クラウド型ロードバランサが解決するハードウェア型の問題点
■インフラ担当者が抱える共通の悩み
Webでのビジネスが中心である企業にとって一番避けなくてはならないのがWebサイトのシステム停止です。システム停止による販売機会損失は企業の業績に直結する上、信頼性の失墜によるダメージも少なくありません。そこで重要になるのがロードバランサ導入によるサーバの負荷分散です。
しかし単純にロードバランサを導入するといっても冒頭でも言及したように現状のトラフィック増にだけ対応できれば良い訳ではありません。自社の成長計画に基づき将来的なITインフラを見据えた選択が必要になります。
インフラの担当者にとって一番の難問はピーク時のトラフィック量の予測です。ここを見誤ってしまうと将来的なトラフィック増に対応できずシステム停止を起こしかねません。ハードウェア型を選択した場合は特にこの問題が顕著で、システム停止を恐れピーク時のトラフィック量に合せれば通常時はリソースが余ってしまい過剰投資となりコストが大幅に跳ね上がってしまいます。
できる限りコストを抑えつつ、将来的なトラフィック増に対応する。そういったインフラ担当者の声に応えるべく、ここ数年で急速にシェアを伸ばしているのがクラウド型ロードバランサです。
クラウド型ロードバランサのメリット
クラウド型ロードバランサの最大のメリットは繁忙期などトラフィック量がピークになる時にだけリソースを追加するといった柔軟性を持った運用ができる点です。ハードウェア型では一旦、システムを増強すればトラフィックが減ったからといって返品するという訳にはいきません。クラウド型は契約によって増減が自由にできるため過剰投資を避け無駄なコストを抑えることができます。
もう一つのメリットは急激なトラフィック増への対応です。自社の商品がメディアで紹介される。SNSなどを通じ有名人がお勧めした時など繁忙期以外であっても急激にトラフィックが増えることは少なくありません。ハードウェア型はトラフィック増を予測した場合でもそこから追加の製品の発注、到着してからの構築、設定など稼働までに長いリードタイムを要します。
これでは突発的なトラフィック増に対応することはできません。しかしクラウド型であればライセンスを追加するだけですぐに対応が可能です。
クラウド型ロードバランサのデメリット
低コストでトラフィックの増減にも柔軟な対応ができるクラウド型ロードバランサですが、デメリットがない訳ではありません。その一つがセキュリティです。グローバルなネットワーク上のサーバーに設置されるクラウド型は自社サーバでハードウェア型を運用するのに比べればその信頼性には不安が残ります。またクラウド型で海外にもサーバが設置されている場合は万が一情報漏えいなどがあった場合、現地の法令に従うため情報統制できない可能性もあります。
さまざまなサーバ攻撃や情報漏えいに対する対策の重要性が叫ばれている昨今、これらに不安を残すことは大きなデメリットだといえます。もちろんセキュリティ対策に関しても万全の体制を敷いているサービスは多いですが、自社で管理できないという点においてサービス選択の際には、十分な検討が必要です。
以前はハードウェア型と比べクラウド型はパフォーマンスが低いといった声もありましたが、現在ではクラウド型であってもほぼ遜色ないパフォーマンスを発揮するものが増えています。ロードバランサ導入の際にはセキュリティ対策をしっかりと考慮の上、低コストで柔軟な対応が可能なクラウド型を検討してみてはいかがでしょうか。