アプリケーションデリバリコントローラとは
アプリケーションデリバリコントローラとは、Webサーバやアプリケーションサーバへの通信を制御し、安定したサービス提供を支援する製品です。まずは、ロードバランサとの違いや、中小企業で必要になる場面を整理しましょう。
通信を最適に振り分ける仕組み
アプリケーションデリバリコントローラは、複数のサーバにアクセスを振り分ける仕組みです。特定のサーバに通信が集中しにくくなり、表示遅延や処理落ちのリスクを抑えやすくなります。例えば、問い合わせフォームや会員サイトへのアクセスが増えた場合も、サーバの状態に応じて通信を分散できます。
ロードバランサとの違い
ロードバランサは、主にサーバへの通信を分散する役割を担います。一方、アプリケーションデリバリコントローラは、負荷分散に加えて、SSL処理や通信圧縮、キャッシュ、Webアプリケーションファイアウォールとの連携などに対応する製品があります。Webアプリケーションの安定稼働と保護をまとめて考えたい企業に向いた選択肢です。
中小企業でアプリケーションデリバリコントローラが必要になる場面
中小企業では、Webサイトの停止が売上や顧客対応に直結する場面があります。ECサイトや予約受付、会員向けポータル、取引先向けシステムを運用している場合は、アクセス集中や障害時の切り替えを想定しましょう。専任担当者が少ない企業ほど、監視や切り替えを製品側で支援できるかが重要です。
| 利用場面 | 起こりやすい課題 | 期待できる役割 |
|---|---|---|
| ECサイト | キャンペーン時のアクセス集中 | 通信を分散し、表示遅延を抑えやすくする |
| 予約サイト | 特定時間帯の申込集中 | 複数サーバへ負荷を振り分ける |
| 社内ポータル | 始業時や月末の利用集中 | 業務システムの応答安定化を支援する |
| 顧客向けWebサービス | 障害時のサービス停止 | 正常なサーバへ通信を切り替える |
中小企業がアプリケーションデリバリコントローラを導入するメリット
中小企業がアプリケーションデリバリコントローラを導入する主な目的は、Webシステムの安定稼働と運用負荷の軽減です。人手を増やしにくい企業でも、通信制御の仕組みを整えることで障害対応や性能管理を進めやすくなります。
Webシステムを止めにくくする
メリットは、サーバ障害時の影響を抑えやすい点です。アプリケーションデリバリコントローラは、サーバの稼働状態を確認し、異常があるサーバへの通信を避ける構成を取りやすくします。顧客が使うWebサービスを止めたくない企業では、可用性を高める仕組みとして有効です。
アクセス集中に備えられる
キャンペーン、メルマガ配信、テレビやSNSでの露出後は、短時間でアクセスが増える場合があります。サーバを増やしても、通信の振り分けが不十分だと負荷が偏ります。アプリケーションデリバリコントローラを使うと、複数サーバを効率よく活用しやすくなり、急な利用増に備えやすくなります。
SSL処理の負荷を軽減する
SSLとは、Webサイトと利用者の間の通信を暗号化する仕組みです。暗号化された通信が増えると、サーバ側の処理負荷も高まります。SSLアクセラレータ機能を備えた製品であれば、暗号化や復号の処理を製品側に分担させ、Webサーバの負荷軽減を図れます。
セキュリティ強化にもつながる
製品によっては、Webアプリケーションファイアウォールや不正通信の検知、アクセス制御に対応します。Webアプリケーションファイアウォールは、Webサイトへの攻撃を検知し、防御を支援する仕組みです。中小企業では専任のセキュリティ人材を確保しにくいため、通信制御と保護機能をあわせて確認するとよいでしょう。
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中小企業向けアプリケーションデリバリコントローラの選び方
アプリケーションデリバリコントローラは、価格だけでなく、自社のWebシステム構成や運用体制にあうかを確認する必要があります。ここでは、中小企業が比較時に見落としやすい選定ポイントを整理します。
必要な機能がそろうか
まず確認したいのは、負荷分散以外に必要な機能です。SSLアクセラレータやキャッシュ、通信圧縮、レイヤー7スイッチ、Webアプリケーションファイアウォールなど、製品ごとに対応範囲が異なります。現在の課題だけでなく、将来的に追加したい機能も洗い出すと選びやすくなります。
- ■ロードバランサ
