CI/CDツールの信頼性を確かめる観点
CI/CDツールは、ソースコードや本番環境の認証情報を扱い、開発とリリースの流れを支える仕組みです。そのため、信頼性を多面的に確認する必要があります。確認の観点と、公開情報でどこまでわかるかを整理しておきましょう。
稼働・セキュリティ・事業継続の3つで考える
CI/CDツールの信頼性は、稼働とセキュリティ、事業継続の3つに分けて考えると整理しやすくなります。サービスが安定して動くか、情報を安全に扱えるか、長く使い続けられるかという観点です。
どれか一つが欠けても、運用に影響が出る可能性があります。例えば、稼働が安定していても、サービスの提供が突然終了すれば移行の負担が生じます。3つの観点ごとに確認項目を作り、製品を比較しましょう。
確認項目は情報システム部門やセキュリティ担当とも共有しておくと安心です。
公開情報で確認できる範囲を知る
信頼性に関する情報は、提供会社の稼働状況のページ、セキュリティに関するページ、利用規約、サービスレベルの合意書などで公開されている場合があります。公開の範囲や詳しさは、提供会社によって異なります。
公開情報だけで判断できない項目は、資料請求や問い合わせで確認しましょう。情報公開の姿勢そのものも、信頼性を判断する材料の一つです。回答の内容は記録に残し、社内の審査に活用できるようにしておきます。
CI/CDツールの障害履歴やサーバーダウンへの備え
クラウド型のCI/CDツールは、提供会社のサーバーで動いているため、障害やメンテナンスの影響を受ける場合があります。障害が起こる可能性を前提に、情報の確認方法と備えを整えておくことが大切です。3つのポイントを紹介します。
稼働状況ページと障害履歴の確認
クラウド型のCI/CDツールの中には、現在の稼働状況や過去の障害の履歴を公開するページを用意している製品があります。障害の内容や影響の範囲、復旧までの時間、原因の説明が掲載されている場合もあります。
導入前に過去の履歴を確認し、障害が起きたときにどのような情報がどのくらいの早さで公開されているかを見ておきましょう。履歴の件数だけで判断せず、原因の説明や再発防止策が示されているかにも注目することが大切です。
SLAと補償の範囲
SLAとは、提供会社が約束するサービスの品質の基準で、稼働率などが定められます。SLAを下回った場合に、利用料金の一部を返還するといった補償の内容が定められていることがあります。
ただし、SLAは上位プランでのみ提供される場合や、補償の対象や請求の手続きに条件がある場合があります。補償は利用料金の範囲にとどまることもあるため、障害による業務への影響を補えるものではないと考え、自社での備えも検討しましょう。
障害時に開発を止めない工夫
CI/CDツールが使えない時間帯に、緊急の修正を本番へ反映する必要が生じる場合もあります。こうした事態に備えて、障害時の代替手順をあらかじめ決めておきましょう。
例えば、手作業でデプロイ(本番環境への反映)する際の手順と承認者を文書にしておく方法があります。重要なパイプライン(ビルドからデプロイまでの処理の流れ)を、自社の実行環境でも動かせるようにしておくことも有効です。代替手順は定期的に見直し、担当者が交代しても使える状態を保つことが大切です。手作業で反映した内容は、復旧後にパイプラインの記録とそろえておきましょう。
CI/CDツールの情報漏えいのリスクと対策
CI/CDツールには、ソースコードや認証情報など重要な情報が集まります。そのため、情報漏えいのリスクを理解し、提供会社と利用者の双方で対策を行うことが大切です。リスクの背景と、確認したい対策を3つの観点で解説します。
CI/CDツールが扱う情報の重要性
CI/CDツールには、ソースコードのほか、本番環境やクラウドサービスに接続するためのパスワードやアクセスキーが登録されます。これらが外部に漏れると、本番環境への不正なアクセスにつながるおそれがあります。
顧客データそのものを直接扱わない場合でも、本番環境の認証情報が漏れれば、結果として顧客データが危険にさらされる可能性があります。CI/CDツールは、重要な情報の入り口になり得る仕組みとして管理することが大切です。
公表されたセキュリティ事案から学ぶこと
過去には、CI/CDサービスでセキュリティ上の事案が公表され、提供会社が利用者に認証情報の更新を呼びかけた例もあります。提供会社側の対策だけでは、リスクをゼロにすることはできません。
こうした事案では、提供会社がどのような情報をどのくらいの早さで公表したか、利用者に何を求めたかが参考として役立ちます。検討中の製品についても、事案が起きた際の連絡方法や公表の方針を確認しておくと、万が一のときに素早く対応できます。
利用者側で行う対策
利用者側でできる対策としては、認証情報を暗号化して保管する機能の利用、ログでの表示を伏せ字にする設定、権限を必要な範囲に絞る設定などがあります。長期間有効なキーではなく、一時的な認証情報を使う方法もあります。
あわせて、複数の手段で本人確認する多要素認証の設定や、退職者のアカウントの削除、認証情報の定期的な更新を運用ルールとして定めましょう。対策の状況を定期的に点検し、担当者1人に任せきりにしない体制を作ることも重要です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でCI/CDツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
