クラウドセキュリティの連携性が問われる理由
クラウドセキュリティは、守る対象のクラウドと接続してはじめて機能します。どこまで連携できるかによって、見える範囲や運用の手間が変わるため、まずは連携が必要な場面と接続の考え方を整理しておきましょう。
連携が必要になる場面の整理
クラウドセキュリティは、クラウド上の設定や操作の記録を取得して、危険な状態を見つけます。そのため、AWSやAzureなど利用中のクラウドと接続できなければ、点検や監視を始められません。連携の範囲は、見える範囲の広さに直結します。
接続の対象はクラウド本体だけではありません。ログの保管先や社内の通知ツール、認証の基盤との連携も、日々の運用に関わります。導入前に連携先を洗い出しておくと、確認の抜けを減らせます。
連携方式の違いとそれぞれの特徴
クラウドの設定を点検する用途では、クラウドが公開する管理用の仕組みであるAPIを使って接続する方式がよく使われています。サーバーに専用のソフトを入れる必要がなく、導入の手間を抑えられる場合があります。
サーバーの中の動きを監視する用途では、専用のソフトを各サーバーに配置する方式もあります。どちらの方式を採用しているかで、導入の作業量や対象範囲が変わります。両方を備えた製品もあるため、資料で確認しましょう。
連携が不十分な場合に生じる管理の抜け
対応していないサービスがあると、その部分は点検の対象から外れてしまいます。新しく追加したサービスが未対応のままだと、気づかないうちに保護されていない領域が残る場合があります。こうした抜けは、事故が起きるまで気づかれにくい点が課題です。
通知やログの連携が弱い場合は、検知しても担当者に伝わらない状況も起こり得ます。連携の範囲が運用の確実さに影響するため、機能の一覧だけでなく、実際の接続手順も確認することが大切です。
AWSやAzureとの連携で確認したい項目
AWSとAzureは、サービスの種類や管理の単位が異なります。同じ「対応」という表記でも、対象となる範囲に違いがあるため、確認する項目を具体的にしておきましょう。
対応するサービスと点検範囲の確認
最初に確かめたいのは、利用中のサービスが点検の対象に含まれているかどうかです。仮想サーバーやストレージ、データベース、コンテナなど、クラウドにはさまざまなサービスがあります。対応の範囲は、製品や契約のプランによっても異なります。
製品の資料に「AWS対応」とあっても、利用中のサービスを網羅しているとは限りません。自社が使っているサービス名を挙げ、対応状況を提供会社へ問い合わせましょう。新しいサービスへの対応の速さも、確認したい点です。
接続時に付与する権限の範囲
クラウドセキュリティを接続する際は、製品に対してクラウド側の権限を付与します。製品によっては、閲覧だけで動作するものもあれば、設定の修正まで行うために変更の権限が必要なものもあります。権限の内容は、製品の安全性を判断する材料にもなります。
必要以上の権限を渡さないことが重要です。付与する権限の内容は資料で確認し、自社のセキュリティ規程に合致するかを情報システム部門と相談してください。権限の一覧を提示してもらえるかも見ておきましょう。
複数アカウントや契約をまとめる管理方法
企業では、部署や用途ごとに複数のアカウントやサブスクリプションを使っている場合があります。個別に接続していると、手間がかかり、接続の漏れも起こりやすくなります。部署が増えるほど、この手間は大きくなります。
複数のアカウントをまとめて登録できるか、新しく作成したアカウントを自動で追加できるかを確認しましょう。AWSとAzureを併用している場合は、両方の結果を一つの画面で見られるかも重要です。統一した基準で点検できるかも見ておきましょう。
ログや運用ツールとの連携性の見方
検知した結果を活用するには、普段使っているツールとつながっていることが欠かせません。ここでは、ログの収集、通知、認証の3つの連携について、確認する内容を取り上げます。
ログ収集とセキュリティ監視基盤との連携
クラウドの操作の記録は、AWSならCloudTrail、AzureならActivity Logといった仕組みで取得できます。クラウドセキュリティがこれらの記録を読み込んで、不審な操作を検知する場合があります。
社内でSIEMと呼ばれるログの統合管理の仕組みを使っているなら、検知結果を送れるかも確認しましょう。送れるログの種類や形式は、製品ごとに異なります。事前に提供会社へ問い合わせておくと安心です。
チャットやチケット管理ツールへの通知
検知結果をメールやチャットに通知できると、担当者が早く気づけます。通知先を重要度ごとに分けられる製品もあり、見落としを減らす工夫として役立ちます。導入後の定着を考えると、連携の手軽さも重要です。
チケット管理のツールと連携すれば、検知から対応までの履歴を一元的に残せます。普段使っているツールに対応しているか、独自の仕組みへ連携できるかを確認しておきましょう。連携の設定が画面上で完結するかも、運用の負担を左右します。
認証基盤とのシングルサインオン連携
管理画面へのログインを社内の認証基盤とつなげると、アカウントの管理の手間を抑えられます。シングルサインオンと呼ばれる仕組みで、一度のログインで複数のサービスを使えるようにするものです。パスワードの使い回しを避ける効果も期待できます。
退職者のアカウントを速やかに停止しやすくなる点も、運用面の利点です。対応している認証の方式は製品ごとに異なります。利用中の認証基盤と接続できるか、事前に確かめましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でクラウドセキュリティの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
