オフィスデザイン・レイアウトのセキュリティが重要な理由
オフィスは従業員だけでなく、来訪者も出入りする場所です。物理的な設計と運用ルールが弱いと、情報漏えいや不正侵入のリスクが高まります。まずは、なぜ対策が必要なのかを解説します。
情報漏えいリスクの増加
フリーアドレスやオープンスペースの普及により、画面ののぞき見や書類の放置が情報漏えいにつながる場面が増えています。個人情報や営業機密を扱う企業では、座席配置と書類管理の両面で対策が必要です。
国内法である「個人情報の保護に関する法律」では、個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じることが求められます。情報システムだけでなく、紙書類や記録媒体の管理も視野に入れると運用の抜け漏れを減らせます。
参考:個人情報の保護に関する法律|e-Gov 法令検索
参考:法令・ガイドライン等|個人情報保護委員会
入退室管理の必要性
入退室管理が弱いと、関係者以外が執務エリアへ立ち入る可能性があります。国際規格の「ISO/IEC 27001:2022」は、情報セキュリティマネジメントシステムに関する要求事項を定めており、物理的な対策も含めてリスクを管理する考え方が前提です。
カード認証や生体認証、施錠などは技術的対策にあたります。一方で、来訪者の記録、同伴ルール、鍵の受け渡し手順は組織的対策です。両者をセットで設計すると運用の実効性が上がります。
参考:ISO/IEC 27001(情報セキュリティ)概要|日本品質保証機構(JQA)
物理的資産管理とアクセス統制
パソコンやサーバ、重要書類は企業の重要資産です。盗難や破損が発生すれば、業務停止や信用低下につながる可能性があります。資産の所在と責任者を明確にし、保管場所や持ち出し経路を適切に管理しなければなりません。
「SOC 2」は、サービス提供企業の統制に関する報告枠組みです。セキュリティなどの観点から統制の整備状況が確認されます。オフィス内の物理的アクセス制御や監視体制も、扱う情報や業務内容によっては確認対象になり得ます。
参考:SOC 2® - SOC for Service Organizations: Trust Services Criteria|AICPA
オフィスデザイン・レイアウトのセキュリティで整備すべき基本
セキュリティ対策は、空間設計と運用ルールをそろえて初めて機能します。ここでは、レイアウト設計時に押さえるべき基本要素を紹介します。技術面と運用面を分けて考えることがポイントです。
ゾーニング設計の基礎
ゾーニングとは、エリアごとにアクセス権限を分ける考え方です。受付や来客エリア、執務エリア、保管庫、サーバ関連エリアなどを区分し、機密性が高いほど制御を強めます。
入退室ゲートや電子錠は、技術的対策です。対して、入室申請フローや権限付与の承認ルール、鍵の管理台帳は組織的対策にあたります。実務担当者は、どの情報資産がどのエリアにあるかを棚卸しし、必要な制御レベルを決めると設計がぶれにくくなります。
執務スペース管理の基礎
執務スペースでは、机上に機密書類を残さないクリアデスクの考え方が有効です。フリーアドレスの場合は、収納ルールや施錠ロッカーの設置と合わせて運用すると実行されやすくなります。
端末の自動ロックや、記憶装置の暗号化は技術的対策です。一方、印刷物の回収ルールや廃棄方法、違反時の報告手順は組織的対策になります。設備だけでなく、誰が確認し、どう改善するかまで決めておくことが重要です。
共有エリア監視の基礎
会議室や休憩スペースでは、会話の漏えいや書類の置き忘れが起こりやすくなります。防音設計や覗き見防止フィルター、監視カメラの設置は技術的対策の例です。
録画データの保存期間や閲覧権限、利用目的の明確化は、組織的対策にあたります。監視の強化はプライバシー配慮も必要になるため、社内規程と周知をセットで進めるとトラブルを避けやすいでしょう。
以下の記事ではオフィスデザイン・レイアウトの価格や機能、サポート体制などを、具体的に比較して紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
オフィスデザイン・レイアウトのセキュリティ運用管理のポイント
設備やレイアウトを整えるだけでは、セキュリティは維持できません。日々の運用の中で迷いなく実行できる仕組みが必要です。ここでは、実務担当者が押さえるべき運用管理の要点を整理します。
ルール整備の重要性
入退室規程、来訪者対応手順、情報持ち出しルールを文書化し、責任者と例外時の判断基準も決めます。これらは組織的対策の中心です。
運用に落とす際は、「誰が」「いつ」「何を確認するか」を具体化すると定着しやすくなります。例えば、来訪者の入館記録の確認頻度や、持ち出し申請の承認者、ログの保管責任などです。
利用者教育の必要性
人的ミスや内部不正は、設備だけでは抑えきれません。従業員向けに、のぞき見対策や離席時の画面ロック、書類の扱い、来訪者対応などを教育します。これは組織的対策です。
一方で、アクセスログの自動記録や権限の最小化は、技術的対策にあたります。教育と技術の両面を組み合わせることで、事故の発生確率と影響度を下げやすくなります。
定期的な見直し体制
レイアウト変更や人員増減、業務の外部委託などで、リスクは変化します。定期的に点検し、見直しを回す体制が必要です。チェックリストを作り、監査結果から改善項目を管理すると運用品質が安定します。
見直し時は、技術的対策の設定値や運用ログだけでなく、規程の形骸化や教育の受講状況など、組織的対策の実行度も確認すると抜け漏れを減らせます。
オフィスデザイン・レイアウトのセキュリティ導入時の注意点
セキュリティ強化は重要ですが、過度な制限は業務効率や働きやすさに影響します。リスクに応じて「守りたいもの」と「許容できる運用負荷」を整理し、段階的に最適化する考え方が現実的です。
過剰制限による働きにくさ
認証手続きが多すぎたり、動線が複雑になったりすると、現場がルールを回避する原因になります。リスク評価に基づき、機密エリアから優先して制限を強めると無理が出にくくなります。
コスト増加のリスク
入退室システムや監視設備の導入には費用が発生します。必要な対策を棚卸しし、優先順位をつけて導入範囲を決めると、投資の説明がしやすくなります。保守費用や更新費用も含めて検討すれば、後戻りを減らせます。
継続運用の課題
導入後の権限変更やカード紛失対応、ログ確認が回らないと、形だけの対策になりかねません。担当部署と責任分界を明確にし、ルール変更や例外処理の窓口を一本化すると運用が安定します。
まとめ
オフィスデザイン・レイアウトのセキュリティは、空間設計と運用管理の両輪で成り立ちます。ISO/IEC 27001:2022などの考え方や、個人情報の保護に関する法律の要請を踏まえ、技術的対策と組織的対策を切り分けて整備すると整理が進みます。
自社の課題に合う製品やサービスを比較し、無理のない運用で安全性を高めたい場合は、ITトレンドでまとめて資料請求して検討材料をそろえてみてください。


