EDR運用が課題を抱えやすい背景
EDRの運用は、検知した情報を確認し対応する人の体制によって成果が変わります。まず、運用がうまくいかない背景を考える前に押さえておきたい基本の考え方を整理します。
運用が課題を抱えやすい要因
EDRは端末の状況を継続的に監視し、アラートという形で情報システム担当者に判断を求めます。担当者の人数が少ない、あるいは専任でない場合、アラートの確認や対応が後回しになりやすく、結果として検知した情報が十分に活用されないまま蓄積される場合があります。要因は担当者の人数だけでなく、対応手順が整理されていないことや、アラートの重要度を判断する基準が明確でないことなど、複数の要素が関係します。
そのため、運用の課題を改善する際は、人員を増やすことだけを検討するのではなく、対応手順の明確化やアラートの優先順位づけなど、体制全体を見直す視点が必要です。
運用の失敗を防ぐための基本的な考え方
運用が定着しない背景には、導入時に想定していた運用イメージと、実際の業務量に差があるケースが見られます。導入前に、アラートがどの程度の頻度で発生する見込みか、対応にどれくらいの工数がかかるかを提供会社に確認しておくと、実態に近い体制を準備しやすくなります。
また、担当者一人に運用を依存させず、複数人で状況を把握できる体制を整えることも重要です。特定の担当者が不在の際にも対応が滞らないよう、情報共有の仕組みをあらかじめ検討しておくとよいでしょう。導入直後は想定より対応の負荷が大きくなる場合もあるため、最初の数か月は運用状況を細かく振り返る期間として計画しておくと安心です。
情シス担当者の体制不足による運用課題
専任の情報システム担当者が少ない、あるいは不在の企業では、アラート対応が滞りやすくなる場合があります。それぞれの状況で起こりやすい課題を整理します。
情シス1人体制でアラート対応が回らないケース
情報システム担当者が1人しかいない体制では、通常業務とアラート対応を兼務することになり、対応が後回しになる場合があります。特に、複数のアラートが同時に発生した際には、どれから対応すべきかの判断に時間がかかり、対応の遅れにつながることがあります。原因は担当者の業務量だけでなく、優先順位を判断する基準が整理されていないことも関係します。
この課題への対応としては、アラートの重要度を自動的に分類する機能を活用する方法や、一次対応を外部のサービスに任せる方法があります。自社の体制にあわせて、どこまでを内製化し、どこから外部委託するかを整理しておくと、担当者一人への負担を抑えやすくなります。
情シス不在でアラートが放置されるケース
専任の情報システム担当者がいない企業では、アラートが発生しても確認されないまま放置される場合があります。原因は担当者の不在だけでなく、アラートの通知先が明確でないことや、確認の責任範囲が決まっていないことも関係します。放置が続くと、対応が必要な事象を見落とすリスクが高まります。
対応策としては、アラートの通知先を複数の担当者やチームに設定し、確認漏れを防ぐ仕組みを整えることが有効です。また、外部の監視サービスと連携し、一次確認を委託する選択肢も検討できます。委託する場合は、対応範囲や連絡のタイミングを事前に取り決めておくことが望ましいでしょう。委託先からの連絡を受け取る担当者を複数名指定しておくと、休暇や体調不良の際にも確認漏れを防ぎやすくなります。
多拠点運用でのポリシー管理の課題
複数の拠点を持つ企業では、拠点ごとにセキュリティポリシーの設定がばらつき、管理が混乱するケースが見られます。要因と改善の進め方を整理します。
拠点ごとにポリシーがばらつく要因
拠点ごとに異なる担当者が個別にEDRの設定を行うと、隔離の条件や除外設定の範囲が拠点によって異なる場合があります。要因は担当者間での情報共有が不十分であることや、全社共通の設定方針が定められていないことなど、複数の要素が関係します。ポリシーがばらつくと、拠点によって検知の精度や対応の速さに差が生じるおそれがあります。
この課題を防ぐためには、拠点間で設定内容を統一するための基準を明文化し、変更を行う際の承認フローを整えることが有効です。管理画面上ですべての拠点の設定状況を一覧で確認できるかどうかも、統制を取るうえでの確認事項になります。
ポリシーを統一するための進め方
ポリシーを統一する際は、まず全拠点で共通して適用する基本方針を定め、拠点固有の事情がある部分のみ個別調整を認める進め方が現実的です。すべてを一律にすると、拠点特有の業務システムとの相性で誤検知が増えるおそれもあるため、柔軟性とのバランスを検討する必要があります。
また、ポリシーの変更履歴を残し、いつ誰がどの拠点の設定を変更したかを確認できる仕組みを整えておくと、後から問題が発生した際の原因特定がしやすくなります。定期的に全拠点の設定状況を棚卸しする運用も有効です。棚卸しの結果は本社の情報システム部門と各拠点の担当者双方で共有し、認識のずれがないかを確認する機会にするとよいでしょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でEDRの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
外部SOCとの連携における運用課題
外部のセキュリティ監視サービス(SOC)と連携して運用する企業では、社内担当者との対応方針の食い違いが課題になる場合があります。要因と改善の進め方を整理します。
対応方針の食い違いが起こる要因
