CI/CDツールが使いにくいと感じられる理由
同じCI/CDツールでも、使いやすいと感じる人と、使いにくいと感じる人がいます。その違いは、製品の良し悪しだけでは説明できません。使いにくさが生まれる背景を2つの観点から整理し、自社で起こり得るかを考えてみましょう。
前提知識と製品の設計がかみ合わない
CI/CDツールの中には、設定ファイルを書くことやコマンド操作に慣れた開発者を想定して設計された製品があります。こうした製品を、画面操作に慣れた担当者が使うと、何から始めればよいかわからず使いにくいと感じる場合があります。
反対に、画面操作を中心に設計された製品を経験豊富な開発者が使うと、細かな設定ができず不便に感じることもあります。導入前に、主に使う人のスキルや経験を整理し、それに適した設計の製品かを確認しましょう。
目的に対して機能が過剰か不足している
小規模な開発で簡単なビルドとデプロイ(本番環境への反映)だけを自動化したい場合もあるでしょう。このとき、大規模向けの機能を多く備えた製品は、設定項目が多く複雑に感じられることがあります。使わない機能の画面やメニューが、操作の妨げになる場合もあります。
一方で、機能が少ない製品では、必要な処理を実現するために回り道の設定が必要になり、結果として使いにくく感じることがあります。自社で必要な機能を先に決め、その範囲で操作の手順を比べることが大切です。
使いにくいCI/CDツールに見られる特徴
使いにくさは主観的な印象に左右されやすいものですが、具体的な特徴として確認できる部分もあります。導入前の比較や無料トライアルで確認したい、使いにくさにつながりやすい3つの特徴を紹介します。
設定ファイルの記述量が多く読み解きにくい
パイプライン(ビルドからデプロイまでの処理の流れ)を設定ファイルで定義する製品では、処理が増えるほど記述量が増えます。書き方の決まりが複雑だったり、似た設定を何度も書く必要があったりすると、内容を読み解くのに時間がかかります。
比較の際は、共通の処理を部品化して使い回せる仕組みや、設定の誤りを事前に検出する機能があるかを確認しましょう。設定ファイルの書き方を説明する公式ドキュメントの見つけやすさも、読みやすさを左右するポイントです。
エラーの原因が画面から追いにくい
ビルドが失敗したとき、どの処理で止まったのか、どのようなメッセージが出たのかを画面からすぐに確認できないと、原因の調査に時間がかかります。実行ログが長く、目的の箇所を探しにくい場合も同様です。
失敗した処理が強調表示されるか、ログを検索できるか、過去の成功時と比較できるかを確認しましょう。エラーの原因はツールだけでなくコードや環境にもあるため、原因の候補を絞り込むための情報がどれだけ表示されるかが比較のポイントです。
設定の場所が分散している
パイプラインの設定はファイルに、秘密情報は管理画面に、権限は別の画面にというように、設定の場所が分散していると、全体像を把握しにくくなります。変更したい設定がどこにあるかを探す手間も生じます。
設定の場所が分かれていること自体は、安全性の面で意味がある場合もあります。そのため、各設定の場所がドキュメントで整理されているか、画面上で関連する設定に移動しやすいかを確認するとよいでしょう。
CI/CDツールの初期設定はどれくらい難しいか
CI/CDツールの初期設定の難しさは、製品の提供形態や、自社の開発環境によって変わります。どこに難しさがあるのかを知っておくと、導入の計画を立てやすくなります。提供形態による違いと、つまずきやすい設定項目を解説します。
クラウド型とセルフホスト型での違い
クラウド型のCI/CDツールは、提供会社が実行環境を用意しているため、アカウントの作成とリポジトリ(ソースコードの保管場所)の連携から始められる場合があります。簡単なビルドであれば、比較的短い時間で動かせる製品もあります。
セルフホスト型は、自社のサーバーにツールを設置し、OSやネットワーク、セキュリティの設定を行う必要があります。サーバーの構築や運用の知識が求められるため、情報システム部門の協力や、外部の支援を検討するとよいでしょう。
つまずきやすい設定項目
初期設定でつまずきやすいのは、リポジトリとの連携に必要な権限の設定や、デプロイ先に接続するための認証情報の登録です。ビルドに必要なツールやライブラリ(共通で使うプログラムの部品)の準備でも、時間がかかる場合があります。
特に認証情報や権限は、CI/CDツールだけでなく、連携先のサービス側でも設定が必要です。両方の設定がそろわないと動かないため、誰がどの設定を行う権限を持っているかを事前に確認し、作業の分担を決めておくと進めやすくなります。
初期設定の負担を減らす進め方
初期設定の負担を減らすには、最初から本番の開発案件のパイプラインを完成させようとせず、ビルドだけを行う小さなパイプラインから始める方法があります。動く状態を早く作ることで、設定の流れをつかみやすくなります。
製品が用意しているテンプレートや設定例を活用し、自社の環境にあわせて少しずつ修正していきましょう。無料トライアルの期間に検証用のリポジトリで一通りの設定を試しておくと、本番導入の際の作業時間を見積もる材料にもなるでしょう。
