CADの連携性が設計業務で重視される理由
CADで作成したデータは、解析や図面の管理、製造の準備など、さまざまな工程で使われます。連携のしやすさは、業務全体の効率に影響します。
データの受け渡しにおける手作業と転記ミス
CADと他のシステムが連携していないと、データを再入力したり、ファイルを手動で変換したりする作業が必要です。この手作業が増えるほど、転記ミスや版の取り違えが起こる可能性が高まります。
設計変更の頻度が高い現場では、特に影響が大きくなります。
手作業が発生している箇所を洗い出しておくと、連携の優先順位が見えてきます。転記の工程が何回あるかを数えるだけでも、課題の大きさがつかめます。ミスを見つけるための確認作業が、さらに時間を取る場合もあります。
連携方式の種類と特徴
CADの連携には、おもに3つの方式があります。専用の接続機能で直接つなぐ方式、STEPやDXFなどの中間ファイルを使う方式、APIでプログラムから連携する方式です。
直接連携は手間が少ない一方で、対応する製品が限られる場合があります。中間ファイルは汎用性に優れていますが、形状以外の情報が欠ける場合もあります。
方式ごとの特徴を理解して、自社にあうものを選びましょう。APIは柔軟ですが、開発の工数が必要になる点に注意しましょう。
自社の連携先の洗い出し
CADを選ぶ前に、現在使っている解析ソフトや図面管理システム、生産管理システムを一覧にしましょう。連携が必要な相手と、受け渡すデータの種類を明らかにします。
将来的に導入予定のシステムがあれば、それも加えておきます。
連携の要件を整理しておけば、CADの比較がスムーズに進みます。連携先ごとに、使っている部署や担当者も書き出しておきましょう。連携先のバージョンも、書き添えておくと後の確認が楽です。
CADとCAE・解析ソフトの連携の確認点
強度や熱、流れなどを調べるCAE(コンピューターによる解析)では、CADの形状データを解析ソフトに渡して使います。CADの連携性は、解析の準備にかかる時間に影響します。
中間形式を使ったデータの受け渡し
解析ソフトとCADで異なるメーカーの製品を使う場合は、STEPなどの中間形式でデータを渡す方法があります。ただし、形式によって保持できる情報の範囲が異なります。
変換後に形状の欠けや面の不具合が生じる場合もあります。
実際のデータで変換を試して、結果を確認しておきましょう。寸法や公差などの情報が引き継がれるかも、確認したい点です。形式ごとの得意な用途も、あわせて調べておきましょう。
解析用モデルへの変換で生じる手間
解析では、細かな穴や丸みなどの形状を簡略化する作業が必要になる場合があります。この作業をCAD側で行えるのか、解析ソフト側で行うのかによって作業の流れが変わります。
解析に必要な形状の修正機能が、CADに備わっているかも確認しましょう。
変換の手間が大きい場合は、連携機能の有無が選定の決め手です。簡略化の作業が属人化しないよう、手順を共有しておくと安心です。試用版があれば、変換にかかる時間も実際に計ってみてください。
解析結果を設計へ戻す流れ
解析の結果をもとに設計を修正する場合は、解析ソフトからCADへ情報を戻す流れも重要です。結果を画面上で参照できるのか、モデルの修正に反映できるのかは製品によって異なります。
設計と解析の担当者が別の場合は、修正の依頼と確認の手順も整理しておきましょう。
往復の手間を減らせるかが、連携の確認ポイントです。結果の共有に使う形式も、事前にそろえておくとやり取りが円滑です。連絡の経路が複雑だと、修正の漏れが起こりやすくなります。
CADとPDM・生産管理システムの連携
CADのデータは、図面や部品表として管理され、製造の計画にも使われます。PDMや生産管理システムとの連携では、情報の整合性が大きな論点です。
PDM・図面管理システムとの連携
PDM(製品データ管理)や図面管理システムと連携すると、CADで作成したファイルの登録や検索、承認の流れを一元化しやすくなります。CADの画面から直接登録できる製品もあります。
ファイルの関連づけや、部品の構成情報まで引き継げるかは、確認が必要です。
アクセスの権限を設定できるかも、あわせて見ておきましょう。連携の設定を行う際に、提供会社の支援が受けられるかも確認しましょう。検索の方法や、保存できるファイルの種類も見ておくとよいでしょう。
生産管理システムへの部品表の受け渡し
生産管理システムでは、部品表(BOM)をもとに、調達や製造の計画を立てます。CADの設計データから部品表を出力できれば、手入力の手間と誤りを減らせます。
出力できる項目や、形式が自社のシステムに対応しているかを確認しましょう。
設計変更があった際に、部品表へ反映する手順も大切です。部品番号の体系が一致していないと、取り込みの際に不整合が生じます。試験的に少数の部品で取り込み、結果を確かめる進め方もあります。
変更履歴と版数の整合
設計変更が続くと、CADと管理システムの間で、版数にずれが生じる場合があります。古い図面が製造現場で使われると、手戻りの原因です。
変更履歴を残せるか、最新の版を自動で反映できるかを確認しましょう。
版の管理ルールを、運用面でも決めておくと安心です。承認が済んだ版だけを共有する仕組みがあると、運用が安定します。製造現場へ最新図面を届ける流れも、含めて考えておきましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でCADの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
