CADの評判が良い製品を探す前の考え方
「評判が良いCAD」と一口にいっても、操作性、価格、サポートなど、評価される点は人によって異なります。比較を始める前に、評判の中身を分けて考えておきましょう。基準が決まると、情報の取捨選択がしやすくなります。
評判を構成する要素の分解
CADの評判には、作図のしやすさ、3次元モデリングの機能、他のソフトとのデータ交換、費用、サポート対応などが含まれます。どの要素を重視する人の声かによって、同じ製品でも評価が分かれる場合があります。
まず自社で重視する要素を3つ程度に絞り、それについての声を集めましょう。基準が決まると、口コミの良し悪しを自社の目線で読み取れます。評価が割れている製品も、理由を見れば判断の材料として使えます。
口コミが偏る理由の把握
口コミは、強く満足した人や強く不満を持った人が投稿しやすい傾向があります。そのため、製品の全体像を表しているとは限りません。評価の平均点だけを見ると、実際の使い勝手とずれる場合があります。
投稿者の業種、利用年数、担当業務が書かれていない声は、自社にあてはまるか判断しにくくなります。複数の情報源を組み合わせて、偏りを補いましょう。
同じ内容の指摘が複数の場所にあれば、信頼度は高まります。最新の状態を確認する意識が欠かせません。
シェアや導入社数の数字の扱い
シェアや導入社数は、調査の範囲や集計の方法が資料ごとに異なります。数字の大小だけで、使いやすさや自社への向き不向きまでは判断できません。調査の対象が個人か法人かでも、結果は変わります。
数字を参考にする際は、調査主体、対象期間、対象製品の範囲を確認しましょう。公表されていない場合は、ベンダーに確認する方法もあります。
出典が分からない数字は、判断材料から外すのが安全です。数字は一つの目安として扱うと安心です。
CADの口コミや評判の集め方と読み方
口コミは、どこで集めるかによって傾向が変わります。情報源ごとの特徴を理解し、読むときの確認点をそろえておくと、CADの評判を落ち着いて比較できます。ここでは、集め方から自社へのあてはめ方までを取り上げます。
情報源ごとの特徴の使い分け
製品比較サイトの口コミは、複数製品を同じ項目で見比べやすい点が利点です。ベンダーの導入事例は、活用の具体例を知るのに役立ちますが、掲載されるのは協力を得られた事例に限られます。
SNSや技術系のコミュニティは、実務での細かな不満や工夫が見つかる場合があります。ただし匿名の投稿も多く、情報の確かさは自分で見極める必要があります。
目的に応じて、情報源を使い分けましょう。複数の種類を並べて見ると、偏りに気づけます。
口コミを読むときの確認点
口コミを読むときは、投稿の時期、使用バージョン、利用規模を確認します。機能は更新されるため、古い声が現在の状態とは限りません。クラウド型かインストール型かによっても、感想は変わります。
良い点と悪い点が理由とあわせて書かれている投稿は、判断の材料として使えます。「使いやすい」「重い」といった感想だけの声は、どの作業での話かを確かめましょう。
条件が分からない声は、参考程度にとどめます。迷う場合は、投稿の根拠を探してみましょう。
自社に近い条件の声の拾い方
建築、機械、電気など設計の分野や、2次元中心か3次元中心かによって、求められる機能は異なります。自社と同じ分野、近い規模の声を優先して読みましょう。
該当する声が見つからない場合は、資料請求や問い合わせで、近い条件の導入事例がないかを尋ねる方法があります。紹介できる範囲は、ベンダーによって異なります。
社内に使用経験のある人がいれば、率直な意見も聞いておきましょう。声の数よりも、条件の近さを重視しましょう。
満足度や実績を比較するときの基準
満足度や導入実績、採用実績は、CADを比べる際によく使われる指標です。ただし、数字や肩書きの背景を確かめないと、判断を誤る場合があります。確認の基準を整理しましょう。数字の背景を確かめる習慣が大切です。
満足度を比べる前にそろえる条件
満足度の調査は、質問の項目、回答者の属性、回答数が調査ごとに異なります。別々の調査の点数を並べて、優劣を決めることは避けましょう。調査の時期が離れている場合も、同様です。
