階級別の社員研修
まずは、階級別の社員研修の種類を見ていきましょう。
新入社員向け研修
基本的な仕事の進め方を学び、社会人としての意識や自覚を持つことが目的です。新卒で入社した社員の大半は社会人経験がなく、ビジネスマナーや仕事の仕方が分かりません。そのため新入社員向け研修を行い、社会人としての土台を作っていきます。今後の社会人としての生き方に大きな影響を与えるので、重要度は非常に高いです。
新入社員向け研修は具体的な業務の進め方以外にも、以下のような内容を実施します。
- ■ビジネスマナー研修
- 名刺交換や敬語の使い方、社会人としての人との接し方を学んでいきます。
- ■ビジネスマインド研修
- ビジネスマンとしての意識や自覚、心構えを学んでいきます。
- ■業界・会社の基礎知識
- 自社が属する業界の基本的な知識、会社の歴史や役割、目標を学んでいきます。
若手・中堅社員向け研修
2年目から3年目の社員は若手、4年目以降の社員は中堅と呼ばれ、それぞれの役目に合わせた研修を行います。新入社員のような基礎能力だけでなく、応用力を身につけることができます。
■セルフマネジメント研修- 自己管理能力や人間関係構築能力を向上させます。
- ■リーダー・フォロワーシップ研修
- 管理職に向けて必要な能力を向上させる研修以外にも、社員を教育する研修
- ■OJTトレーナー研修
- 若手を教育するための研修
- ■キャリアマネジメント研修
- 今後のキャリアを考える研修
- ■問題解決力研修
- 新たな課題に対して課題を解決する力を身に着ける研修
管理職向け研修
管理職向けの研修では、マネジメント能力を向上させることを目的にしています。個人だけでなく組織の成功も考えていかなければなりません。結果を出すために指導・育成を行うので、責任感や負担も大きくなります。
従業員や組織などの「ヒト」以外に、会社の資産や情報の管理も必要です。そのため管理職になると、自分だけでなく全体を見渡した管理能力が求められます。実施する研修の内容は以下のようなものが多いです。
- ■リーダシップ研修
- リーダーとしての責任感を持ち、組織の目標達成へ導くための能力を向上させます。組織の生産性を高めるための方法やリーダシップを身につけることが目的です。
- ■コーチング研修
- 管理職になれば部下がいるので、モチベーションを高めて業績を向上できるように指導しなければなりません。効果的な指導方法やコミュニケーション方法を学びます。
- ■マネジメント研修
- 管理職の役割を認識し、組織を管理する方法を取得します。
目的別の社員研修
つづいて、目的別の社員研修の種類を見ていきましょう。
コミュニケーション研修
コミュニケーション能力を向上させるために実施する研修は、短期間で効果が現れやすいです。研修ではコミュニケーションの必要性や効果的に実施する方法を学びます。従業員のコミュニケーション能力が向上すれば、意思疎通をしやすくなるので業務効率が向上しやすいのです。
チームビルディング研修
チームビルディング研修は、目標を達成できるチームを作ることが目的です。良いチームに求められる要素や、チームで行動する体制を主に学びます。研修を実施することで組織の団結力を高め、連携により一人ではできない目標の達成が可能となるでしょう。実際にチームで動き、成功体験を作るといった研修も行います。
営業研修
営業研修は営業の成果を上げ、売上目標を達成することが目的です。業績を上げるためには、コミュニケーションやプレゼン能力が必要になるでしょう。他には以下のような内容のプログラムが多いです。
- ■商材や業界の理解
- ■モチベーションの向上と維持
- ■問題解決能力の向上
営業に必要な要素を再確認して、実践的な訓練を行っていきます。実践形式でロールプレイングを行うことで、実際の業務に活かしやすいです。
形式別の社員研修
実際に社員研修を行う際の形式の種類を紹介します。
OJT
OJT(On-the Job-Traning)とは、実際の業務を通してスキルアップを目指す教育研修になります。通常業務を進めながらおこなう研修で、業務の流れを掴みながら仕事を覚えることができるので、多くの企業で行われている手法になります
