ファイル暗号化4つのメリット
まずは、ファイル暗号化にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
1.サイバー攻撃時の被害拡大防止
ファイル暗号化を実施するとデータの保有者以外は閲覧できません。
現在ではウイルスの感染を始めとするサイバー攻撃の脅威が増しており、ファイルが奪われることがあります。何も対策をしていない状態でサイバー攻撃を受けると、重要なファイルの情報が流出してしまうでしょう。
ファイルに暗号化を施しておけば、ファイルが盗まれたとしても中身の情報は漏れません。サイバー攻撃を受けても被害は拡大しにくくなるため、セキュリティ対策の1つとして有効です。
2.記憶媒体紛失・盗難時の盗み見防止
ファイルを社外に持ち出すことで情報漏えいが発生する可能性があります。実際に、ファイルを保存している端末を紛失したり、盗難に遭ったりして情報漏えいすることは多いです。
このような場合でも、ファイルを暗号化していれば、失ったファイルの中身を盗み見られることはありません。人的ミスによる漏えいは防ぎにくいため、暗号化することで的確に情報を守りましょう。
3.メール誤送信時の情報漏えい防止
添付ファイルがあるメールを誤送信してしまうことで情報漏えいを起こすケースも少なくありません。ファイルをやり取りする方法はいくつかありますが、中でもメールで送信する機会は非常に多いです。
メールは送信する絶対数が多いため、ミスが発生する可能性も必然的に高くなるでしょう。そこで、ファイルを暗号化しておけば、メールを誤送信した場合でも情報漏えいを防げます。
暗号化したファイルを送信するときは、復号するパスワードは別に送信するのが共通認識となっています。
4.サイバーストレスの軽減
従来は紙で保管していた情報も、電子データ・ファイルの形式で扱えるようになってきました。電子ファイルへ移行すると業務は効率化しますが、同時に情報漏えいや不正利用されるリスクを含んでいます。このように管理する手間や悩みを「サイバーストレス」と呼びます。
暗号化すると手軽に情報漏えいリスクを低下させ、安全性を確保できるため、管理するストレスが軽減するでしょう。サイバーストレスによってファイルの管理コストは増えるため、暗号化は有効な手段といえます。
ファイル暗号化のデメリット
ファイルの暗号化により、さまざまなメリットを享受できますが、良いことばかりではありません。デメリットは以下のとおりです。
- 暗号化に明るくない人はファイルを復号するときにストレスがかかる
- 暗号化したファイルを扱うのは情報システムに詳しい従業員だけではありません。情報システムに関する知識が無い人が暗号化されているファイルを取り扱う場合、復号の方法が分からず心理的なストレスがかかります。
- 既存のファイルを暗号化すると時間がかかる
- 新しくファイルを暗号化する仕組みを導入する際には、社内にあるファイルを暗号化する時間が必要です。ファイルの暗号化に時間を取られ、本来やるべき業務が圧迫されるため注意しましょう。
ファイル暗号化導入の注意点
最後に、ファイル暗号化を社内に導入する際に注意すべき点を見ていきましょう。
暗号化データは復旧が難しい
ハードウェアを丸ごと暗号化すれば、全てのファイルが対象となるため、より安全性を高められます。しかし、保存しているハードウェアが故障してしまうと、データを復旧できなくなる可能性があります。
もしHDDなどに障害が発生すれば、通常のデータ復旧と暗号の復号の両方を実施しなければなりません。時間がかかるだけでなく、専用の復旧ソフトを使う必要があります。
ハードウェアが破損した場合、誤った方法でファイルを復旧させようとすると、データが壊れる可能性があるため注意してください。
ファイル暗号化単体では完璧な安全性を保てない
ファイル暗号化はセキュリティ対策の1つでしかなく、万能ではありません。
実際に、暗号化を実施しても完全な安全性を確保できないため、注意が必要です。例えば、不正アクセスやウイルスによってデータを盗まれた際、もしその犯人が高度な復元ソフトを持っていれば情報は読み取られてしまうでしょう。
そのため、暗号化した上でそもそも情報漏えいが起こらないように、対策を万全に行わなければなりません。
ファイル暗号化のメリット・デメリットを踏まえて導入しよう
ファイルを暗号化することで、主に情報漏えい対策を行えるメリットがあります。実際にサイバー攻撃の被害に遭ったとしても、ファイルの中身を悪用されるリスクを減らせます。他にもファイル暗号化はメールの誤送信対策にも有効です。
メリットは多いですが、ファイルを暗号化・復号するには時間がかかります。場合によってはデータを復旧できないこともあります。
メリットとデメリットを押さえて暗号化を導入しましょう。