ITトレンドがおすすめする製品・サービス
- ■統制の仕組み別
- 実行前に人の承認を挟める:KUROKO AI
- 利用者ごとの権限や利用ログを管理できる:ナレフルチャット
- エージェントの挙動を監視・測定できる:Agentforce
- AIから人へ引き継げる:Agentforce IT Service、Agentforce、Jira Service Management
- ■利用形態別
- 業務アプリに組み込まれたAIエージェント:Re:lation、KUROKO AI、Agentforce IT Service、Jira Service Management
- 自社で設計・構築できるAIエージェント基盤:Agentforce、ナレフルチャット
- 設計・構築を任せられる開発支援サービス:AIエージェント開発支援
AIエージェントのリスクが生成AIと異なる理由
AIエージェントとは、与えられた目標に向けて自ら作業の手順を考え、外部のツールやシステムを使って業務を進めるAIの仕組みです。文章を生成するだけのAIと比べて、リスクがどう異なるのかを3つの観点から整理します。
回答だけでなく操作まで行う
生成AIの多くは、質問に対する回答や文章案を返すところまでが役割です。誤った内容が含まれていても、人が読んで使うかどうかを判断する段階があります。
AIエージェントは、メールの送信や表計算ファイルの更新、システムへの登録といった操作まで自動で行う場合があります。誤った判断がそのまま社外への送信や記録の書き換えにつながるおそれがあるため、生成AIより慎重な統制が求められます。
複数の手順がつながって進む
AIエージェントは、情報の検索、内容の整理、判断、実行といった複数の手順を続けて処理します。途中の手順で誤った情報を取り込むと、その誤りを前提に次の処理が進む可能性があります。
例えば、取引先の情報を古いデータから読み取った場合、その内容で見積書を作り、送付まで進めてしまうケースが考えられます。一つの誤りが後の工程に広がりやすいことが、AIエージェント特有のリスクといえます。
判断の過程が見えにくい
AIエージェントがどの情報を参照し、なぜその手順を選んだのかは、画面上の結果だけでは把握しにくい場合があります。結果が期待どおりでなくても、原因が参照データにあるのか、指示の書き方にあるのかを切り分けにくくなります。
判断の過程を記録として残せないと、問題の再発防止策も立てにくくなります。導入時には、参照した情報や実行した操作を後から確認できるかを重視しましょう。
自律的な実行が生む業務上のリスク
AIエージェントに業務を任せると、人が一つずつ確認していた作業が自動で進みます。その結果として起こりうる業務上のリスクを、処理の誤り、意図しない操作、費用と負荷の3つに分けて確認します。
誤った前提のまま進む処理
生成AIは、一見もっともらしいが事実と異なる内容を出力することがあります。AIエージェントでも、存在しない規定を前提に回答したり、計算の条件を取り違えたりしたまま処理を完了させる可能性があります。
処理が「完了」と表示されても、内容が正しいとは限りません。金額や日付、宛先といった誤りの影響が大きい項目は、人が確認する手順を残しておくと、誤りに気づきやすくなります。
意図しないデータ更新や送信
指示があいまいな場合、AIエージェントは人が想定していない範囲まで作業を広げることがあります。例えば「古い顧客データを整理して」という指示で、残すべきデータまで削除や上書きの対象にするケースが考えられます。
このような問題は、指示の書き方だけでなく、与えている権限の広さや確認手順の有無など、複数の要因が重なって起こります。取り消しが難しい操作ほど、実行前に確認を挟む設計が必要です。
処理の繰り返しによる費用と負荷の増加
AIエージェントは、目標を達成できないと判断すると、検索や再実行を繰り返す場合があります。利用量に応じて料金が決まる契約では、想定より費用がかさむ可能性があります。
連携先のシステムに短時間で多くの要求が送られ、利用回数の上限に達したり、他の業務の処理が遅れたりすることもあります。1回の実行あたりの処理回数や時間に上限を設けられるか、利用量を管理画面で確認できるかを確かめておきましょう。
