無料で使えるASMとは
無料で使えるASMには、一定期間のみ商用サービスを試せる無料トライアルと、利用料のかからないオープンソースソフトウェアがあります。まずは両者の違いを理解し、自社が確認したい機能や運用体制にあう方法を選ぶことが重要です。
ASMの基本的な役割
ASMとは、Attack Surface Managementの略称で、日本語では攻撃対象領域管理と呼ばれます。インターネット上に公開されたサーバやドメイン、IPアドレス、クラウドサービスなどを継続的に発見し、サイバー攻撃につながるリスクを管理する仕組みです。
自社で把握している資産だけでなく、管理から漏れたサブドメインや過去に利用していたサーバを発見できる可能性があります。攻撃者と同じ外部視点から調査する点が、一般的な社内資産管理との大きな違いです。
無料トライアルを利用する方法
商用ASMサービスのなかには、一定期間の無料トライアルを提供しているものがあります。無料期間中に、資産の自動検出やリスク評価、ダッシュボード、通知機能などを確認できます。
ただし、登録時に法人情報や支払い情報が必要な場合もあります。試用終了後の課金条件やデータの取り扱いを確認したうえで、検証対象と評価項目を決めておきましょう。
OSSを利用する方法
OSSとは、ソースコードが公開され、定められたライセンスの範囲で利用や改変ができるオープンソースソフトウェアです。OWASP AmassやSubfinderなどを組み合わせると、外部公開資産の探索を無料で試せます。
一方で、環境構築やコマンド操作、結果の分析は自社で行う必要があります。商用ASMサービスと同等の管理画面や継続監視機能が、そのまま提供されるわけではありません。
| 無料利用の方法 | 主な特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 無料トライアル | 商用ASMサービスの機能を一定期間試せる | 導入前の操作性や検出精度の確認 |
| OSS | 利用料を抑えられるが構築や運用を自社で行う | 技術検証や小規模な資産探索 |
| 手動調査 | 公開情報や管理台帳をもとに資産を確認する | 対象が限定された初期調査 |
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無料のASMでできること
無料のASMでも、外部公開資産の洗い出しや設定状況の確認など、導入判断に必要な検証は行えます。ただし、利用するサービスやツールによって対象資産や検査方法が異なるため、無料という理由だけで選ばず、確認したい範囲を整理しましょう。
外部公開資産を洗い出す
無料のASMツールを使うと、自社のドメインに関連するサブドメインやIPアドレス、Webサイトなどを探索できます。管理台帳に記載されていない資産を発見するきっかけになるでしょう。
例えば、過去のキャンペーンサイトや検証環境、グループ会社が個別に契約したクラウドサービスが見つかる場合があります。まず資産の所在を可視化することで、調査や管理の優先順位を決めやすくなります。
公開状態や設定を確認する
ツールによっては、開放されている通信ポートやSSL証明書、利用中の技術情報を確認できます。意図しないサービスがインターネットへ公開されていないかを調べる際に役立ちます。
ただし、検出された情報が直ちに脆弱性を示すとは限りません。業務上必要な公開設定か、修正が必要な状態かを担当者が確認し、誤検知を除外する作業も必要です。
脆弱性の兆候を調査する
脆弱性スキャン機能をもつツールを組み合わせると、既知の脆弱性や設定不備の兆候を調査できます。無料トライアルでは、検出された問題の重要度や対象資産をダッシュボードで確認できる場合もあります。
なお、許可を得ていないシステムへのスキャンは避けなければなりません。自社が管理する資産かを確認し、対象範囲や実施時間、通信負荷を定めてから検査しましょう。
有料版の必要性を検証する
無料トライアルは、実際の資産検出数やアラート件数を把握する目的にも活用できます。想定以上に公開資産が多い場合は、表計算ソフトや手作業だけで管理することが難しいと判断できます。
検出数だけでなく、調査から担当者への割り当て、修正確認までにかかる時間を測ることが重要です。業務負荷まで確認すると、有料版導入の必要性を判断しやすくなります。
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無料のASMにある制限
無料のASMは初期調査や機能検証に役立つ一方、継続的なセキュリティ運用には制限があります。対象資産数や利用期間だけでなく、通知、履歴管理、サポートなども比較し、無料の範囲で対応できない業務を明確にしましょう。
利用期間や資産数が限られる
無料トライアルには、利用できる日数や登録可能な資産数が設定されている場合があります。試用期間が短いと、資産の変化や新たな公開設定を継続して監視する効果までは確認しにくいでしょう。
検証前に対象部門やドメインを絞り、実施日程を決める必要があります。無料期間の終了日や自動課金の有無も、申込み前に確認してください。
継続監視や通知が不足する
OSSを利用して一度だけ資産を探索しても、その後に追加されたサーバやサブドメインを自動で把握できるとは限りません。定期実行の設定や差分確認、通知処理を自社で構築する必要があります。
