DXとは
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略です。令和2年に閣議決定された「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」で、DXは以下のように定義されています。
『将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変すること。』
参考:世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画
特定の業務プロセスを効率化することを指すIT化とは違い、DXは新たなビジネスモデルの創出や企業風土の変革を実現させるのが目的です。
中小企業のDXにおける現状と課題
しかし、中堅・中小企業にはDXが広く浸透していないのが現状です。経済産業省の資料によると、2023年の調査においてDXを「理解している」または「ある程度理解している」と答えた企業は約半数だったそうです。
さらに、社内にIT知識をもつ従業員やDX推進に関わる人材が足りないといった声もあります。そのほか費用面で二の足を踏んでしまうケースも多いといえます。
参考:DX 支援ガイダンス- デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援アプローチ -|経済産業省
中小企業にとってのDXのメリット
中小企業にとって、DXの実現で受けられる恩恵は以下のとおりです。それぞれ詳しく解説します。
- ●業務効率化により生産性向上に貢献する
- ●企業価値を高められる
- ●BCP対策に役立つ
業務効率化により生産性向上に貢献する
バックオフィス部門、特に定型業務はDX化することで業務が自動化されるだけでなく精度もあがり、大幅な効率化が期待できます。空いたリソースはほかのコア業務にあてられるため、生産性向上にも貢献するでしょう。
また、部門を超えた情報共有も容易になり、社内の情報資産の活用も可能です。業務改善によるコスト削減も期待されます。
企業価値を高められる
DXによるビジネスプロセスの見直しが進めば、作業効率の向上だけでなく勤務体系の多様化にも対応できます。例えば、ITツールの導入により在宅勤務やテレワークが可能になるでしょう。従業員の満足度も高まり、人材確保・定着にも貢献します。
さらに、デジタル化された情報を活用することにより、経営に必要なデータの分析が容易になります。これにより、迅速な経営判断が下せるでしょう。さまざまな面から企業価値を高めることに役立ちます。
BCP対策に役立つ
自然災害の多い日本ではBCP対策が欠かせません。DX化によりデータをクラウド上で一元管理しておけば、コア業務の停止リスクを防ぎ万が一のときにもインターネットを介して事業を継続できます。
DXに興味があるものの、「何からはじめたらよいかわからない」「DX推進に関わる人材が足りない」など課題を抱えている場合は、支援サービスの活用が有効です。以下の記事ではDX支援サービスを比較できるため、あわせて参考にしてください。
DX実現の基本プロセス
ここでは経済産業省が公開している 「中堅・中小企業向け デジタルガバナンス・コード実戦の手引き」の情報をもとに、中小企業でDXを実現するための具体的なプロセスを解説します。
参考: 中堅・中小企業向け デジタルガバナンス・コード実戦の手引き|経済産業省
- 1.経営ビジョンの明確化・戦略策定
- 経営者により経営ビジョンの明確化と、その実現のための課題の可視化、DX戦略を組み立てる。
- 2.全社的な意識改革・取組準備
- DX推進のためのロードマップや実行タスクの策定を通じ、経営層のみならず従業員を巻き込んだDX化の実施。同時に既存インフラの見直しや導入ツールの検討も進める。
- 3.社内データを分析・活用したDX推進
- 新規導入ツールの本格運用に向け、フローや権限の見直しを行う。ツール導入後のデータを収集し、事業に活用する。
- 4.顧客接点やサプライチェーン全体へDX展開
- 取引先への展開・周知活動により。サプライチェーンや業界全体への変革を促す。また、定期的に評価・見直しを継続していくことも重要。
DX推進には支援機関によるサポートが効率的です。以下のボタンより、おすすめのDX支援サービス・コンサルティングの資料を一括請求(無料)できます。ぜひ活用してください。
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中小企業のDX助成金・補助金情報
コスト面での課題を解決するためには、補助金を活用するのがおすすめです。ここからは、中小企業のDXで利用できる助成金や補助金を紹介します。
DX推進支援事業
