無料で使えるマルチホーミングとは
無料で使えるマルチホーミングとは、ライセンス料金のかからないソフトウェアや既存機器を活用し、複数のインターネット回線を切り替える仕組みです。費用を抑えて検証できますが、回線契約や機器、構築作業には別途コストが発生します。
複数回線で通信を冗長化する仕組み
マルチホーミングとは、社内ネットワークを複数のインターネット回線へ接続する仕組みです。主回線で障害が起きた場合に副回線へ切り替え、通信停止のリスクを抑えます。
平常時には複数回線へ通信を振り分け、負荷を分散する構成も可能です。ただし、利用できる切り替え方式や負荷分散の精度は、ルーターやソフトウェアによって異なります。
無料になるのはソフトウェア費用
無料で導入できる範囲は、主にルーターソフトウェアのライセンス費用です。マルチホーミングには、少なくとも複数のインターネット回線と対応機器が必要になります。
そのため、マルチホーミング環境全体を費用ゼロで運用するのは困難です。無料ソフトウェアを利用する場合も、機器の購入費や保守費、担当者の作業時間を含めて検討しましょう。
| 費用項目 | 無料にできる可能性 | 確認事項 |
|---|---|---|
| ソフトウェア | 無料版やオープンソースを利用可能 | 法人利用条件や更新方法を確認する |
| インターネット回線 | 原則として有料 | 異なる通信事業者や経路を選ぶ |
| ルーター用機器 | 既存機器を使えれば追加費用を抑えられる | 複数のWANポートに対応しているか確認する |
| 構築や運用 | 自社で対応すれば外注費を抑えられる | 担当者の工数や技術習得費を見込む |
無料トライアルとの違い
無料ソフトウェアと無料トライアルでは、利用できる期間や支援内容が異なります。無料ソフトウェアは継続利用できる場合がある一方、設定や障害対応を自社で行う必要があります。
無料トライアルは期間が限られるものの、商用製品の管理画面や切り替え機能を確認できます。試用後に有料契約が必要になるため、終了日や自動更新の有無も確かめてください。
無料のマルチホーミングでできること
無料の方法でも、回線障害を検知した際の切り替えや、通信先に応じた経路指定を行える場合があります。まずは検証環境で基本機能を確認し、自社の通信量や業務要件に対応できるかを判断することが重要です。
障害時に副回線へ切り替える
主回線の疎通を監視し、応答がなくなった場合に副回線へ通信経路を変更できます。オンライン会議やクラウドサービスを利用する企業では、回線障害による業務停止の範囲を抑えるために役立ちます。
ただし、切り替え時に通信セッションが切れる場合もあります。Web会議や仮想私設網を継続できるか、実際の業務環境に近い条件で試験しましょう。
複数回線へ通信を振り分ける
対応するソフトウェアでは、複数の回線へ通信を分散できます。社員数の増加やクラウド利用の拡大により、特定回線へ負荷が集中している企業に適した機能です。
一方で、複数回線の速度を合算し、すべての通信を高速化できるとは限りません。通信単位で利用回線が決まる方式もあるため、負荷分散の仕様を確認する必要があります。
通信先ごとに経路を指定する
ポリシーベースルーティングに対応していれば、通信元や通信先、利用サービスに応じて経路を指定できます。例えば、業務システムは固定回線、一般的なWeb閲覧は別回線へ流す運用が可能です。
経路を細かく設定するほど管理は複雑になります。設定変更の履歴を残し、担当者以外でも構成を把握できるようにしておきましょう。
- ■フェイルオーバー
- 主回線の障害を検知した際に、副回線へ通信経路を切り替える機能
- ■負荷分散
- 複数の回線へ通信を振り分け、特定回線への集中を抑える機能
- ■経路制御
- 通信元や通信先、用途に応じて利用する回線を指定する機能
- ■回線監視
- 回線の応答状況や遅延を確認し、異常を検知する機能
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無料のマルチホーミングの制限
無料のマルチホーミングは、低コストで機能を試せる一方、構築や監視、障害対応を自社で担うケースが多くあります。通信停止が事業へ与える影響が大きい場合は、初期費用だけで判断せず運用体制も確認しましょう。
回線と機器の費用は発生する
ソフトウェアが無料でも、複数のインターネット回線を契約する費用は発生します。既存機器が複数回線に対応していなければ、ネットワークインターフェースを備えた機器も必要です。
予算を比較する際は、月額回線費や機器代に加え、電気代や交換部品、保守担当者の工数も含めましょう。初期費用が低くても、運用負担によって総費用が増える可能性があります。
構築に専門知識が求められる
無料ソフトウェアを利用する場合、インターフェースやゲートウェイ、名前解決、ファイアウォールの設定が必要です。設定に誤りがあると、回線障害時に切り替わらない恐れがあります。
また、外部から社内サーバへ接続する構成では、ネットワークアドレス変換や固定IPアドレスの扱いも検討しなければなりません。社内にネットワーク担当者がいない場合は、専門事業者への相談が現実的です。
