「システム導入前の事業所間のやり取りは社内FAXが中心でした。そのため未着や言った言わないの問題が多く、とても非効率な運用を行っていました。しかし、システム導入後はこうしたトラブルが一切なくなり、ペーパーレス化、入力業務の省力化を実現できました」
また、システム導入前はExcelで管理している事業所も多かったため、コストがどんぶり勘定だったという。
「システム導入後は、まず量産品を中心に原価把握が出来るようになりました。その他にも資材在庫、仕掛在庫、中間部品などの管理ができるようになり、適正な在庫で運用することが可能になりました。しかしまだまだ改善の余地があるので、これからは個別原価の精度をさらに高めていきたいと考えています」
ただ、システム導入は一筋縄では行かない部分もあり、それなりに苦労もあったという。統合することによって起こる色々な問題は、やってみなければわからないものばかりだった。
「R-PiCS導入前は拠点ごとに複数のシステムが稼働していたのですが、それらを一つに統合するのは非常に大変でした。とくにスケーリングの部分では見積もりが難しく、例えば一斉に負荷がかかるピーク時にどの程度のパフォーマンスが必要なのか、こうした部分をJBATのSEの方に相談に乗ってもらいながら、1つずつ解決していきました」
【クラウド化によりさらなる飛躍を】
R-PiCSも導入後数年が経ち、ハードウェアの入れ替えが必要になってきたため、思い切ってシステム一式をクラウド環境へと載せ替えを実施することとなった。
当初は不安もあったが、導入後はネットワークを中心に大幅にパフォーマンスがアップすることとなった。それは当初想定していなかった改善効果もあったという。
「例えばオンプレミス環境でインフラをすべて整備するとなると、回線品質やハードウェアの冗長化、無停止などを考えるとかなり高額な費用がかかってしまいます。しかしクラウドであれば用意されたサービスを選ぶだけで済むので、実際のコストは非常に小さくて済みました」
また、クラウド化によって問題の切り分けが容易になったため、当初は原因不明だった事象がはっきりしたこともあったという。
「時折発生するパフォーマンスの低下について、クラウド化する前はR-PiCS側の問題と思っていたのですが、実は社内ネットワークのトラフィックが原因だったというケースも有りました。例えばウイルスパターンファイルの更新が負荷をかけていたのが原因だったのですが、当時のオンプレミス環境では切り分けることが困難だったため、原因究明が難しかったのです。現在はそこを完全に切り分けて運用しているため、お互いのシステムが干渉せずに安定稼働出来るようになりました」
また、クラウド化によってバックアップも容易に取れるようになったのも大きかった。
「これまでバックアップのダンプ作成が夜間に終了しきれず、営業時間開始までかかってしまうケースもありました。クラウドに移行したあとはスナップショットを取るだけで済みます。復旧も1時間程度で元通りに戻せるので、運用も非常にスムーズに行えています」
こうした改善もあり、結果として社内から情報システムへの問い合わせが激減することになったという。
「基幹システムを外部環境へ持っていくということもあり、移行前は不安もあったのですが、結果としては大正解でした。当社のような規模の企業にとってクラウド化は非常にオススメです。R-PiCSがWebアプリケーションだったので、すんなり移行できたのも大きかったですね」