業種特有の事情が年末調整の委託に影響する理由
年末調整アウトソーシングは、従業員が申告書を期限内に提出することを前提に運用を組み立てる場合があります。勤務場所や勤務時間、従業員の入れ替わりといった業種特有の事情によっては、この前提が崩れる可能性があります。影響を与える主な要因を2つ紹介します。
勤務場所と勤務時間のばらつき
工場や店舗、建設現場など、事務所から離れた場所で働く従業員が多い業種では、案内や書類が本人に届くまでに時間がかかる場合があります。勤務時間がシフトや交替制で異なると、説明会の開催や一斉の配布も難しくなります。
委託先が用意する回収方法が、事務所で働く従業員を前提にしていると、こうした業種では提出が進まない可能性があります。導入前に、従業員がどこでいつ申告できるかを具体的に想定しておくことが大切です。想定した内容は委託先にも共有し、回収方法の提案を受けましょう。
従業員の入れ替わりの多さ
パートやアルバイトの比率が高い業種では、年の途中の入社や退職が発生しやすい傾向があります。委託先に渡した名簿の情報が古くなると、退職者に案内が届いたり、新しく入社した従業員に案内が届かなかったりする可能性があります。
年の途中で入社した従業員は、前職の源泉徴収票の提出も必要です。入退社の情報を委託先へ伝える時期と方法を決めておかないと、対象者の把握で混乱が生じる原因となります。前職分の源泉徴収票が届かない場合の対応も、委託先と相談しておきましょう。
製造業で申告書の回収が進まないケース
製造業では、2交替や3交替の勤務体制で工場を稼働させている場合があります。交替勤務の職場で年末調整アウトソーシングがうまく機能しない事例と、その原因を2つの観点から解説します。
交替勤務で案内が届きにくい
交替勤務の職場では、日勤の時間帯に案内を配布すると、夜勤の班の従業員が受け取れない場合があります。職場のリーダーに配布を任せても、班ごとに伝え方が異なると、提出期限を誤解する従業員が出る可能性があります。
対策として、班ごとに配布日と提出期限を設定し、案内文を共通化する方法があります。委託先に班単位の提出状況を報告してもらえると、提出が遅れている班へ重点的に声をかけられます。案内文は掲示板への掲示と個別配布を組み合わせると、見落としを減らせます。
共用端末や紙提出の運用が定まっていない
工場の従業員は業務でパソコンを使わない場合があり、Web申告を導入しても入力の手段がないケースがあります。休憩室に共用の端末を置く場合も、利用時間や個人情報の保護のルールが定まっていないと利用が進みません。
Web申告と紙の提出を併用できる委託先を選び、どちらの方法でも提出できるよう案内することが有効です。共用端末を使う場合は、入力後に自動でログアウトされる設定があるかも確認しましょう。操作に不安がある従業員向けに、休憩時間の相談窓口を設ける方法もあります。
小売チェーンと飲食チェーンで懸念されるトラブル
小売チェーンや飲食チェーンは、店舗が分散し、パートやアルバイトの比率が高い点が共通しています。導入の失敗や運用上のトラブルにつながりうるケースを3つ紹介します。店舗の規模や運営形態によって状況は異なるため、自社にあてはまるものを確認してください。
店舗ごとの回収状況が見えない
店舗ごとの提出状況を本部が把握できないと、締め切り直前になって未提出者が多数いることに気づくケースがあります。店長が回収を担う場合、店舗の繁忙状況によって対応に差が出る可能性があります。
導入前に、委託先の管理画面で店舗単位の未提出者一覧を確認できるかを確かめておきましょう。本部から店長へ進捗を共有し、提出期間の中間で催促を行う運用にすると、回収漏れを防ぎやすくなります。
掛け持ち勤務者の扱いを誤る
パートやアルバイトの中には、複数の勤務先で働いている従業員がいます。年末調整は、扶養控除等申告書を提出した主たる勤務先で行う手続きのため、自社が対象かどうかを確認する必要があります。
本人が申告書の提出先を理解していないと、複数の勤務先に提出してしまうケースも考えられます。案内文で掛け持ちの場合の注意点を説明し、判断に迷う従業員の質問を受け付ける窓口を委託先と決めておきましょう。採用時に他の勤務先の有無を確認しておくと、判断の材料となります。
年の途中の入退社で情報が古くなる
飲食チェーンなど入れ替わりの多い職場では、名簿を委託先へ渡した後にも入社や退職が発生します。名簿の更新が遅れると、退職した人へ案内が届いたり、新しい従業員が申告の対象から漏れたりする可能性があります。
委託先を比較する際は、名簿の追加や削除をいつまで受け付けるか、その都度の料金が発生するかを確認しましょう。社内でも、入退社の情報をまとめて委託先へ伝える担当と頻度を決めておくことが大切です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で年末調整アウトソーシングの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
建設業で書類回収に不具合が出るケース
建設業では、作業員が複数の現場を移動し、本社や事務所に立ち寄る機会が限られます。書類の回収に不具合が生じるケースと、雇用形態の区分に関する注意点を解説します。
現場との書類の往復に時間がかかる
本社から現場へ申告書を郵送し、記入後に返送してもらう運用では、書類の往復に日数がかかります。現場の移動や工期の都合で、書類が本人に届かなかったり、返送が遅れたりする可能性があります。
控除証明書が本人の自宅に届いている場合、現場では書類がそろわず、提出が期限を過ぎるケースも考えられます。スマートフォンから申告し、証明書を撮影して提出できる委託先を選ぶと、書類の往復を減らせる場合があります。紙の提出が残る場合は、現場事務所でまとめて回収する日を決めておきましょう。