同じ調査の中で、評価項目ごとの結果を見ると、強みと弱みを把握しやすくなります。総合点だけでなく、自社が重視する項目の結果を確認してください。
回答者の数が少ない項目は、参考程度に扱います。数字の見かけに惑わされないようにしましょう。
導入実績や上場企業での採用実績の見方
採用実績が示すのは、一部の部門で使われたという範囲にとどまる場合があります。自社と同じ用途や規模で使われているかまでは、読み取れません。
公開されている事例は、導入の目的、使い方、得られた効果が具体的に書かれているかを見ましょう。社名の一覧だけの掲載は、判断材料としては限定的です。
気になる事例があれば、ベンダーに詳細を尋ねてみましょう。事例の具体性を見比べると、違いが分かります。
セキュリティ認証の確認項目
設計データは企業の重要な情報です。ベンダーがISMS(ISO/IEC 27001)などの認証を取得しているか、クラウド型なら提供するサービスが認証の対象に含まれているかを確認します。
認証の有無とあわせて、アクセス権限の設定、ログの取得、データの保管場所も確認しましょう。社内のセキュリティ規程に照らして、情報システム部門に相談すると安心です。取引先から求められる水準があれば、事前に把握しておきます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でCADの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
評判の良さを自社の使い方にあてはめる
評判が良い製品でも、自社の業務にあわなければ成果は出にくくなります。評判を自社の設計業務にあてはめて、確認すべき点を整理しましょう。用途、取引先、サポートの3点が基本です。あわせて、導入後の運用も見据えましょう。
2次元中心か3次元中心かの整理
2次元の図面作成が中心なら、作図の操作性や図面の管理機能が大切です。3次元のモデリングが中心なら、処理の速さやパソコンの性能要件も確認します。
将来3次元へ移行する予定があるかも、あわせて考えましょう。移行時にデータを引き継げるかを確認すると、後からの手戻りを減らせます。
現在の用途だけでなく、数年先の使い方まで想定しておくと安心です。用途の整理が、比較の出発点です。
取引先とのデータ形式の確認
設計の現場では、取引先とのデータのやりとりが欠かせません。DWGやDXF、STEPなど、相手が使う形式の読み込みと書き出しに対応しているかを確認します。
対応していても、図形や寸法の再現に差が出る場合があります。実際のデータで変換を試し、表示が崩れないかを確かめましょう。
取引先に使用しているCADを尋ねておくと、確認がスムーズです。受け渡しの頻度が高い形式から順に確認しましょう。
サポートと学習環境の確認
操作に慣れるまでの時間は、評判に影響しやすい点です。問い合わせ窓口の対応時間、マニュアルや動画の有無、研修の用意などを確認します。
サポートの範囲は、操作の質問だけか、設定の支援まで含むかで異なります。契約前に、対応できる内容と費用の有無を尋ねておきましょう。
新しく入る担当者が使い始めるまでの流れも、想定しておくと役立ちます。導入後の定着にも関わる項目です。
評判を確かめる試用と問い合わせの進め方
口コミや資料だけでは、実際の使い勝手までは分かりません。試用とベンダーへの質問を組み合わせ、集めた評判を自社の環境で確かめる流れを作りましょう。評判の裏付けを、自分の目で確認することが大切です。
体験版で自社の図面を試す手順
体験版やデモを利用できるかをまず確認します。試す際は、普段扱う図面やモデルの中から、複雑さの異なるものをいくつか選びましょう。
作図、修正、出力、他形式への変換といった一連の作業を実際に行います。動作が重くなる場面や、操作に迷った箇所は記録に残してください。
体験版に機能の制限がないかも、事前に確かめておきます。試した内容は、比較表に整理しておくと便利です。
ベンダーへの質問項目の準備
複数の製品に同じ質問をすると、違いが見えやすくなります。対応するファイル形式、ライセンスの形態、サポートの範囲、バージョンアップの方針などが基本の項目です。
回答は日付とあわせて記録し、社内で共有します。あいまいな点は、書面や公式の資料で示してもらうよう依頼しましょう。
