ADCの連携エラーが起こる連携先の整理
ADCは複数の機器やサービスの間に置かれるため、連携の数だけエラーの要因も増えます。連携先ごとの特徴を整理し、確認の順番を決めておきましょう。
| 連携先 | 起こり得るエラー | 主な確認点 |
|---|---|---|
| クラウド | 振り分け先の追加や削除が反映されない | 通信の許可設定と台数の変動への追従 |
| Webサーバー | 接続の失敗、応答の遅れ | 待ち時間の設定と応答の状態 |
| API | 呼び出しの拒否、認証の失敗 | 回数の上限と認証情報の期限 |
| IDaaS | 認証後の情報が反映されない | 連携方式と属性の対応づけ |
ADCが連携する相手を確認する
ADCは、利用者とサーバーの間に置かれ、通信の振り分けや暗号化の処理、不正な通信の検査を担う装置やソフトウェアです。そのため、Webサーバーやクラウド、認証の仕組みなど、複数の相手と接続します。
接続先が増えるほど、設定の整合を保つ作業も増えます。上の表のように連携先を一覧にして、どの機能がどの相手とつながっているのかを整理すると、エラー時の調査範囲を絞りやすくなります。一覧は構成の変更にあわせて更新しましょう。
要因を製品側、自社側、連携先側に分ける
連携エラーは、ADCの製品側、自社の設定や運用、連携先のサービスやサーバーのいずれにも要因があり得ます。一つの要因に決めつけると、確認が遠回りになる場合があります。要因ごとに担当を決めておくと、動きが速くなります。
製品側は提供会社の公開情報、自社側は設定変更の記録、連携先は担当部門や提供元の情報を確認しましょう。三方向で見ると、責任の所在があいまいなまま調査が止まる事態を避けやすくなります。確認結果は共有の記録に残しましょう。
切り分けの手順を決めておく
エラーが起きたときは、いつから起きたか、どの通信で起きたか、直前に変更があったかを順に確認します。ログには、接続の失敗や応答の状況が残る場合があります。時刻のずれがあると、複数機器のログを照らし合わせにくくなります。
確認の順番を手順書にしておくと、担当者が変わっても対応できます。選定の段階でも、ログの項目や保存期間、通知の仕組みを比べておくと、導入後の調査が進めやすくなります。ログの出力レベルも、あわせて確認します。
クラウドやWebサーバーとの連携エラーの確認
クラウドやWebサーバーとの接続は、ADCの利用で基本となる連携です。通信の許可、待ち時間、情報の引き継ぎの3点を順に見ていきます。
クラウド環境との連携で起こる不具合を知る
パブリッククラウドでは、サーバーの台数が増減したり、アドレスが変わったりする場合があります。ADC側の振り分け先が更新されないと、存在しないサーバーへ通信を送り、エラーになることがあります。追加や削除のたびに手動で更新する運用は、負担になりがちです。
通信を許可する設定や、クラウド側の負荷分散機能との役割分担も確認点です。自動で振り分け先を更新できる機能の有無は製品によって異なるため、構成にあわせて提供会社へ確認しましょう。
Webサーバーとの接続エラーを見分ける
ADCがWebサーバーに接続できないときは、502や503、504といったステータスコードが表示されることがあります。502と504は、ゲートウェイとなる機器が背後のサーバーから正常な応答を得られなかった状態を、503はサーバーが一時的に処理できない状態を示します。
原因には、サーバーの停止、待ち時間の設定不足、ヘルスチェックの条件の不一致などがあります。ADCとサーバーの両方のログを同じ時刻で見比べると、どちらに要因があるかを判断しやすくなります。時刻のずれにも注意が必要です。
クライアント情報の引き継ぎを確認する
ADCを経由すると、サーバーから見た接続元はADCとして扱われます。利用者のIPアドレスを記録するには、ADCが付与するヘッダ情報を、サーバー側が読み取る設定にしておく必要があります。暗号化通信かどうかの情報も、同様に引き継ぎます。
この設定が合っていないと、アクセスログに利用者の情報が残らなかったり、暗号化通信かどうかの判断を誤ったりする場合があります。サーバーの担当者と設定内容を共有し、変更時にも確認しましょう。変更時の確認項目に加えておくと安心です。