日雇いや外注の作業員との区分を誤る
建設現場では、自社で雇用する作業員のほかに、日雇いで働く人や、外注として仕事を請け負う一人親方が働いている場合があります。日雇いの給与や外注先への報酬は、年末調整の対象とならないのが原則です。
対象者の区分を誤ったまま名簿を委託先へ渡すと、不要な案内が届いたり、対象者が漏れたりする可能性があります。雇用契約の有無や給与の支払い方法をもとに名簿を整理し、判断に迷う場合は税理士に確認しましょう。
現場ごとの回収担当が決まっていない
建設業では、現場の責任者が工程管理や安全管理で多忙な時期と、年末調整の回収時期が重なる場合があります。回収の担当者が現場ごとに決まっていないと、案内の配布や催促が後回しになり、提出が遅れる可能性があります。
対策として、現場ごとに回収の担当者を決め、本社の担当者と連絡を取る窓口を明確にしておきましょう。委託先から現場単位の提出状況を受け取れると、本社から担当者へ具体的に依頼できます。
業種別のトラブルを防ぐための事前準備
業種特有のトラブルは、導入前の準備によって防げる部分があります。委託先と回収方法を具体的に決めることと、過去の年末調整の課題を洗い出すことの2つに分けて、準備の進め方を紹介します。
業種にあう回収方法を委託先と決める
委託先を比較する際は、自社の勤務形態を具体的に伝え、どのような回収方法を提案できるかを確認しましょう。交替勤務や店舗分散、現場移動に対応した事例があるかを質問すると、委託先の対応力を判断する材料となります。
回収方法は、Web申告と紙の提出、現場や店舗での回収など、複数の手段を組み合わせる形が考えられます。どの手段で提出した場合も、提出状況を1つの一覧で確認できるかがポイントです。紙で提出された分をデータ化する作業を誰が担うかも、事前に決めておきましょう。
過去の年末調整の課題を洗い出す
前年までの年末調整で、どの部署や店舗、現場で提出が遅れたか、どのような不備が多かったかを整理しておきましょう。課題を具体的に委託先へ伝えることで、自社にあう案内文やスケジュールの提案を受けやすくなります。
導入初年度の終了後には、提出率や差し戻しの件数を委託先と振り返り、翌年の改善点をまとめることが大切です。振り返りの記録を社内で共有しておくと、担当者が替わっても改善を続けられます。
書類回収の滞りに備える年末調整アウトソーシング
申告書が集まりにくい業種でも運用を進められるよう、回収や督促、未提出者の管理まで任せられるサービスを選びました。
株式会社InfoDeliverのAI年末調整
- 全件AI解析とダブルチェックで確認作業を代行
- 入力ミスや漏れを検知し従業員への修正依頼まで対応
- 回収リマインドと進捗管理を自動化し追いかけ負担を削減
株式会社InfoDeliverが提供する「AI年末調整」は、AIと専門スタッフが書類解析から電子申告までを代行するサービスです。回収リマインドと進捗管理が自動化されているため、交替勤務や店舗分散で提出状況を把握しにくい場合でも、未提出者を追いかける負担を軽減できます。全件をAIで解析したうえでダブルチェックを行い、入力ミスや漏れがあれば従業員への修正依頼まで対応します。
ラクラス年末調整BPOサービス
- 証明書は入力不要、チェックもラクラスで対応
- 人事労務のプロが作り上げた「システム」と「業務」を一括で提供
- どんな従業員構成でも運用できる年末調整体制
ラクラス株式会社が提供する「ラクラス年末調整BPOサービス」は、システムと業務プロセス、問い合わせ対応までを一体で設計するアウトソーシングサービスです。申告書の配布・回収、従業員からの問い合わせ対応、未提出者への督促、申告書や証明書の確認、ファイリングまで対応するため、回収の遅れにつながる工程をまとめて委託できます。証明書は入力不要で内容のチェックも代行され、人事と従業員の双方の負担を減らす仕組みとして提供されています。
株式会社フルキャストホールディングスの年末調整事務代行サービス
- 熟練スタッフが対応して正確なデータ化を実現
- コストを最小限に抑えて業務軽減が可能
- 今までの運用を変えずに委託できます
株式会社フルキャストホールディングスが提供する「年末調整事務代行サービス」は、年末調整業務を前工程から後工程までトータルで任せられる業務代行サービスです。これまでの運用を大きく変えずに委託できるため、現場の提出手順をすぐに変えにくい業種でも導入を検討できます。人数規模を問わず委託でき、熟練スタッフが申告書のデータ化を担うため、社内で入力作業に割く工数の削減が期待できます。
手ぶら年調 (エムザス株式会社)
- 人事部は書類作成と問合せから解放され進捗管理のみで運用
- スマホで撮影・簡単入力、紙・ハンコ不要に
- アウトソーシングで定型業務を代行し繁忙期負荷を平準化
エスネットワークスの年末調整補助アウトソーシング(代行) (社会保険労務士法人エスネットワークス/税理士法人エスネットワークス)
- 専門スタッフが書類作成から確認まで丁寧に対応。
- 従業員の問い合わせ対応を代行し、業務工数と負担を削減。
- 専用回線設置などの安心できる個別サポート体制です。
まとめ
年末調整アウトソーシングは、業種特有の勤務形態に回収方法があっていないと、期待した効果が得られない場合があります。製造業は交替勤務への配慮、小売や飲食は店舗ごとの進捗管理と入退社の反映がポイントです。建設業では、現場からの提出手段と対象者の区分を確認しましょう。自社の課題を整理したうえで資料請求を行い、業種に対応した委託先を比較してみてください。