DX推進支援事業は、東京都に拠点をおく中小企業のDX支援を目的に令和6年より開始されました。アドバイザーを派遣し、提案にもとづきデジタル技術の導入に必要な助成金を支給します。DX戦略策定支援コースと生産性向上コースがあり、5~6月・11月と年に2回の募集を予定しています。
- ■DX戦略策定支援コース
- ●助成限度額:3,000万円
●助成対象期間:1年間
●助成率:3分の2以内
※賃金引上げ計画を作成した場合は4分の3以内
- ■生産性向上コース
- ●助成限度額:3,000万円
●助成対象期間:1年間
●助成率:2分の1以内(小規模事業者は3分の2以内)
※賃金引上げ計画を作成した場合は4分の3以内
参考:デジタル化推進ポータル|公益財団法人東京都中小企業振興公社
IT導入補助金
IT導入補助金は、業務効率化やDXを目的に中小企業や小規模事業者がITツールを導入する際に利用できる補助金です。事前に事務局の審査を受け、IT導入補助金の公式サイトに公開されているツールが対象で、交付申請時にはIT導入支援事業者のサポートを受けられるのが特徴です。通常枠に加え、インボイス枠やセキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠があり、さまざまなITツールの導入に役立ちます。
- ■通常枠
- ●補助額:1プロセス以上の場合、5万円以上150円未満 /4プロセス以上の場合、150万円以上450万円以下
●補助率:2分の1以内
- ■インボイス枠(インボイス対応類型)
- ●補助額:ツール導入の場合、50万円以下または50万円超~350万円以下 /PC/ハードウェア導入の場合、10万円以下または20万円以下
●補助率:2分の1~5分の4以内(補助対象・企業規模によって異なる)
- ■インボイス枠(電子取引類型)
- ●補助額:350万円以下
●補助率:中小企業・小規模事業者の場合3分の2以内
- ■セキュリティ対策推進枠
- ●補助額:5万円以上100万円以下
●補助率:2分の1以内
- ■複数社連携IT導入枠
- ●補助額10万円~350万円以下×グループ構成員数または3,000万円以下
●補助率:2分の1~5分の4以内(補助対象経費・企業規模によって異なる)
参考:IT導入補助金2024|独立行政法人中小企業基盤整備機構
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業によるサービス開発や精算プロセスの改善のための設備投資を支援するもので、ものづくり補助金として広く知られています。令和6年公募時には、省力化(オーダーメイド)枠、製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠が用意されていましたが、締切回によって募集の有無や枠組が異なります。例年3~5年の事業計画の策定・実行が要件であり、毎年事業化状況報告を必要とする点が特徴です。
- ■省力化(オーダーメイド)枠
- ●補助額:100万円~8,000万円(従業員数による)
●補助率:3分の1~3分の2(企業規模によって異なる)
- ■製品・サービス高付加価値化枠
- ●補助額:100万円~2,500万円(類型・従業員数による)
●補助率:2分の1~3分の2(企業規模によって異なる)
- ■グローバル枠
- ●補助額100万円~3,000万円
●補助率:2分の1(小規模事業者は3分の2)
参考:ものづくり補助金総合サイト|独立行政法人中小企業基盤整備機構
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、ポストコロナに対応した事業再構築を行う中小企業を支援します。成長分野進出枠、コロナ回復加速化枠、サプライチェーン強靭化枠で構成され、機器・システム導入費をはじめさまざまな経費が補助対象となります。
- ■成長分野進出枠(通常類型・GX進出類型)
- ●補助上限額:3,000万円~(場合により増額あり)
●補助率:3分の1~3分の2
- ■コロナ回復加速化枠(通常類型・最低賃金類型)
- ●補助上限額:1,500万円~
●補助率:2分の1~4分の3
- ■サプライチェーン強靱化枠
- ●補助上限額:3億円(場合により増額あり)
●補助率:2分の1(中堅企業は3分の1)
参考:事業再構築補助金|中小企業庁
中小企業向けのDX支援策を活用しよう
中小企業がDXを進めるためには、補助金や外部の支援サービスを活用するのが効率的です。特に支援サービスは、DXに欠かせないデジタル技術の導入から、社内の人材・環境整備まで、幅広くサポートが期待できるでしょう。
具体的なサービス内容は、提供会社やプランによって異なります。自社のニーズに合ったDX支援サービスを知るためには、まず資料請求をしてみるのがおすすめです。