- 複数のサーバにアクセスを振り分け、負荷の偏りを抑える機能
- ■SSLアクセラレータ
- 暗号化通信の処理を分担し、Webサーバの負荷軽減を支援する機能
- ■キャッシュ
- よく使うデータを一時保存し、応答速度の向上を支援する機能
- ■レイヤー7スイッチ
- URLやアプリケーションの内容に応じて通信を制御する機能
- ■Webアプリケーションファイアウォール
- Webアプリケーションへの攻撃を検知し、防御を支援する機能
導入形態が自社にあうか
アプリケーションデリバリコントローラには、物理アプライアンスや仮想アプライアンス、クラウド環境向けの構成があります。社内データセンターで運用するのか、クラウド上のシステムを保護するのかで適した形態は変わります。中小企業では、既存環境に追加しやすいか、運用担当者が扱いやすいかを重視しましょう。
運用画面が使いやすいか
高機能な製品でも、設定や監視が難しすぎると運用が定着しません。管理画面でサーバ状態や通信量を確認できるか、異常時の通知がわかりやすいかを確認しましょう。担当者が少ない企業では、初期設定の支援や保守サポートの有無も比較したいポイントです。
費用の範囲が明確か
費用を比較する際は、本体価格や月額費用だけでなく、保守費用やサポート費用、追加ライセンス、設定支援の費用を確認しましょう。SSL処理量や通信量、サーバ台数によって必要な構成が変わる場合があります。見積もり時には、現在の通信量と将来の増加見込みを伝えることが大切です。
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中小企業がアプリケーションデリバリコントローラを導入する際の注意点
アプリケーションデリバリコントローラは、導入すればすぐに安定運用が完了する製品ではありません。既存システムの構成や通信経路、証明書管理、障害時の対応手順を整理しておくと、導入後の混乱を抑えやすくなります。
既存システムの構成を整理する
導入前に、Webサーバやアプリケーションサーバ、データベース、ファイアウォール、DNSの構成を整理しましょう。通信経路が曖昧なまま導入すると、どこで負荷分散するべきか判断しにくくなります。サーバ台数や利用者数、ピーク時間帯、障害時の影響範囲をまとめておくと、製品選定や見積もりが進めやすくなります。
SSL証明書の管理方法を決める
SSLアクセラレータを利用する場合は、SSL証明書をどこで管理するかが重要です。証明書の更新漏れがあると、Webサイトの閲覧に支障が出る恐れがあります。更新担当者や通知方法、更新手順を事前に決め、製品側で証明書の管理や通知に対応するかを確認しましょう。
障害時の切り替え手順を決める
可用性を高めるには、障害発生時の動きを事前に決める必要があります。どの条件でサーバを切り離すのか、復旧後にどのように戻すのかを整理しましょう。自動切り替えに頼りすぎず、通知を受けた担当者が確認する手順も用意すると、誤った切り替えによる業務影響を抑えやすくなります。
過剰な構成にしない
中小企業では、将来を見据えた構成も大切ですが、最初から過剰な機能をそろえると費用や運用負荷が高まります。まずは、現在困っている表示遅延やアクセス集中、障害時の切り替え、SSL処理の負荷を優先して検討しましょう。必要に応じて機能を拡張できる製品であれば、段階的に運用を広げられます。
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中小企業がアプリケーションデリバリコントローラを活用するポイント
アプリケーションデリバリコントローラは、導入後の運用設計によって効果の出方が変わります。中小企業では、少人数で管理しやすい仕組みを作り、重要なWebシステムから段階的に適用する方法が現実的です。
重要なシステムから始める
すべてのWebシステムに一度に導入しようとすると、設定や検証の負担が増えます。まずは、売上や顧客対応に直結するECサイト、予約サイト、会員サイトから対象を絞りましょう。影響が大きいシステムを優先することで、導入目的を社内で説明しやすくなります。
ピーク時の通信量を把握する
製品選定では、平均的な通信量だけでなく、ピーク時のアクセス数やデータ量を確認しましょう。普段は問題がなくても、月末処理やキャンペーン時に負荷が高まる場合があります。アクセスログやサーバ監視の結果をもとに、必要な処理性能を見積もることが大切です。
監視と通知を運用に組み込む
