ボイスボットとは
ボイスボットは、AIを活用して音声対話を自動化するシステムです。ユーザーの音声を認識し、自然言語処理(NLP)を用いて適切な応答を生成。対話エンジンにより発話内容を解析し、事前に設定されたシナリオやデータベースを参照して回答します。また、API連携により外部システムと接続し、予約管理やFAQ応答、顧客データの取得・更新など、さまざまな業務と統合できます。
IVRとの違い
IVR(自動音声応答)は、プッシュボタン操作でメニューを選択し、対応を進めるシステムです。一方、ボイスボットはAIを活用し、ユーザーの発話内容を理解して会話を進める点が大きな違いです。IVRは選択肢が限られるのに対し、ボイスボットは柔軟な対応が可能で、複雑な問い合わせにも適応できます。そのため、顧客体験を向上させつつ、オペレーターの負担を軽減できるのがメリットです。
ボイスボットの活用シーン
ボイスボットは、さまざまな業界で活用されています。例えば、コールセンターでは、よくある質問への自動応答や一次対応を行い、オペレーターの負担を軽減。また、病院の予約受付や変更、金融機関の口座残高照会、物流業界の配送状況確認などにも利用されています。さらに、24時間対応が可能なため、深夜や休日の問い合わせ対応にも活用可能です。
ボイスボットを活用するメリット
ボイスボットを活用すると、どのようなメリットが得られるのか解説します。
24時間365日の対応が可能
ボイスボットは、時間や曜日に関係なく、24時間365日対応できるのが大きなメリットです。特に、緊急性の高い業務やグローバル展開している企業にとっては、時差を気にせず対応できる点がポイントです。
顧客満足度の向上
ボイスボットは、顧客の問い合わせに対してスムーズかつ正確に対応できるため、利便性が向上します。従来のIVRのような複雑な番号入力は不要で、自然な会話形式で用件を伝えられます。また、過去のやり取りを参照したパーソナライズ対応も可能で、顧客一人ひとりに最適なサポートを提供可能です。待ち時間を削減できることも、顧客のストレスを軽減します。
業務の効率化とコスト削減
ボイスボットは、定型的な問い合わせを自動化します。FAQ対応や予約受付などの単純業務をAIが処理することで、オペレーターは複雑な案件に集中でき、対応品質の向上にも貢献。また、人件費の削減だけでなく、採用・教育コストの抑制にも寄与し、少ないリソースで効率的な顧客対応を実現します。
データ活用によるサービス改善
ボイスボットは、顧客との会話データを蓄積・分析できます。問い合わせの傾向を把握することで、よくある質問の最適化や対応フローの改善が可能。また、頻発する問題を特定し、商品やサービスの品質向上にも役立ちます。
ボイスボットの選び方
数多くのボイスボットから自社に最適な製品を見つけるために、以下のポイントを参考にしましょう。
導入目的と活用シーンに適しているか
ボイスボットを選ぶ際は、導入目的と活用シーンに適しているかを明確にすることが重要です。例えば、カスタマーサポートの自動化を目的とする場合と、予約受付を目的とする場合では、求められる機能が異なります。対応可能な業務範囲や、どの程度の精度で応答できるかを事前に確認し、自社のニーズに合ったものを選定することが重要です。また、将来的な拡張性も考慮するとよいでしょう。
対応チャネルは十分か
ボイスボットは、電話対応だけでなく、チャットやSNSなど複数のチャネルに対応できるものもあります。導入前に、顧客がどのチャネルを利用しているかを分析し、適したボイスボットを選ぶことが重要です。例えば、コールセンター業務なら電話対応が中心ですが、LINEやWebチャットとの連携も求められる場合があります。複数のチャネルで統一された対応ができるかも確認しましょう。
音声認識(ASR)や自然会話(NLPの性能)の精度は問題ないか
ボイスボットの品質は、音声認識(ASR)や自然言語処理(NLP)の精度によって大きく左右されます。誤認識が多いと顧客のストレスになり、逆に業務負担が増えてしまう可能性もあります。そのため、異なるアクセントや話し方に対応できるか、専門用語の認識精度が高いかを確認することが重要です。導入前にはデモやトライアルを活用し、実際の使用環境での精度をチェックしましょう。
既存システムと連携可能か
CRMやFAQシステム、予約管理システムなど、既存の業務システムとスムーズに連携できるかも重要です。連携が不十分だと、データの二重管理や業務フローの複雑化を招き、かえって業務負担が増える可能性があります。API連携のしやすさや、既存システムとの互換性を事前に確認しましょう。
ボイスボットの費用相場
ボイスボットの料金体系は「月額従量課金型」と「月額固定費用型」に分かれます。どちらのタイプが適しているかは、利用頻度や必要な機能によって異なります。
