申請手続きを開始する前にやるべきこと
IT導入補助金は、IT導入支援事業者なしに申請はできません。申請手続きをおこなうためのマイページについても、IT導入支援事業者から招待を受けなければログインすらできません。IT導入支援事業者を決定することが、IT導入補助金を申請するための最初の一歩ともいえるのです。
IT導入支援事業者の決定
IT導入支援事業者を決定するといっても、どのベンダーでもよいわけではありません。IT導入補助金を使ってITツールを導入するのであれば、IT導入支援事業者が登録しているITツールを導入する必要があるからです。このため、導入したいITツールを登録しているIT導入支援事業者を選定する必要があります。
IT導入支援事業者を選定する際には、自社の課題を明確にしてRFP(提案依頼書)を作成し、複数のIT導入支援事業者に提案書を提出させることも検討してください。自社の課題解決にもとづくITツールやIT導入支援事業者の選定ができれば、IT投資を成功に導く可能性が高まります。
マイページへの招待
IT導入支援事業者は、IT事業者ポータルにログインし、メニューバーから「申請者招待」をクリックしてください。ここで、マイページへ招待をする企業の情報や、担当者のメールアドレスなどを入力します。IT導入支援事業者の情報も入力して「招待」ボタンを押すと、入力したメールアドレスに招待メールが送信されます。
招待メールには、マイページにアクセスするためのURLが記載されています。URLをクリックしてマイページにアクセスし、申請書を作成していくことになります。なお、マイページへのアクセスは、Windows環境下における、Microsoft Edge、Google Chromeそれぞれの最新版が推奨されています。無用なトラブルを避けるためにも、推奨環境で申請手続きを進めるようにしてください。
マイページ上での交付申請手続き
IT導入支援事業者からの招待を受ければ、いよいよ交付申請に必要な情報を入力していきます。通常、補助金の申請には、SWOT分析に基づき、自社をめぐる強みや弱みといった内部環境や、機会や脅威とった外部環境を記述することが求められます。現状の問題点や、補助事業を実施することによる、新たな事業や将来性も採択審査の際に重視されます。
しかし、IT導入補助金の場合は、SWOT分析などは必要ではありません。入力に必要な情報をあらかじめ入手出来れば、あとは画面に沿って入力していくだけで申請書が出来上がります。
[SWOT分析・・・自社のStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)を分析し、意思決定や経営判断を行う手法のこと]
基本情報の入力
IT導入支援事業者から、マイページにアクセスするURLが記載された招待メールを受信したら、基本情報を入力していきます。会社名や住所、代表者名といった会社の基本的な情報なので、確実に入力してください。
業種コードについては、日本産業分類の細分類コードを入力する必要があります。申請画面内に、細分類コードを検索できる外部サイトへのリンクがあるので、必要に応じてアクセスして自社の展開する事業内容にあった細分類コードを入手してください。最後に、IDとパスワードを入力すれば、基本情報の入力は完了です。
申請要件のチェック画面
申請要件を確認し、該当する項目にチェックを入れてください。基本的には、すべての項目にチェックが入らないと採択は難しいといえます。すべての項目に確実に目を通し、未対応事項は対応しておくようにしてください。
経営診断ツールへの入力
従業員や業種などの基本情報に加え、直近期を含めた2期分の決算書類を準備します。こうした決算書類に基づくデータの入力に加え、5つの視点の質問に答えることで、経営状況を見える化することができます。
経営診断ツールの入力も、まずは会社名や代表者名などの基本情報を入力します。そして、売上高や資本金、営業利益といった財務情報を、2期分の決算書類をみながら入力してください。
次に、非財務の5つの視点に基づく質問に回答します。5つの視点は、「経営者」「事業」「企業を取り巻く環境・関係者」「内部管理体制」「総括」に分かれています。それぞれの質問に確実に回答するようにしてください。
