組織の機能がマヒ? 情報漏えいの負のインパクト
情報漏えいがさまざまな場所で生じており、多くの企業でも神経質になっています。社会的なイメージを大きく損なったり、その影響を長期間受け続けることから、各企業も非常に神経質になっている様子です。
例えば、三菱商事では、顧客の情報漏えいが生じた際には、それほど大規模な数字ではなかったにもかかわらず、すぐさまその事実と対策を公表し、コンプライアンスの順守を含めた対策を打ち出しました。迅速な対応からも、企業が情報漏えいや、それに伴う社会的な評判の毀損に神経をとがらせていることがわかるでしょう。
出典:三菱商事株式会社
「当社パソコンのウイルス感染による情報漏えいに関するお詫びとお知らせ」
http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/info/archive/2014/html/0000026153.html
同社の事例としては、顧客情報の漏えいでしたが、こうした情報漏えいを引き起こす原因の一つとしてもプリントアウトした書類が流出するという可能性が考えられます。
また、ベネッセホールディングスでは、大規模な情報漏えいが生じたことから、新たにセキュリティ対策企業を立ち上げ、運用しなければならないという事態になりました。情報漏えいは経営課題にも非常に大きな影響を与えるといってよいでしょう。
出典:株式会社ベネッセホールディングス「合弁会社設立に関する基本合意のお知らせ」
http://www.benesse.co.jp/customer/bcinfo/news.html
もしも情報漏えいが起こったら。考えてみたい負のインパクト
情報漏えいが起こってしまった場合、社会的信用の失墜だけでは済みません。昨今、個人情報取り扱いへの意識が高くなっているだけではなく、きちんとした管理体制のもと情報漏えい対策が行われるのは企業の務めという認識が広まっているため、社会的に大きな批判にさらされかねません。
たとえば情報漏えい事故が起これば、「自分の情報が漏えいしたかもしれない」と考える個人から多くの問い合わせがきて対応に追われるかもしれません。さらには、マスコミもこうした話題に敏感になっていることから、取材の申し込みが殺到したり、その報道に触発された顧客からの問い合わせが爆発的に増えてしまう可能性も当然あります。
情報漏えいの原因確認・改善だけでなく、外部からのこうした影響に対応しなければならず、通常業務にも支障が出る恐れがあります。メディア対応に忙殺されたり、顧客への説明や謝罪にばかり時間を割かれて、本来やらねばならない営業活動がおろそかになってしまう可能性もあります。そうなれば企業の存続にさえ影響しかねない深刻な事態に陥ることもあるといえるでしょう。
企業組織にとっても大問題 ―1枚の文書漏洩
ここまで広くセキュリティに対しての意識が高まれば、すでに述べたようなさまざまな影響が引き起こされます。自分の個人情報が漏えいしていないかと心配する個人や、面白い話題だと取材攻勢をかけるマスコミなどの対応ももちろん大変ですが、情報漏えいの事故が企業組織そのものや社員の社会、共同体に与える影響も計り知れないことを忘れてはなりません。
単純に外部からの問い合わせへの対応が際限なく続けば、疲弊してしまいます。しかし、実際にそのような事態になれば、管理責任も厳しく問われることになってしまうでしょう。情報管理体制の不備から責任を追及され、社員の一部が会社を辞めざるを得ない状況に追い込まれたり、非常に厳しい立場に立たされることさえあるかもしれません。
つまり、社員という同僚の人生を変えてしまい、苦しめかねない大きなインパクトを持つのが情報漏えいだと言えるでしょう。こうした重大な影響を持つ情報漏えいについてもたった1枚の文書の流出から起きることも想定され、そうした部分への対策ももちろん必要になります。
例えば、機微な情報をみだりに印刷させないソリューションや、印刷しても誰が、いつ印刷したのかを明らかにするログを取得するシステムを構築するなど対策の必要性があるといえるでしょう。