なりすまし対策に生体認証が注目される理由
なりすましによる不正アクセスやアカウント乗っ取りを防ぐには、本人であることを確実に確認できる認証方法が重要です。ここでは、なりすましの概要と、従来のID・パスワード認証が抱える課題、生体認証が有効とされる理由を解説します。
なりすましとは
なりすましとは、他人のIDや個人情報などを悪用し、本人のふりをしてサービスやシステムを不正利用する行為です。盗んだID・パスワードによる不正ログインやSNSアカウントの乗っ取り、他人名義での手続きなどが代表例です。
企業では、従業員になりすまして社内システムへ侵入されることで、機密情報や顧客情報の漏えい、不正送金などにつながる恐れがあります。そのため、本人確認を強化し、第三者による不正利用を防ぐことが重要です。
ID・パスワードだけではなりすましを防ぎにくい
IDやパスワードは、本人だけが知っている情報をもとに認証する仕組みです。しかし、フィッシングや情報漏えい、パスワードの使い回しなどによって認証情報が第三者に知られると、攻撃者でも本人と同じようにログインできてしまいます。
正しいID・パスワードが入力されるだけでは、それを操作している人物が本人かどうかまでは判断できません。こうした弱点を補うため、複数の認証要素を組み合わせるなど、本人確認を強化する必要があります。
本人固有の特徴を利用する生体認証が有効
生体認証は、顔や指紋、静脈、虹彩など、本人固有の身体的特徴を利用して本人確認を行う方式です。パスワードのように覚える必要がなく、第三者への貸し借りや共有もしにくいため、なりすまし対策として活用されています。
ただし、生体認証にも写真や偽造指紋、ディープフェイクなどを使った攻撃があります。そのため、導入時には生体認証そのものの精度だけでなく、偽装された生体情報を見抜く仕組みも重要です。
生体認証を狙う主ななりすまし手口
生体認証は本人固有の特徴を利用するため、ID・パスワードだけの認証よりもなりすましに強い一方、偽造した生体情報を使って突破を試みる攻撃もあります。代表的な手口を確認しておきましょう。
写真や録画映像を使った顔認証の突破
顔認証では、本人の顔写真や録画映像をカメラに提示し、本人がその場にいるように装う手口があります。SNSなどで公開されている写真を印刷したり、スマートフォンやタブレットに動画を表示したりして認証を試みる方法です。
特に、顔の特徴だけを画像から判定する簡易的な仕組みでは、写真や画面に映した顔を本人として認識する可能性があります。そのため、顔認証では本人との一致だけでなく、実際に生きた人間が目の前にいるかを確認する仕組みも重要です。
偽造した指紋や音声によるなりすまし
指紋認証では、取得した指紋情報をもとに偽造した指紋を作成し、認証を突破しようとする攻撃があります。音声認証でも、本人の録音音声を再生することで本人になりすます手口が考えられます。
このように、生体情報そのものが本人固有であっても、それを模倣した情報を認証システムへ提示されるリスクがあります。利用する生体情報の種類に応じて、偽造や再生による攻撃への対策が必要です。
ディープフェイクを悪用したなりすまし
AI技術の進歩により、実在する人物の顔や声を精巧に再現するディープフェイクも、なりすましの手段として利用される可能性があります。偽の顔映像をオンライン本人確認に提示したり、本人そっくりの映像や音声で別人を信用させたりする手口です。
従来の写真や録画映像よりも偽装の精度が高いため、見た目や声だけで真偽を判断することは難しくなっています。こうした攻撃に備えるには、生体情報の一致だけでなく、偽装された情報かどうかを検知する仕組みが重要です。
生体認証のなりすましを防ぐライブネス検知とは
写真や録画映像、偽造した生体情報などによるなりすましを防ぐために用いられるのが、ライブネス検知です。認証対象が本人と一致するかだけでなく、実際の生体から取得された情報かを確認することで、偽装による認証突破を防ぎやすくします。
ライブネス検知の仕組み
ライブネス検知とは、認証時に提示された顔や指紋などが、写真や映像、偽造物ではなく実際の生体から取得されたものかを判定する技術です。顔認証では立体感や動き、光の反射など、指紋認証では生体特有の情報などを利用して偽装を検知します。
「生体検知」と呼ばれることもあり、製品や技術によって名称や判定方法は異なります。なりすまし対策を重視する場合は、単に生体認証へ対応しているかだけでなく、どのような偽装を検知できるかまで確認することが重要です。
アクティブ型とパッシブ型の違い
ライブネス検知には、主にアクティブ型とパッシブ型があります。アクティブ型は、まばたきや顔の向きを変えるなど、利用者に指定された動作を求め、その反応から実在する人物かを確認する方式です。
