社員研修の4つの目的
まずは、社員研修の4つの目的について見ていきましょう。
1 個人の成長を促す
社員研修の最大の目的は「社員個人の成長を促し、企業の利益に繋げること」です。
企業は社員で構成されているため、社員個人の成長は企業が成長することを意味します。結果として、成長した企業は目的を達成して利益を生み出しやすくなるでしょう。
実際の仕事に対する行動を変容させることも、社員研修の大きな目的です。研修で学んだことや習得したスキルを現場で実践できなければ意味がありません。また行動が変容・改善されることで、社員が生み出す結果も変わるでしょう。
研修を実施するときは、社員の行動をどのように変えたいのか、目的を明確にすることが重要です。自社の課題を見つけ、研修を受ける社員に問題意識を持たせなければなりません。具体的な研修の内容には「ビジネスマナー習得」や「コミュニケーションスキル習得」があります。
2 ビジネスマナーの習得
主な研修内容は敬語や正しい日本語の使い方、名刺交換、身だしなみなどが当てはまるでしょう。社会人として仕事をすると取引先や営業先など他社の人と関わるシーンも多いです。
社員は会社の看板であるため、ビジネスマナーができているかどうかがそのまま会社の評価にも繋がってしまいます。したがって、社員研修でビジネスマナーを習得するのが一般的です。
中途社員と違い新卒社員は社会人経験がありません。当然ビジネスマナーを習得していないため、社会人として活躍できるように教育する必要があります。社会人に必要なスキルを身につけ成功体験を積ませることで、早期退職を防止する役割もあります。
3 コミュニケーションスキルの習得
会社の業務のほとんどはコミュニケーションによって成り立っており、円滑に仕事を進めるうえで欠かせません。ビジネスにおけるコミュニケーションでは「聴く」「訊く」「伝える」という3つのスキルがよく使われます。社員研修では以下のようなスキルを習得することが可能です。
- ■聴く
- 相手の立場になり、伝えたいことを理解できるように話を聞くこと。信頼感を得られるスキルであり人間関係を構築する上で重要。
- ■訊く
- 仕事に必要な内容を質問すること。自分の役割を意識して相手と理解し合うために必要です。
- ■伝える
- ビジネスや業務の目的を意識して次のステップに繋げる行動を起こすこと。
4 自社事業への理解を深める
社会人として活動するときに「何のために働くのか」ということは非常に重要です。仕事をするモチベーションにも大きく関わってくるでしょう。自社事業への理解を深めれば、自分の役割や業務の意味も見えてきます。これにより会社の方針に沿った業務遂行の実現が期待できるでしょう。
研修の目標と評価基準の設定方法
つづいて、研修の目標と評価基準の設定方法を見ていきましょう。
4段階評価モデルを使う
研修の評価を行うときには、カークパトリックの「4段階評価モデル」を使うのが効果的です。4段階評価モデルでは反応・学習・行動・結果に分けて社員を評価します。また、評価の段階に合わせて目標設定も行ってください。
- ■Reaction:反応
- 第1段階は、研修にどのような反応を示したかを評価します。この段階の確認方法は、受講後に実施するアンケートなどです。研修を受けた社員が内容に満足しているかどうかや、良かった内容を評価してください。
- ■Learning:学習
- 第2段階は、研修内容を学習し知識として定着しているかどうかを評価します。具体的には研修の内容を把握しているか、しっかりと覚えているかどうかがポイントです。この段階の評価方法は、受講後に筆記テストや面談を通して評価します。
- ■Behavior:行動
- 第3段階は、研修内容を実際の行動として実践できているかどうかを評価します。学んだ内容は覚えるだけでなく、実践し行動を変えていかなければ意味がありません。この段階の評価方法は、研修から一定期間経過後に上司や同僚からの他社評価を通して確認します。
- ■Results:結果
- 最終段階は、学んだ内容を活かして結果を出しているかどうかを評価します。研修を受けた社員の業績が上がったかどうかで評価を行いますが、研修による効果を適切に判断するのは難しいです。
行動目標・評価条件・合格基準からなる目標設定モデルを使う
研修の目標設定を行うときは「行動目標」「評価条件」「合格基準」の3つの観点を使う方法もあります。
- ■行動目標
- 行動目標は、研修を受けた内容を実践する行動ベースの目標に落とし込むことです。具体的には「正しい敬語の使い方ができる」「PCをスムーズに操作できる」といったものが該当します。評価できる内容を設定するのがポイントです。
- ■評価条件
- 評価条件とは、行動目標を設定するときの基準や条件を明確にすることです。例えば「上司に確認しながら業務を進める」といった条件を決めましょう。
- ■合格基準
- 合格基準とは、どの段階まで目標を達成できれば合格とみなすかというラインです。例えば目標の80%以上達成すれば合格となる、といった基準になるでしょう。
社員研修のすすめ方
最後に、社員研修の進め方を見ていきましょう。
社内研修の場合
まずは研修の企画を行いスケジュールを決めて、適切なタイミングで実施してください。研修は以下の流れで企画します。社内で研修を行えば自社のニーズに合った内容を実施可能です。
- ■課題の明確化
- まずは研修によって改善が必要な自社の課題を明確にします。例えば、新入社員の基礎的なビジネススキルが基準に達していないなどです。このような自社の課題によって研修の内容は大きく変わります。
- ■目的と対象の決定
- 研修の企画を行うときは課題に沿って、目的を設定します。また誰に対して研修を実施するのかも決めましょう。
- ■目標設定
- 研修の目的が明確になったら、どの程度まで達成するのか目標を設定します。この目標によって、研修の期間や難易度などが変わってくるでしょう。
- ■研修内容の決定
- 最後に、具体的な研修内容を決めていきます。研修内容を決めるときは、具体的なイメージを持ち企画することが重要です。
以下で社員研修の一連の流れについて詳しく紹介していますので、ぜひ参考にして下さい。
社外研修の場合
研修を外部に委託すれば、自社で企画する必要がないため人事部門の手間が省けます。ほかにも研修結果を客観的に評価することができ、適切なフォローを行えるでしょう。
また、研修のノウハウを持つ専門家が研修の講師を担うため、質の高い研修が実現します。社内で研修を行う場合、講師を務める社員の中には教育になれていない人もいます。そのため、より確実に研修の目的を達成できるでしょう。社外の新鮮な意見を取り入れ、研修の視野も広げることも可能です。
研修の目的や目標を設定し自社の成長に大きく貢献しよう
自社のビジネスの品質を高めるために社員研修は必須です。ビジネスマナーやコミュニケーションスキルを習得することで、個人の成長を促せ、自社事業への理解を深められます。
研修は実施するだけでなく、実施後の評価や目標設定の体制も重要です。社外研修として外部に委託する方法もありますので是非自社にあった研修を選定しましょう。