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介護の人手不足はなぜ起こる?原因・現状・対策をわかりやすく解説

2026年09月15日 最終更新

介護の人手不足はなぜ起こる?原因・現状・対策をわかりやすく解説

介護の人手不足は、高齢化による需要の増加と働き手の減少が重なって起きている構造的な課題です。国の推計では、2040年度までに約57万人の介護職員を新たに確保する必要があるとされています。解決には、賃金の改善だけでなく、採用の工夫、定着を促す職場づくり、業務効率化を組み合わせることが大切です。本記事では現状の数字と原因を整理し、事業所が取り組める対策を順に解説します。

この記事は2026年9月時点の情報に基づいて編集しています。
目次

    介護の人手不足はどれほど深刻か?数字で見る現状

    まずは国の推計や調査結果から、介護職員の不足がどの程度の規模なのかを確認します。数字で全体像をつかむと、自社の課題の位置付けも見えやすくなります。

    2040年度までに約57万人の追加確保が必要

    厚生労働省は2024年7月、第9期介護保険事業計画をもとに都道府県が推計した介護職員の必要数を公表しました。それによると、2022年度の約215万人に対し、2026年度には約240万人が必要とされています。さらに2040年度には約272万人が必要と見込まれています。推計値は都道府県ごとにも示されています。

    つまり2026年度までに約25万人、2040年度までに約57万人を上乗せして確保しなければなりません。現場の実感としても、介護労働安定センターの「介護労働実態調査」では、従業員の不足を感じる事業所が6割を超える状況が続いています。介護関係職種の有効求人倍率も全職業の平均を大きく上回っており、1人の求職者を複数の事業所が取り合う採用環境にあることがうかがえます。

    参考:第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について|厚生労働省

    2040年問題で担い手不足がさらに加速する

    介護の2040年問題とは、団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年ごろに生じる課題を指します。高齢者人口がピークに近づき、介護を必要とする人が多い85歳以上の人口も増えると見込まれています。そのため、介護サービスの需要は今後も高い水準が続くと考えられます。85歳以上では要介護認定を受ける人の割合が高くなるため、必要な介護の量も増えます。

    一方で、支え手となる15歳から64歳までの生産年齢人口は減少が続きます。介護業界は医療や小売、物流など他の産業とも限られた働き手を奪い合う状況にあり、求人を出すだけで人が集まる環境ではありません。需要が増え、供給が減るという二重の圧力がかかる点に、介護の人手不足の深刻さがあります。都市部と地方で不足の度合いが異なる点にも注意が必要です。

    参考:医療と介護の一体的な改革|厚生労働省

    介護現場で人手不足が続く3つの原因

    介護の人手不足は、単に応募者が少ないだけでなく、入職しても辞めてしまう人がいることでも深刻化しています。ここでは主な原因を3つ取り上げます。

    賃金水準が仕事の負担に見合っていない

    介護職員の平均賃金は、処遇改善の取り組みにより上昇してきたものの、全産業の平均を下回る傾向が指摘されています。介護報酬は国が定める公定価格であるため、事業所が独自にサービス料金を上げて給与の原資を増やすことは困難です。物価や他産業の賃金が上がる局面では、この仕組みが賃金の伸びを抑える一因となります。

    介護の仕事は、利用者の命や生活を預かる責任の重さに加え、夜勤や身体介助などの負担を伴います。こうした負担と給与の水準が釣り合わないと感じると、同じ時間を働くなら他業種の方がよいと考える人も出てきます。若い世代や子育て世代にとっては、将来の昇給の見通しが立たないことが入職をためらう理由になりがちです。資格を取っても給与に反映されにくい職場では、意欲の低下も招きます。

    人間関係や運営方針への不満による離職

    介護労働実態調査で前職を辞めた理由をみると、職場の人間関係の問題が上位に挙がり続けています。法人や事業所の理念・運営のあり方への不満、収入の少なさ、結婚や出産といったライフイベントも主な理由です。給与だけでなく、職場の雰囲気や運営の姿勢が定着を大きく左右しているといえます。働く人の気持ちに寄り添った職場運営が求められます。

