ASMとは?費用相場を理解する前に知っておきたい基礎知識
ASM(アタックサーフェスマネジメント)とは、インターネットに公開しているIT資産を継続的に発見し、脆弱性やリスクを可視化する仕組みです。費用相場を確認する前に、まず基本的な役割と必要とされる背景を整理しておきましょう。
ASMが必要とされる背景
クラウドサービスやリモートワークの普及により、企業が把握しきれていない公開システムやサーバーが増えています。こうした管理外の資産は攻撃者に狙われやすく、情報漏えいなどのセキュリティ事故につながる入り口となるため、継続的な監視の仕組みが求められています。
実際に、担当者が把握していない古いテスト環境や退職者が残した外部サービスのアカウントが原因で不正アクセスを受ける事例も報告されています。ASMはこうした見落としを自動的に洗い出し、セキュリティ担当者が対応すべき優先順位を示してくれる点が評価されています。特に部門ごとにクラウドサービスを個別契約している企業では、情報システム部門が全体像を把握できていないケースが少なくありません。そのため、ASMによる棚卸しの必要性が高まっています。
ASMで確認できる主な機能
ASMの基本機能は、外部から到達可能な資産の自動探索、脆弱性の検出、リスクの一覧化です。多くの製品は検出結果をダッシュボードで確認でき、対応の優先度をスコアで示す仕組みを備えています。
製品によっては検知後の改善提案やアラート通知、他のセキュリティツールとの連携機能も用意されています。機能の範囲は料金プランに直結するため、自社が必要とする機能を洗い出したうえで費用相場を確認することが、導入後のミスマッチを防ぐポイントです。脆弱性診断ツールと混同されがちですが、ASMは資産の発見から継続的な監視までを一貫して行う点が異なり、両者を組み合わせて運用する企業もあります。
ASMの導入費用と月額料金の相場
ASMの費用は提供形態やプランによって差があります。ここでは初期費用と月額費用の目安、そして従業員50名規模の会社が導入した場合の年間費用について、具体的な数値の目安を紹介します。
初期費用の相場
クラウド型のASMは初期費用が不要、または数万円程度に抑えられている製品が多くあります。オンプレミス型や大規模なネットワーク環境向けの製品では、導入時の設定作業や資産の洗い出し作業に応じて数十万円規模の初期費用が発生する場合もあります。
初期費用の有無は契約前に必ず確認すべき項目です。同じ機能を持つ製品でも、初期費用を抑える代わりに月額料金がやや高めに設定されているケースもあります。年間の総費用で比較する基準を持つと、実際のコストを正しく把握しやすくなります。見積もりを依頼する際は、初期費用に含まれる作業範囲(資産の初期スキャンや設定サポートなど)まで確認しておくと、契約後の認識のずれを防げます。
クラウド型ASMの月額費用の目安
クラウド型ASMの月額費用は、監視対象の資産数や機能範囲によって数万円台から数十万円台まで幅があります。小規模な組織向けの簡易プランであれば比較的安価に利用でき、大企業向けの高度な分析機能を含むプランは高額になる傾向があります。
料金体系は資産数に応じた従量課金制と、機能単位で分かれる定額制の大きく2種類があります。従量課金制は資産が少ない企業ほど費用を抑えやすく、定額制は資産数の変動が大きい企業でも予算を管理しやすいという特徴があります。年間契約にすることで月額換算の料金が下がる製品もあるため、単月契約と年間契約の両方の見積もりを取って比較するとよいでしょう。
従業員50名規模の会社の年間費用目安
従業員50名規模の中小企業がクラウド型ASMを導入する場合、年間の費用は数十万円程度が一つの目安です。監視対象となる公開資産の数が比較的少なければ、小規模企業向けプランを選ぶことで年間費用をさらに抑えられる可能性があります。
ただし、Webサイトや複数の外部サービスを利用している場合は監視対象が増え、その分費用も上がります。導入前には自社が保有する公開資産の数をおおまかに洗い出し、各社の見積もりを取得して比較検討することが、予算超過を防ぐうえで重要です。情報システム担当者が1名しかいない企業でも、サポートが手厚いプランを選ぶことで運用に必要な工数を抑えられる場合があります。
ASMの費用相場を左右するチェックポイント
ASMの費用は同じクラウド型でも製品によって差があります。ここでは、見積もりを比較する際に確認しておきたい代表的なチェックポイントを紹介します。
監視対象資産の範囲
費用は監視対象となるドメイン数やIPアドレス数に比例して変動する製品が多くあります。見積もりを取得する際は、自社が保有する公開資産のおおよその数を把握したうえで、複数社に問い合わせることが料金差を正しく比較するポイントです。
また、ドメイン数だけでなく監視頻度やレポート出力の頻度によっても料金が変わる場合があります。契約前に何が基本料金に含まれ、何がオプション扱いになるのかを確認しておくと、導入後に想定外の追加費用が発生する事態を避けやすくなります。ユーザーアカウントの追加人数や、手動での再診断を依頼した場合の追加料金の有無も、あわせて確認しておきたい点です。
検知後の対応支援の有無
