連携エラーが起こる背景と事前に整理する点
連携のエラーは、AI契約書レビューサービス側だけでなく、連携先の設定や制限、利用者の運用が重なって起こる場合があります。連携の方式と、契約書データの扱いを先に整理しておきましょう。あわせて、人が最終確認する前提にも触れます。
連携方式の種類と特徴
連携の方式には、APIによるシステム間の自動連携、ファイルの取り込みや書き出し、メールやチャットへの通知などがあります。方式によって、自動化できる範囲や、エラーが起きたときの確認方法が異なります。方式の違いは運用の負担にも関わります。
製品によって対応する方式は異なるため、自社が使うシステムとどの方式で接続できるかを確認しましょう。接続の実績や、設定の支援の範囲は、ベンダーに具体的に質問すると把握しやすくなります。回答は文書で受け取り、比較に使いましょう。
複数の要因が関わる連携の不具合
連携のエラーには、AI契約書レビューサービス側、連携先のシステム側、利用者の設定という複数の要因が関わる場合があります。認証情報の期限切れ、項目の対応づけの誤り、通信の状態なども影響します。これらを一つずつ確認する姿勢が必要です。
原因を一方に決めつけず、どこで処理が止まったのかを順にたどることが重要です。責任の範囲は提供会社ごとに異なるため、問い合わせ先も、連携元と連携先の両方を想定しておきましょう。切り分けの結果は、記録として残しておきます。
連携前に確認する契約書データの扱いと法的位置づけ
連携すると、契約書のデータが複数のシステムを行き来します。各システムでの保存場所や保存期間、閲覧できる人、AIの学習に利用されるかどうかを連携の前に確認しておく必要があります。
法務省が2023年8月に公表した考え方では、契約書の管理を支援するサービスでも、個別の事案に応じた法的リスクの有無を自動で表示する機能は、法律事務に該当し得る例とされています。連携で出力が自動表示される場合も、人が最終確認する前提にしましょう。
契約書管理や電子契約との連携で確認する点
契約書管理システムや電子契約システムと連携すると、レビューから保管、締結までの流れをつなげられる場合があります。一方で、データの反映や項目の対応づけに不具合が出る場合があります。ここでは、不具合の例を表にまとめました。
| 連携先 | 起こり得る不具合 | 確認すること |
|---|---|---|
| 契約書管理システム | 同期の停止、項目の欠損、重複登録 | 未反映のデータを一覧で確認できるか |
| 電子契約システム | 認証の期限切れ、引き渡しの失敗 | 手動で再度引き渡せるか |
| ファイルの受け渡し | 読み取りの失敗、形式の不一致 | WordとPDFで結果が一致するか |
契約書管理システムとの連携で起こる不具合
契約書管理システムとの連携では、同期の停止、データ反映の遅れ、一部の項目の欠損、重複登録といった不具合が起こる場合があります。契約日や更新日などの項目の対応づけが、原因になることもあります。契約書の種類によって、項目の持ち方が異なる点にも注意が必要です。
連携後は、期待した項目が管理システムに登録されているかを確認しましょう。連携が停止した際に管理者へ通知されるか、未反映のデータを一覧で確認できるかも、重要な確認項目です。確認の頻度も、あらかじめ決めておきましょう。
電子契約システムとの連携で確認する点
電子契約システムとの連携では、レビュー済みの契約書を締結の手続きへ引き渡す流れが想定されます。認証の期限切れや権限の不足、ファイル形式の違いにより、引き渡しがエラーになる場合があります。引き渡しの結果は、締結前に確認したい点です。
締結済みの契約書を、レビューの履歴とともに保管できるかも確認しましょう。連携が失敗した場合に、手動で再度引き渡す手順があるかを、導入前にベンダーへ尋ねておくと安心です。引き渡しの失敗が通知される仕組みも、確認しておきましょう。
WordやPDFを受け渡す際の読み取りの確認
連携先から契約書を受け取る場合、WordやPDFなどのファイル形式によって、読み取りの結果が変わる場合があります。スキャンした画像のPDFは、文字を正しく読み取れないことがあります。表組みの多い契約書は、条文の順序が崩れることも考えられます。
連携で受け渡されたファイルが、手動で取り込んだ場合と同じ結果になるかを確認しましょう。形式の違いで読み取れないファイルがあった場合の通知や、除外の扱いも確認しておきたい項目です。判断に迷うときは、サンプルでの確認をベンダーに依頼します。
APIの呼び出し制限と手作業が残る場面
APIで連携する場合は、呼び出し回数に制限が設けられている場合があります。ワークフローシステムとの連携では、承認の流れの一部で手作業が残る場合もあります。上限を超えた場合の扱いにも触れます。
APIの呼び出し回数の制限
APIには、一定の時間内に呼び出せる回数の上限が設けられている場合があります。上限に達すると、一部の処理が失敗したり、待ち状態になったりして、データの反映が遅れることがあります。制限の内容は、契約するプランによって異なる点にも注意が必要です。
