だけに頼るのではなく、侵入を前提とした検知や被害の抑え込みを視野に入れる必要があります。注意喚起や脆弱性情報を継続的に確認し、状況に応じて対策を見直せる体制づくりが重要でしょう。
情報漏えい対策サービスの今後の市場トレンド
今後は、複数の対策をまとめて運用できる仕組みや、人的負担を減らす機能が伸びやすくなります。機能の多さだけで判断するのではなく、現場で運用が回るか、設定や監視を継続できるかが選定の重要ポイントです。
人工知能活用による検知高度化
人工知能(AI)は、ログや通信の膨大な情報から異常を見つける用途で活用が進みます。人の目で追い切れない量のデータを扱える一方、誤検知が多いと運用負担が増えます。
そのため、学習の前提となるルール整備や、通知の優先度付け、確認フローの設計が重要です。導入時は、検知精度だけでなく、現場で判断できる説明性や運用支援の有無も確認すると安心でしょう。
ゼロトラストモデルの普及
ゼロトラストは「社内だから安全」と決めつけず、都度確認する考え方です。端末の状態や利用者の認証状況に応じてアクセスを制御し、万一侵入されても被害を広げにくくします。
クラウド利用が増えるほど、社内外の境界が曖昧になるため、この考え方が採用されやすくなります。導入は段階的に進め、重要なデータや業務から優先して適用すると現実的です。
統合管理型サービスへの需要増加
情報漏えい対策は、メールや端末、クラウド、ネットワークなど複数の領域にまたがります。個別に導入すると、設定やログ確認が分断され、見落としが増えることがあります。
そのため、ログの一元化やポリシーの統一、運用画面の集約など、統合管理への需要が高まります。特に複数拠点や取引先連携がある企業では、共通ルールで管理できる仕組みが有効です。
中小企業市場の拡大
中小企業では専任担当者が少ないため、低負担で始められる提供形態が重要です。初期設定の支援や監視の代行、ガイドラインの提供など、運用まで含めたサービスは導入のハードルを下げます。
また、取引先から対策状況を求められる場面も増え、対策の必要性が経営課題として認識されやすくなっています。まずは優先順位を付け、段階的に範囲を広げる進め方が現実的です。
以下の記事では情報漏えい対策サービスの価格や機能、サポート体制などを、具体的に比較して紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
情報漏えい対策サービスは、テレワークやクラウド利用の拡大、個人情報の取り扱い強化、攻撃の高度化を背景に需要が伸びています。今後は、統合管理や運用負担を下げる仕組み、人工知能の活用などが広がりやすくなります。
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