CADの連携エラーが起きる主な要因
CADは単独で使うだけでなく、解析や図面管理、生産管理など他のシステムとつないで使われます。連携が増えるほど確認すべき点も増えるため、まず全体像を整理しましょう。原因を1つに決めつけないことが、対処の第一歩です。
連携方法の種類と違い
CADの連携には、ファイルを書き出して取り込む方法、専用のアドインで直接つなぐ方法、APIを使ってデータをやりとりする方法などがあります。方法によって、起こりやすい不具合や必要な設定が異なります。
ファイルを介する方法は手軽ですが、手作業が残りやすくなります。直接つなぐ方法は便利な反面、双方のバージョンの組み合わせに制約がある場合があります。
自社で使う方法がどれかを、まず確認しましょう。
責任範囲が分かれる連携先
連携の不具合は、CAD側、連携先側、間をつなぐ設定のどこに原因があるかが分かりにくい場合があります。ベンダーが別々のときは、どちらに問い合わせるべきか迷うこともあります。
導入前に、連携部分のサポートをどの会社が担当するかを確認しておくと安心です。対応の窓口が1つにまとまっているかも見ておきましょう。
責任範囲があいまいなままだと、対応が滞る恐れがあります。
エラーの切り分けの基本
エラーが出たら、CAD単体と連携先単体で正常に動くかを別々に確認します。次に、小さなデータで連携を試し、データの大きさや内容が影響していないかを調べます。
バージョンの更新直後に起きた場合は、組み合わせの対応状況を確認しましょう。エラーの文言やログを記録しておくと、ベンダーに相談する際に役立ちます。
切り分けの手順は、社内で共有しておくとよいでしょう。
CADとCAEの連携で起こる不具合
設計したモデルを解析ソフトに渡す連携は、設計の検証を早める反面、形状の受け渡しで問題が出る場合があります。起こりうる場面を確認しましょう。事前に起こりうる場面を知っておくと、確認の漏れを防げます。
形状の取り込み時に出るエラー
CADのモデルをCAEに読み込む際、微小な隙間や重なり、欠けた面などがあると、解析用の形状として扱えない場合があります。CADでは問題なく見えても、解析側の厳しい条件に合わずエラーになることがあります。
取り込み前に形状を修復する機能や、不要な小さな形状を取り除く機能があるかを確認しましょう。
対応の範囲は製品によって異なります。不具合が出た場合の修復作業を、誰が担当するかも決めておくと安心です。
設計変更が解析モデルに反映されない問題
CADの形状を変更しても、解析側のモデルが自動で更新されない場合があります。更新できても、境界条件や材料の設定が引き継がれず、設定をやり直す手間が生じることもあります。
形状の変更に連動して解析モデルを更新できるか、設定をどこまで引き継げるかは、製品によって異なる点です。
実際の設計変更の例で、事前に確かめておきましょう。反映の手間は、設計変更が重なるほど大きくなります。
連携方式による制約の確認
CADとCAEの連携は、同じ提供元の製品同士なら直接つなげる場合がある一方、他社製品ではファイルの変換が必要になることがあります。変換では、形状の精度や属性情報が失われる場合があります。
対応するCADの種類やバージョンは、CAE側の資料で確認できます。
自社で使う組み合わせが対応しているかを確かめましょう。変換後の精度は、実際のデータで試して判断しましょう。
CADとPDMの連携でエラーが出る場面
PDMや図面管理システムは、CADの図面とその版を管理する仕組みです。連携がうまくいかないと、図面の登録や更新に影響が出るため、起こりうる場面を押さえておきましょう。登録や更新の流れに沿って、確認の観点を見ていきましょう。
図面や属性情報の同期の失敗
CADで作成した図面や部品表の属性が、PDM側に正しく登録されない場合があります。項目名の対応が合っていない、必須項目が空欄になっている、ファイル名に使えない文字が含まれているといった状況が考えられます。
同期が一部の項目だけ失敗することもあり、気づきにくい点が課題です。
登録後の内容を確認する手順を決めておきましょう。原因の特定には、登録時のログが役立ちます。