新規資産や重大なリスクを早期に発見したい場合は、継続監視と通知に対応するサービスが適しています。担当者が毎回手動で結果を確認する運用では、対応の遅れが生じる恐れがあります。
リスク評価に知識が必要になる
無料ツールで得られる情報は、ドメインやIPアドレス、通信ポートなどの技術情報が中心です。どの問題から対応すべきか判断するには、ネットワークや脆弱性に関する知識が求められます。
優先順位を誤ると、影響の小さい項目に時間をかけ、重大なリスクを見落とす可能性があります。社内に専門担当者がいない場合は、分析支援や運用サポートを含むサービスも検討しましょう。
組織内の対応管理が難しい
ASMでは、リスクを見つけるだけでなく、資産の管理部門を特定し、修正を依頼する必要があります。無料ツールだけでは、担当者の割り当てや対応状況、期限の管理まで行えない場合があります。
複数部門やグループ会社を対象とする企業では、対応履歴を一元管理できる機能が重要です。既存のチケット管理システムやセキュリティ運用基盤と連携できるかも確認してください。
- ■資産数の上限
- 登録または検出できるドメインやIPアドレスの数が制限される場合があります。
- ■利用期間の制限
- 無料トライアルの終了後は、継続利用に契約や課金が必要です。
- ■サポートの制限
- 初期設定や検出結果の分析を自社で行う必要がある場合があります。
- ■管理機能の制限
- 担当者の割り当てや対応履歴、外部システム連携を利用できないことがあります。
無料のASMが向いている企業
無料のASMは、対象範囲が小さい企業や導入前の検証を行いたい企業に向いています。一方、公開資産が頻繁に変化する企業や、複数部門を横断して対応する企業では、無料運用の負担が大きくなるため注意が必要です。
ASMを初めて試す企業
自社の外部公開資産を把握できているか確認したい企業は、無料トライアルから始めるとよいでしょう。実際の検出結果を見ることで、ASMが必要な理由を社内へ説明しやすくなります。
検証時には、既存の資産台帳とASMの検出結果を比較してください。未登録資産の数や種類を整理すると、現在の管理方法における課題を明確にできます。
対象資産が少ない企業
管理するドメインやWebサイトが少なく、構成変更も頻繁でない企業では、OSSや手動調査で対応できる場合があります。小規模な範囲から始め、必要な作業量を確認するとよいでしょう。
ただし、従業員数が少なくても、クラウドサービスや外部委託先が多ければ攻撃対象領域は広がります。企業規模だけで判断せず、実際の公開資産数をもとに検討してください。
技術担当者がいる企業
ネットワークやセキュリティに詳しい担当者がいる企業は、OSSを組み合わせた検証を進めやすいでしょう。定期実行や結果の保存、通知などを自社で構築できれば、費用を抑えながら調査範囲を広げられます。
一方、担当者の異動や退職によって運用が止まる可能性もあります。設定方法や判断基準を文書化し、特定の担当者だけに依存しない体制を整えましょう。
導入効果を確認したい企業
有料ASMサービスの導入を社内で提案する前に、効果を確認したい企業にも無料トライアルが適しています。検出された未管理資産やリスク件数を整理すると、予算申請の根拠として活用できます。
検出件数だけでなく、従来の調査時間との差や対応期間の変化も記録しましょう。定量的な評価項目を設定することで、複数サービスを公平に比較できます。
有料ASMへ切り替える判断基準
無料から有料へ切り替える際は、資産数だけでなく、監視頻度や対応体制も確認します。無料運用にかかる作業時間と有料サービスの費用を比較し、継続的にリスクを管理できる方法を選ぶことが大切です。
公開資産を継続監視したい
新しいクラウド環境やWebサイトを頻繁に追加する企業では、定期的な自動探索が必要です。無料ツールを手動で実行するだけでは、資産の追加や設定変更を見落とす可能性があります。
公開資産の変化を早期に把握したい場合は、継続監視と差分通知を備えた有料ASMが有力な選択肢です。監視頻度や通知方法を確認し、自社の対応時間にあうサービスを選びましょう。
リスクの優先順位を付けたい
検出される問題が多い場合、すべてを同時に修正することは困難です。有料ASMには、脆弱性の深刻度や資産の重要性、外部公開状況をもとにリスクを整理する機能があります。
優先順位が明確になれば、限られた人員を重要な問題へ配分しやすくなります。評価基準の根拠や、自社独自の重要度を設定できるかも比較しましょう。
複数部門で対応を管理したい
公開資産の管理者が情報システム部門だけとは限りません。事業部門や開発部門、グループ会社、外部委託先が管理している場合もあります。
担当者への通知や対応期限、修正状況を一元管理したい場合は、ワークフロー機能が役立ちます。チケット管理システムやチャットツールとの連携にも対応していれば、既存の業務へ組み込みやすくなります。
専門家の支援を受けたい
検出結果の判断や修正方法に不安がある場合は、運用支援を提供するASMサービスが適しています。初期設定や対象範囲の整理、重大リスクの分析まで相談できるサービスもあります。