    少人数でシフトを回す介護現場では、職員同士の連携が欠かせない反面、ケアに対する考え方の違いが対立につながりやすい面があります。業務の分担や判断の基準が曖昧なままだと、一部の職員に負担が偏り、不公平感が生まれます。上司に相談しても改善されない、意見を言いにくいといった状態が続くと、経験を積んだ中堅職員まで職場を離れてしまい、残る職員の負担がさらに増します。

    体力的な負担と不規則な勤務体系

    入浴や排せつ、移乗などの身体介助は腰に大きな負担がかかり、腰痛を理由に仕事を続けられなくなる人もいます。入所施設では夜勤を含む交代制勤務が一般的で、生活リズムが乱れやすい点も負担です。年齢を重ねるにつれて、体力面の不安から離職を考える職員は少なくありません。身体的な負担の大きさは、未経験者が入職をためらう要因にもなっています。

    加えて、急な欠勤が出ると残った職員で穴を埋める必要があり、休日の呼び出しや残業が発生しがちです。休みの予定を立てにくい職場は、育児や家族の介護と両立したい人にとって働き続けにくい環境です。体力面と時間面の負担が重なることで、介護の仕事は大変だというイメージが社会に広がり、未経験者や学生が職業として選ぶ際のハードルを上げています。

    人手不足が事業所と利用者に及ぼす影響

    人手不足は職員の働き方だけの問題ではありません。事業所の経営や、サービスを受ける利用者の生活にも影響が及びます。起こりうる影響を把握しておきましょう。

    職員の負担増が離職を招く悪循環

    職員が不足すると、1人あたりが担当する利用者の数や業務量が増えます。休憩が十分に取れない、残業が常態化するといった状態が続けば、心身の疲労が蓄積していきます。その結果、さらに離職者が出て残った職員の負担が重くなるという悪循環に陥りやすくなります。気持ちに余裕がなくなることで、職員間の人間関係がぎくしゃくする場合もあります。

    新人を採用できても、指導する先輩職員に余裕がなければ丁寧な教育は行えません。仕事を十分に覚えられないまま現場に出た新人は不安を抱え、早期の離職につながるおそれがあります。採用のたびに求人広告費や人材紹介の手数料がかかるため、人が定着しない状態が続くと経営面の負担も大きくなります。欠員を派遣職員で補えば、人件費はさらに膨らみます。

    サービスの縮小やケアの質への影響

    介護保険サービスには人員配置の基準があり、必要な職員数を確保できなければサービスを提供できません。人手が足りない事業所では、新規利用者の受け入れを制限したり、一部のフロアや事業を休止したりする判断を迫られることもあります。訪問介護などでは、依頼があってもヘルパーを手配できず断るケースもあり、地域で必要なサービスを受けにくくなる事態も起こりえます。

    また、忙しさから利用者一人ひとりと向き合う時間が減ると、きめ細かなケアが難しくなります。見守りや確認が行き届かないことで、転倒や誤薬などの事故リスクが高まる点も見逃せません。人手が足りない時間帯ほど、事故の予防策を意識する必要があります。ケアの質の低下は利用者や家族の満足度だけでなく、事業所の評判や稼働率にも関わるため、早めの対策が求められます。

    採用と定着を両立させる人手不足対策

    人手不足への対策は、新たな人材を採用する取り組みと、今いる職員に長く働いてもらう取り組みの両輪で進めることが大切です。ここでは賃金面と職場環境面の対策を紹介します。

    処遇改善加算を活用して賃金を引き上げる

    賃金面の対策としてまず検討したいのが、介護報酬の処遇改善加算の活用です。2024年度の介護報酬改定では、それまで3種類に分かれていた処遇改善関連の加算が「介護職員等処遇改善加算」に一本化されました。算定の要件を満たすことで、職員の賃金改善に充てる原資を確保できます。2026年6月からは、生産性向上や協働化に取り組む事業所向けの上乗せ区分も設けられました。

    加算の区分が上位になるほど、キャリアパスの整備や職場環境の改善といった要件も求められます。資格や経験に応じた昇給の仕組みを明示すると、職員は将来の見通しを立てやすくなります。まだ上位区分を算定していない事業所は、要件を確認して段階的な取得を目指すとよいでしょう。賃金改善の内容を職員に丁寧に説明することも、納得感を高めるうえで欠かせません。