チェックインとチェックアウトの不整合
PDMでは、編集のために図面を取り出し、終わったら戻す操作で版を管理します。作業中にCADが強制終了したり、通信が途切れたりすると、取り出した状態のまま残り、他の担当者が編集できなくなる場合があります。
管理者が状態を解除できる機能や、手順が用意されているかを確認しましょう。
作業の中断時の対応も決めておくと安心です。復旧の手順が分かれば、作業の停止時間を短くできます。
権限や版の扱いの違い
CAD側とPDM側で、権限の設定や版の付け方が異なると、意図しない操作が行われる場合があります。例えば、承認前の図面が他の部門から見えてしまう、古い版が最新として扱われるといった状況です。
版の数え方や、承認の流れをCADとPDMでそろえておくことが大切です。
設定の変更は、情報システム部門とも相談して進めましょう。公開範囲の誤りは、情報漏えいにもつながる恐れがあります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でCADの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
APIの制限と生産管理システム連携の課題
CADのデータを生産管理システムなど他の業務システムへ渡す際は、APIや部品表の連携が使われます。連携の仕様や制限を知らないと、期待した自動化にならない場合があります。自動化の範囲を見極めるためにも、仕様の確認が欠かせません。
APIの呼び出し回数と制限
APIには、一定の時間内に実行できる回数や、一度に扱えるデータ量に上限が設けられている場合があります。上限は製品や契約内容によって異なり、公開されていないこともあります。
上限を超えると、処理が止まったり、一部のデータが反映されなかったりする場合があります。大量のデータを扱う予定があれば、ベンダーに上限の有無を尋ねましょう。
処理を時間帯で分けるなどの工夫が必要な場合もあります。制限を把握しておけば、連携の設計も立てやすくなります。
部品表の連携で手作業が残る理由
CADと生産管理システムを連携しても、手作業が残る場合があります。品番の付け方が異なる、CADにない情報を生産管理側で追加する必要がある、といった理由が考えられます。
連携で自動化できる範囲と、人が確認する範囲を、あらかじめ整理しておくことが大切です。
項目の対応表を作ると、抜けや重複を見つけやすくなります。手作業が残る部分も、あらかじめ運用に組み込んでおくと混乱を避けられます。
連携後の運用ルールの整理
連携の仕組みができても、誰が何を確認するかが決まっていないと、エラーが放置される場合があります。結果を確認する担当者と、頻度を決めておきましょう。
特定の担当者だけが仕組みを把握している状態は、避けるべきです。手順書の整備と、複数人での共有が重要です。
設定の変更履歴も、残しておくと原因を探しやすくなります。ルールを文書にすれば、引き継ぎもスムーズです。
連携エラーに備える確認と運用
連携の不具合は、導入前の確認と運用の工夫で、影響を抑えられる場合があります。テスト、通知、問い合わせの3点から備えを整理しましょう。導入前から運用開始後まで、順に整理します。
導入前の連携テストの進め方
本番に近いデータで、連携の一連の流れを試します。小さなデータだけでなく、大きなデータや複雑な構成のデータでも確認しましょう。
正常に動いたかだけでなく、連携先に期待した内容が正しく登録されているかまで確認します。テストの結果は記録に残し、比較検討の材料にしてください。
可能であれば、検証用の環境で実施します。テストで見つかった課題は、ベンダーへの質問にも活用できます。
エラー通知とログ、再実行の仕組み
エラーが起きたときに、管理者へ通知されるか、ログで原因を確認できるかは重要な項目です。失敗したデータを手動で再実行できるか、自動で再試行されるかも確認しましょう。
通知がないと、エラーに気づかないまま作業が進む恐れがあります。
未処理のデータを一覧で確認できるかも見ておきましょう。再実行の操作を現場の担当者が行えるかも、運用面の確認項目です。