口頭の説明だけで進めると、後で認識の食い違いが生じる場合があります。質問を文書にまとめておくと、漏れを防げます。
社内で評価を共有する方法
試用した担当者だけで判断せず、実際に使う設計者や、データを受け取る部門の意見も集めます。評価項目を表にまとめると、製品ごとの違いを比べやすくなります。
特定の担当者の好みに左右されないよう、評価の基準を事前に決めておくことが重要です。結果は、導入判断の資料として残しましょう。
後から経緯を振り返るときにも役立ちます。合意を得やすくなる点も利点です。
評判を確かめながら比べたいCAD製品
口コミや実績とあわせて自社の使い方に適しているか判断できるよう、検討しやすいCAD製品を取り上げます。
IRONCAD
- フィーチャベースのダイレクトモデリング
- アセンブリ作業に拘束は不要
- トップダウン設計が簡単
株式会社クリエイティブマシンが提供する「装置・治具設計がラクで速い!IRONCAD」は、ドラッグ&ドロップで要素を積み重ねる操作で、簡単にモデリングできる3D CADです。構想設計の自由度が高く、装置・治具などの機械設計で時間短縮と手戻り削減が見込めるとされています。フィーチャベースのダイレクトモデリングを採用しており、口コミでは操作性の面を確かめておきたい製品です。提供形態はオンプレミス、パッケージソフト、サービスから選べます。
CADSUPER
- 3Dデータから投影図を展開
- JIS規格対応の機械要素を搭載
- 図面比較で新旧図面の差分を確認
株式会社マーブルが提供する「CADSUPER」は、設計者のための進化し続ける国産2次元CADとして提供されています。直感的な作図と編集、設計支援機能を備え、JIS規格対応の機械要素を搭載しています。3Dデータから投影図を展開する機能や、図面比較による新旧図面の差分確認もあり、評判を見るときは機械分野での使い勝手に注目するとよいでしょう。提供形態はパッケージソフトで、全ての規模の企業に対応しています。
RevitLT (オートデスク株式会社)
- 設計・図面・数量集計など建築設計に必要な基本機能
- BIM対応設計の入り口として導入しやすい設計
- 他のソフトやクラウドサービスとのデータ連携が可能
Rhino8 (株式会社アプリクラフト)
- ShrinkWrapで点群等を閉じたメッシュへ変換
- クリッピングや断面化の機能を強化。
- Grasshopperの新しいデータタイプを搭載。
VectorworksDesignSuite (ベクターワークスジャパン株式会社)
- サブパーツを認識するデータタグ機能
- 自由形状3Dモデルの柔軟な断面図作成
- アルゴリズミックデザイン向けビジュアルツール「マリオネット」
CADに関するよくある質問
CADの評判や口コミについて、よくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:シェアが高いCADを選べば間違いありませんか?
- A:シェアが高いことは、広く使われている目安の一つです。ただし、調査の範囲や集計方法は資料ごとに異なり、自社の用途にあうかは別に確認する必要があります。
- ■Q2:満足度が高いCADはどのように比較すればよいですか?
- A:同じ調査の中で、評価項目ごとの結果を比較する方法があります。自社が重視する項目、例えば操作性やサポートの結果を見ると、判断しやすくなります。
- ■Q3:上場企業での採用実績は選ぶ際の決め手といえますか?
- A:参考にはなりますが、決め手とは限りません。どの部門で、どのような目的で使われているかによって、自社へのあてはまり方が異なるためです。
- ■Q4:CADの口コミや評判はどこで確認できますか?
- A:製品比較サイトの口コミ、ベンダーの導入事例、技術系のコミュニティなどがあります。複数の情報源を組み合わせ、投稿の時期や利用条件を確認して読むことをおすすめします。
まとめ
CADの評判が良い製品を見極めるには、評判の中身を分け、自社が重視する基準で口コミや満足度、実績を読むことが大切です。数字や肩書きは調査の条件や範囲を確認し、セキュリティ認証やデータ形式への対応も確かめましょう。最後は体験版と問い合わせで、自社の環境にあうかを確認してください。比較検討を進める際は、資料請求も活用しましょう。