APIの呼び出し制限と対処の考え方
APIを使った自動化や連携では、呼び出し回数の制限や認証の条件が、エラーの要因となる場合があります。仕組みと対処の考え方を押さえましょう。
呼び出し回数の制限を確認する
APIには、一定時間あたりの呼び出し回数に上限が設けられている場合があります。上限を超えると、リクエストが多すぎることを示す429というステータスコードが返されることがあります。短時間に処理が集中すると、上限に達しやすくなります。
制限の有無や内容は、ADC側と連携先のサービス側のどちらにもあり得ます。製品の資料や提供会社への質問で、上限の値、計測の単位、超えたときの動作を確認しておきましょう。上限の引き上げが可能かも聞いておきます。
呼び出しを減らす設計にする
上限に達しにくくするには、短い間隔での繰り返しを避け、複数の操作を一度にまとめて実行する方法があります。状態の確認も、必要な頻度に抑えて設計します。処理が集中する時間帯の分散も有効です。
エラーが返った際に、待ち時間を空けて再実行する仕組みも有効です。再実行が重なって負荷を高めないよう、回数と間隔を決めておきましょう。設計の変更は、検証環境で試してから本番に反映し、効果はログで通信量を比べて確かめてください。
認証や権限のエラーを防ぐ
APIの認証では、キーやトークンに有効期限がある場合があります。期限が切れると、それまで動いていた連携が突然失敗するため、更新の時期を管理しておく必要があります。更新の担当者と期日を、あらかじめ決めておきましょう。
権限の設定が不足していても、特定の操作だけが拒否される場合があります。必要最小限の権限を付与し、期限や権限の見直しを運用の予定に入れておくと、見落としを防ぎやすくなります。権限の変更履歴も残しておくと確認できます。
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IDaaSと連携しても手作業が残る場面
IDaaSとは、利用者の認証やID管理をクラウドで提供するサービスです。ADCと連携すると認証を一元化できますが、運用の手作業が残る場合もあります。
- ■連携方式
- SAMLやOpenID Connectなど、双方が対応する方式か
- ■ID情報の同期
- 追加や変更、削除が自動で反映されるか
- ■証明書や鍵の更新
- 期限の管理と更新の手順が決まっているか
連携方式の対応を確かめる
IDaaSとの連携には、SAMLやOpenID Connectといった認証の標準的な方式が使われます。ADCとIDaaSの双方が、同じ方式とバージョンに対応しているかを確認する必要があります。バージョンの違いで、動作が異なる場合もあります。
対応していても、利用できる機能や設定項目に差が出る場合があります。画面上の設定だけで完結するのか、追加の設定ファイルが必要なのかも、導入前に提供会社へ質問しておきましょう。確認結果は書面にして共有します。
手作業が残りやすい運用場面を洗い出す
連携しても、属性の対応づけや証明書の更新、グループの変更などが手作業として残る場合があります。人事異動や退職に伴うID情報の反映が自動かどうかも、確認が必要です。対応状況は、製品ごとの資料で確認できます。
自動で反映する仕組みにSCIMという標準規格がありますが、双方が対応しているとは限りません。どの作業が自動化され、どの作業が手作業で残るのかを、導入前に一覧にしておくと安心です。一覧は、導入後の見直しの際にも活用できます。
自動化する範囲と担当を決める
作業によっては自動化できない場合があるため、自動化する範囲と手作業で行う範囲を分けて決めます。手作業が残る部分は、担当者と実施の頻度を明確にしておきましょう。実施の記録を残すと、引き継ぎや監査での説明にも役立ちます。
担当者が一人に偏らないよう、手順書の作成と共有も欠かせません。更新の期限を予定表に入れて通知する仕組みを設けると、更新漏れによる認証エラーを防ぎやすくなります。担当の交代時には、手順書の見直しも行いましょう。
連携エラーを防ぐ検証と運用の備え
