生体認証システムとは
生体認証は、指紋や顔といった身体の一部をデータとして利用します。バイオメトリック認証・バイオメトリクス認証とも言われます。
生体認証システムを導入すると、生体情報を取り込んで保存することが可能です。そのデータと、認証のために入力された情報を照らし合わせ、無事に一致すれば認証が完了します。端末へのログインやドアの解錠といった場面で活用されています。
生体認証システムの選び方
生体認証システムの選び方を紹介します。
高い費用対効果が期待できるか
生体認証システムの費用対効果を確認しておきましょう。特に、各製品で使われている認証方法における盗難リスク・精度の高低と価格を照らし合わせることが重要です。
認証方法やメーカーによって異なるものの、基本的に生体認証システムは高額です。したがって、期待した効果が得られると判断できてから導入に踏み切った方が良いでしょう。比較的安価なのは指紋の生体認証システムです。一方、虹彩のデータを登録する生体認証システムは高額です。
また、実際に生体認証システムを使用する現場社員の意見を反映させることも心がけてください。
利用したい生体認証が用意されているか
利用したい生体認証が用意されているかどうかを確認しましょう。以下で具体的な種類を紹介します。
顔の輪郭やパーツを使う認証
顔の輪郭やパーツを使う認証方法は次のとおりです。
- ・顔認証
- カメラに顔を向けて認証を行います。目や鼻などのパーツ・輪郭といった顔全体から技術によってデータを取り出し識別します。接触が必要ないため、衛生面も安心です。ただし、マスクやメガネといった備品をつけていると正しく認証できない可能性があります。
- ・虹彩認証
- 虹彩とは、瞳の周りにある細かいしわのことです。この虹彩を読み取って認証を行います。認証精度が高いうえに、片目だけの利用も可能です。しかし、照明の状態が認証に影響を与える可能性があります。
・耳介認証
耳の形で識別して認証を行います。実は、長さ・幅・軟骨など人によって耳の形は大きく異なるのです。識別がしやすいため、犯人特定時に使われています。耳をカメラに写すため、女性は髪をかける手間がかかります。
指紋・掌紋を使う認証
指紋・掌紋を使う認証方法の詳細は次のとおりです。
- ・指紋認証
- カメラの設置が必要なく、装置に指をかざすだけで気軽に認証できる方法です。スマートフォンのログイン時などに利用されています。しかし、お風呂上がりなど指にシワがある状態だと認証がとおりにくいです。また、接触するため衛生面には不安があります。
- ・掌紋認証
- 指先の紋様である指紋に対して、掌紋は手のひら全体の皮膚紋様を指します。手のひら全体を装置にかざして認証を行います。指紋認証より範囲が広いため複製されにくく、高度な認証が可能です。指紋と同じく皮膚に水分を含んでいる場合は認証できない可能性があります。
身体の一部や内部の情報を利用する認証
身体の一部や内部の情報を利用する認証方法は次のとおりです。
- ・静脈認証
- 血管の形・分岐を識別して認証を行います。身体の内部にあるうえ一生形が変わらないため、高いセキュリティを誇ります。ただし、精密技術が搭載された装置が必要で、かかる費用は高額です。
- ・DNA認証
- DNAとは、遺伝子を指します。髪・皮膚・爪を採取して遺伝子を識別し認証を行います。身体の内部情報であるため、高度な認証が可能です。しかし、身体の一部を提供することに抵抗を感じる人は多いでしょう。また、結果が出るまでに時間を要するため、あまり使われていません。
個人の音声や行動を利用した認証
個人の音声や行動を利用した認証方法の詳細は次のとおりです。
- ・音声認証
- 人が口から発する声の周波数で認証を行います。認証用のマイクに向かって話すだけで認証が可能です。非接触で離れた場所から認証できるため、衛生面も優れています。しかし、声が枯れていたり周囲の雑音が入ったりしたときに認証できない可能性があります。
- ・行動認証
- 人の習慣的な行動から認証を行います。習慣的な行動とは人が無意識に行う動きです。例えば、筆跡・歩き方などが挙げられます。人によって行動は異なるものの、現在の技術で完璧に認証できるとは限りません。したがって、行動認証システムを実用する企業は少数です。
他のセキュリティ機能が用意されているか
下記のセキュリティ機能があれば、安全な環境で生体認証システムを利用できます。
- ・IPアドレス制限
- ネットにつながっている状態であれば、第三者が社内にアクセスしてくる可能性はあります。そこで有効なのがIPアドレス制限機能です。社内の無線環境といった特定のネットワークのみ許可し、外部からのアクセスをブロックすることで、安全な環境を維持します。
- ・ログ管理
- 不正アクセスにより情報を持ち出されるリスクがあります。このようなセキュリティ事故が発生したときは、誰がいつどこからアクセスしたのかを把握しないといけません。ログ管理機能があれば、アクセス記録を遡って確認できます。また、社内にログ管理機能の存在を周知しておくと、内部犯行の抑止につながります。
おすすめ製品の比較表
この記事で紹介している一部製品の比較表を紹介します。各製品の詳細情報については、後ほど紹介していますので、気になる製品をチェックしてみてください。また、ITトレンドは無料で資料資料請求する事が可能であり、資料請求した製品の比較表をダウンロードする事が可能です。社内検討する際に活用してみてください。
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
ITトレンド編集部厳選!生体認証システムを比較!