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CI/CDツールのサポート対応が遅いと感じるケース
トラブルの際にサポートの回答が遅いと、開発やリリースに影響が出る場合があります。ただし、回答の早さはプランや問い合わせの方法、内容によっても変わります。遅いと感じるケースの背景と、早く解決するための準備を紹介します。
プランや問い合わせ方法による差
CI/CDツールのサポートは、プランによって受付時間や回答の目安が異なる場合があります。無料プランや下位のプランでは、コミュニティでの情報交換やメールでの問い合わせに限られ、回答までに時間がかかることがあります。
海外の製品では、問い合わせ窓口が英語のみで、受付時間が日本の業務時間とずれている場合もあります。契約前に、受付時間、問い合わせの方法、回答の目安時間、日本語対応の有無を確認しておきましょう。
問い合わせを早く解決するための準備
問い合わせの内容が不足していると、追加の確認のやり取りが発生し、解決までに時間がかかります。発生した日時、エラーメッセージ、実行ログ、直前に行った変更などを整理して伝えると、やり取りの回数を減らせます。
あわせて、公式ドキュメントやよくある質問、稼働状況のページで同様の事例がないかを先に確認しておきましょう。社内で過去の問い合わせと回答を記録しておけば、同じ問題が起きたときに自社で対処できる場合もあります。
スマホでCI/CDツールを使う際の制限
外出先や移動中に、スマホでビルドの結果を確認したり、承認を行ったりしたい場面もあるでしょう。ただし、CI/CDツールの操作は、パソコンでの利用を前提に設計されている場合があります。スマホで利用する際の制限と注意点を解説します。
スマホで確認できることとできないこと
CI/CDツールをスマホで使う方法としては、Webブラウザで管理画面を開く方法や、提供会社のアプリ、チャットツールへの通知を使う方法があります。どの方法に対応しているかは製品によって異なります。
実行結果や通知の確認は、スマホでもできる場合があります。ただし、長い実行ログの確認や設定ファイルの編集は、画面の大きさから操作しにくいことがあります。スマホでどこまでの操作を行いたいかを決め、その操作に対応しているかを試用で確認しましょう。
スマホからの承認や操作の注意点
スマホから本番環境へのデプロイを承認できると、承認待ちの時間を短くできる場合があります。一方で、小さな画面では変更内容を十分に確認しないまま承認してしまうおそれもあります。
スマホからの承認を認める場合は、確認すべき項目を決めておく、重要なリリースはパソコンで確認するといったルールを設けましょう。スマホの紛失に備えて、複数の手段で本人確認する多要素認証の設定や、端末の管理方法も社内のルールとあわせて確認しておくことが大切です。
使い勝手を導入前に確かめたいCI/CDツール
設定の難しさやサポート体制、スマホからの利用範囲を導入前に確かめる際の候補として、CI/CDツールを紹介します。試用や資料で、自社の担当者が扱えるかを確認しましょう。
Bitrise (BitriseLtd.)
- モバイルアプリ開発向けの130以上の統合機能を提供。
- モバイル開発者向けCI/CDプラットフォーム
- 無料プランで月200ビルド分のCI/CDが可能
BitbucketPipelines (アトラシアン株式会社)
- 100超のテンプレートとワークフローを提供。
- クラウドでスケール、CI/CDを組織全体で一元管理。
- 設定とログ監視でデプロイ状況を可視化し迅速対応
GitHubActions (ギットハブ・ジャパン合同会社)
- 豊富な公式・コミュニティ製アクションで簡単に自動化
- YAMLファイルでワークフローをコードとして管理
- GitHub連携で開発プロセスを自動化
CloudBeesCodeShip (CloudBees, Inc.)
- DockerベースのCI/CD環境を迅速に構築
- 主要コードリポジトリと連携可能
- 高度なセキュリティとコンプライアンス対応
Travis CI (Travis CI GmbH)
- CI/CDパイプラインの短時間構築
- 並列処理や多環境ビルドに対応
- GitHub等と連携し、コード変更時にビルドとテストを自動実行
DevOpsツール (アトラシアン株式会社)
- Jiraを基盤とするオープンDevOps
- 主要ベンダー・アプリと統合可能
- 自動化、テスト、セキュリティ、観測性を強化。
まとめ
CI/CDツールが使いにくいと感じる原因は、利用者の前提知識や目的と製品の設計とのずれにある場合があります。設定ファイルの読みやすさやエラー原因の追いやすさ、設定の場所を確認し、初期設定の難しさは提供形態や連携先の設定もふまえて見積もりましょう。サポートの受付条件やスマホでの操作範囲も導入前に確かめておくと安心です。使いやすさを比べながらCI/CDツールを選びたい方は、ITトレンドの資料請求を活用してください。

