ジョブ管理システムの導入条件を確認する前に整理したいポイント
ジョブ管理システムとは、複数のシステムやサーバで実行するジョブの起動や監視を一元的に管理するためのしくみです。導入条件を検討する前に、まず担う役割と条件を整理する目的を確認しておきましょう。
ジョブ管理システムが担う役割
ジョブ管理システムは、バッチ処理やデータ連携など複数のジョブを決められた順序や時間で実行し、実行状況を監視する役割を担います。手作業でのジョブ実行や確認作業を減らし、処理漏れやエラーの早期発見につなげる目的で導入されます。
対応できる範囲はシステムによって異なり、実行するジョブの種類や連携先のシステム構成によって必要な機能が変わります。導入を検討する際は、自社で管理しているジョブの種類や実行環境をあらかじめ洗い出しておくと、条件の整理がしやすくなります。
導入条件を明確にする狙い
導入条件を明確にしておくと、複数の製品を比較する際に自社の要件とあっているかを判断しやすくなります。セキュリティや連携方法など、後から変更しにくい条件を先に整理しておくことがポイントです。
条件が曖昧なまま製品を選ぶと、導入後に必要な機能が不足していたと分かるケースがあります。情報システム部門や現場の担当者と条件をすり合わせたうえで、比較検討を進めることが望ましいといえます。
セキュリティ要件とISMS対応から見る導入条件
セキュリティ要件が厳しい企業では、通信の暗号化やアクセス制御に加え、第三者認証の取得状況も導入条件として確認されるケースがあります。ここではセキュリティとISMS対応の観点から確認したい点を整理します。
セキュリティ要件の確認ポイント
セキュリティ要件を確認する際は、通信の暗号化方式やアクセス権限の設定範囲、操作ログの記録有無などを個別に確認する必要があります。「セキュリティが高い」といった表現だけでは、自社の要件を満たすかは判断できません。
確認する項目としては、ユーザーごとの権限設定、実行履歴の保存期間、外部ネットワークとの通信経路などが挙げられます。社内のセキュリティポリシーと照らし合わせながら、情報システム部門を交えて確認を進めることが実行可能な進め方です。
ISMS対応や認証取得状況の確認
ISMSとは情報セキュリティマネジメントシステムの略称で、組織的な情報管理体制を評価する国際規格です。ISMS認証を取得している提供会社であれば、情報管理の体制について一定の基準にもとづいた運用が行われていると判断する材料といえます。
ただし認証の取得範囲は会社やサービスごとに異なるため、対象がジョブ管理システムの提供部門を含んでいるかを個別に確認する必要があります。認証の有無だけでなく、取得範囲や更新状況もあわせて確認するとよいでしょう。
API連携とジョブフローの柔軟性に関する導入条件
API連携が必須の業務や、複雑なジョブフローを組む必要がある場合は、連携方法とカスタマイズできる範囲を導入条件として確認しておくことが求められます。
API連携の必要性と確認事項
API連携とは、外部システムとデータやコマンドをやり取りするしくみです。API連携が必須の場合は、連携できるシステムの種類や認証方式、連携時のエラー通知の有無を確認する必要があります。
API連携では、認証エラーやデータ反映の遅延、一部処理の失敗などが起こる場合があります。連携先のシステムとあわせて、エラー発生時に通知を受けられるか、再実行できるかといった復旧の観点も確認しておくと安心です。
ジョブフローをカスタマイズできる範囲
ジョブフローとは、複数のジョブを実行する順序や条件を定義したものです。業務内容にあわせて分岐条件やエラー時の処理を柔軟に設定できるかは、製品ごとに対応範囲が異なります。
カスタマイズ性を確認する際は、画面上での設定変更が可能か、専門知識が必要な設定はどこまであるかを見極めることが実行可能な確認方法です。設定変更の担当が情報システム部門に限られる場合は、その体制もあわせて確認しておきましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でジョブ管理の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
クラウドとオンプレ混在・海外拠点に対応する導入条件
クラウドとオンプレミスが混在する環境や、海外拠点でのバッチ処理がある場合は、対応環境と言語表示の範囲を導入条件として確認しておく必要があります。
クラウドとオンプレが混在する環境への対応
クラウドとオンプレミスが混在する環境では、それぞれの実行基盤にあるジョブを一つの画面から管理できるかが確認したい条件です。対応範囲は製品によって異なるため、自社の環境構成を整理したうえで確認することが求められます。
混在環境では、ネットワーク経路の違いにより通信の遅延やジョブの実行状況の反映に差が出る場合があります。導入前には、実際の環境に近い条件で動作を確認できるか、提供会社に相談してみるとよいでしょう。
海外拠点のバッチ処理と多言語対応
海外拠点でバッチ処理を行う場合は、管理画面や通知メッセージが日本語以外の言語に対応しているかを確認する必要があります。対応言語の範囲は製品ごとに異なるため、対象拠点で使用する言語が含まれているかを個別に確認しましょう。
あわせて、拠点ごとに異なるタイムゾーンでのジョブ実行スケジュールを設定できるかも確認したい点です。時差を考慮した実行時刻の管理ができないと、意図しないタイミングでジョブが実行される可能性があります。
国産ジョブ管理システムを選ぶ際の導入条件