保守や障害対応を自社で行う
コミュニティ版のソフトウェアでは、問い合わせ窓口や復旧支援が付かない場合があります。問題が起きた際は、ログや設定内容を確認し、自社で原因を切り分ける必要があります。
業務時間外にも通信を利用する企業は、夜間や休日の対応方法を決めておきましょう。担当者への負担が大きい場合、監視や保守を含む有料製品のほうが総費用を抑えられることもあります。
切り替え試験が欠かせない
設定画面で副回線が正常と表示されていても、実際の障害時に想定どおり切り替わるとは限りません。主回線のケーブルを外す試験や、通信事業者側の障害を想定した試験が必要です。
試験では、切り替え時間や業務システムへの再接続、主回線復旧後の戻り方を確認します。導入後も定期的に障害試験を行い、設定が有効か検証することが重要です。
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無料のマルチホーミングが向く企業
無料の方法は、ネットワーク知識をもつ担当者が在籍し、段階的に検証できる企業に向いています。反対に、通信停止が売上や顧客対応へ直結する場合は、保守を含む有料製品も候補に加えましょう。
小規模な環境で検証したい企業
拠点数や利用者数が少なく、まず回線切り替えの有効性を確認したい企業には適しています。使用していないパソコンや仮想環境へルーターソフトウェアを導入し、検証環境を構築する方法があります。
ただし、検証用機器をそのまま本番環境へ転用するのは慎重に判断してください。処理性能や故障耐性が不足すると、ルーター自体が通信障害の原因になる可能性があります。
ネットワーク担当者がいる企業
回線経路やファイアウォールを管理できる担当者がいれば、無料ソフトウェアを活用しやすくなります。トラブル時にログを確認し、原因を切り分けられる体制も必要です。
担当者が1人だけの場合は、休暇や退職によって運用を継続できなくなる恐れがあります。設定手順書や構成図を整備し、複数人で対応できる状態を目指しましょう。
停止影響が限定的な環境
社内の検証用ネットワークや、短時間の通信停止を許容できる拠点にも向いています。無料環境で切り替え方法や監視項目を確認したうえで、重要拠点へ展開する方法が考えられます。
受注システムや店舗決済、顧客向けサービスなど、停止の影響が大きい用途では注意が必要です。復旧時間の目標やサポート時間を決めてから、無料運用が適切か判断してください。
| 企業の状況 | 無料構築との相性 | 判断理由 |
|---|---|---|
| ネットワーク担当者が在籍 | 比較的向いている | 設定や障害対応を社内で進めやすい |
| 検証用の小規模環境 | 向いている | 費用を抑えて基本機能を試せる |
| 通信停止を許容できない | 慎重な判断が必要 | 保守や復旧支援が不足する可能性がある |
| ネットワーク担当者が不在 | 向いていない場合がある | 設定ミスや属人化のリスクが高まる |
無料から有料へ切り替える判断
無料環境で基本機能を確認できても、利用者や拠点が増えると運用負担も大きくなります。担当者の作業時間や障害時の損失を可視化し、有料製品へ切り替える時期を判断しましょう。
障害時の損失が運用費を上回る
まず確認したいのは、通信停止によって発生する損失です。社員がクラウドサービスを利用できない時間や、顧客対応が止まる時間をもとに影響を整理します。
想定損失が製品の利用料金や保守費用を上回る場合、有料製品へ切り替える合理性が高まります。金額だけでなく、信用低下や納期遅延といった影響も含めて判断しましょう。
設定や監視が属人化している
特定の担当者しか設定を理解していない場合、継続的な運用が難しくなります。拠点追加や回線変更のたびに担当者へ作業が集中すると、ほかの業務にも影響を与えかねません。
管理画面や遠隔監視、設定代行を備えた製品へ切り替えると、運用負担を抑えられる可能性があります。導入前に、どこまで提供会社へ任せられるか確認してください。
拠点や回線が増えて管理が複雑
複数拠点でマルチホーミングを運用すると、回線や機器、設定内容の管理対象が増えます。拠点ごとに異なる構成を採用すると、障害発生時の切り分けにも時間がかかります。
一元管理や設定テンプレートに対応した製品であれば、拠点間の構成を標準化しやすくなります。将来の拠点数も想定し、管理可能な範囲を超える前に切り替えを検討しましょう。
サポートと復旧時間を重視する
顧客向けサービスや店舗業務で利用する場合は、障害時の問い合わせ窓口が重要です。24時間の監視や機器交換、設定支援が必要かを整理してください。
有料製品でも、すべて同じサポートを受けられるわけではありません。受付時間や対応範囲、代替機の提供条件を比較し、自社の復旧目標にあう製品を選びましょう。
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無料で試せるマルチホーミング製品
無料でマルチホーミングを試す方法には、オープンソースソフトウェアと既存ルーターの活用があります。対応機能や必要な知識が異なるため、検証目的と社内の運用体制をもとに選びましょう。