連携性を比べて製品を絞り込む手順
確認する項目が多いと、比較の途中で判断の軸がぶれてしまいます。自社の環境を起点にして、連携先の整理、提供会社への質問、試用での検証という順に進めると、選定を進めやすくなります。
自社の構成にもとづく連携先の一覧化
最初に、利用中のクラウドとサービス、ログの保管先、通知に使うツール、認証の基盤を一覧にします。構成図があれば、あわせて確認すると抜けを減らせます。この作業は、情報システム部門と各部署で分担するとよいでしょう。
一覧には、外せないものと、あれば望ましいものを分けて記載しましょう。優先度をつけておくと、製品ごとの対応状況を比べたときに、判断が早くなります。後から連携先が増えた場合も、この一覧を更新して使えます。
提供会社への確認事項の整理
資料に書かれた「対応」の内容を、そのまま受け取らないことが大切です。対象のサービス、取得できる情報の範囲、必要な権限、接続の手順を、質問の一覧にまとめて問い合わせましょう。質問の内容は、各社に共通のものを用意しましょう。
回答は文書で残しておくと、社内の説明や後の比較に使えます。回答に時間がかかる場合は、サポートの対応速度を知る材料にもなります。内容が資料と食い違わないかも、あわせて確認しましょう。
試用環境での接続テストの進め方
候補を絞った段階で、無料の試用やデモの機会があれば、実際に自社のクラウドと接続してみましょう。接続にかかる時間や、設定の分かりやすさは、実際に試さないと見えない部分です。あわせて、試用できる期間と範囲も確認しておきましょう。
本番の環境に影響が出ないよう、検証用のアカウントで実施するのが安心です。接続後は、期待する項目が検知結果に出ているかを確認します。実施の前には、提供会社が認める手順かどうかも確かめてください。
AWSやAzure対応の製品を比較
連携性を比べるには、対応するクラウドの範囲と、認証まわりまで含めた接続先を確認することが出発点です。AWSやAzureなど複数のクラウドを対象とする製品と、ID管理の製品を紹介します。
GMOトラスト・ログイン
- 社内システム、業務アプリ、複数SaaSのIDを効率的に一元管理
- シングルサインオンで情報漏えいのリスクを減らし、利便性も向上
- 迅速に多要素認証を導入し、セキュリティを強化
GMOグローバルサイン株式会社が提供する「GMOトラスト・ログイン」は、クラウド型のID管理(IDaaS)です。社内システムや業務アプリ、複数のSaaSのIDを効率的に一元管理できます。シングルサインオンにより、利用者の利便性を高めながら情報漏えいのリスクを減らす用途に使えます。クラウド環境の点検とは別に、認証まわりの管理をどう整えるかを検討する際の選択肢です。提供形態はクラウド、SaaSです。問い合わせは電話、チャット、メールで行えます。
ソフトバンクのクラウドパトロール (ソフトバンク株式会社)
- クラウドの設定ミスをCIS基準で自動チェック
- 公開資産を洗い出し脆弱性を優先度順に提示
- 検出結果をレポートやメール・Slackで通知
CrowdStrike Falcon Cloud Security (クラウドストライク合同会社)
- クラウド環境の設定ミスをリアルタイムで検知できる
- クラウド上のワークロードやコンテナを脅威から守れる
- AWS・Azure・GCPなど複数のクラウドに対応する
Lacework FortiCNAPP (フォーティネットジャパン合同会社)
- AWS・Azure・GCPなど複数クラウドの設定ミスを継続的に検出
- ルール作成不要で異常な振る舞いを検知しゼロデイ脅威に備える
- クラウド上の権限を可視化し過剰な権限を特定
OrcaSecurity (株式会社日立ソリューションズ)
- 主要クラウドに幅広く対応
- 迅速導入と包括的可視化をエージェントレスで実現。
- CI/CD統合で開発初期からセキュリティ確保
クラウドセキュリティに関するよくある質問
クラウドセキュリティの連携性について、導入前に寄せられやすい質問と回答をまとめました。
- ■Q1:AWSとAzureの両方に対応していれば、どちらでも同じように使えますか?
- A:同じとは限りません。点検できるサービスの種類や、取得できる情報の範囲は、クラウドごとに異なる場合があります。両方のクラウドについて、自社が使うサービスの対応状況を確認しましょう。
- ■Q2:連携するために、サーバーへソフトを入れる必要はありますか?
- A:クラウドの設定を点検する用途では、APIで接続する方式があり、ソフトの導入が不要な場合もあります。サーバー内部の監視まで行う製品では、専用のソフトが必要になることがあります。
- ■Q3:既存のログ管理や通知のツールと連携できますか?
- A:製品ごとに対応するツールが異なります。SIEMやチャット、チケット管理のツールについて、自社が使うものとの連携が可能かを、提供会社に問い合わせて確認してください。
- ■Q4:連携時に付与する権限が心配です。
- A:製品によって必要な権限は異なります。閲覧のみで動作するか、変更の権限が必要かを資料で確認し、社内のセキュリティ規程にあうかを情報システム部門と相談しましょう。
まとめ
クラウドセキュリティの連携性は、AWSやAzureの対応サービス、接続時の権限、ログや通知など運用ツールとの連携の3点で確認します。「対応」の表記をそのまま受け取らず、自社が使うサービス名を挙げて提供会社に問い合わせることが大切です。まずは資料請求で複数製品の連携範囲を比べ、試用で接続を確かめましょう。