国産のジョブ管理システムを検討する場合は、サポート体制や導入後の運用のしやすさも導入条件として確認しておくとよいでしょう。
国産システムの特徴と確認したい点
国産のジョブ管理システムは、日本語のマニュアルや管理画面が用意されている場合が多く、国内の商習慣にあわせた運用を想定して設計されている製品が見られます。ただし対応範囲は提供会社によって異なります。
国産だからといって海外拠点への対応が一律に劣るとは限らず、多言語対応や海外向けの機能を備えた製品もあります。属性だけで判断せず、各製品の対応機能を個別に確認することが実行可能な選び方です。
サポート体制と運用時の確認事項
サポート体制は、マニュアルの閲覧、問い合わせ窓口への相談、導入時の設定支援など内容が製品によって異なります。「サポートが手厚い」という表現だけで判断せず、どこまでの支援が受けられるかを具体的に確認しましょう。
運用開始後は、エラー発生時に通知を受けられるか、実行履歴を確認できるかといった復旧の観点も重要です。特定の担当者だけに運用を依存させず、複数人で状況を把握できる体制を整えることが望ましいといえます。
導入条件をふまえて検討したいジョブ管理システム
ここまで紹介したセキュリティ対応やクラウド・オンプレ混在環境への対応、国産システムのサポート体制といった観点から、検討の参考になる製品を紹介します。
Hinemos
- リーズナブルな、管理規模が増えても変わらない価格帯
- ワンパッケージで充実した機能を提供
- 複数製品を導入する必要がなく、運用業務を一元化・効率化
株式会社アトミテックが提供する「Hinemos」は、国産の統合運用管理ソフトウェアです。複数のジョブを実行順序や条件にあわせて管理するジョブ管理機能と、システムの稼働状況を確認する監視機能をあわせ持ちます。クラウドとオンプレミスが混在する環境のジョブやリソースを一つの画面から確認できるほか、実行結果やログの参照、エラー発生時の通知にも対応しており、幅広い運用環境で活用できます。
Job Director
- ジョブネットワークは全て GUI 上で定義可能
- 柔軟なスケジュール設定で煩雑な業務を自動化
- 低コストで運用可能
セイ・テクノロジーズ株式会社が提供する「Job Director」は、企業の基幹システムやバッチ処理を対象としたジョブ管理(ジョブスケジューラー)ソフトです。GUI上でジョブネットワークを定義でき、複数カレンダーに対応したスケジューリングや実行状況の一元監視ができます。AWSやAzure、UiPathなど外部サービスとの連携に加え、アクセス制御によるセキュリティ機能やクラスタ機能も備えており、企業規模を問わずスモールスタートでの導入も可能です。
SystemwalkerOperationManager (富士通株式会社)
- 複数サーバ・プラットフォームのジョブを統合管理。
- 複雑なスケジュールやジョブ間依存に対応可能。
- ガントチャート等で可視化し問題を早期検知・対応
JP1 Cloud Service/Job Management (株式会社日立製作所)
- ドラッグ&ドロップのローコードで容易に自動化を実現。
- ハイブリッド環境でジョブ管理が可能。クラウドやSaaSと連携
- ジョブ状況の可視化とトラブル時のリトライ等で安定運用を支援。
A-AUTO (株式会社ユニリタ)
- バッチ処理を管理し、ジョブの自動実行制御を可能に!
- バージョンアップ・マシンリプレース費用が不要!
- 分散して構築された基幹業務システムを一元的に管理できる!
ジョブ管理システムの導入条件に関するFAQ
ジョブ管理システムの導入条件について、よくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:国産のジョブ管理システムにはどのような特徴がありますか?
- 日本語のマニュアルやサポート窓口が用意されている製品が多くあります。ただし対応機能は製品ごとに異なるため、自社の要件にあうかを個別に確認することが必要です。
- ■Q2:セキュリティ要件が厳しい企業でも導入できますか?
- 通信の暗号化やアクセス権限の設定、操作ログの記録などに対応した製品があります。自社のセキュリティポリシーと照らし合わせ、対応範囲を個別に確認したうえで選定することが求められます。
- ■Q3:ISMS対応のジョブ管理システムはありますか?
- 提供会社がISMS認証を取得しているケースがあります。認証の取得範囲がジョブ管理システムの提供部門を含んでいるかは、製品ごとに確認が必要です。
- ■Q4:API連携が必須の場合、どのような点を確認すればよいですか?
- 連携できるシステムの種類や認証方式、エラー発生時の通知や再実行の可否を確認しましょう。連携先システムとの責任分界もあわせて確認しておくと安心です。
- ■Q5:クラウドとオンプレが混在する環境にも対応できますか?
- 両方の環境のジョブを一つの画面で管理できる製品があります。対応範囲は製品によって異なるため、自社の環境構成にあわせて個別に確認することが必要です。
まとめ
ジョブ管理システムの導入条件は、セキュリティ要件やISMS対応、API連携の可否、ジョブフローのカスタマイズ性、クラウドとオンプレが混在する環境への対応、海外拠点の多言語対応など多岐にわたります。自社の運用環境と照らし合わせながら条件を整理し、複数の製品を比較検討することが導入後の失敗を防ぐことにつながります。気になる製品があれば、資料請求を通じて詳細を確認してみてください。