pfSense Community Edition
pfSense Community Editionは、ファイアウォールやルーター機能を備えたオープンソースソフトウェアです。複数のWAN接続を利用し、フェイルオーバーや負荷分散を設定できます。
既存のパソコンや仮想環境へ導入できますが、対応するネットワークインターフェースが必要です。公式ドキュメントを参照し、名前解決やゲートウェイグループも含めて設定しましょう。
OPNsense Community Edition
OPNsense Community Editionは、ファイアウォールやルーティング機能を備えたオープンソースソフトウェアです。複数のゲートウェイをグループ化し、回線切り替えや負荷分散を設定できます。
固定回線とモバイル回線を組みあわせた構成も検討できます。ただし、対応機器やモデムを事前に確認し、障害判定の条件や切り替え後の通信も試験してください。
既存ルーターのマルチWAN機能
現在利用している法人向けルーターに複数のWANポートがあれば、追加ライセンスなしで回線冗長化を設定できる場合があります。まず型番とファームウェアの仕様を確認しましょう。
設定項目には、死活監視や優先回線、復旧後の切り戻しが含まれます。機能名がマルチホーミングではなく、マルチWANや回線バックアップと記載されていることもあります。
検証時に確認する項目
無料環境を評価するときは、回線が切り替わることだけでなく、実際の業務を継続できるか確認します。クラウドサービスや仮想私設網、IP電話など、利用中の通信を個別に試してください。
- ■切り替え時間
- 障害検知から副回線で通信を再開するまでの時間
- ■セッションの継続
- Web会議や業務システムへの接続が切断されるか
- ■切り戻し動作
- 主回線の復旧後に自動で元の経路へ戻るか
- ■通知方法
- 障害や回線切り替えを担当者が把握できるか
- ■処理性能
- 通常時や負荷集中時に必要な通信速度を確保できるか
有料のマルチホーミング製品
通信の安定性や運用支援を重視する場合は、有料製品も比較しましょう。製品によって、機器提供や設定支援、遠隔監視、セキュリティ機能の範囲が異なるため、総費用と管理負担を確認することが大切です。
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株式会社 USEN ICT Solutionsが提供する「ビジネスセキュリティ(VSR)nシリーズ」は、ルーター機能やセキュリティ機能を組みあわせて利用できる法人向けサービスです。オプションとしてマルチホーミングに対応しており、複数回線を用いた通信の冗長化を検討できます。機器の設定や監視、保守を含めて相談したい企業に適しているでしょう。
無料のマルチホーミングに関するよくある質問
無料でマルチホーミングを構築する際は、回線速度やモバイル回線の利用、切り替え動作に関する疑問が生じやすくなります。導入前によくある質問を確認し、検証計画へ反映しましょう。
- Q1:マルチホーミングは完全無料で利用できますか?
- ソフトウェアのライセンス費用を無料にできる場合はありますが、複数のインターネット回線や対応機器は必要です。構築や監視を自社で行う場合は、担当者の作業時間も発生します。費用を比較するときは、回線費や機器代、運用工数を含めてください。
- Q2:無料ソフトウェアでも自動切り替えはできますか?
- pfSense Community EditionやOPNsense Community Editionなど、フェイルオーバーに対応するソフトウェアがあります。ただし、障害の判定条件や切り替え先を正しく設定する必要があります。本番利用前に、実際の回線を停止させる試験を行いましょう。
- Q3:回線を2本にすれば通信速度は2倍になりますか?
- 必ず2倍になるわけではありません。負荷分散では、複数の通信を回線ごとに振り分ける方式が一般的です。1件のダウンロードや1回のWeb会議が、複数回線の速度を合算して利用できるとは限らないため、製品仕様を確認してください。
- Q4:固定回線とモバイル回線を併用できますか?
- 対応するルーターやモデムを用意すれば、固定回線の障害時にモバイル回線へ切り替える構成が可能です。ただし、通信容量や速度制限、電波状況に注意が必要です。副回線で継続したい業務を決め、必要な通信量を見積もりましょう。
- Q5:異なる通信事業者を選ぶ必要がありますか?
- 障害の影響を分散するには、異なる通信事業者や異なる物理経路を選ぶ方法が有効です。同じ通信事業者の回線を2本契約しても、上位設備や収容局が共通している場合は同時に停止する可能性があります。契約前に回線経路を確認してください。
まとめ
無料でマルチホーミングを試す場合は、オープンソースソフトウェアや既存ルーターを活用できます。ただし、回線や機器の費用、構築後の監視、障害対応まで無料になるわけではありません。まず検証環境で切り替え動作や業務への影響を確認し、運用負担が大きい場合は有料製品も比較しましょう。自社にあう機能やサポートを効率よく確認するには、各社の資料をまとめて資料請求する方法が便利です。



