そもそもDXとは
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略です。令和2年に閣議決定された「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」で、DXは以下のように定義されています。
『将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変すること。』
参考:世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画
顧客や市場が劇的な変化を見せる今、企業は対応を求められています。クラウドやビッグデータといった新しい製品・ビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面で価値を創出する必要があります。顧客体験の変革によって競争上の優位性を確立することが、DXの基本概念です。
単にデジタル技術を導入するだけが、DXではありません。最新技術を通して、どういった価値を生み出すのかが重視されます。
中小企業にとってのDXの必要性・メリット
DXに対して、「大企業が取り組むもの」というイメージを抱きがちです。しかし中小企業においても、DXの推進にはさまざまなメリットが期待できます。なぜ中小企業がDXを導入すべきなのか、理由は以下の3つです。
- ●取引先に対応するため
- ●膨大化する顧客データに対応するため
- ●業務を効率化して人的リソースを有効活用するため
デジタル化やIT化を推し進める企業が増えているなか、自社のみがアナログで対応するには限界があります。IT化の遅れが、取り引きに影響する可能性も考えられるでしょう。
また顧客情報が膨大化するなかで、それらを効率的かつ適正に管理する術が求められます。自動で管理し、必要な情報を素早く入手できるようになれば、営業や経営にも役立てられるでしょう。
DX化がもたらす変化とは
中小企業はDX化を推し進めた場合、業務にはさまざまな変化が生まれます。
バックオフィス部門では、さまざまな業務が定型化され、自動化できる部分も増えるでしょう。業務プロセスの見直しによって無駄を削減し、負担の多い業務にツールを取り入れれば、効率アップにつながります。生産性も向上するでしょう。
また機械が自動で対応してくれる範囲が広がれば、人的ミスを減少させられます。精度アップや品質保持も可能となるでしょう。「誰でもできる作業」を担っていた社員も、「会社を成長させるクリエイティブな仕事」に注力できるようになり、中小企業が抱えがちな「人材不足」の課題解決が望めるでしょう。人件費も削減できます。
DXで中小企業が抱えがちな課題とは
大企業と比較して、まだまだ進んでいないといわれる中小企業のDX化。中小企業ならではの課題がハードルになりがちです。どういった課題が発生しやすいのか、事前に把握し対策を進めていきましょう。
経験豊富なDX人材を確保しにくい
中小企業が抱えがちな課題の一つめは「人材確保の難しさ」です。DXの推進には、ITに関する豊富な知識をもつ人材が必須です。しかし、社員数が限られている中小企業において、適切なスキルを有する社員の採用は簡単ではありません。普段ITとの関わりが薄い企業ほど、人材確保の難易度はアップするでしょう。
経験豊富なDX人材の採用は、見極めが難しい分リスクもあります。社内で対応できない場合、外部サービスの活用についても検討してみてください。まずは各社サービスの資料請求をして、具体的にどういったDX支援をしてもらえるのか確認するとよいでしょう。
導入コストが発生する
DX化を進めるためにはコストがかかります。導入時に発生するコストとしては、以下のようなものが挙げられます。
- ●プロジェクトチームの立ち上げやコンサルティング経費など、社内環境を整備するための費用
- ●ソフトの購入やリース、システム構築にかかる費用
- ●宣伝広告費
- ●人材育成費
このように、DX化には非常に大きなコスト負担がかかります。DXの魅力や可能性を感じてはいても、費用面で二の足を踏んでしまうケースは多いでしょう。
コスト面での課題を解決するためには、補助金を活用するのがおすすめです。中小企業のDX化に利用できる助成金や補助金にはどのようなものがあるのか、次項で詳しく解説します。
中小企業のDX助成金・補助金情報
中小企業のDXで利用できる助成金や補助金には、いくつか種類があります。自社の条件にあわせて、利用できるものを選択してみてください。主な助成金・補助金を3つ紹介します。
IT導入補助金
IT導入補助金は、業務効率化やDXを目的に中小企業や小規模事業者がITツールを導入する際に利用できる補助金です。対象となるのは、事前に事務局の審査を受け、IT導入補助金の公式サイトに公開されているツールのみです。DX化のためにどのツールを導入すべきか悩んだ際には、「IT導入補助金の対象か」で判断するのもおすすめです。
IT導入補助金にはいくつかの枠が用意されており、通常枠ではA類型とB類型の2つがあります。
1種類以上の業務プロセスを保有するソフトウェアを申請する場合はA類型に。
補助率2分の1以内で5万円以上150万円未満が補助されます。4種類以上のプロセスを保有するソフトウェアの申請はB類型です。補助率2分の1以内で、150万円以上450万円以下を受け取れます。
ソフトウェア購入費や最大2年分のクラウド利用料、導入関連のオプション費用などが対象となります。
参考:IT導入補助金2023|独立行政法人中小企業基盤整備機構
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
中小企業や小規模事業者が直面する課題には、インボイスや働き方改革など、制度変更に関わるものも多いでしょう。ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、制度変更の対応に必要となる設備投資費などを支援する目的の補助金制度です。
利用目的に応じてさまざまな枠が用意されており、中小企業のDXを後押ししてくれるのは、「デジタル枠」です。補助率は3分の2までで、100万円~1,250万円の補助金を受け取れるでしょう。
申請時には3~5年の事業計画を策定し、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる必要があります。経済産業省の「DX推進指標」を活用し、自己診断を行ったうえで申請しましょう。
参考:ものづくり補助金総合サイト|独立行政法人中小企業基盤整備機構
参考:DX推進指標|経済産業省
事業再構築補助金
ポストコロナ・ウィズコロナ時代、経済社会は大きく変化しています。その変化に対応するために、中小企業の事業再構築を支援する目的で設立されたのが事業再構築補助金制度です。事業や業種の転換や再編、国内回帰など、思い切った再構築をサポートしてくれます。
幅広い経費が対象となるため、システム構築費や技術導入費、専門家経費なども補助してもらえるでしょう。
補助金には8つの枠が用意されており、それぞれで補助額が異なります。公式サイト上で公開されている情報をもとに、自社がどの枠に当てはまるのか慎重に判断してください。補助金を受け取るためには、支援機関や金融機関の確認を受ける必要があります。また補助事業終了後の一定期間で、付加価値額を増加させなければいけません。
参考:事業再構築補助金|中小企業庁
DX支援サービスも活用して推進しよう
中小企業がDXを進めるためには、外部の支援サービスを活用するのも一手です。DXに欠かせないデジタル技術の導入から、社内の人材・環境整備まで、幅広くサポートしてもらえるでしょう。課題も多いDX化をスムーズに進めていけるはずです。
具体的なサービス内容は、提供会社やプランによって異なります。自社のニーズに合ったDX支援サービスを知るためには、まず資料請求をしてみるのがおすすめです。