本記事は、食品・化粧品・サプリメントなど、賞味期限やロットの管理が必要な商品を扱うEC事業者を想定しています。自社で出荷している場合と、物流代行(3PL)を利用している場合の両方に触れます。
「在庫数」だけでは、期限のある商品は管理しきれない
受注管理システムやスプレッドシートで管理している在庫は、多くの場合「SKUごとの合計数」です。期限やロットのある商品では、合計数が合っていても次のような問題が起こります。
- 期限の近い在庫が棚の奥に残り、新しい在庫から先に出荷されてしまう
- 期限切れ間近の商品が、気づかないまま出荷される
- 回収や問い合わせが発生したとき、どの注文にどのロットを出荷したかを追えない
これを防ぐには、同じSKUの在庫を「期限・ロット・保管場所」の単位に分けて数え、出荷のたびにどの在庫を出すかを決め、その記録を残す必要があります。出荷件数やSKUが増えるほど、人手と表計算で回すのは難しくなります。賞味期限・ロット管理が、EC事業者がWMS(倉庫管理システム)を検討する大きな理由の一つになっているのはこのためです。
ただし、WMSを入れれば自動的にできるわけではない
一方で、「WMSを導入すれば期限・ロット管理ができる」と考えるのは早計です。実際には、次の4つの前提がそろって初めて機能します。
- 入荷時に、期限・ロットを記録していること:一般的な商品バーコード(JANコード)には、期限やロットの情報は含まれていないことが多く、入荷検品の際に別途登録する作業が必要です。ここが抜けると、WMSは合計数しか把握できません
- 棚の管理と、出荷時の確認ができていること:同じ棚に異なるロットが混在していたり、ピッキング時にロットを確認する手順がなかったりすると、システムの指示とは別のロットが出荷されることがあります
- 期限の近い在庫を、販売可能な在庫から外せること:出荷できない在庫が販売可能な在庫として残っていると、注文を受けたのに出荷できない状態が生まれます
- 倉庫側がその運用に対応していること:物流代行を利用している場合、期限・ロットの記録や先入れ先出しの運用を実際に行うのは倉庫です。システムが対応していても、倉庫によっては期限・ロットの記録を行っていないことがあります
つまり期限・ロット管理は、「システムの機能」と「現場の運用」の両方がそろって成立するものです。
WMSと倉庫を選ぶ際に確認したいポイント
上記の前提を踏まえると、比較検討の際には次の点を確認しておくと安心です。
- 期限・ロットごとの在庫数を、SKUの合計とは別に確認できるか
- 期限の早いものから出荷する、といった引当のルールを設定できるか
- 期限が近づいた在庫を、自動で出荷対象から外せるか
- 注文ごとに、出荷したロットを記録・確認できるか
- (物流代行を利用する場合)委託先の倉庫が、入荷時の期限・ロット登録とロットを確認したピッキングに対応しているか
特に最後の点は見落とされがちです。WMSの機能表だけを見て判断すると、倉庫の運用が追いついていないことに後から気づくケースがあります。
LOGILESSが備えている期限・ロット管理の仕組み
LOGILESSは、EC事業者向けの受注管理(OMS)と倉庫管理(WMS)が一体になったクラウドシステムです。期限・ロット管理については、上記の確認ポイントに対応する仕組みをシステムとして備えています。
- 出荷期限日・ロット番号ごとの在庫を、SKUごとの在庫とは別に管理できる
- 出荷期限日の早い在庫から順に引き当てるよう設定できる
- 商品ごとに「引当不可日数」を設定し、出荷期限日の一定日数前を過ぎた在庫は出荷に引き当てないよう制御できる
- 必要に応じて、注文ごとに出荷する出荷期限日・ロット番号を指定できる
また、在庫の保管状況の画面では、出荷期限日ごとの在庫数とあわせて、引当不可になる日も確認できます。期限の近い在庫を目視で探す手間を減らし、前提3で挙げた「出荷できない在庫」を早めに把握するための仕組みです。
運用を定着させるための実務論点
- 入荷時のルールを決める:期限・ロットの登録を誰が、どのタイミングで行うかを、自社と倉庫の間で明確にしておきます
- 期限の有無を混在させない:同じSKUで期限を登録した在庫と登録していない在庫が混ざると、引当の順序が意図どおりにならないことがあります。対象商品は一律で登録するのが基本です
- 販路ごとの基準を整理する:卸や店舗向けとEC向けで受け入れ可能な残り期限が異なる場合は、どの基準で出荷対象から外すかを事前に決めておきます
- 回収時の手順を確認する:特定ロットの回収が必要になったとき、出荷先をどの画面・データで抽出するかを把握しておきます
判断材料としてのROIの考え方
期限・ロット管理への投資は、次のようなコストと比較すると判断しやすくなります。
- 期限切れによる廃棄ロス
- 期限の近い商品を誤って出荷した際の、再送・返金・顧客対応のコスト
- 回収や問い合わせの際に、出荷履歴を手作業で調べる工数
- 棚卸しや期限チェックを目視で行う工数
期限のある商品を扱うEC事業者にとって、WMSは期限・ロット管理を実現するための前提条件です。ただし、それだけで十分ではありません。システムの機能と倉庫の運用の両方を確認したうえで選ぶことが、期限管理のトラブルを防ぐいちばんの近道です。

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