アプリケーションデリバリコントローラは、導入後の監視が重要です。サーバの稼働状態や通信量、エラー率、切り替え履歴を確認し、異常時には担当者へ通知されるように設定しましょう。通知先や対応時間を決めておくと、夜間や休日のトラブルにも備えやすくなります。
保守サポートを確認する
中小企業では、ネットワークやサーバに詳しい担当者が限られる場合があります。そのため、導入支援や設定変更の相談、障害時の問い合わせ対応を受けられるかを確認しましょう。保守サポートの対応時間や範囲を比較すると、導入後の安心感につながります。
中小企業向けアプリケーションデリバリコントローラ製品を比較
ここからは、ITトレンドに掲載されているアプリケーションデリバリコントローラを紹介します。中小企業では、負荷分散やSSL処理、セキュリティ機能、導入形態、保守サポートを比較し、自社のWebシステムにあう製品を検討しましょう。
Alteon (日本ラドウェア株式会社)
- アプリの負荷分散と可用性向上を実現するADC機能
- 仮想化環境でADCを迅速に展開可能
- 多様な導入形態に対応し柔軟に運用できる設計
LoadMaster (株式会社OPENスクエア)
- HTTPコンテンツのキャッシングをサ ポート
- HTTP通信時のデータ圧縮
- ロードマスターの侵入防止(IPS)によるDos攻撃サポート
ArrayAPVシリーズ (アレイ・ネットワークス株式会社)
- SSLオフロードと負荷分散を1台で実現し、サーバ負荷を低減。
- 10/40 GbEインターフェースを搭載し、大規模システムに対応。
- API制御と仮想アプライアンスで多環境に展開可。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で「アプリケーションデリバリコントローラ」の一括資料請求が可能です。ぜひ、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。
中小企業のアプリケーションデリバリコントローラに関するよくある疑問
アプリケーションデリバリコントローラを検討する際は、ロードバランサとの違いや費用、クラウド環境での必要性に迷いやすいです。ここでは、中小企業の担当者から想定される疑問を整理します。
- Q1:ロードバランサだけで十分ですか?
- アクセスの振り分けだけが目的であれば、ロードバランサで足りる場合があります。ただし、SSL処理や通信圧縮、キャッシュ、Webアプリケーションファイアウォール連携まで考える場合は、アプリケーションデリバリコントローラのほうが検討しやすいでしょう。自社の課題が負荷分散だけか、Webアプリケーション全体の安定運用かを整理することが大切です。
- Q2:クラウド利用でも必要ですか?
- クラウド側の標準機能で負荷分散をまかなえる場合があります。一方で、複数クラウドやオンプレミスとの併用、細かな通信制御、既存システムとの一体運用が必要な場合は、専用製品を検討する価値があります。クラウドサービスの標準機能と、製品で追加できる機能を比較しましょう。
- Q3:専任担当者が少なくても運用できますか?
- 運用できるかは、管理画面の使いやすさやサポート体制によって変わります。監視画面や通知、設定テンプレート、導入支援がある製品なら、少人数でも運用しやすくなります。導入前に、日常的に見る画面や障害時の操作を確認すると安心です。
- Q4:費用は何で変わりますか?
- 費用は、処理性能や通信量、SSL処理量、導入形態、サポート内容、冗長構成の有無で変わります。見積もりを依頼する際は、対象システムやサーバ台数、利用者数、ピーク時のアクセス状況を伝えましょう。複数製品を比較すると、自社に必要な構成を判断しやすくなります。
- Q5:導入前に準備することは何ですか?
- まずは、対象システムの構成図や通信経路、SSL証明書、ピーク時のアクセス状況、障害時の対応ルールを整理しましょう。現状を明確にすると、製品ベンダーへ相談しやすくなります。必要な機能と不要な機能を分けておくことも、過剰投資を避けるポイントです。
まとめ
アプリケーションデリバリコントローラは、中小企業のWebシステムを安定運用するために役立つ製品です。負荷分散やSSL処理、可用性向上、セキュリティ機能を比較し、自社の課題にあう構成を選びましょう。製品ごとに対応機能や導入形態、サポート範囲は異なるため、複数製品の資料を確認しながら比較することをおすすめします。



