iPaaSとは
iPaaSとは、社内運用しているさまざまなシステムやサービスなどを、統合管理するクラウドサービスのことです。ITツールを有効活用するには、社内で運用しているすべてのソフトウェアやアプリケーションのデータ統合・管理が欠かせません。
しかし、次々と登場するソフトウェア同士を、スムーズに連携させるのは困難です。iPaaSは、クラウドやオンプレミスといった運用形態にかかわらず、シームレスなデータ統合や業務連携を可能にします。
iPaaSを使った業務自動化のイメージ
iPaaSを使った業務自動化は、さまざまな分野で活用できます。例えばメールに添付された書類やデータは、自動で文字データ化し、任意のフォルダに保存可能です。また、Googleスプレッドシートで入力したデータを、SFAやCRMなどの既存ツールと連携させることもできます。今まで人力で行われていた作業を自動化できるため、業務効率化の手法として有効です。
【海外製】iPaaS4選を比較!
現在、世界や日本で普及しているiPssSの多くが、アメリカをはじめとした海外製品です。そのなかから、おすすめの海外製iPaaSを紹介します。
Zapier
Zapier Inc.が提供する「Zapier」は、5,000個以上のアプリやサービスを連携できるiPaaSです。SlackやShopifyなどの主要なWebサービスに加え、運用中のSNSやCMSなどとも連携できます。セキュリティ体制が充実しており、データ漏えいの心配もありません。月間100タスクまでのデータ連携なら、無料プランのまま利用できます。
価格 |
月額費用2,794円~・初期費用0円)※無料プランあり |
無料トライアル |
あり(14日間) |
主な機能 |
業務自動化、マーケティング、ワークフローの自動作成、データのフォーマットなど |
Informatica
インフォマティカ・ジャパン株式会社が提供する「Informatica」は、社内保有するあらゆるデータを連携できるツールです。統合管理だけでなく、データ同士の関連性も可視化できます。AIと人間の相互作用によって、高品質なデータ管理が可能です。
価格 |
要問い合わせ |
無料トライアル |
あり(30日間) |
主な機能 |
データ統合管理、カタログ化、データ品質の管理など |
MuleSoft
MuleSoft, LLC.が提供する「MuleSoft」は、あらゆるサービスやアプリケーションを連携できるツールです。データの統合管理により、開発フェーズへの移行がスムーズに進み、生産性の向上につながります。データの統合状況をグラフ化できるため、必要な情報を即座に把握可能です。
価格 |
要問い合わせ |
無料トライアル |
あり(30日間) |
主な機能 |
データ統合、データ変換、カスタムマーケットプレイスの構築など |
Boomi
Boomiが提供する「Boomi」は、SaaSやオンプレミス環境に管理されているデータを統合管理できるツールです。システム上でデータを統合・検出することで、人やサービスをシームレスに連携できます。ノーコードでのワークフロー作成も可能です。
価格 |
要問い合わせ |
無料トライアル |
あり(30日間) |
主な機能 |
データ統合、ノンプログラミング自動化設計など)
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【日本製】iPaaS5選を比較!
