マルチホーミングの基本機能とサービス範囲
マルチホーミングの基本機能は、複数回線を組み合わせて可用性を高める仕組みです。まずは基本的な機能とサービス範囲を丁寧に整理します。
| 機能区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 自動フェイルオーバー | 回線障害の発生時に別回線へ自動的に切り替える機能 |
| 負荷分散 | 複数回線にアクセスを分散させ、帯域を効率的に活用する機能 |
| 経路制御 | BGPなどの技術を使い、通信の経路を制御する機能 |
複数回線の組み合わせ方
マルチホーミングは、異なる回線事業者の回線を組み合わせることで、1本の回線に障害が発生しても通信を維持しやすくする仕組みです。組み合わせる回線数や事業者の選び方によって、その冗長性の水準は大きく変わります。
回線の組み合わせ方は、コストと可用性のバランスを踏まえて検討する必要があります。すべてを高水準にそろえると費用がかさむ場合があるため、自社の要件にあわせた設計が求められます。
提供される機能の範囲
マルチホーミングでは、回線の組み合わせに加えて、自動切替や監視などの機能があわせて提供される場合があります。どこまでの機能が標準で含まれるかはサービスによって異なります。
自社が必要とする機能が標準機能かオプション機能かを、契約前によく確認しておくことが重要です。想定外の追加費用を防ぐことにつながります。
自動フェイルオーバー機能
回線障害が発生した際に、自動で別回線に切り替える機能は、業務停止を防ぐうえで重要な役割を果たします。確認したい観点を整理します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 切り替えに実際にかかる時間 | 障害発生から切り替えが完了するまでの目安時間 |
| 切り替え条件の設定 | 応答速度やパケットロスなど、発動条件となる指標 |
フェイルオーバーの仕組み
自動フェイルオーバーは、回線の稼働状況を常時監視し、異常を検知すると自動的に別回線へ通信を切り替える仕組みです。切り替えにかかる時間はサービスによって異なります。
切り替え時に一時的な通信の乱れが生じる場合があるため、業務への影響度合いをあらかじめ具体的に確認しておくとよいでしょう。
切り替え条件の設定
フェイルオーバーが発動する条件は、回線の応答速度や、パケットロスの発生状況など、複数の指標をもとに設定される場合があります。条件の設定内容を確認しておくと、想定した通りに動作するかを事前に把握しやすくなります。
あわせて、切り替え後の通知が届く仕組みがあるかも確認しておくと、障害発生時の状況をより素早く把握しやすくなります。
負荷分散・帯域制御機能
複数回線を活用して通信を分散させる負荷分散機能と、通信の優先度を制御する帯域制御機能を整理します。
- ■Q:負荷分散とQoSはどちらも必要ですか?
- 用途によって異なります。回線の有効活用を重視するなら負荷分散、業務通信の安定を重視するならQoSが役立ちます。両方に対応しているサービスも見られます。
- ■Q:設定変更は自社で行えますか?
- 管理画面から自社で調整できる場合と、ベンダーへの依頼が必要な場合があります。契約前に具体的な操作範囲を確認しておきましょう。
- 複数回線への振り分け方式を確認する
- QoSによる優先度設定に対応しているか確認する
- 負荷分散の設定変更のしやすさを確認する
負荷分散(ロードバランシング)の仕組み
負荷分散は、複数回線に通信を振り分けることで、1本の回線に負荷が集中するのを防ぐ機能です。振り分け方式には、単純な均等分散や、回線の空き状況に応じた動的な分散など、いくつかの種類があります。
振り分け方式によって、実際の通信速度や安定性に差が出る場合があるため、自社の利用状況にあった方式を選ぶことが大切です。
帯域制御(QoS)による優先度設定
QoS機能を使うと、業務上重要な通信を優先させ、動画視聴など優先度の低い通信を制限することができます。回線が混雑する時間帯でも、重要な業務通信を安定させやすくなります。
優先度の設定は、通信の種類ごとに細かく調整できる場合とできない場合があるため、自社が想定する用途にあわせて事前に確認しておきましょう。
BGPによる経路制御機能
BGP(Border Gateway Protocol)は、複数回線を使う際の経路を制御するための技術で、通信の安定性に影響します。確認したい観点を整理します。
- 経路制御の設定を代行してもらえるか確認する
- 拠点数・通信量に応じた必要性を見極める
- 設定変更にかかる期間・費用を確認する
- ■Q:BGPを使うには専門知識が必要ですか?
- ある程度のネットワーク知識が必要になる場合があります。設定を代行してもらえるサービスもあるため、自社の体制や予算にあわせて検討しましょう。
- ■Q:BGP対応は中小企業でも必要ですか?