上限の有無や超えた場合の挙動、上限の引き上げができるかを確認しましょう。契約書の取り込みが集中する時期に備え、処理を分散させる運用や再実行の手順も用意しておきます。超過時の通知の有無も、確認しておきたい点です。
ワークフローと連携しても手作業が残る場面
ワークフローシステムと連携しても、申請内容の転記や、承認後の結果の入力といった手作業が残る場合があります。連携できる項目が限られていたり、申請の形式が異なったりすることが背景にあります。手作業が残る範囲は、導入前に把握しておきたい点です。
現在の承認の流れを書き出し、どの工程が自動で受け渡され、どの工程が人の作業として残るのかを整理しましょう。ベンダーに同じ流れを示して確認すると、導入後の想定外を減らせます。残る手作業の担当者も、あわせて決めておきます。
自動化の範囲と承認の役割分担
連携を進めても、承認や確認の工程を省略してよいわけではありません。AIの指摘を受けて契約書を承認する際は、人が内容を確認する工程をワークフロー上でも残しておく必要があります。自動化の範囲が広がるほど、確認の責任の所在を明確にしておくことが大切です。
承認者と確認の範囲、例外時の対応をワークフローの設計に反映しましょう。自動化する部分と人が判断する部分を分けて決めておくと、運用の混乱を避けやすくなります。決めた内容は、関係者に周知しておきましょう。
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メールやチャットの通知で注意する点
メールやチャットと連携すると、レビューの完了や承認の依頼を通知で受け取れる場合があります。通知の確実性と、情報の扱いに注意が必要です。ここでは、通知の遅れ、情報の扱い、ファイルの受け渡しの3点を取り上げます。外部のサービスを使う場合は、特に注意が必要です。
通知の遅れや不達への備え
メールやチャットへの通知は、迷惑メールとして扱われたり、チャットの通知設定で見落とされたりする場合があります。連携先のサービスの障害や制限で、通知が遅れることもあります。通知を受けた担当者が気づくまでの時間も、対応の速さに影響します。
重要な通知は、受信の確認ができる方法を決めておきましょう。通知が届かない場合に備え、管理画面で未処理の依頼を確認できる運用を併用すると、対応の漏れを防ぎやすくなります。通知の設定は、担当者が替わるたびに見直しましょう。
通知に含める情報と機密保持
通知の本文に契約書の名称、取引先の名前、指摘の内容が含まれると、メールやチャットの閲覧者に情報が伝わります。通知する範囲によっては、機密保持の取り決めに照らした確認が必要です。通知の内容は、設定で調整できる場合もあります。
通知には案件の識別番号だけを載せ、詳細は管理画面で確認する設定ができるかを確認しましょう。チャットのチャンネルの参加者も、定期的に見直すと情報の管理に役立ちます。参加者が替わる際の手続きも決めておきます。
契約書ファイルの受け渡し方法の確認
メールの添付やチャットでのファイル共有を契約書の受け渡しに使う場合は、ファイルの容量や形式の制限を確認します。制限を超えた場合の扱いや添付ファイルの保存先も、事前に把握しておきたい点です。容量の制限は、プランによって異なる場合があります。
外部の事業者が提供するメールやチャットを使うと、契約書のデータが外部のサービスに保管されます。保存場所と期間、削除の方法を確認し、社内の情報管理の規程に反しないかを情報システム部門と整理しておきましょう。
連携エラーが起きたときの切り分けと対処
連携のエラーが起きたときは、原因を順に切り分け、記録を残しながら対処することが大切です。切り分け、再実行、運用ルールの3点を整理します。どの手順も、複数の担当者で共有できる形にしておきましょう。
- ■切り分け
- 製品側、連携先側、認証や通信の設定の順に確認する
- ■再実行
- 未処理のデータと重複登録の有無を確かめてから実行する
- ■運用ルール
- 複数の担当者が対応できるよう手順を文書にまとめる
切り分けの順序の整理
連携のエラーが起きたときは、AI契約書レビューサービス側、連携先側、通信や認証の設定の順に確認します。どの時点で処理が止まったのかを、画面の表示や履歴で確認することが出発点です。画面に表示されたエラーの内容は、そのまま記録しておきます。
同じ操作で再現するか、特定の契約書だけで起こるかも手がかりです。確認した内容を表に整理しておくと、ベンダーへの問い合わせでも状況を正確に伝えられます。ベンダーへの連絡の前に、社内の手順書も確認しましょう。
再実行とログ確認の手順
エラー後は、未処理のデータが残っていないか、再実行で重複登録が起きないかを確認します。管理者への通知、履歴の確認、手動での再実行、自動での再試行の有無は、導入前に確かめたい機能です。機能の有無によって、復旧にかかる手間が変わります。
ログに記録される内容と保存される期間も、原因を調べるうえで重要です。再実行の前に連携先のデータの状態を確認し、必要に応じて情報システム部門やベンダーに相談しましょう。対応の経過は、記録に残しておくと役立ちます。
