超高速開発に必要なスキル
従来の開発よりも工数を削減でき、作業が効率化する超高速開発ですが、どのようなスキルがあれば上手くいくのでしょうか。必要とされる3つのスキルをご紹介します。
業務を分析するスキル
超高速開発では、リポジトリに各プロセスの業務情報を登録し、設計やコーディングといった開発業務の自動化・高速化を図ります。
リポジトリに登録される情報はシステムの品質を左右するものであり、正確に登録されなければいけません。業務経験を基に経営上の課題や問題を考察・分析し、システムに反映させるのです。
そのためプログラミングなどの開発スキルだけでなく、経営方針や経営状態を正しく理解して分析するスキルが求められます。
データを中心に開発するスキル
従来はエンジニアが中心となり開発を進めていたため、エンジニア視点のシステムになりがちでした。また、業務プロセスとビジネスルールを分離していないため、ビジネス環境の変化に対応するのが困難でした。
しかし、超高速開発ではエンジニア主体ではなく、データを中心とした開発を行います。リポジトリに記録されたデータから最適なものを見出し、それをシステムに反映させます。そのため、データを中心に開発するスキルが必要とされます。
コミュニケーションスキル
これまでの開発では役割分担が明確なため、進捗状況の共有が重要視されていました。ITスキルを持つエンジニアは、タスクを完了させるだけで開発を成功させていたかもしれません。
超高速開発ではプログラミングの自動化により、これまで以上にユーザーとのやり取りが活発化することが予想されます。しかし、コミュニケーションスキルが低ければ開発は滞り、失敗につながりかねません。
ユーザーの要望に柔軟な対応をするために、コミュニケーションスキルは必須です。
超高速開発に必要なこと
スキルだけでは超高速開発の実現は難しく、導入へ向け社内体制を再構築すべきです。ここでは、超高速開発に必要な2つのポイントを見ていきましょう。
開発プロセスを見直す
これまでの開発はエンジニアのスキルによって品質が左右され、大幅な工数がかかっていました。
超高速開発ではプログラムの自動生成により、作業を標準化し均一な品質のシステムを提供します。テストも一部自動化することにより、工期の短縮を実現します。システムの改善を繰り返しながら、最小限の開発メンバーで運用を行うことが可能となります。
システム開発会社でなく、ユーザー企業が主体的に開発を進める流れが見られるようになるでしょう。したがって、双方が開発プロセスの根本を見直し、超高速開発は従来の開発とは異なるものという認識を持つことが必要です。
人材を教育する体制を整える
超高速開発では、経営や業務の知識や経験が必要です。超高速開発体制の導入時にはこれらの知識を身につけていなければいけません。
しかし、実際はシステム開発に必要なコーディングや設計などのスキルはあるものの、経営視点のスキルを教育する体制はまだ確立されているとは言い難いです。業界ごとに業務プロセスは異なるため、これらの知識を養う教育体制を各企業で整える必要があるでしょう。
超高速開発の注意点
超高速開発を実施する際、何に注意すべきなのでしょうか。気をつけるべきポイントを2つ紹介しましょう。
イレギュラーが発生する開発案件には対応しにくい
超高速開発では、プログラムの自動生成やプロセスの一部自動化といった機能を実装するツールを利用します。標準開発に沿った案件には対応できますが、そうでないイレギュラーな案件への対応は難しいです。
また、ツールによって搭載機能が異なるため、慎重に製品選定を行ってください。あとから機能を追加すると、コストがかかってしまいます。超高速開発ツールを導入する際は、開発環境の要件に合致する製品を選びましょう。
すべてのプロセスを高速化できるわけではない
超高速開発では、設計やコーディング、テストの一部を自動化・効率化することで開発プロセスを高速化します。
しかし、設計の前段階で行うシステムの要件定義は高速化できません。どんな機能が必要か、課題解決にはどんなフローが適切なのか、ユーザー企業ごとに要件は異なります。そのため、ツールで要件定義を自動化することはできないのです。
超高速開発ではすべての開発プロセスを高速化できない、ということを覚えておきましょう。
必要なスキルと注意点を押さえて超高速開発を実施しよう
超高速開発を実現するには以下の3つのスキルが必要です。
- ■業務分析スキル
- ■データ中心の開発スキル
- ■コミュニケーションスキル
超高速開発では、開発プロセスそのものを見直すべきであり、スキル習得のため教育体制の再構築が必要です。また、超高速開発はイレギュラー案件への対応が難しく、開発プロセスすべては高速化できません。
以上の点を踏まえ、超高速開発を実施していきましょう。