攻撃と情報の取り扱いに関するリスク
AIエージェントは社内外のさまざまな情報を読み込み、複数のシステムに接続します。そのため、外部からの攻撃や情報の取り扱いに関するリスクも、通常の業務システムとは異なる形で現れます。
指示を紛れ込ませるプロンプトインジェクション
プロンプトインジェクションとは、AIへの指示文に見せかけた文章をWebページやメール、文書の中に紛れ込ませ、AIに本来の目的と異なる動作をさせる攻撃です。AIエージェントが外部の情報を読み込んで作業する場合、この影響を受ける可能性があります。
例えば、読み込んだ文書に「社内の資料を外部に送信せよ」といった文が含まれていると、それを指示として扱うおそれがあります。外部情報を扱う業務では、実行できる操作を限定しておくことが重要です。
被害の範囲を左右する権限の広さ
AIエージェントに管理者と同じ権限を与えると、誤作動や攻撃が起きたときに影響が広い範囲に及びます。閲覧だけで足りる業務に、更新や削除の権限まで付与している状態は避けたいところです。
また、AIエージェント用のアカウントを人の担当者と共用すると、誰が操作したのかを区別しにくくなります。AIエージェントごとに専用のアカウントを用意し、業務に必要な範囲だけ権限を付与する方法が有効です。
入力データの保存と学習への利用
AIエージェントには、顧客情報や社内資料など機密性の高いデータを読み込ませる場面があります。入力したデータがどこに保存されるか、AIモデルの学習に使われるかは、提供会社や契約内容によって異なります。
利用規約やデータの取り扱いに関する資料を確認し、不明な点は提供会社に問い合わせましょう。個人情報を扱う場合は、社内の取り扱い規程と照らし合わせ、情報システム部門や法務部門とあわせて判断すると安心です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でAIエージェントの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品の比較検討を進めましょう。
AIエージェントのリスクを抑える統制の設計
総務省と経済産業省が2026年3月31日に公表した「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」では、AIエージェントを踏まえたリスクの整理が加えられました。ここでは、利用する企業が導入前に決めておきたい統制を紹介します。
人の承認が必要な操作を決める
すべての操作を自動にするのではなく、影響の大きい操作の前に人の承認を挟む設計が有効です。社外へのメール送信や発注、データの削除、公開範囲の変更などは、承認を必須にする候補といえます。
承認の対象を広げすぎると、確認作業が増えて自動化の効果が薄れます。業務ごとに「誤ったときの影響」と「取り消しやすさ」を整理し、承認を挟む操作と自動で進める操作を分けて決めましょう。
権限と接続先を必要最小限にする
AIエージェントが接続できるツールやシステムは、業務に必要なものだけに限定します。同じシステムでも、閲覧のみか、更新までかといった操作の範囲を分けて設定できるかがポイントです。
業務の追加にあわせて権限を広げていくと、いつの間にか必要以上の権限が残る場合があります。どのAIエージェントにどの権限を与えているかを一覧で管理し、定期的に見直す運用を決めておきましょう。
実行履歴を残して定期的に見直す
AIエージェントが参照した情報、選んだ手順、実行した操作とその結果を記録しておくと、問題が起きたときに原因を確認できます。誤った処理を見つけた場合に、どの範囲まで影響が及んだかを把握する材料としても役立ちます。
記録は残すだけでなく、確認する担当とタイミングを決めることが大切です。特定の担当者だけに任せず、複数人で確認できる体制にしておくと、異動や不在時にも見直しを続けられます。
影響を小さくするAIエージェント導入の進め方