CI/CDツールのサービス終了やプラン変更への備え
CI/CDツールを長く使ううえでは、サービスの提供終了や、プラン・機能の変更が起こる可能性も考えておく必要があります。いざというときに慌てないための考え方と、日頃から整えておきたい状態を解説します。
提供終了や機能廃止が起こり得る背景
IT製品の分野では、提供会社の事業方針の変更や買収、製品の統合などにより、サービスやプランの提供が終了する場合があります。無料プランの条件が変更されたり、特定の機能が廃止されたりすることもあります。
こうした変更は、事前に告知されるのが基本ですが、告知から終了までの期間は製品や状況によって異なります。利用規約で、サービス変更の告知方法や期間がどのように定められているかを確認しておきましょう。告知を受け取る連絡先は、共有のメールアドレスにしておくと見落としを防ぎやすくなります。
乗り換えやすい状態の維持
サービス終了に備える方法として、パイプラインの設定をファイルとしてリポジトリ(ソースコードの保管場所)で管理しておくことが挙げられます。設定の内容が手元に残っていれば、別のツールへ移行する際の手がかりとなり、作業の負担を抑えられます。
製品独自の機能に強く頼りすぎない設計にすることも、移行のしやすさにつながります。実行履歴や成果物のうち保存が必要なものは、定期的に出力して保管しておくと、急な変更があっても対応しやすくなります。
CI/CDツールの信頼性を導入実績と悪い口コミで読む
CI/CDツールの信頼性を判断する際、導入実績の数字や口コミは手軽に参考にできる情報です。ただし、そのまま受け取ると判断を誤るおそれがあります。数字の根拠の確かめ方と、悪い口コミを判断に生かす読み方を紹介します。
導入実績の数字の根拠
導入社数や利用者数の数字を見る際は、その数え方を確認しましょう。有料契約の企業数なのか、無料プランの登録者を含む数なのか、いつ時点の数字なのかによって意味が大きく変わります。
数え方の説明がない数字は、比較の材料としては扱いにくいものです。数字の大きさよりも、自社と同じ規模や業種での利用例があるか、具体的な使い方が紹介されているかを確認するほうが、判断に役立ちます。提供会社に数字の定義を問い合わせる方法もあります。
悪い口コミに見られる内容とその背景
CI/CDツールの悪い口コミには、設定が難しい、料金が想定より高くなった、障害時の対応が遅かったといった内容が見られることがあります。ただし、その評価は投稿者の利用条件や経験によって左右されます。
悪い口コミを読む際は、投稿者の規模や用途、利用していたプランを確認し、自社でも同じ状況が起こり得るかを考えましょう。提供会社がその後に改善しているケースもあるため、投稿の時期もあわせて確認することが大切です。
信頼性の確認項目で比較したいCI/CDツール
障害時の対応や情報管理の体制を確かめる際の候補として、CI/CDツールを紹介します。稼働状況の公開方法やセキュリティ対策の内容は、資料で確認しましょう。
AzureDevOps (日本マイクロソフト株式会社)
- あらゆる環境でCI/CDが可能
- ソース管理、作業管理などアジャイル開発機能が充実。
- テスト統合、品質保証からデプロイまで包括サポート。
AWSCodePipeline (アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)
- リリースプロセスのステージ定義と合理化
- 新機能を迅速にリリースし、フィードバックを繰り返し反映
- ニーズに合わせて独自のプラグインを使用
Cloud Build (グーグル・クラウド・ジャパン合同会社)
- サーバーレス環境でインフラ管理なしに高速ビルド。
- ソース更新時にビルド自動起動可能。
- 成果物生成とアプリの継続的デリバリーを支援。
DevOpsツール (アトラシアン株式会社)
- Jiraを基盤とするオープンDevOps
- 主要ベンダー・アプリと統合可能
- 自動化、テスト、セキュリティ、観測性を強化。
Jenkins (CloudBees, Inc.)
- ビルドとテストを自動化し継続的に変更検証。
- パイプライン定義で標準化CI/CDフロー構築。
- 豊富なプラグインで多様なツールや環境と連携可能。
OctopusDeploy (Octopus Deploy)
- 多様な技術・プラットフォームに対応
- 自動デプロイ、リリース管理、環境設定、セキュリティ制御機能
- 数千組織の利用で、ソフトウェアデリバリーパイプラインを効率化
DevOpsツール&リソース (アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)
- AWSアカウントで即利用可能、セットアップ不要。
- フルマネージドで運用不要、製品開発に集中。
- AWSの幅広いパートナーやサードパーティツールと連携可能。
まとめ
CI/CDツールの信頼性は、障害や事故の可能性をゼロにできない前提で、情報公開の姿勢や利用者側の備えまで含めて判断することが大切です。障害履歴とSLA、情報漏えいへの対策、サービス終了への備え、導入実績の数字の根拠や悪い口コミの背景を確認しましょう。公開情報で足りない部分は資料や問い合わせで確かめると安心です。信頼性の観点からCI/CDツールを比較したい方は、ITトレンドの資料請求を活用してください。