連携エラーを減らすには、導入前の検証と導入後の監視が欠かせません。確認の方法と体制を整えて、異常に早く気づける状態にしておきましょう。
検証環境で連携を試す
連携の動作は、資料だけでは分からない点があります。本番に近い構成の検証環境で、実際の連携先と接続し、正常な通信だけでなくエラー時の動きも確かめておきましょう。確認結果は、設計書や手順書に反映して共有します。
検証では、回数の上限に近い通信量や、認証の期限切れも試せると理想的です。本番環境に影響しないよう、実施の範囲と時間帯は提供会社や社内の担当者と相談して決めてください。結果は記録として残し、次回の検証にも活用します。
監視と通知の仕組みを整える
連携の失敗を早く知るには、ログの確認だけでなく、異常を知らせる通知の仕組みが役立ちます。ADCの管理画面や外部の監視ツールで、接続失敗や応答の遅れを検知できるか確認しましょう。検知の条件は、運用しながら調整していきます。
通知先は特定の個人に限らず、複数の担当者や共有の連絡先に設定します。通知を受けたあとの対応手順と、判断に迷った際の相談先もあらかじめ決めておくと、対応が滞りにくくなります。連絡先は定期的に見直しましょう。
変更管理と連絡体制を決める
連携エラーは、設定変更や連携先の仕様変更をきっかけに起きる場合があります。変更の予定を関係者へ事前に知らせ、変更後の動作確認を行う流れを決めておきましょう。確認の結果は、関係者へ速やかに共有します。
連携先の提供元や、ADCの提供会社が行う更新の案内を受け取る窓口も整理します。変更の履歴を残しておけば、エラー時に直前の変更を確認でき、元の設定へ戻す判断もしやすくなります。定期的に履歴を見直せば、エラーの傾向もつかめるでしょう。
サーバーとの連携を前提に比較したい製品
Webサーバーやアプリケーションサーバーとの連携を前提に比較する際の確認先として、ADC製品を紹介します。接続できる環境や連携の方法は、資料で確かめておきましょう。
ArrayAPVシリーズ (アレイ・ネットワークス株式会社)
- SSLオフロードと負荷分散を1台で実現し、サーバ負荷を低減。
- 10/40 GbEインターフェースを搭載し、大規模システムに対応。
- API制御と仮想アプライアンスで多環境に展開可。
Alteon (日本ラドウェア株式会社)
- アプリの負荷分散と可用性向上を実現するADC機能
- 仮想化環境でADCを迅速に展開可能
- 多様な導入形態に対応し柔軟に運用できる設計
ADCに関するよくある質問
ADCの連携のエラーについてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:連携先を増やすとき、事前に確認することはありますか?
- A:連携方式、認証方法、通信の許可設定、呼び出し回数の上限などを確認しましょう。検証環境で試してから本番に反映すると、想定外のエラーを減らせます。
- ■Q2:連携エラーが起きたとき、通知を受け取る方法はありますか?
- A:製品や監視ツールによって、接続の失敗や応答の遅れを通知できる場合があります。通知先は特定の個人に限らず、複数の担当者や共有の連絡先に設定しましょう。
- ■Q3:連携先のサービスが仕様を変更した場合、どう対応しますか?
- A:提供元からの案内を受け取る窓口を整理し、変更前に検証環境で動作を確認しましょう。ADC側の更新が必要な場合もあるため、提供会社にも対応状況を確認してください。
- ■Q4:IDaaSと連携すれば、ID管理の手作業はなくなりますか?
- A:連携の方式や設定によっては、属性の対応づけや証明書の更新などが手作業で残る場合があります。自動化される作業と残る作業を、導入前に一覧にして確認しましょう。
まとめ
アプリケーションデリバリコントローラ(ADC)の連携エラーは、連携先ごとに確認点が異なります。クラウドやWebサーバーとの接続、APIの呼び出し制限、IDaaSとの連携で残る手作業が主な論点です。製品、自社の設定、連携先の三方向で切り分け、検証と通知の仕組みを整えましょう。連携の対応範囲は、複数製品の資料を請求して比較してください。

