デジタル給与ソリューションにおける「無料」の意味
デジタル給与ソリューションと一口にいっても、無料の対象は従業員側と企業側で異なります。まずはどの部分が無料で、どの部分に費用がかかる可能性があるのかを整理します。
従業員が利用する場面では手数料が不要な場合が多い
デジタル給与ソリューションは、資金移動業者が発行するアカウントに給与の一部または全部を振り込む仕組みです。従業員が残高を確認したり、対応する店舗やサービスで支払いに利用したりする場面では、手数料が発生しない設計になっているサービスが多くあります。
ただし、提携外のATMで現金を引き出す場合や、銀行口座へ資金を移動する場合には手数料がかかることがあります。従業員向けの案内資料では、どの操作が無料でどの操作が有料になるのかを事前に確認しておくことが重要です。
企業側の費用は導入形態によって変わる
企業がデジタル給与ソリューションを導入する際は、給与計算システムとの連携設定やアカウント発行の手続きが必要になります。この部分については、初期費用や月額の利用料が設定されているサービスが一般的です。
一方で、従業員規模の小さい企業向けに無料プランを用意しているサービスもあります。無料プランの範囲は提供事業者によって異なるため、対応人数や機能の制限を個別に確認する必要があります。
無料プランや無料トライアルで確認したい範囲
「無料」という表記があっても、実際に使える機能や期間には条件が設定されていることが多くあります。この章では、無料プランと無料トライアルそれぞれで確認しておきたい観点を紹介します。
無料プランに含まれる機能の範囲を確認する
無料プランでは、給与のデジタル払いに必要な基本機能のみが提供され、勤怠管理や経費精算との連携といった拡張機能は有料オプションとして扱われる場合があります。導入前には、自社が必要とする機能が無料の範囲に含まれているかを確認しておく必要があります。
また、無料プランは対応できる従業員数に上限が設けられていることがあります。上限を超えると自動的に有料プランへ移行する仕組みや、都度申し込みが必要になる仕組みなど、運用方法はサービスによって異なります。
無料トライアルの期間と条件を把握する
無料トライアルは、実際の運用画面や従業員向けアプリの使い勝手を試せる仕組みとして用意されている場合があります。期間はおおむね数週間から数か月程度に設定されていることが多く、期間終了後の移行条件も事前に確認しておくと安心です。
トライアル期間中に給与計算システムとの連携を試せるかどうかも、確認しておきたいポイントです。連携テストができないまま本導入すると、運用開始後に設定の見直しが必要になる場合があります。
デジタル給与ソリューション導入時に発生しうる費用の考え方
無料の範囲を確認したうえで、実際に発生しうる費用についても把握しておくことが大切です。ここでは、企業が想定しておきたい費用項目を整理します。
初期費用や月額費用の内訳を確認する
デジタル給与ソリューションの導入では、システム連携の設定作業に対して初期費用が設定されている場合があります。月額費用についても、基本料金と従業員数に応じた従量課金を組み合わせている料金体系が見られます。
見積もりを依頼する際には、初期費用と月額費用を分けて確認し、どの作業が費用に含まれるのかを個別に把握しておくと、契約後の認識違いを防ぎやすくなります。オプション機能の追加費用についても、あわせて確認しておくとよいでしょう。
従業員数の増加に伴う費用の変化を把握する
従業員数が増えると、月額費用や従量課金の金額も変動する場合があります。特に無料プランを利用している企業は、対象人数が上限に近づいた段階で費用の見直しが必要になることがあります。
将来的な採用計画がある場合は、従業員数が増えたときの料金シミュレーションを提供事業者に依頼しておくと、費用の見通しを立てやすくなります。契約更新のタイミングで料金体系が変更される可能性がある点にも注意が必要です。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 初期費用 | システム連携の設定作業に対して発生する場合がある費用 |
| 月額費用 | 基本料金と従業員数に応じた従量課金を組み合わせる料金体系がある |
| 従業員数増加時の変化 | 対象人数が無料プランの上限を超えると費用の見直しが必要になる場合がある |
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無料で利用する際に注意したい制度面のポイント
デジタル給与ソリューションは、給与の一部を資金移動業者のアカウントで受け取る仕組みであるため、労働基準法上の手続きが必要になります。無料プランを利用する場合でも、この手続きを省略できるわけではありません。
労使協定の締結が前提になる
給与のデジタル払いを導入するには、事業場ごとに労使協定を締結する必要があります。協定では、対象となる従業員の範囲や資金移動業者の名称、振込方法などを定めます。この手続きは無料プランを選んだ場合でも省略できません。