連携の運用ルールの定着
連携の担当者を一人に限ると、不在時に対応が止まる場合があります。担当者の異動や退職の際にも、引き継ぎが難しくなる場合があります。複数の担当者が状況を把握できるよう、連携の構成図やエラー時の対応手順を文書にまとめておきましょう。
連携先のシステムの更新や契約の変更があったときに、連携への影響を確認する機会を設けます。定期的に連携の状態を点検すると、小さな不具合にも気づきやすくなります。点検の結果は、関係者に共有しておくと安心です。
連携や契約管理の観点で確認したい製品
ここでは、契約書の管理や他システムとの接続に関する特徴がある製品を、確認しておきたい点とあわせて紹介します。連携の対象と方式は、各社へ個別に確認してください。
Contract One
- 契約書を正確にデータ化し、AIで扱いやすいデータベースを構築
- ひな形や自社基準(プレイブック)の作成を支援
- 生成AIが手順と知識をパッケージ化したSkill作成を支援
Sansan株式会社が提供する「Contract One」は、あらゆる契約書を一元管理し、AIで扱いやすい契約データベースを構築するサービスです。AI-OCRと専門スタッフの確認で契約書をデータ化するとされ、ひな形や自社基準(プレイブック)の作成も支援します。APIに対応しており、名刺管理サービスのSansanとの連携も紹介されています。連携できる範囲や方式は、導入前に提供会社へ確認しておきたい点です。
マネーフォワード クラウドAI契約書レビュー
- 弁護士監修AIが契約書のリスクを判定し、変更条文例や解説を表示
- 取引先毎の注意点などを参照できる、自社基準でのリスクチェック
- Web上だけでなく、Word画面上でもAI契約書レビューが可能
株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウドAI契約書レビュー」は、法律のプロが監修したAIで契約書の審査をサポートするクラウドサービスです。ITトレンドでは、電子契約システムの「マネーフォワード クラウド契約」との連携が掲載されています。WebだけでなくWord上でも使えるとされ、条文の差分をハイライトする比較機能も紹介されています。連携の範囲や条件、Word上で使う場合のオプションの契約は、個別の確認が必要です。
GMOサイン契約レビューパック
- 契約ステータスの可視化や情報の一元管理化で業務効率化を実現
- 充実した機能で、契約オペレーション全体を最適化
- 導入支援サービスを標準提供しているので安心
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供する「GMOサイン契約レビューパック」は、契約書の作成、レビュー、承認、締結、締結後の管理までを一元管理するサービスです。電子印鑑のGMOサインと組み合わせて、押印や締結の工程までを一つの流れで扱えるとされています。レビュー履歴の保管やWordの差分比較機能も紹介されています。複数のツールを使い分ける手間をどこまで減らせるかは、連携の対象も含めて個別に確認しましょう。
OLGA (GVA TECH株式会社)
- 法務相談から契約管理までを一つのクラウドで完結。
- 法務DX機能(Q&A、AI契約レビューなど)搭載。
- メール、Slack、Teams、電子契約サービスと連携。
AI契約書レビューサービスに関するよくある質問
AI契約書レビューサービスの連携のエラーについてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:連携が止まったとき、連携元と連携先のどちらに問い合わせるべきですか?
- A:原因が一方に限られるとは限らないため、どこで処理が止まったかを記録したうえで、両方の提供会社に状況を伝えます。責任の範囲は提供会社ごとに異なる場合があります。
- ■Q2:APIの呼び出し回数の上限に達したら、どうなりますか?
- A:一部の処理が失敗したり、待ち状態になったりして、データの反映が遅れる場合があります。上限の内容と、超えた場合の挙動や通知を、導入前に確認しておきましょう。
- ■Q3:連携を設定するのに、専門知識は必要ですか?
- A:連携の方式によって異なり、ファイルの取り込みで済む場合もあれば、APIの設定が必要な場合もあります。難しいときは、ベンダーの設定支援の範囲を確認し、情報システム部門に相談しましょう。
- ■Q4:連携後も手作業が残る場合、導入を見送るべきですか?
- A:手作業が残る範囲と、その作業にかかる負担を整理して判断します。残る工程が限られる場合や、運用で補える場合は、導入の選択肢です。
まとめ
AI契約書レビューサービスの連携エラーは、製品側、連携先側、利用者の設定が重なって起こる場合があります。契約書管理システムや電子契約システム、ワークフロー、メールやチャットのそれぞれで、不具合の例と確認点を事前に整理しておくことが大切です。契約書データの機密保持と、人が最終確認する運用も欠かせません。連携の条件を比べるため、複数の製品を資料請求してみてください。