BIM・3DビューアとAPI・CSV出力の活用
設計データを社外や他部門と共有したり、自動化したりする場面では、BIMや3Dビューア、APIやCSV出力への対応が役立ちます。CADごとに対応範囲を確認しましょう。
BIMや3Dビューアとの連携
建築分野では、BIM(建物の情報を3次元で管理する仕組み)との連携が重要です。IFCなどの共通形式で、他のソフトとデータをやり取りできるかを確認しましょう。
3Dビューアは、CADを持たない関係者が設計データを確認するために使います。軽量な形式で書き出せるか、寸法や注記を確認できるかが選ぶポイントです。
閲覧できる人の範囲も、考えておきましょう。対応する形式のバージョンについても、確認が必要です。社外の関係者と共有する場合の、権限の設定にも注意が必要です。
API連携で自動化できる作業
APIとは、プログラムからCADの機能を呼び出す仕組みです。繰り返しの作業を自動化したり、他のシステムと連携したりする際に使います。
利用できるAPIの範囲や、対応するプログラミング言語は、製品によって異なります。
自社に開発の担当者がいるか、外部に依頼するかも検討しておきましょう。例えば、図面の一括出力や、属性情報の更新などが考えられます。自動化の効果は、作業の頻度と所要時間から概算できます。
CSV出力の項目と柔軟性
CSV出力は、部品表や寸法の一覧などを表計算ソフトや他のシステムへ取り込む際に便利です。出力できる項目を選べるか、列の並びを指定できるかで、使い勝手が変わります。
文字コードの違いで文字化けが生じる場合もあります。
実際のデータで出力を試し、取り込めるかを確かめておきましょう。定期的に出力する場合は、手順を自動化できるかも見ておきましょう。出力した内容を見やすく整える手間も、あらかじめ想定しましょう。
解析や管理システムとつなぐCAD製品
CAEやPDMなどとの連携を想定し、データの受け渡しを検討しやすいCAD製品を紹介します。
CADSUPER
- 3Dデータから投影図を展開
- JIS規格対応の機械要素を搭載
- 図面比較で新旧図面の差分を確認
株式会社マーブルが提供する「CADSUPER」は、3Dデータにも対応した国産のハイブリッド2次元CADです。3Dデータから投影図を展開でき、他の設計環境で作ったデータを図面化する場面で役立ちます。JIS規格対応の機械要素を搭載し、図面比較で新旧図面の差分も確認できるため、図面を管理する後工程との受け渡しを整えたい場合にも検討できます。提供形態はパッケージソフトで、電話とメールでサポートを受けられます。
IRONCAD
- フィーチャベースのダイレクトモデリング
- アセンブリ作業に拘束は不要
- トップダウン設計が簡単
株式会社クリエイティブマシンが提供する「装置・治具設計がラクで速い!IRONCAD」は、操作性に優れた3D CADで、ドラッグ&ドロップで要素を積み重ねてモデリングできます。アセンブリ作業に拘束が不要で、トップダウン設計が簡単に進められる点が特徴です。装置や治具など機械設計の構想段階から自由度高く進められ、提供形態はオンプレミス、パッケージソフト、サービスから選べます。サポート窓口はメールなどで、全ての規模の企業に対応しています。
Vectorworks Design Suite (ベクターワークスジャパン株式会社)
- Architect等の主要な機能を統合
- 2D・3D設計から図面作成まで対応。
- 動画や研修、コミュニティを通じた手厚い導入支援
RevitLT (オートデスク株式会社)
- 設計・図面・数量集計など建築設計に必要な基本機能
- BIM対応設計の入り口として導入しやすい設計
- 他のソフトやクラウドサービスとのデータ連携が可能
Rhino8 (株式会社アプリクラフト)
- ShrinkWrapで点群等を閉じたメッシュへ変換
- クリッピングや断面化の機能を強化。
- Grasshopperの新しいデータタイプを搭載。
CADに関するよくある質問
CADの連携性について、よくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:CAE・解析ソフトと連携できるCADは、どう見つけますか?
- A:製品の公式情報で、対応する解析ソフトや、直接連携の有無を確認します。中間形式での受け渡しになる場合は、実データで変換を試すと安心です。
- ■Q2:PDMや生産管理システムと連携しやすいCADの条件は何ですか?
- A:部品表の出力や、ファイルの登録機能、変更履歴の管理に対応しているかが目安です。自社のシステムとの連携実績も、提供会社に確認しましょう。
- ■Q3:API連携がしやすいCADかどうかは、どこで判断しますか?
- A:APIの仕様書の公開状況、対応する言語、利用できる機能の範囲を確認します。開発の支援体制があるかも、判断材料です。
- ■Q4:CSV出力が柔軟なCADを選ぶには、どうすればよいですか?
- A:出力できる項目の選択や、列の並びの指定、文字コードの対応を確認します。試用版などで、実際に取り込める形式か確かめておくと安心です。
まとめ
CADの連携性は、解析ソフト、図面管理や生産管理のシステム、BIMや3Dビューア、APIやCSV出力といった連携先ごとに確認することが大切です。連携の方式や対応範囲は、製品によって異なります。自社の連携先を整理したうえで、複数のCADを比較しましょう。資料請求を活用すると、対応範囲の違いを確認しやすくなります。