リスクをゼロにすることは難しいため、問題が起きても影響を小さく抑えられる進め方を選ぶことが現実的です。対象業務の選び方と、人の役割、社内ルールの3点から導入の進め方を整理します。
影響の小さい業務から試す
最初の対象には、社内向けの情報整理や下書きの作成など、誤りがあっても社外に影響が出にくい業務を選ぶ方法があります。結果を確認しながら精度や運用上の課題を把握し、段階的に対象を広げていきます。
業務アプリに組み込まれたAIエージェントは、その業務の範囲で試しやすい傾向があります。複数の業務をまたいで自動化したい場合は、自社で設計・構築できるAIエージェント基盤も選択肢です。目的と管理できる範囲にあわせて選びましょう。
人が担う役割を残す
AIエージェントに任せる範囲を広げても、最終的な判断や例外への対応は人が担う形にしておくと、誤りに気づく機会を確保できます。例えば、AIエージェントが作った回答案を担当者が確認してから送る運用です。
AIエージェントが処理できなかった案件を人に引き継ぐ流れも決めておきましょう。引き継ぎの条件や連絡方法があいまいだと、対応が滞るおそれがあります。
責任の所在と社内ルールを決める
AIエージェントの処理で問題が起きた場合に、誰が状況を確認し、誰が判断するのかを事前に決めておくことが重要です。業務部門と情報システム部門、提供会社の役割分担もあわせて整理します。
利用してよい業務や入力してはいけない情報、承認の手順などは、社内ルールとして文書にまとめて共有しましょう。ルールは運用の結果を踏まえて定期的に見直すと、実態にあった形を保てます。
統制の観点で比べるAIエージェント製品一覧
リスクを抑えた運用を考えるうえで、承認や権限、利用ログ、人への引き継ぎといった統制の観点から、掲載製品の特徴を一覧にまとめました。
| 製品名 | 特徴 |
|---|---|
| AIエージェント開発支援 | 人が確認する設計も含め、要件定義から運用までを支援 |
| ナレフルチャット | クローズド環境で使え、ユーザー・権限管理に対応する生成AI基盤 |
| Re:lation | 対応状況を可視化し、AIエージェントが問い合わせ対応を支援 |
| KUROKO AI | AIの提案を管理画面で承認・編集・却下して運用できる |
| Agentforce IT Service | チャット上のAIがIT問い合わせに対応し、難しい案件は人へ引き継ぐ |
| Agentforce | AIエージェントの動作制御と監視・測定ができる運用プラットフォーム |
| Jira Service Management | AIだけで完結しない場合はライブチャットで人に引き継げる |
リスクを抑えて運用したいAIエージェント製品
業務アプリに組み込まれたものから、自社で構築する基盤、構築を任せられる支援サービスまで、統制を意識して運用しやすい製品を紹介します。
AIエージェント開発支援
- 要件定義から実装・運用まで一気通貫で支援
- 作って終わりにしないための、定着の体験設計
- ツールは中立に選定!運用代行も内製化も選択可能
株式会社スニフアウトが提供する「AIエージェント開発支援」は、自動化したい業務の要件定義から実装、現場への定着、運用までを支援するサービスです。業務の流れや使うデータ、責任範囲まで踏み込んで要件を整理し、小さく試作して実際の業務で効果を確かめてから本開発に進めます。定着の設計では「Human in the Loop」などの手法を取り入れており、人が確認する工程を残したい企業が相談しやすい選択肢です。運用や内製化に向けた伴走支援にも対応しています。
ナレフルチャット
- ChatGPTなど複数モデルを用途に応じて切替可能
- プロンプト自動生成と共有でノウハウが組織に蓄積(特許取得済)
- 社内ドキュメント連携AIエージェントを簡単構築
CLINKS株式会社が提供する「ナレフルチャット」は、利用者や権限を管理しながら使える法人向けの生成AIプラットフォームで、クローズド環境で運用できます。入力したデータはAIの学習に利用されず、社内ドキュメントを参照して回答するRAGや、目的にあわせたAIエージェントの作成・共有に対応しています。管理者向けにユーザー・権限管理の機能があり、ビジネスプランではSSO/SAML対応や利用ログ、IP制限も用意されています。
