クローニングソフトとは
クローニングソフトとは、コンピュータのハードドライブやデータストレージデバイスの内容を完全に複製するためのツールです。「複製品」を意味するクローンに由来します。クローニングソフトを使用し、例えばマスターPCと同じ設定を別のPCに複製することで、複数のPCのキッティング作業が簡単かつ短時間で完了します。
クローニングソフトとバックアップソフトの違いとは
「クローニング」と似た意味で使われる言葉に「バックアップ」があります。どちらもデータ管理や復元作業を指す言葉ですが、それぞれの手法や目的は異なります。
クローニングソフトは、主に特定のデータやシステム全体を複製・複写するのが目的です。マスターとなるデータやシステムと同じ状態のコピーを作成できるため、新しいデバイスやシステムの迅速な展開が可能になります。
一方、バックアップソフトはデータの紛失や破損に備え、データを別の場所に保存するのが目的です。単一のファイルからシステム全体まで、重要なデータを災害や誤操作から保護するために使用されます。
クローニングソフトが求められる理由
クローニングソフトが求められる大きな理由として、キッティング作業の効率化があります。
キッティングには、OSやネットワークなどの各種設定、アプリケーションのインストール、セキュリティ対策など多くの作業が含まれます。これらを端末ごとに実施するには、多大な時間と労力が必要です。さらに手作業では、設定ミスや作業もれなどのヒューマンエラーが発生するほか、人的コストも増加します。
クローニングソフトを活用すれば、大量のPCのキッティング作業も一括して実施可能です。作業負担が軽減され、人的リソースも不要になるためコスト削減にもつながります。
クローニングソフトを導入するメリット
クローニングソフトを導入するメリットは、主に以下の3つが挙げられます。
- ●キッティングの質を向上できる
- ●作業負担を軽減できる
- ●IT資産を適切に管理できる
キッティングの質を向上できる
キッティングにおいて、デバイスの同一性を確保することが非常に重要です。クローニングソフトを利用すると、製品やシステムの構成・設定を正確に複製できるため、社内デバイスに一貫性が保たれます。キッティングの質が格段に向上し、設定ミスによるトラブルや構成の不整合を最小限に抑えられます。
作業負担を軽減できる
クローニングソフトを導入しキッティング工数を削減すれば、情報システム担当者の負担が大幅に軽減されます。これにより、担当者はより戦略的な業務へ注力できるようになり、企業全体の生産性が向上するでしょう。また、IT機器の一斉入れ替え時や新入社員の入社時など、キッティング作業が集中しやすい時期の残業削減にもつながります。
IT資産を適切に管理できる
多くのクローニングソフトがIT資産管理機能を備えています。各デバイスのソフトウェアライセンスやOSバージョン、ハードウェアスペックなどを自動で収集し、画面上で一元管理が可能です。これにより、企業のセキュリティポリシーに準じた運用が行いやすくなり、IT資産の適切な管理が実現します。
クローニングソフトを導入する際の注意点
クローニングソフト導入時に注意すべきポイントとして、以下の2つが挙げられます。
- ●セキュリティリスクが高まる
- ●作業者は高度なスキルと知識が必要になる
セキュリティリスクが高まる
クローニングソフトは複数のデータや設定情報を扱うため、運用ルールを決めずに活用すると、セキュリティリスクが大きくなります。例えば、複製のプロセスにおいて誤って機密情報が流出してしまったり、セキュリティ設定が不十分なままクローンが作成されてしまったりといったリスクが考えられるでしょう。
クローニングソフトを導入するのであれば、暗号化技術やアクセス制御を採用するなど、プライバシー保護の対策を万全にしておくことが大切です。
作業者は高度なスキルと知識が必要になる
クローニングは、データやシステムの複製を行う高度な作業です。ツール利用により作業が自動化されるとはいえ、作業者はプロセスを理解し、適切な判断を下すためのスキルと知識を身につけていなければなりません。誤った設定や手順により、セキュリティリスクやデータ損失を引き起こす可能性があるからです。
例えば、ファイルシステムについてやディスクのパーティション構造などを理解しておく必要があります。
おすすめのクローニングソフト・サービス
ここでは、おすすめのクローニングソフトやサービスを紹介します。それぞれ特徴が異なるため、自社の用途に適したサービスを見つけてください。
Symantec Ghost Solution Suite
「Symantec Ghost Solution Suite」は、SB C&S株式会社が提供するツールです。同一設定のパソコンの複製が短時間で行えます。起動ディスクやPXEサーバ、エージェントの3種類のクローニング手法が用意されているので、企業は環境にあわせて最適な手法を選択できます。
Acronis Snap Deploy
「Acronis Snap Deploy」は、株式会社ネットワールドが提供するクローニングツールです。数百台のタブレットやPC、サーバを同時に高速デプロイでき、優れた処理速度と操作性が魅力です。コンピュータごとの個別設定やデプロイ後のカスタマイズ、柔軟な起動オプションなども行えます。
ActiveImage Deploy USB
「ActiveImage Deploy USB」は、株式会社アクティファイが提供するツールです。USBメディアのみでデプロイでき、操作性に優れています。従来のネットワーク配信タイプよりも、速度がスムーズな点も大きなメリットです。
ImageMaker
「ImageMaker」は、株式会社ウルトラエックスが提供するツールです。USBと外付けHDDだけで作業をスタートでき、少ない設備で複製作業が行えます。100ライセンス単位で、使用する分だけ購入できる手軽さも魅力です。
M2DeployTools
「M2DeployTools」は、三谷商事株式会社が提供するMac向けのツールです。Macになんらかの障害が発生した場合にも、外部業者へ依頼することなくイメージの復元が可能です。ユーザーの環境や希望に応じて、カスタマイズできるのも大きな特徴です。
クローニングソフトの導入にはキッティングサービスもおすすめ
クローニングソフトを活用することで、キッティング作業の効率化やIT資産の一元管理が可能です。ただし、セキュリティリスクもあるため、導入時には暗号化やアクセス制御などを行う必要があります。
そこで、IT機器のキッティングから運用まで一括委託できるキッティングサービスの活用も、ぜひ検討してみてください。端末ごとの個別設定だけでなく、IT機器の調達から資産管理まで幅広くアウトソーシングできます。セキュリティ対策を整えた専用施設で作業が行われ、社内で実施するよりも安全性が担保されるメリットもあります。
記事内で紹介したクローニングソフト・サービスのなかで、以下はキッティングサービスに該当します。もう一度確認したい方は、サービス名をクリックしてご覧ください。
また、キッティングサービスについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。おすすめサービスのほか、導入メリットや選び方を解説しています。
まとめ
キッティング作業にかかる手間を削減するには、クローニングソフトの活用が便利です。キッティングの品質向上やIT資産管理も期待できます。
なお、キッティング作業をはじめ、IT機器の運用管理までまとめて効率化したい場合には、キッティングサービスの活用がおすすめです。下のボタンより、キッティングサービスの一括資料請求(無料)も可能なので、あわせてご利用ください。