すべての項目を入力すると、財務分析結果がグラフ表示されます。そのほかにも売上増加率や営業利益率といった財務指標が表示され、非財務情報も考慮に入れた経営状況が表示されます。
関連施策(おもてなし規格認証・SECURITY ACTION自己宣言)の入力
おもてなし規格認証とSECURITY ACTION自己宣言をしていれば、それぞれの登録番号やアカウントIDを入力します。SECURITY ACTION自己宣言はIT導入補助金の申請を行うための必須事項ですが、おもてなし規格認証は加点要素となります。おもてなし規格認証の取得は簡単でだれでも取得できるため、実質的に申請にあたっての必須事項と考えてよいでしょう。
おもてなし規格認証は、「おもてなし規格認証」のトップページからチェックシートに自己申告で記入するだけで取得することができます。取得していない企業の場合は、できる限り取得するようにしてください。
SECURITY ACTION自己宣言は、IPAのWebサイトから目標を決めて宣言をします。ITを使って業務効率化をおこなうのであれば、セキュリティ対策は必要不可欠です。IT導入補助金を申請するためにはSECURITY ACTION自己宣言をおこなう必要があるので、必ず実施するようにしてください。
参照:
おもてなし規格認証|一般社団法人 サービスデザイン推進協議会
SECURITY ACTION 自己宣言事業者の申込方法|情報処理推進機構
添付書類の入力画面
あらかじめ以下の書類を準備し、スキャンをして申請画面にアップロードして提出してください。
- 法人の場合
- ・履歴事項全部証明書
- ・法人税の納税証明書
- 個人事業主の場合
- ・運転免許証または運転経歴証明書または住民票
- ・所得税の納税証明書(その1またはその2)
- ・所得税確定申告書B
申請類型選択画面
IT導入補助金の申請にあたっては、A類型とB類型のどちらかを選択して申請する必要があります。申請類型選択画面では、申請類型を選択してください。なお、A類型とB類型の違いは以下の通りです。
- A類型
- 業務パッケージソフトと効率化パッケージソフト、汎用パッケージソフトの中から2つ以上の組み合わせが求められ、補助金額が40万円以上150万円未満であることが条件となります。ただし、業務パッケージがもつ個別プロセスから、最低でも1つ以上を選択しなければなりません。
- B類型
- 業務パッケージソフトと効率化パッケージソフト、汎用パッケージソフトの中から5つ以上の組み合わせが求められ、補助金額が150万円以上450万円以内であることが条件となります。ただし、業務パッケージがもつ個別プロセスから、最低でも3つ以上を選択しなければなりません。
IT導入支援事業者による交付申請
補助金を申請する事業者による必要事項の入力が終了すれば、IT導入支援事業者に引き継がれ、次の処理をおこない申請手続きは完了します。
申請内容の確認
補助金を申請する事業者が入力した内容を確認します。申請者に入力した情報に修正がある場合は、「申請者へ訂正を依頼」ボタンを押すと、申請者側で修正ができるようになります。
計画数値の入力
A類型であれば3年間、B類型であれば5年間の、労働生産性と独自数値について目標値を入力します。独自数値については、営業利益率や付加価値額といった数値を入力し、その計算式についても記入します。
導入ITツール情報の入力
補助事業で導入する予定のITツールの情報を入力します。類型ごとに必要なプロセス数が決まっているため、条件を満たすようツールを選択してください。また、補助金の申請額もここで入力します。選択した類型の上限・下限の範囲内で補助金申請額を記入してください。
交付申請の完了
ここまでに補助金を申請する事業者、IT導入支援事業者が入力した内容を最終確認し、「入力完了」ボタンを押すと、補助金の交付申請が完了します。
画面の指示に従えば手続きは簡単!まずはツールを調べてみよう
IT導入補助金の申請手順は電子化されているので、手続きは比較的楽といえます。「申請が難しそうで、諦めていた」という方も安心してください。まずは、IT導入支援事業者を決定するところからIT補助金申請の準備を始めてみましょう。
申請から交付までの全体の流れが知りたい方は以下の記事も参考になります。