近年、日本でもiPaaSの開発が進み、国内のiPaaS市場の成長が注目されています。ここからは、おすすめの日本製iPaaSを紹介します。
Anyflow
Anyflow株式会社が提供する「Anyflow」は、社内運用するSaaSを統合管理できるツールです。変化の生じたデータや、期日が到来したタスクなどをslackに通知できます。ノーコードで連携フローを設定できるため、プログラミングのスキルが必要ありません。
価格 |
月額費用30,000円~・初期費用0円 |
無料トライアル |
なし |
主な機能 |
データ統合、ノンプログラミング自動化設計、申込書の自動作成・送付など |
Workato
リックソフト株式会社が提供する「Workato」は、1,000種類以上のアプリケーションを統合管理できるツールです。トリガーとアクションを設定することで、自社の目的に最適な統合環境を構築できます。セキュリティが充実しており、強固に暗号化されたシステム連携が可能です。
価格 |
要問い合わせ |
無料トライアル |
あり(30日間) |
主な機能 |
データ統合、ノンプログラミング自動化設計、Slackのbot化、ファイル暗号化など |
ActRecipe
アスタリスト株式会社が提供する「ActRecipe」は、自社運用のSaaSに点在するデータを統合管理できるツールです。データ処理のフローを設計することで、クラウド間のシステム連携を可能にします。データ統合による業務効率化はもちろんのこと、社内IT化の促進にも効果的です。
価格 |
要問い合わせ |
無料トライアル |
あり |
主な機能 |
データ統合、内部統制強化など |
Biztex connect
BizteX株式会社が提供する「Biztex connect」は、ノンプログラミングで社内運用中のSaaSをシステム連携できるツールです。ChatWorkやZoomなど、30種類以上の主要なWebサービスとデータ統合できます。実績が豊富なテンプレートが提供されているため、未経験でも問題ありません。同社が提供するRPA「cobit」とは、標準連携できます。
価格 |
要問い合わせ |
無料トライアル |
あり(7日間) |
主な機能 |
テンプレート提供、ノンプログラミング自動化設計など |
DataSpider Servista
株式会社セゾン情報システムズが提供する「DataSpider Servista」は、プログラミングなしでさまざまなアプリやシステムを連携できるツールです。直感的な操作だけで、スピーディにデータ統合できます。Javaを活用した高い処理能力が実装されているため、大容量のデータ管理も問題ありません。
価格 |
月額費用20万円~・初期費用は要問い合わせ |
無料トライアル |
あり(30日間) |
主な機能 |
データ統合、ノンプログラミング自動化設計、カスタム処理の実装、運用支援サポートなど |
iPaaSが注目されている理由
iPaaSはなぜ多くの企業で導入されているのでしょうか。iPaaSが注目されている理由を2つ紹介します。
SaaSの導入によるデータの点在化を解決できるから
SaaS(ソフトウェアをインターネット経由で利用する仕組み)を導入すると、ソフトウェアごとにデータが管理されるため、必要なときに必要な情報を取得しづらいのが問題でした。
iPaaSの登場によって、各所に点在するSaaSが効率的に統合管理され、業務が効率化しています。従来のようにプログラミングを使って、独自システムを開発する必要がありません。企業が保有する各データを統合管理できることが、iPaaSが注目される理由のひとつです。
日本製のiPaaSが登場し始めたから
iPaaSはかつて海外製が主流でしたが、近年は日本のベンダーが開発・提供する製品も増えてきました。海外製品のように英語でマニュアルをみたりトラブルを解決したりする必要がないため、国内でも注目され始めています。
iPaaSの4つのタイプ
iPaaSにはどのような種類があるのでしょうか。iPaaSの4つのタイプについて紹介します。
レシピ型
データ連携によるアクションやフローを作成し、レシピとしてテンプレート化するタイプです。直感的な操作で利用できるため、プログラミングなどの専門知識が必要ありません。「毎日9時になったらデータ連携する」といった、トリガーやアクションを設定するのが一般的です。
ESB型
SaaSやオンプレミスなどを連携するためのOSを作成するタイプです。データの統合管理だけでなく、SaaSのAPIを設計できる製品もあります。導入コストが非常に高いため、インフラストラクチャが充実している大企業向けの製品です。
ETL/ELT型
アプリケーションなどのデータをシステム上で抽出し、データウェアハウスに格納するタイプです。レシピ型のようにデータ連携するのではなく、データを処理するためフローを構築します。複数のSaaSを共同運用している企業に有効です。
