印刷セキュリティの重要性
一般的にセキュリティ脅威というと、デジタルな面が多く指摘されています。メールを経由して送られてくるウィルス、特定企業をターゲットにした標的型攻撃、不正送金を狙ったフィッシングなどです。とりわけ情報漏えいはデジタルな形での持ち出しが多くなっています。
しかし、物理的な面からの防衛も不可欠です。たとえば、印刷した重要書類の置き去り、持ち去り、取り違え、紛失などです。うっかりから発生し、後から気づきづらい、あるいは確認しづらいところに特徴があります。これらは印刷物が物理的な「紙」であることに起因しています。
このような危険性に備えるために開発されたのが「印刷セキュリティ」です。印刷セキュリティは、機密情報に印刷制限をかけ、権限を持つ者だけが印刷できるようにします。また、出力ログを蓄積し、後から誰がいつ何を印刷したかを追跡できます。これは不正の抑止力、コンプライアンスの強化にもなります。
認証印刷で、印刷物の放置や取り間違えを防ぐ機能を搭載している製品もあります。
情報セキュリティにおいて見落とされがちな「印刷された情法」という物理的な側面からの対策が重要となっています。
マイナンバー制度と印刷セキュリティ
2015年10月からマイナンバーが配布され、2016年からすべての企業に従業員のマイナンバー収集から廃棄に至るまで、厳格な管理が義務づけられています。そのガイドライン「特定個人情報の適正な取り扱いに関するガイドライン(事業者編)」には6項目の安全管理措置が示されており「情報漏えい等の防止」が定められています。
出典:個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」
http://www.ppc.go.jp/files/pdf/261211guideline2.pdf
マイナンバーの取り扱いに法令違反があった場合は厳しい刑罰が科せられ、たとえば、マイナンバーを扱う事務担当者などが、正当な理由なく特定個人情報を他人に提供した場合、「4年以下の懲役、または200万円以下の罰金、または併科」となっています。
このマイナンバー制度への対応で必要となるのが印刷セキュリティです。印刷セキュリティでは、マイナンバーを表示した書類の印刷制御や出力ログの管理などシステム的な対応が可能となっています。許可されたプリンタ以外では、マイナンバー情報が含まれる文書を印刷できなくすることもできます。
マイナンバー情報の施行にともなって、印刷セキュリティを見直している企業が増加しています。
主な機能とメリット
印刷セキュリティには次の機能が搭載されています。
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■印刷制限 →情報漏えい防止
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特定の文書あるいは含まれているキーワードによって、印刷を全面的に禁止します。これによって紙書類からの情報漏えいを防止できます。印刷セキュリティの最も基本的な機能です。たとえば、マイナンバー情報の表示されている文書は印刷不可に設定することができます。
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■権限管理 →内部統制の整備
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特定の権限の持ち主のみ印刷を許可します。提出のためにマイナンバー付きの書類は権限を持った人間だけが、指定のプリンタのみで印刷できるようにできます。情報漏えいはもちろん、内部統制の整備を支援します。
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■ログ蓄積 →コンプライアンスへの準拠
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誰が、どのコンピュータで、いつ、どのプリンタから、何を、何部印刷したかの記録を残します。漏えいなどの事件が起きた際の証跡として利用できます。また、ログ情報を一覧にして、コンプライアンス書類として提出できます。印刷状況や印刷コストなどのレポートも出力できます。
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■節約設定 →省エネ、コスト削減
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縮小印刷やまとめ印刷、両面印刷、部数制限、カラー印刷制限などにより、コスト削減が可能となります。温暖化ガス排出量の低減にも貢献します。
今や、野放しに印刷できる時代ではなくなっています。印刷環境を見直しませんか?