外部SOCと社内の情報システム担当者の間で、アラートへの対応基準や連絡のタイミングについて認識が異なると、対応方針が食い違う場合があります。要因は、契約時に対応範囲や判断基準を十分にすり合わせていないことや、緊急時の連絡ルートが明確でないことなど、双方に関係する複数の要素が考えられます。
食い違いが続くと、重要なアラートへの対応が遅れたり、逆に必要のない対応が実施されたりするおそれがあります。契約段階で対応方針をすり合わせるだけでなく、運用開始後も定期的な認識合わせの機会を設けることが望ましいでしょう。
役割分担を明確にする進め方
外部SOCと社内担当者の役割分担を明確にするためには、どの段階までを外部が対応し、どこから社内で判断するかを文書として取り決めておくことが有効です。緊急度の高いアラートについては、連絡から対応開始までの目安時間もあわせて確認しておくと安心です。
また、定期的な報告会や振り返りの機会を設け、実際の対応事例をもとに役割分担が機能しているかを確認する運用も有効です。認識のずれが見つかった場合は、その都度取り決めを見直すことで、連携の質を維持しやすくなります。
運用を継続的に改善する
EDRの運用は導入時の設定だけでなく、継続的な見直しによって質を保つことが大切です。ナレッジ共有と定期的な見直しのポイントを整理します。
ナレッジ共有と引き継ぎ体制の整備
特定の担当者だけが対応方法を把握している状態は、その担当者が異動や退職した際に運用が滞る要因になります。対応手順や過去の事例を記録として残し、複数人が参照できる形で共有しておくことが望ましいでしょう。
また、新しく担当になった人が短期間で運用に慣れられるよう、操作マニュアルや過去のアラート対応履歴を確認できる仕組みを整えておくと、引き継ぎの負担を抑えやすくなります。定期的な勉強会やマニュアルの更新を運用ルールに組み込んでおくと、記録が形骸化することを防ぎやすくなります。
定期的な運用見直しの重要性
運用開始時に決めた対応ルールは、業務環境の変化にあわせて見直す必要があります。拠点の増減や担当者の異動があった際には、ポリシーや役割分担が実態にあっているかを確認する機会を設けることが有効です。
見直しの機会を定期的なスケジュールとして組み込んでおくと、問題が大きくなる前に気づきやすくなります。運用状況をレポートとして可視化できる機能を活用し、振り返りの材料として活用する方法もあわせて検討するとよいでしょう。振り返りの際は、担当者個人の判断だけに頼らず、複数人で議論して改善点を洗い出す進め方が、属人化を防ぐうえでも有効です。
運用体制の課題を補いたい場合に検討したいEDR製品
情シス担当者の人数や多拠点でのポリシー管理、外部SOCとの役割分担など、運用面での課題を抱えやすい場合は、監視や一次対応を任せられるサービスも選択肢になります。ここでは、運用体制の補完という観点で比較検討の参考になる製品を紹介します。
ESET PROTECT MDR
- 業界最速のMDRレスポンス ※ESET社調べ
- エンドポイントのセキュリティ対策をひとまとめで任せられる
- 24×365でキヤノンMJグループが日本語対応!安心して任せられる
キヤノンマーケティングジャパン株式会社が提供する「ESET PROTECT MDR」は、EDR機能に専門アナリストによる監視・分析を組み合わせたマネージド型のセキュリティサービスです。アラートの一次対応をアナリストに任せられるため、情報システム担当者が1人しかいない、あるいは専任者がいない体制でも、対応の遅れを抑えながら運用を続けやすくなります。
PSC EDRマネージドサービス
- EDRアラートを24時間365日体制で監視・分析
- アラート検知後、15分以内に一次報告を実施
- 運用状況を月次で可視化、セキュリティ改善を提案
株式会社ピーエスシーが提供する「PSC EDRマネージドサービス」は、EDR製品の導入から運用監視までを任せられるマネージドサービスです。拠点ごとに担当者が個別に設定を行うことで生じやすいポリシーのばらつきについても、専門スタッフに相談しながら全社共通の運用方針を整理しやすくなります。
Aurora Managed Endpoint Defense (AMED)
- 専門家が24時間365日体制で調査・分析から対処までを完結
- チューニングによりお客様環境に合わせて製品の防御性能を最大化
- 同一ベンダだからこそのワンストップモデルによる安心と低コスト
NTTセキュリティ・ジャパン株式会社が提供する「マネージドセキュリティサービス エンドポイントセキュリティ」は、エンドポイントの監視や検知対応を専門チームが支援するマネージド型のサービスです。外部の監視体制と社内担当者の役割分担をあらかじめ相談しながら整理できるため、対応方針の食い違いを防ぎやすくなります。
SecureworksTaegisXDR (セキュアワークス株式会社)
- ATT&CK 98%以上カバーでリスク低減
- AI分析と脅威インテリジェンスで高度な脅威を検知。
- 米国・英国政府認定のインシデント対応プロバイダー
CortexXDR (JBサービス株式会社)
- MITRE ATT&CK評価で100%検出率。設定変更・遅延なし。
- AIと自動化でSOC効率化、アラート98%削減
- 統合型XDRエージェントでマルチクラウド組織を保護
まとめ
EDRの運用は、情シス体制の人数や多拠点でのポリシー管理、外部SOCとの役割分担など、複数の要因によってつまずきやすくなります。導入前に運用イメージを具体化し、継続的な見直しの仕組みを整えることが、運用を安定させるうえで重要です。資料請求を活用し、自社の運用体制にあう製品を比較検討してみてください。