- ■月額重量課金型
- ●応答1件あたり:50円~200円程度
- ●初期費用:サービスによって異なる
- 利用量に応じた柔軟な料金設定が特徴で、問い合わせ件数が少ない企業に適している
- ■月額固定費用型
- ●月額:10,000円〜350,000円程度
- ●初期費用:100,000円〜
- 一定のコストで運用できるため、問い合わせ件数が多い企業に向いている
また、シナリオ設計やカスタマイズを行う場合は、追加料金が発生することがあるため、事前に確認が必要です。ボイスボットは機能やAIの精度によって価格差が大きいため、導入前に見積もりを依頼し、自社に最適なプランを選びましょう。
おすすめのボイスボットを比較
ここでは、多種多様なボイスボットを紹介します。自社のニーズに最適なボイスボット選びにお役立てください。
AIコンシェルジュ
AIコンシェルジュは、株式会社TACTが提供するAI搭載の自動応答サービスです。同社の長年のコールセンター運営ノウハウを活かした自社開発の対話エンジンを採用。AIが問い合わせ内容を解析し、最適な回答を音声合成で提供します。また、日本国内のデータセンターを活用し、高い堅牢性・機密性を確保しています。
MOBI VOICE
MOBI VOICEは、モビルス株式会社が提供するボイスボットで、比較的安価に導入可能な自動音声応答システムです。シナリオ作成やダッシュボード機能を備え、問い合わせ内容のトレンド分析やコールセンターマネジメントにも活用可能。MOBI BOTやVisual IVRと組み合わせることで、業務を総合的に効率化できます。テキスト化された通話内容を必要に応じて確認・修正でき、品質向上を支援。最大1,000件の同時着信に対応し、大規模な問い合わせにも対応可能です。
LINE WORKS AiCall VOICEIVR
LINE WORKS AiCallは、LINE WORKS株式会社が提供するAI搭載IVRソリューションです。AIが入電の一次対応を行い、案件を自動で分類。最大200の振り分け先へ適切に誘導します。PBXやCRM、LINEやSMSとの連携もスムーズで、アフターフォローやセルフメンテナンスも容易に行えます。
AI電話サービス
AI電話サービスは、NTTドコモが提供するボイスボットで、受電と架電の両方に対応します。予約受付やFAQ対応、支払い督促、在宅確認など幅広い用途で活用できます。RPAやCRM、チャットツールと連携し、電話応対業務を自動化。既存システム側の開発不要でスムーズに導入可能です。また、架電機能を活用したリマインド通知や高齢者の見守りなど、自治体にも適しています。
commubo
ソフトフロントホールディングスが提供する「commubo」は、クラウドベースのため既存の電話機やスマートフォンに簡単に導入可能です。IP電話システムに内線接続でき、導入コストも抑えられます。音声認識・会話AI・音声合成をすべてシステム内で処理し、外部通信なしで高いセキュリティを実現。Webダッシュボードでシナリオ編集や会話確認ができ、運用の内製化にも適しています。
AI Messenger Voicebot
AI Messenger Voicebotは、AI Shiftが提供するボイスボットで、オペレーター転送やSMS・メール・LINE送信機能を搭載し、自然な顧客対応を実現します。SalesforceやZendesk、Slackなどのシステム連携に加え、個別のデータベースとの連携も可能です。カスタム音声合成やFAQ検索、予約対応、修理受付など多用途に対応。導入後のAIチューニングまで支援する手厚いサポートも特徴で、電話応対業務のDXを促進します。
PKSHA Voicebot
PKSHA Voicebotは、PKSHA Communicationが提供するボイスボットで、ノーコードで対話フローを作成可能です。聞き返しやSMS送信を組み込めるほか、ローコードで外部システムやデータベースと連携し、顧客情報参照や在庫確認を自動化できます。また、固有名詞の辞書登録やアウトバウンドコールにも対応し、電話番号や注文番号の抽出・記録機能など業務効率化を支援する多機能なソリューションです。
まとめ
ボイスボットは、AIを活用して電話対応等を自動化し、業務の効率化やコスト削減、顧客満足度の向上に貢献します。
選定時には、対応チャネルや応対精度、既存システムとの連携などを考慮することが重要です。また、料金体系も「月額従量課金型」と「月額固定費用型」があり、利用規模や予算に応じて適切なプランを選びましょう。顧客対応の効率化に課題を感じている場合は、この記事を参考に自社に最適なボイスボットを見つけてください。