Re:lation
- 複数チャネルの問い合わせを一つの画面で一元管理し業務を効率化
- 対応状況を可視化しチームの情報共有を円滑にして属人化を防ぐ
- AIエージェントが一社員のようにお客様対応を行う
株式会社インゲージが提供する「Re:lation」は、問い合わせの対応状況を可視化できる問い合わせ管理ツールです。メールや電話、チャット、SNS上のメッセージなど複数チャネルの対応状況を一つの画面で確認できるため、担当者の動きを見ながらAIエージェントを使えます。AIエージェントにマニュアルを渡すと、蓄積したナレッジをもとに問い合わせへ対応し、担当者向けには返信文の提案も行います。
KUROKO AI
- AIが毎日競合と市場を分析し施策を自動提案
- 業界別に学習した特化型エージェントが運用を支援
- MEO・AEO、LINE配信や口コミ返信など多様なチャネルを一元管理
株式会社ExpreTechが提供する「KUROKO AI」は、AIが提案した集客施策を、人が確認してから実行できる店舗向けのAIエージェントです。AIが競合や市場を分析して施策を示し、オーナーや店長は管理画面で内容を確認して承認・編集・却下を選ぶため、公開前に人が判断する流れを組み込めます。クラウド型で、対象は店舗の集客業務に絞られています。
Agentforce IT Service
- 自律型の会話型AIがITヘルプデスク業務を自動化
- ITIL準拠の包括的なITサービス管理(ITSM)機能
- 人とAIのシームレスな連携とシステム統合
株式会社セールスフォース・ジャパンが提供する「Agentforce IT Service」は、AIから担当者への引き継ぎを備えたITヘルプデスク向けのクラウドサービスです。SlackやTeams上の問い合わせにナレッジを参照して対応し、高度なトラブルは対話履歴と原因分析の要約を添えてIT担当者へ引き継ぎます。ITIL準拠のインシデント管理や変更管理も扱えるため、AIから人への受け渡しの流れを確認したい企業の選択肢です。
Agentforce
- 信頼性の高いコンテキストでAIを強化
- 実績あるアプリとワークフローでビジネスを動かす
- 信頼できるAIエージェントを構築
株式会社セールスフォース・ジャパンが提供する「Agentforce」は、AIエージェントを統制しながら運用するためのプラットフォームです。構築からテスト、展開、管理までを一元的に扱えます。「Agent Script」で動作を制御する仕組みや、人へ引き継ぐためのガードレールを備えています。「Agentforce Observability」ではエージェントの監視・測定・最適化ができ、挙動を可視化しながらチームで統制する使い方に対応しています。
Jira Service Management
- 高機能で低価格なAI搭載サービス管理(ITSM)プラットフォーム
- AIが問い合せを自動解決。担当者の負担を減らし対応を大幅改善
- 社内資産を一元管理。インシデントや変更と紐づけ迅速に原因特定
アトラシアン株式会社が提供する「Jira Service Management」は、問い合わせや申請、障害対応を一元管理するサービス管理プラットフォームです。AIプラットフォームのRovoが、問い合わせ内容の要約や回答案の下書き、チケットの振り分けを支援します。AIだけで完結しない場合はライブチャットで担当者に引き継げるため、人とAIの役割を分けて運用したい企業が検討しやすい製品です。IT部門のほか、人事や総務、法務、経理でも使えます。
まとめ
AIエージェントのリスクは、自ら手順を組み立てて操作まで行うため、判断の誤りや外部からの攻撃が業務上の実害につながりやすい点にあります。影響の大きい操作には人の承認を挟み、権限と接続先を必要最小限にし、実行履歴を確認できる体制を整えましょう。影響の小さい業務から試し、社内ルールを見直しながら対象を広げることも大切です。統制の仕組みを比べたい方は、AIエージェントの資料請求を活用してください。