ITトレンド編集部が厳選した生体認証システムを紹介します。
《DigitalPersona SDK》のPOINT
- 高い照合精度を実現した指紋認証リーダー
- 多彩なシーンでセキュアに便利に
株式会社ヒューマンテクノロジーズが提供する生体認証システムです。特殊なコーティングにより、高精度な指紋認証を実現します。したがって、指の荒れや乾燥といった反応しづらいときでも認証が可能です。
Windowsのログイン・紙カルテから電子データへの置き換えと保存・勤怠管理の打刻といった場面で利用されています。
《HPE IceWall MFA》のPOINT
- 社内システム・クラウドなど環境を問わず安全・シームレスに認証
- 既存システムへの改修や影響なし、クラウド含め広範囲に認証適用
- きめ細かいアクセス管理などゼロトラスト・レディな認証環境実現
日本ヒューレット・パッカード合同会社が提供する生体認証システムです。指紋や静脈での認証に対応しています。利用用途やアクセス先に応じて認証方法を自由に変更することが可能です。2019年度Webシングルサインオンパッケージ国内シェアNo.1かつ、5,000ユーザーに販売した実績があります。国内がメイン拠点なため、充実したサポートが受けられます。
《ID Federation》のPOINT
- Ping Identity社の国内No.1パートナー
- 柔軟性の高いIDaaSでゼロトラストに対応
- 生体認証など多要素認証によるセキュリティ強化
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社が提供する生体認証システムです。メールやクライアント証明書・スワイプを利用した認証方法も用意しています。また、利用履歴は5年間保存されるうえ、CSVファイルで出力することが可能です。2,000以上のSaaS製品と連携した実績があり、幅広い製品と組み合わせられます。
《DigitalPersona AD》のPOINT
- Windows認証の強化とSSO による利便性アップを両立
- Active Directory完全統合型で認証ポリシーを徹底
- ニーズに合わせて選択可能な多彩な認証デバイス
株式会社ヒューマンテクノロジーズが提供する生体認証システムです。指紋・顔といった生体情報以外に、ICカード・ワンタイムパスワード・Blueetoothを使って認証できます。状況に応じて多様な認証方法を組み合わせたり切り替えたりすることが可能です。世界で2,500万人以上のユーザーが利用しています。
まだまだある!生体認証システムを比較!
続いて、他におすすめの生体認証システムを紹介します。
Bio-IDiom(バイオイディオム)
日本電気株式会社が提供する生体認証システムです。指紋・掌紋・顔・虹彩・声・耳音響といった生体情報での認証に対応しています。受付や入退管理・本人確認などの場面で活用されています。顔認証と虹彩認証は精度評価で1位、指紋と掌紋認証は指紋認証技術ベンチマークテストで1位を獲得しました。
生体認証システム
NDSインフォス株式会社が提供する生体認証システムです。指紋・顔・静脈といった3つの生体情報を利用する認証方法に対応しています。複数の認証を組み合わせる複合認証も可能です。また、状況に応じて認証方法を拡張できます。
SmartSESAME PCログオン
株式会社シーイーシーが提供する生体認証システムです。指紋・声紋・網膜・静脈といった生体認証のほか、電子証明書やICカードを使った認証も可能です。PCを起動してID・パスワードを入力した後に多要素認証を行います。新規サーバの追加が不要なため、導入に手間がかかりません。
BioPass FIDO2
飛天ジャパン株式会社が提供する生体認証システムです。PCに差し込むUSBメモリ型のデバイスへ、指をかざして指紋認証を行います。ID・パスワードは必要なく、指紋認証のみでログインすることが可能です。Windowsのログオンなどに対応しています。
CloudGate UNO
株式会社インターナショナルシステムリサーチが提供する生体認証システムです。指紋を利用する方法のほか、ワンタイムパスワードでの認証も可能です。ユーザーの利用状況や端末証明書を一括管理して、管理者の負担を軽減します。さまざまなクラウド製品と連携してシングルサインオンを行えます。
VisionPass
株式会社昭電が提供する生体認証システムです。3Dセンサーのほか、赤外線や可視光のカメラが搭載されているため、なりすましを防止できます。また、1秒以下での高速認証も可能です。機器に触れないため、衛生面が優れています。
生体認証システムを比較して、自社に合う製品を導入しよう!
生体認証システムの選び方は次のとおりです。
- ・高い費用対効果があるか
- ・利用したい生体認証が備わっているか
- ・生体認証以外のセキュリティ機能が備わっているか
製品によって、利用できる生体認証の種類が異なります。さまざまな生体認証システムを比較して、自社に最適な製品を導入しましょう。