EAI型
複数のシステムで記録されているデータを、カタログ化して処理するタイプです。定期的に同期や更新を行う「ETL」とは異なり、好きなタイミングで必要なデータを統合管理します。データ処理のフローが複雑化しやすいため、大量のデータ連携には向きません。複雑な処理をするほど、導入コストも高くなる傾向があります。
iPaaSのメリット
iPaaSを導入すると、具体的にどのような効果を得られるのでしょうか。iPaaSのメリットを4つ紹介します。
コストと時間をかけずにシステム統合ができる
SaaSやオンプレミス・クラウドなどのシステムを、コストをかけずに統合できます。異なるシステム間のデータをiPaaSがノーコードで連携してくれるため、プログラミングなどの専門スキルが必要ありません。システム統合のための高価な製品の導入も不要です。
業務フローを効率化できる
iPaaSによる連携が進むと、それぞれのシステムでデータ管理する必要がなくなり、業務フローが効率化されます。システムごとに手動入力する必要がなくなり、データの共有もスムーズです。トリガーを設定すれば、必要な時に必要なアクションを実施できます。
多角的な分析をスピーディーできる
各部署に点在していたデータ同士を連携することで、多角的な分析が可能になります。従来のように、必要なデータがあれば担当者に確認したり、Excelなどにデータ入力して分析したりする必要がありません。CRMやアクセス解析ツールなどで収集したデータを解析し、経営判断やROIの可視化に利用できます。
新規システムをスムーズに導入できる
iPaaSを利用していれば、今後新しくリリースされるSaaSやクラウドサービスなどに対応できます。従来のように、新規システム導入時に既存システムとの連携性を考える必要がありません。どのようなサービスとも連携できるため、新規アプリケーションやソフトウェア導入の選択肢が広がります。
iPaaSのデメリット
iPaaSの導入で得られるのは、メリットだけではありません。iPaaSのデメリットを2つ紹介します。
APIが公開されていないサービスとは連携できない
iPaaSでデータ統合するには、元サービスとのAPI連携が必要です。そのためAPIが公開されていないサービスとは、システム統合できません。
SaaSを導入する際は、API連携に対応しているか確認しましょう。連携時に通信データを秘匿できるセキュリティ体制も重要です。
ITスキルが乏しいと扱えない場合がある
iPaaSは操作の難しい製品もあるため、ITスキルが乏しいと扱えない場合があります。特に海外製品だと、英語力がないとマニュアルの読解やトラブルなどに対応できません。また、レシピ型だとノーコードでデータ連携のフローを作成できますが、EAI型やESB型だとシステム連携に関する高度な知識が不可欠です。
iPaaSの選定ポイント
自社にあうiPaaSを導入するには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。iPaaSを選定する際のポイントを3つ紹介します。
日本製か海外製か
海外製のiPaaSは、使いこなすのにある程度の英語力が必要です。海外での利用を想定しているため、国内でのビジネス環境にあわない可能性もあります。国内製SaaSとの連携性も考慮しなければなりません。そのため、社内に英語力の高い人材がいない場合は、海外製を避けた方がよいのでしょう。
日本製のiPaaSは、国内でのビジネス環境が想定されているため、国内製SaaSとの連携やマニュアルの読解、トラブルなどに対応できます。
連携できるアプリの数
連携できるアプリの数が多いほど、システム連携の幅が広がり、データ統合が効率化されます。そのため、iPaaSを導入する際は、現在運用しているシステムのほか、できるだけ多くのアプリに対応している製品を選びましょう。事前に今後導入予定のSaaSがないか、検討することをおすすめします。
操作のしやすさ
高機能のiPaaSを導入しても、チームメンバー全員が同じように操作できなければ意味がありません。ツールの使用が属人化すると、突然のトラブルに対応しにくくなり業務が滞ります。業務の引き継ぎもスムーズに行えません。そのため、自社の担当者が誰でもシステム連携できる操作性をもった製品をおすすめします。
iPaaSをはじめて導入するなら日本製がおすすめ
iPaaSは、低コストでシステム連携し業務効率化できる便利なツールです。しかし、APIが非公開なサービスとは連携できず、製品によってはITスキルがないと扱えません。
そのため、以下の比較ポイントを参考に、自社にあった製品を選びましょう。
- ・日本製か海外製か
- ・連携できるアプリの数
- ・操作のしやすさ
iPaaSをはじめて導入するなら、日本製をおすすめします。