一方、パッシブ型は利用者に特別な操作を求めず、カメラで取得した画像や映像を解析して真偽を判定します。認証時の負担を抑えやすい点が特徴です。製品によって検知方法や対応できる攻撃が異なるため、利用環境や求めるセキュリティレベルにあわせて選びましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で生体認証の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
なりすまし対策として生体認証を選ぶ際の確認ポイント
生体認証の製品は数多く、なりすまし対策としての実効性は仕様によって差があります。ここでは、偽装検知の機能面と認識精度という二つの観点から、導入前に確認しておきたいポイントを整理します。
偽装された生体情報を検知できるか
まず確認したいのが、写真や録画映像、偽造指紋などを使ったなりすましを検知できるかです。顔認証であればライブネス検知や偽造物検知など、製品によって搭載されている機能や対応できる攻撃手法が異なります。
カタログや製品資料では、単に「なりすまし対策対応」と記載されているかだけでなく、どのような偽装を検知できるのかまで確認しましょう。
認証精度は十分か
生体認証では、本人を誤って拒否する「本人拒否」と、他人を本人として受け入れる「他人受入」が発生する可能性があります。なりすまし対策を重視する場合は、特に他人受入のリスクをどの程度抑えられるかを確認することが重要です。
ただし、判定を厳しくしすぎると本人でも認証に失敗しやすくなるため、セキュリティ性と利便性のバランスも考慮しましょう。実際の利用環境に近い条件で認証精度を確認できると安心です。
多要素認証や代替認証に対応しているか
生体認証だけに依存せず、ICカードやPIN、スマートフォンなど別の認証要素と組み合わせられるかも確認しましょう。複数の認証要素を利用することで、一つの認証手段が突破された場合にも不正アクセスを防ぎやすくなります。
また、生体情報を読み取れない場合に備えて、ICカードや暗証番号などの代替認証を利用できるかも重要です。セキュリティを高めながら、認証エラーによって業務が止まらない仕組みを選びましょう。
生体認証を導入する際の注意点
生体認証を導入する際は、認証性能だけでなく、導入後の運用や既存システムとの連携まで確認することが重要です。自社で継続的に運用できる環境を整えたうえで製品を選びましょう。
運用・管理の負担を確認する
生体認証では、利用者の登録や削除、認証できない場合の対応、機器の管理など、導入後にも継続的な運用が発生します。従業員の入退社や異動が多い企業では、登録情報を簡単に変更・管理できるかも確認しておきましょう。
また、トラブル発生時に業務が止まらないよう、代替となる認証方法やベンダーのサポート体制を確認しておくことも重要です。
既存システムと連携できるか確認する
入退室管理や勤怠管理、PCログインなどに生体認証を利用する場合は、既存システムと連携できるかを確認しましょう。連携できれば、認証情報や利用履歴を一元管理しやすくなり、管理者の負担軽減にもつながります。
あわせて、クラウド型・オンプレミス型などの提供形態や、利用人数・拠点数の拡大に対応できるかも比較し、自社のセキュリティ方針や運用環境に適した製品を選ぶことが大切です。
なりすまし対策に役立つ生体認証製品
ここでは、なりすまし対策の観点で活用できる生体認証製品を紹介します。自社の環境や用途に合わせて、資料請求のうえ比較検討を進めてください。
EdgeFACE
- オフィスや工場のDXを推進するエッジ・オンプレ顔認証システム
- 完全売り切りで1台から導入可能!SDKは無償提供で量産活用可能
- パスワード忘れ・鍵紛失の心配なし!ICカード書き換え作業も不要
イノテック株式会社が提供する「EdgeFACE」は、産業用エッジPCを活用したオンプレミス型の顔認証システムです。1台から導入でき、SDKは無償で提供。月額のサブスクリプションや従量課金などの追加費用も発生しません。紙に印刷した顔写真やモバイル端末に表示した画像を判別する偽造物検知や、まばたき検知にも対応しており、顔認証によるなりすまし対策を強化したい企業に適しています。
顔認証なりすまし防止ソリューション (NECソリューションイノベータ株式会社)
- NIST顔認証ベンチマークテストでNo.1評価の顔認証エンジン搭載。
- マスク着用でも顔認証可能、外す必要なし
- AIが歩行中や複数人同時認証を支援
まとめ
なりすまし対策では、盗まれやすいID・パスワードに頼るのではなく、本人固有の身体的特徴で確認する生体認証が有効です。ただし顔認証は写真や録画映像、ディープフェイクによる偽装を狙われるため、生体検知やライブネス検知で「生きた本人か」を見極める機能が欠かせません。双子など似た顔への対応や、多要素認証を重ねた多層防御も重要な視点です。製品選定では、偽装検知の有無、認識精度と誤り率の釣り合い、運用体制や既存システムとの連携を確認しましょう。自社の要件を整理し、複数の製品を比較しながら、実効性のある対策を選び取ってください。