Off-JT
Off-JT(Off the Job Traning)とは、OJTと異なり、通常の業務から離れておこなう研修になります。セミナー、講演会、オンライン教材などがOff-JTに当たります。
グループワーク
グループワーク、1つのお題(テーマ)に対してチームで協力しながら取り組む研修方法になります。グループワークは、作業型とプレゼン型に分かれます。
作業型はコミュニケーション活性化のために行い、プレゼン型は問題可決能力やビジネスセンスを図ることができます。
ロールプレイ・ケーススタディ
実際にお客様役と営業役など社員同士で演技をし合い、日常に起こる課題やその対応方法を事前に学ぶことです。柔軟な対応ができるようになります。ちなみに役になりきって行うことを「ロールプレイ」、場面に合わせてどんな対応をすべきか考え行動することを「ケーススタディ」と言います。
e-ラーニング
ネット環境があれば誰でも簡単に映像から研修が受けられる形式です。近年ではオフィスにいなくても質の高い研修を受けられることから、多くの企業や大学がこのサービスを利用しています。
座学
これは社外研修に多く見られる形で、専門的な知識をもった講師に授業をしてもらう形です。授業型ともいわれています。社員参加型ではないため、あまり長い講義だと社員の集中力が低下する可能性があるでしょう。
レクリエーション
これは特に社内の新人研修で行われます。受講者の体や心をほぐすレクリエーションを行うことで、社員同士のコミュニケーションも円滑にでき、今後の研修の進行にも大きく貢献するのです。
社員研修の実施方法
最後に、社員研修の実施方法を見ていきましょう。実施方法は社内で研修する「社内研修」、と社外の研修サービスに委託する「社外研修」で変わってきます。ではそれぞれ見ていきましょう。
自社で企画し実施する社内研修
社内研修つまり「OJT:On the job Training」(社内研修)を実施する場合は、以下の手順を押さえておきましょう。
- ■課題を明確化する
- まずは、社内の現状を把握し改善するべき課題を明確にします。例えば、無駄なコストの発生や、営業の成績が悪いことなどが該当するでしょう。
- ■目的と対象を決める
- 次に研修の目的と対象を検討し決定します。どのような状態になってほしいか企画することで、研修の品質が向上するでしょう。
- ■目標を決める
- 研修を企画するときは、どこまで達成すれば良いのか基準を設定することが大切です。事前に習得する業務の一覧を整理する必要があります。
- ■研修内容を決める
- 最後に、研修の目的を達成できるように研修内容を決めていきます。課題・目的・目標を決めることで、具体的な研修内容を企画しやすくなるでしょう。
研修を内製化することで、自社の状況やその場の課題に合った研修を実施しやすく、育への関心が高い職場風土を形成できます。
社外にサービスを委託する社外研修
研修を社外へアウトソーシングする「off-JT」(社外研修)も、内製化と同様に課題や目的を明確にしてください。自社で研修を実施するよりも、企画する手間は省けます。しかし、課題を改善して目的を達成できる研修会社を慎重に選ばなければなりません。
研修を外注することで、人事部門の負担軽減や、教育のプロによる品質の高い研修を受けられます。他にも社内にはないノウハウを獲得できることもメリットでしょう。しかし、内製化よりも費用がかかることや、社内独自のノウハウなどは任せられない点に注意が必要です。
最適な社員研修を模索し、実施しましょう!
社員研修には階級と目的別に複数の種類があるので、状況に合わせて適切な研修を選ぶことが大切です。例えば、研修の対象によって習得するべきスキルは大きく変わります。他にも会社の課題に対して営業研修やコミュニケーション研修を実施すると良いでしょう。
また、研修は自社で企画する方法と外注する方法があります。自社にとって最適な社員研修とは何か、模索して実施しましょう。