キッティングの作業方法
キッティングの作業方法には以下の2種類があります。
1台ずつ手作業で行う
デバイスに1つずつ手作業でキッティングを行う方法です。手元に対象のデバイスさえあれば特別な準備が必要なく、もっともオーソドックスな方法といえます。
壊れたデバイスの買い替えなど、一度に購入したデバイスが少ない際はこの方法でも対応可能です。一方、新入社員の入社時や経年劣化した機器をまとめて買い替える際などは、この方法では作業量が多すぎて対処しきれない場合があります。
クローニングで行う
クローニングとは、1台のデバイスにキッティングを行い、それをほかのデバイスにコピーする方法です。1台ずつ作業を行う必要がないため作業量を大幅に削減できます。最初の1台に完璧なキッティングを施せば、ほかのデバイスで設定ミスが生じる心配もありません。電源をはじめとした設備に余裕があれば、一度に数十台、数百台ものデバイスをまとめてキッティングできます。
それをコピーしたほかのデバイスもすべて不適切なキッティングが施されることになります。最初の1台を慎重に設定し、問題がないか検証しなければなりません。正しく行うには専門的な知識や技術が必要になります。また、導入する機種やOSのバージョンが異なる機器ではクローニングできないのもデメリットです。
キッティングの作業内容
キッティングでは、具体的にどのような作業を行うのでしょうか。
手作業で行う場合の手順
PCを例にすると、手作業でキッティングする場合の作業内容は以下のとおりです。
- 1.開梱し、電源をオンにする
- 2.キーボードやマウスなどの接続状況を確認する
- 3.BIOSをセットアップする
- 4.OSをインストールする
- 5.アカウントを作成する
- 6.ネットワーク接続の設定をする
- 7.業務用のソフトウェアをインストールする
- 8.セキュリティソフトをインストールする
- 9.上記ソフトウェアのライセンス認証を行う
- 10.上記ソフトウェアの初期設定を行う
- 11.動作状況を確認する
- 12.PCにラベルを貼り付け管理台帳に記録する
クローニングで行う場合の手順
PCを例にすると、クローニングでキッティングする場合の作業内容は以下のとおりです。以下のマスターPCとは、最初にキッティングし、ほかのPCのコピー元とするPCのことをいいます。
- 1.マスターPCを作成する
- 2.SYSPREPコマンドで一般化する
- 3.マスターイメージを抽出する
- 4.マスターPC以外のPCのブートオーダーを変更する
- 5.クローニングを実施する
- 6.個別にキッティングを行う
- 7.動作状況を確認する
- 8.PCにラベルを貼り付け管理台帳に記録する
キッティング作業における注意点
キッティング作業には注意点があります。2つ見ていきましょう。
台数や設定内容によっては負担が増大する
キッティングを行うデバイスが数台であれば、手作業でも事足りるでしょう。また、設定内容が同一であれば、1つのデバイスに施したキッティングと同じ作業を繰り返すだけであるため、負担が少なく済むはずです。
しかし、数十台あるいは数百台という規模であったり、設定がデバイスごとに異なる場合は大変です。納期どおりに社員の手元に届くよう迅速にキッティングを行わなければならないのはもちろん、ミスにも細心の注意を払う必要があります。特にセキュリティの設定にミスがある場合は、ビジネスへの致命的な打撃を招きかねません。
そのまま複製するとライセンス違反になる
上記の課題を解決する方法の1つがクローニングによるキッティングです。しかし、普通にセットアップしたデバイスをそのまま複製してはいけません。ライセンスによって、使用してよいデバイスが定められているからです。
例えば、最初からPCにインストールされているWindowsOSは複製できません。そのOSは、プリインストールされているPCでの利用のみ許可されています。勝手に別のPCにコピーすれば、本来支払うべきコストを払うことなくOSを利用しているとして、重大な違反となってしまいます。クローニングでキッティングしたい場合は、複製が認められているボリュームライセンスを契約しましょう。
キッティング作業を効率化する方法
自社でキッティングを行う場合は、手作業にせよクローニングにせよ、作業量や注意すべき事柄が多く、大きな負担となります。そのような場合に検討したいのが、キッティングサービスの導入です。
キッティングサービスとは、キッティングをアウトソースできるサービスを指します。自社で行うのではなくアウトソーサーに委託することで、確実かつ短期間でキッティングを行えます。アウトソーサーはプロの業者であるため、セキュリティなど厳重な注意が求められる作業も安心です。委託料はかかりますが、自社で人件費をかけて人手を確保するよりもローコストかもしれません。
キッティングの作業内容を理解し、機器導入を効率的に行おう
キッティングには、1台ずつ手作業で行う方法と、クローニングでまとめて行う方法があります。しかし、前者は手間がかかり、後者はライセンスに十分な注意を払わなければならないなど、作業内容に課題が潜んでいます。そこで、プロの外部業者にキッティングを委託できるキッティングサービスを検討してみましょう。自社でやるよりも安全なうえ、短期間でデバイスを使えるようになります。