ベンダーと連携先への問い合わせ準備
連携の不具合は、複数のベンダーが関わる場合があります。問い合わせる際は、双方の製品名とバージョン、エラーの内容、再現の手順を整理して伝えると、調査が進みやすくなります。
連携に関するサポートの範囲や、対応の窓口も事前に確認しておきましょう。
情報システム部門がある場合は、あわせて相談すると安心です。問い合わせの履歴は、日付とあわせて残しておきましょう。
連携時の不整合を確認したいCAD製品
CAEやPDMなどとの連携でエラーが出ないよう、事前確認しやすいCAD製品をまとめました。
IRONCAD
- フィーチャベースのダイレクトモデリング
- アセンブリ作業に拘束は不要
- トップダウン設計が簡単
株式会社クリエイティブマシンが提供する「装置・治具設計がラクで速い!IRONCAD」は、操作性に優れた3D CADで、構想設計の自由度が高く、装置・治具などの機械設計に対応しています。提供形態はオンプレミス、パッケージソフト、サービスがあり、自社の運用環境に応じて選べます。他システムとつなぐ場合は、サポート窓口で連携方法を事前に確認しておくと安心です。フィーチャベースのダイレクトモデリングやトップダウン設計が簡単に行えるのも特徴です。
CADSUPER
- 3Dデータから投影図を展開
- JIS規格対応の機械要素を搭載
- 図面比較で新旧図面の差分を確認
株式会社マーブルが提供する「CADSUPER」は、3Dデータにも対応した国産ハイブリッド2次元CADです。3Dデータから投影図を展開でき、図面比較で新旧図面の差分を確認できます。連携の前後で図面を見比べる確認作業にも活用できます。対応分野は汎用と機械です。提供形態はパッケージソフトで、電話とメールでサポートを受けられます。
VectorworksDesignSuite (ベクターワークスジャパン株式会社)
- サブパーツを認識するデータタグ機能
- 自由形状3Dモデルの柔軟な断面図作成
- アルゴリズミックデザイン向けビジュアルツール「マリオネット」
CAM-TOOL (株式会社C&Gシステムズ)
- 3軸感覚で生成する高精度5軸加工パス
- ミーリングを超えたモノづくり革新、積層造形機能
- 金型視点から発想した独創的モデラー
Rhino8 (株式会社アプリクラフト)
- ShrinkWrapで点群等を閉じたメッシュへ変換
- クリッピングや断面化の機能を強化。
- Grasshopperの新しいデータタイプを搭載。
CADに関するよくある質問
CADの連携エラーについて、よくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:CADとCAEの連携で不具合は起きますか?
- A:起きる場合があります。形状に隙間や欠けた面があると取り込めない、設計変更が解析モデルに反映されないといった状況が考えられます。対応する組み合わせやバージョンの確認が大切です。
- ■Q2:CADとPDMの連携でエラーが出るのはなぜですか?
- A:項目の対応のずれ、ファイル名の制約、作業中の通信の途切れ、権限や版の設定の違いなど、複数の要因が考えられます。CAD側とPDM側の両方を確認しましょう。
- ■Q3:CADのAPIの呼び出し回数に制限はありますか?
- A:製品や契約内容によっては、一定時間内の回数やデータ量に上限がある場合があります。公開されていないこともあるため、ベンダーに確認してください。
- ■Q4:生産管理システムと連携しても手作業が残ることはありますか?
- A:あります。品番の付け方の違いや、生産管理側で追加が必要な情報があるためです。自動化できる範囲と人が確認する範囲を、導入前に整理しておくことをおすすめします。
まとめ
CADの連携エラーは、CADと連携先のどちらか一方だけでなく、設定やデータの状態、バージョンの組み合わせなど複数の要因で起こる場合があります。CAE、PDM、生産管理システムのそれぞれで起こりうる不具合を知り、導入前の連携テストやエラー通知の仕組みを確認しましょう。比較検討を進める際は、資料請求も活用してください。