労使協定の締結には一定の準備期間がかかります。無料トライアルを利用する段階から人事担当者と労働者代表の間で協議を進めておくと、本導入までの流れがスムーズになります。
資金移動業者の指定状況を確認する
給与のデジタル払いに利用できる資金移動業者は、厚生労働大臣による指定を受けた事業者に限られます。導入を検討しているサービスがこの指定を受けているかどうかは、契約前に確認しておく必要があります。
指定を受けていない事業者のサービスは、給与のデジタル払いとして利用できません。無料をうたうサービスであっても、指定状況の確認を省略しないようにすることが大切です。
デジタル給与ソリューション選定時の比較ポイント
複数のデジタル給与ソリューションを比較する際は、無料の範囲だけでなく、運用面での使いやすさもあわせて確認すると判断がしやすくなります。
従業員が使う操作画面の分かりやすさ
従業員が日常的に利用するアプリや残高確認画面が分かりやすいかどうかは、利用の定着に関わる要素です。無料プランの段階でも、実際の画面を確認できるかを聞いておくと比較の参考になります。
操作が複雑だと、従業員からの問い合わせが増え、人事担当者の対応負担が増える可能性があります。導入前にデモ画面や体験版で操作感を確かめておくことが役立ちます。
既存の給与計算システムとの連携範囲
既存の給与計算システムとどこまで連携できるかは、運用の手間に直結します。連携範囲が狭いと、デジタル払い分と通常振込分を別々に管理する必要が生じ、担当者の作業が増える場合があります。
連携方法にはAPI連携とファイル連携があり、対応状況はサービスごとに異なります。自社が使用している給与計算システムとの組み合わせ実績を確認しておくと安心です。
従業員が無料で利用できるデジタル給与ソリューションの例
ここでは、企業向けの導入サービスに加えて、従業員が無料で給与を受け取れるサービスの例を紹介します。自社の給与計算システムとの連携範囲や対応事業者を比較する際の参考にしてください。
オンラインチャージGW『 doreca 』
- 一般的な銀行振込手数料よりも安いため、送金コストを削減可能
- 受取手段の多様化で利便性が向上し、利用者(従業員)の満足度向上
- 24時間365日、即時送金、受取後すぐに利用可能
BIPROGY株式会社が提供する「オンラインチャージGW『 doreca 』」は、給与のデジタル払いに対応したオンラインチャージ型のゲートウェイサービスです。企業の給与計算システムと資金移動業者のアカウントをつなぐ連携基盤として、振込データの受け渡しを支援します。労使協定に基づいた運用を前提に、既存の給与関連システムとの連携範囲を確認しながら導入を検討できる点が特徴です。
PayPay給与受取 (PayPay株式会社)
- 従来の銀行振込と同じ方法で、給与のデジタル払いが可能
- PayPayとの追加契約なしで導入可能
- 受取残高は本人名義の銀行口座へ送金可能
Airワーク 給与支払 (株式会社リクルート)
- 申請後、最短10分で給与受取が可能。
- AIで報告書を自動生成。講師負担軽減と指導の質向上を実現。
- 人事・勤怠システムとのデータ連携に対応。
au PAY 給与受取(事業者様向け) (auペイメント株式会社)
- 従業員のau PAYへの給与支払いに対応。
- 仮想口座とBチャージの2方式から選択可能。
- 仮想口座なら通常の銀行振込と同じ手順で運用可能。
無料のデジタル給与ソリューションに関するFAQ
デジタル給与ソリューションの導入を検討する際によく挙がる質問をまとめました。無料の範囲や制度面について不明点がある場合は、契約前に提供事業者へ直接確認しておくと安心です。
- Q1:デジタル給与ソリューションはどの企業でも無料になりますか?
- 企業が負担する費用は提供事業者やプラン内容によって異なります。従業員数が少ない場合に無料プランが用意されているケースもありますが、対応人数や機能には条件が設定されている場合があります。契約前に見積もりを取得して確認することをおすすめします。
- Q2:無料トライアル中に労使協定を結ぶ必要はありますか?
- 無料トライアルの段階でも、実際に給与のデジタル払いを試す場合には労使協定の締結が前提になります。トライアルの利用範囲がデモ環境に限られる場合は、協定の締結が不要なこともあるため、提供事業者に確認してください。
- Q3:無料プランから有料プランへの移行はどのタイミングで発生しますか?
- 従業員数が無料プランの上限を超えたときや、勤怠管理などの拡張機能を利用したいときに移行が発生する場合があります。移行条件はサービスによって異なるため、事前に契約内容を確認しておくと安心です。
まとめ
デジタル給与ソリューションは、従業員側の手数料が原則不要な一方、企業側には初期費用や月額費用が発生する場合があります。無料プランやトライアルの範囲、労使協定の手続き、資金移動業者の指定状況を事前に確認しておきましょう。そのうえで既存システムとの連携範囲や操作性もあわせて比較し、自社の従業員規模や運用体制に合ったサービスを選ぶことが大切です。