    多様な人材の採用と働きやすい職場づくり

    採用の間口を広げるには、介護の資格や経験がない人、子育て中の人、定年後のシニア層など幅広い層に目を向けることが有効です。短時間勤務や曜日を限定した働き方を用意すると、応募しやすくなります。特定技能などの在留資格を活用し、外国人介護人材を受け入れる事業所も増えています。資格取得の費用を補助する制度も、未経験者の応募を後押しします。

    定着を促すには、入職後の研修やOJT担当者の配置など、新人が孤立しない仕組みが欠かせません。定期的な面談で悩みを早めに把握し、シフトの希望を反映させることも離職防止につながります。腰痛予防のための移乗用リフトの導入や、有給休暇を取得しやすい体制づくりも、長く働ける職場の条件です。職員の声を運営に反映させる場を設けると、帰属意識も高まります。

    業務効率化で限られた人員でも回る体制をつくる

    人材の確保が難しい状況では、今いる職員の負担を減らし、利用者と向き合う時間を生み出す業務効率化も重要な対策です。役割分担の見直しと道具の活用の両面から考えます。

    介護助手やインカムで現場の負担を分散する

    介護業務の中には、清掃やベッドメイキング、配膳、備品の補充など、専門的な資格がなくても担える周辺業務が含まれます。これらを介護助手と呼ばれるスタッフに任せると、介護職員は身体介助や見守りなど専門性の高いケアに集中できます。短時間で働きたいシニア層などが担い手になる例も見られ、採用の間口を広げる効果もあります。業務の切り分けは、職員の役割を明確にすることにも役立ちます。

    職員間の連絡手段としては、インカムの活用も有効です。インカムとは、離れた場所にいる職員同士が手を使わずに会話できる無線通信機器のことです。応援を呼ぶために職員を探し回る時間が減り、ナースコールへの対応や夜勤帯の情報共有も素早く行えます。少ない人数で広いフロアを見守る場面でも、職員同士が状況を伝え合えるため安心感につながります。

    介護ソフトで記録や請求の事務作業を減らす

    ケア記録の作成や申し送り、介護報酬の請求といった事務作業も、介護現場では日々一定の時間を要する業務です。介護ソフトを導入すると、記録をタブレットなどから入力し、そのデータを計画書や請求業務に連携させることが可能です。手書きの記録を後から転記する二重入力の手間を減らせます。請求データの作成を効率化できれば、月初に集中しがちな請求業務の負担も抑えられます。

    記録がデータとしてまとまることで、職員同士が利用者の状態を確認しやすくなり、申し送りにかかる時間も短縮できます。導入の際は、現場の職員が無理なく使える操作性か、自社のサービス種別に対応しているかを確認することが大切です。事務作業を減らして生まれた時間を、利用者へのケアや職員の休憩に充てることで、人手不足の緩和につなげられます。

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    関連記事 【2026年】介護ソフトの選び方とおすすめ製品を徹底解説

    事務作業の手間を減らし人手不足を補う介護ソフト

    少ない人員でも事務作業を回せるよう、介護記録の入力や介護報酬の請求といった業務の効率化に役立つ介護ソフトを取り上げます。

    介舟ファミリー (株式会社日本コンピュータコンサルタント)

    《介舟ファミリー》のPOINT
    1. 介護保険・障害福祉保険の両制度に対応
    2. シンプルで使いやすい操作性
    3. 法改正後の追加料金なし

    Care-wing (株式会社ロジック)

    《Care-wing》のPOINT
    1. 介護事業者の依頼で開発された業務効率化ソフト
    2. ヘルパーが選ぶ介護ソフトで3冠達成。
    3. 特定事業所加算の要件『指示・報告・申し送り』に対応。

    まとめ

    介護の人手不足は、2040年度までに約57万人の追加確保が必要とされるほど深刻で、2040年問題によって今後さらに厳しさを増すと考えられます。原因には賃金水準、人間関係、体力的な負担などが絡み合っています。処遇改善加算の活用、多様な人材の採用、定着を促す職場づくり、業務効率化を組み合わせ、自社の課題にあった対策から着実に進めていきましょう。

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