比較時には、ツールの機能だけでなく、問い合わせ方法や対応時間、定例報告の有無を確認してください。自社で担当する範囲と提供会社へ依頼する範囲を明確にすることが重要です。
| 判断項目 | 無料運用を続けやすい状態 | 有料版を検討したい状態 |
|---|---|---|
| 公開資産数 | 対象が少なく変更も限定的 | 対象が多く頻繁に増減する |
| 監視頻度 | 定期的な手動確認で対応できる | 継続監視や即時通知が必要 |
| 担当体制 | 分析できる技術担当者がいる | 専門家による分析支援が必要 |
| 対応管理 | 少人数で対応状況を共有できる | 複数部門への割り当てが必要 |
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ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で「ASM」の一括資料請求が可能です。ぜひ、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。
無料で試せるASMツール
無料でASMを試す場合は、商用サービスの無料トライアルとOSSを比較しましょう。ここでは、公式情報で無料試用を確認できるサービスと、外部公開資産の探索に利用できる代表的なOSSを紹介します。利用条件は申込み前に最新情報をご確認ください。
Qualys ASM (クォリスジャパン株式会社)
- 内部・外部を含む攻撃対象領域資産を統合的に発見管理
- 外部向けインターネット資産を継続可視化しリスク優先付け
- TruRiskで脆弱性とリスクを統合し体制強化を実現
Microsoft Defender EASM
「Microsoft Defender External Attack Surface Management」は、デジタル攻撃対象領域を継続的に検出し、外部から見えるオンライン資産を可視化するサービスです。Microsoftの公式情報では、最初のリソース作成時に30日間の無料試用版が提供されます。
試用終了後は、承認済みの課金対象資産数にもとづいて料金が発生します。無料期間中に資産数と想定費用を確認し、継続利用の判断材料にするとよいでしょう。
OWASP Amass
「OWASP Amass」は、オープンソースインテリジェンスを利用して、ネットワークのマッピングや外部資産の探索を行うためのOSSです。ドメインに関連するサブドメインやネットワーク情報を調査する用途で活用できます。
利用料はかかりませんが、導入や実行、結果分析には技術知識が必要です。商用ASMの代替としてそのまま利用するよりも、資産探索の仕組みを理解する検証用ツールとして活用しやすいでしょう。
SubfinderとNuclei
ProjectDiscoveryが公開する「Subfinder」は、受動的な情報源から有効なサブドメインを探索するOSSです。「Nuclei」は、テンプレートを利用してWebアプリケーションやネットワークの脆弱性を調査できます。
複数のOSSを組み合わせれば、資産探索から脆弱性の兆候確認まで試せます。ただし、対象資産の許可確認やテンプレート管理、誤検知の精査、継続実行の仕組みは自社で準備する必要があります。
無料のASMに関するFAQ
無料のASMを検討する際は、費用以外にも、調査範囲や安全な利用方法を確認する必要があります。ここでは、無料トライアルやOSSの利用を検討している担当者が抱きやすい疑問について、簡潔に回答します。
- Q1:ASMを完全無料で継続利用できますか?
- OSSを利用すれば、ソフトウェアの利用料をかけずに資産探索を行えます。ただし、サーバ費用や環境構築、保守、分析にかかる人件費は必要です。商用ASMサービスは無料トライアル終了後に料金が発生するケースが一般的です。
- Q2:無料ツールだけで十分な対策ができますか?
- 対象資産が少なく、分析できる担当者がいる場合は、初期調査に活用できます。一方、継続監視や優先順位付け、複数部門の対応管理が必要な場合は、有料サービスのほうが運用しやすいでしょう。
- Q3:無料トライアルでは何を確認すべきですか?
- 既存の台帳にない資産を検出できるか、誤検知を判別しやすいか、重大な問題を把握しやすいかを確認します。通知方法やレポート、担当者への割り当て、外部システムとの連携も重要な比較項目です。
- Q4:OSSで他社のドメインを調査してもよいですか?
- 許可を得ていない第三者のシステムへ能動的なスキャンを行うことは避けてください。自社が管理する資産かを確認し、社内の承認や調査ルールに従って実施する必要があります。
- Q5:無料トライアル後に自動課金されますか?
- サービスごとに条件が異なります。無料期間終了後に自動で有料利用へ移行する場合もあるため、申込み時に契約条件や解約方法、支払い情報の登録要否を確認してください。
まとめ
無料のASMには、商用サービスの無料トライアルとOSSを利用する方法があります。初期調査や操作性の確認には役立ちますが、継続監視やリスク評価、対応管理には機能や運用面の制限があります。まず無料で資産の状況を確認し、必要な監視頻度や支援範囲を整理しましょう。自社にあうASMを効率よく比較したい方は、各社の資料を一括で資料請求し、機能やサポート内容を確認してください。