ASM製品には、リスクを検知するだけのものと、検知後の対応方法まで提案してくれるものがあります。対応支援の手厚さは料金に直結するため、自社にセキュリティ専門の担当者がいるかどうかで選ぶべきプランが変わります。
専任の担当者が少ない企業では、優先度の判断や改善提案までカバーする製品を選ぶことで、結果的に運用コストを抑えられる場合があります。反対に社内に知見がある企業は、検知機能に絞った価格を抑えたプランでも十分に運用できることがあります。
無料トライアルの活用
多くのASM製品では、契約前に無料トライアルやデモンストレーションを利用できます。実際の管理画面や検出結果のレポートを確認できるため、費用に見合った機能が備わっているかを事前に判断する材料です。
無料トライアルの期間や対象範囲は製品によって異なり、一部の資産のみを対象とする場合もあります。トライアル終了後の料金プランや契約条件もあわせて確認し、比較検討したうえで自社に合う製品を選ぶことが失敗を防ぐことにつながります。
コストパフォーマンスの良いASMを選ぶ基準
費用だけで製品を選ぶと、必要な機能が不足して結局追加費用がかかることもあります。ここでは、価格と機能のバランスを見極めるための基準を紹介します。
自社の資産規模との適合
コストパフォーマンスの良さは、料金の安さだけでなく自社の資産規模に見合った機能かどうかで決まります。資産数が少ない企業が高機能で高額なプランを選ぶと、使わない機能に費用を払い続けることになりかねません。
逆に、資産数が多い企業が価格を抑えた小規模向けプランを選ぶと、監視が行き届かず本来の目的であるリスク管理が不十分になるおそれがあります。導入前に自社の公開資産数を棚卸しし、規模に合ったプランを選ぶことが重要です。複数の製品から見積もりを取り、監視対象の範囲や更新頻度を横並びで比較すると、規模に合ったプランを見極めやすくなります。
サポート体制と運用負荷
ASMは導入して終わりではなく、検知されたリスクに対応し続ける運用が必要です。サポート体制が手厚い製品は料金がやや高くなる傾向がありますが、社内の運用負荷を減らせるという観点で見ればコストに見合う場合があります。
問い合わせ対応の窓口や日本語サポートの有無、レポートの分かりやすさなども比較する材料です。契約前にサポート範囲を確認し、自社の運用体制で無理なく使い続けられるかを見極めることが、長期的なコスト管理につながります。
費用対効果で比較したいASM製品
ここまで紹介した費用相場やチェックポイントを踏まえ、監視範囲や対応支援の手厚さで選択肢に幅がある製品を紹介します。見積もり比較の参考にしてください。
ANTERAS ASM
- 独自に開発したAI駆動型ツールで網羅的・高精度に資産を発見
- サイバー攻撃の動向や手法を熟知した専門家が調査を実施
- 攻撃者目線で正確な調査を行い、資産を見つけだして脅威を判定
株式会社マクニカが提供する「ANTERAS ASM」は、未把握の公開資産を発見し攻撃者視点でリスクを評価するアタックサーフェスマネジメントです。独自開発のAI駆動型ツールとセキュリティ研究センターの専門家による分析を組み合わせている点が特徴です。具体的には、差分検知やAIによるリスク判定支援、アラート管理、レポート作成・出力といった機能を備えています。チケット管理ツールとの連携のほか、検知後のコンサルティングや是正代行にも対応しており、社内に専任のセキュリティ担当者が少ない企業でも運用しやすくなっています。料金は資産規模や支援範囲に応じて個別見積もりとなるため、自社の監視対象数を伝えたうえで比較検討するとよいでしょう。
Qualys ASM (クォリスジャパン株式会社)
- 内部・外部を含む攻撃対象領域資産を統合的に発見管理
- 外部向けインターネット資産を継続可視化しリスク優先付け
- TruRiskで脆弱性とリスクを統合し体制強化を実現
Mandiant ASM (グーグル・クラウド・ジャパン合同会社)
- 動的IT環境全体の外部アセットを継続監視しリスク検出を可能化
- 攻撃対象領域を可視化し、脆弱性や設定ミスの把握を支援
- 複数環境のアセットを統合分析し、対策の優先度付けを支援
Tenable Attack Surface Management (Tenable Network Security Japan株式会社)
- インターネット全体をマッピングし外部資産の可視性を拡大。
- 既知・未知の攻撃対象領域リスクを継続的に発見・評価。
- 豊富なメタデータと分析で資産のビジネス文脈理解を支援
Cortex Xpanse (パロアルトネットワークス株式会社)
- 未知のネット資産と公開サービスを能動検出しリスク管理を実現へ
- 攻撃対象領域のリスクを可視化し迅速対応を強力に支援し促進する
- 継続監視と棚卸更新で供給網全体の資産を常に把握し維持管理強化
まとめ
ASMの費用は初期費用が数万円から数十万円、月額費用は監視対象の資産数や機能範囲に応じて数万円から数十万円が目安です。従業員50名規模であれば年間数十万円程度から検討できる製品もあります。無料トライアルを活用しながら、自社の資産規模やサポート体制に合った製品を比較し、コストパフォーマンスの良いASMを選定してください。