- 拠点数や回線数が少ない場合は必須ではありませんが、複数回線を柔軟に制御したい場合には、有効な選択肢の一つとなります。
BGP経路制御の仕組み
BGPは、複数の回線やネットワークの間で、状況に応じた経路を自動的に選択する技術です。経路制御に対応していると、回線ごとの状況にあわせて通信を柔軟に振り分けられます。
BGPの設定には専門知識が必要になる場合が多いため、設定を代行してもらえるかどうかをあらかじめ確認しておくと安心です。
経路制御が必要になる場面
複数拠点を持つ企業や、大量の通信を扱う企業では、経路制御によって通信の効率化や安定化が期待できます。拠点数や通信量が少ない場合は、必須ではないケースも考えられます。
自社の通信規模や将来の拡張計画を踏まえて、経路制御機能が本当に必要かどうかを判断するとよいでしょう。
回線品質の監視機能
回線の状態を継続的に把握するための監視機能は、安定運用を支える重要な要素です。確認したい観点を整理します。
- ■監視できる項目の範囲
- 応答速度、パケットロス率、帯域使用状況などが監視対象に含まれているかを確認します。
- ■データの保存期間
- 過去の傾向を分析できるよう、監視データがどの程度の期間保存されるかを確認します。
監視できる項目
回線品質の監視では、応答速度、パケットロス率、帯域使用状況などを継続的に確認できる場合があります。異常の兆候を早期に把握できると、障害が起きる前に対策を講じやすくなります。
監視できる項目の範囲や、データの保存期間はサービスによって異なるため、自社が必要とする情報がきちんと含まれているかを確認しましょう。
監視結果の活用方法
監視データをもとに、回線の利用傾向や、障害が発生しやすい時間帯を把握できると、今後の設備投資や契約見直しの判断材料となります。定期的にレポートを確認する運用を、あらかじめ取り入れるとよいでしょう。
異常検知時の通知方法や、通知を受けた後の対応フローもあわせて確認しておくと、実際の運用イメージをより具体的につかみやすくなります。
複数ISPの一括管理機能
複数の回線事業者と契約している場合、まとめて管理できる機能があると運用の負担を減らせます。確認したい観点を整理します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 対応可能なISP数・種類 | 自社が契約中または検討中の事業者に対応しているか |
| 管理画面の権限設定 | 複数人で細かくアクセス権限を分けられるか |
- 契約内容や請求情報をまとめて確認できるか
- 管理画面の操作性や表示範囲を確認する
- 権限設定の柔軟さもあわせて確認する
一括管理でできること
複数ISPの回線状況を一つの管理画面で確認できると、個別に確認する手間を省けます。契約内容や請求情報もまとめて管理できると、経理処理の負担もあわせて軽減されます。
管理画面の操作性や、表示できる情報の範囲は、サービスによって差があるため、実際の画面イメージを事前に確認しておくとよいでしょう。
一括管理を選ぶ際の確認点
一括管理機能を利用する場合、対応できるISPの種類や数に制限がある場合があります。自社が契約している、または契約を検討している事業者に対応しているかを事前に確認しておきましょう。
あわせて、管理画面へのアクセス権限を複数人で分けられるかどうかも、自社の運用体制にあわせて確認しておくとよいでしょう。
機能面を確認したいマルチホーミング製品
フェイルオーバーや負荷分散といった機能面を比較する際に候補となるマルチホーミング対応のネットワーク機器をご紹介します。
ビジネスセキュリティ(VSR)nシリーズ
- 業界最多クラスのセキュリティ機能の中から独自のカスタムが可能
- 管理者負担軽減!導入から運用、保守まですべて一括対応。
- 24時間365日の障害検知・切り分けから復旧対応までサポート!
株式会社 USEN ICT Solutionsが提供する「ビジネスセキュリティ(VSR)nシリーズ」は、複数の回線を組み合わせて利用できるルーター製品です。複数のインターネット回線を併用する構成に対応しています。フェイルオーバーや負荷分散といった機能の詳細な仕様、BGPによる経路制御への対応状況は、自社の要件にあわせて個別に確認することが重要です。回線品質の監視機能の有無についても、契約前にあわせて確認しておくとよいでしょう。
マルチホーミングの機能に関するFAQ
マルチホーミングの機能について、よくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:自動フェイルオーバー機能はどの製品にも備わっていますか?
- 製品によって対応状況が異なります。切り替えにかかる時間や条件は、契約前に個別に確認することが重要です。
- ■Q2:複数ISPの一括管理はどのように行われますか?
- 管理画面から複数回線の状況をまとめて確認できる製品もあります。監視機能の詳細は個別に確認するとよいでしょう。
- ■Q3:BGPによる経路制御機能はどのような場面で役立ちますか?
- 複数の経路を柔軟に制御できるため、通信の最適化や障害時の切り替えに役立ちます。
- ■Q4:負荷分散機能はどのように動作しますか?
- 複数回線に通信を振り分けることで、帯域を効率的に活用できます。対応方式は製品ごとに異なるため確認が必要です。
まとめ
マルチホーミングには、自動フェイルオーバー、負荷分散、BGPによる経路制御、回線品質の監視、複数ISPの一括管理など、さまざまな機能があります。自社に必要な機能を整理したうえで、標準機能とオプション機能の違いを確認しながら比較することが大切です。契約前の質問リストも活用しながら、資料請求で具体的な機能内容を確認してみてください。

