AI議事録自動作成ツールとは
AI議事録自動作成ツールは、AIを用いて音声を自動で文字起こしすることで、議事録作成の負担を軽減するツールです。また、議事録の共有や編集、管理なども容易に実現できる機能を備えている事もあります。
会議の録音データを人間が文字起こしする必要がなくなり、ツールで出力すると議事録が作成されるため、議事録作成の工数が削減できるのが特徴です。
AI議事録自動作成ツールの機能と特徴
AI議事録自動作成ツールには製品によって多種多様な機能があります。ここではその機能の中でも特徴的な3つの機能を簡単にまとめました。
AIによる精度の高い音声認識
AI議事録自動作成ツールの最も重要な機能は、音声認識によって自動で文字起こししてくれる機能です。しかし、音声認識機能が登場した当時は文字起こしの精度が低く、実用には耐えられないものでした。
近年のAIの発達により精度が上がり、現在では実用レベルの文字起こしが可能になっています。また、後で解説するように、利用頻度の高い言葉をAIに学習させ精度を上げることも可能です。
音質などにより完璧な文字起こしができかねる場合もありますが、最初から人が議事録を作成するのに比べ、格段に作業を効率化できます。
編集・修正の手間を軽減
ツールを用いることなく録音ファイルとテキストファイルを別のソフトで再生・表示しながらの作業は、ソフトの切り替えが必要で操作が煩雑になります。一方、議事録用の編集ツールを使えば、録音音声とテキストを突き合わせながらスロー・リピート再生してテキストと比較しチェックする、といった方法が可能です。編集ツールが付属しているタイプのAI議事録自動作成ツールであれば、議事録の編集や修正の工数も減らせます。
さらにクラウドを経由した共有機能を備えたツールを導入すれば、複数での同時編集やコメントの追加も容易となり、より作業効率を上げられるでしょう。
AI学習が可能
AIを用いる利点の一つは、学習によって書き起こしの精度が上げられることです。AI議事録自動作成ツールでもその特徴を生かして議事録作成の効率化が図れます。
例えば書き起こしする必要のない「えー」や「ああ」といった言葉を取り除く、いわゆる「ケバ取り」もパターンを学習して自動で行えるツールがあります。社内や業界などでのみ使う用語もあらかじめ学習させておけば、認識の精度を上げてさらなる効率化が期待できるでしょう。
AI議事録自動作成ツール3つの導入メリット
AI議事録自動作成ツールの導入にはコストがかかるため、それに見合う十分な利点があるか知っておきたい人も多いでしょう。そこで、AI議事録自動作成ツールを導入したときの3つのメリットを紹介します。
作成の負担軽減
音声の文字起こしには非常に時間がかかります。一般的には慣れた人でも録音時間の4倍、普段から文字起こしをしていない場合はさらに必要と考えられています。
つまり、30分の会議の文字起こしを手作業で行うと、予想される作業時間は2時間です。AIにより文字起こし作業を自動化できれば、議事録作成における負担の軽減につながります。
担当者が会議に集中できる
議事録を作成するために会議中に同時進行で議論のメモを残す場合、議事録を作成する担当者は発言内容を書きとめなければなりません。そのため、担当者は議論に集中できなくなる可能性があります。しかし、録音して後で書き起こすにしても、議事録作成のためだけに人員を用意するにしても、人的コストが上がってしまうのが難点です。
AI議事録自動作成ツールを使えば、人的コストをかけずに議論の記録と議事録の作成が可能となり、担当者がより会議の内容に集中できるようになるでしょう。
共有が簡単
議事録の作成に時間がかかると、業務全体のスピードにも影響します。担当者が議事録を作り社内全体に通知するのには何日かかかることがあり、業務の遅れにつながりかねません。
AI議事録自動作成ツールの共有機能を使えば、不要な遅延を少なくし業務全体の迅速化も望めるでしょう。
AI議事録自動作成ツールの運用のコツを3つ紹介
AI議事録自動作成ツールを導入する企業が増える中、運用に不安を感じている人も多いのではないでしょうか。そこで、ここではAI議事録自動作成ツールを導入する際に押さえておきたい運用のコツを3つご紹介します。
会議場所をできるだけ静かな場所にする
音声認識の精度を上げるためには、周りの環境が重要です。たとえAIの音声認識の精度が高くとも雑音が多い場所では機能しません。
会議を行う場所の近くで関係ない話し声がする場合や、マイクに空調があたるといった雑音が多い状況はなるべく避けた方が良いでしょう。また、マイク自体も他の方向の雑音を拾いにくい、指向性のある物を使うといった工夫が必要です。
必要な精度から録音場所やツールの選定を行う
AIによる音声認識の精度が高くなったとしても、書き起こしのミスをなくすことはできません。雑音などで聞き取れない部分はどうしてもでてきます。また、人間が書き起こしても時として聞き誤るように、業務の知識のないAIのミスは必ず発生すると考えられます。
そのため、どの程度の精度を要求するかはツールを使う時に重要になります。普段の打ち合わせの要旨のみが目的であれば、精度は大きな問題にならないかもしれません。しかし、役員会議や株主総会などの議事録であれば十分な精度が必要でしょう。
議事録作成に必要な精度を決めておけば、雑音の少ない会議室を使うといった録音場所を用意する際の参考になります。
バックアップの用意
AI議事録自動作成ツールを使う時は、スマホに録音アプリを入れたような物でもよいので、なるべく予備の録音手段も用意しておきましょう。バックアップの方法があれば、録音機材が壊れて使えなかったり、うまくデータが保存できなかったり、といったトラブルでも対処できます。
また、会議の内容について時間と発言者などの簡単なメモを残しておくと、後で行う議事録作成がスムーズになります。
AI議事録自動作成ツールのおすすめ5選
ここではAI議事録自動作成ツールのおすすめを5つ紹介します。ぜひ実際の製品を選ぶ際の参考にしてください。
スマート書記
「スマート書記」は、エピックベース株式会社が提供する、AI議事録自動作成ツールです。累計利用社数2,500社以上の実績があり、録音・エディタ・文字起こし・メディアプレイヤーなどの機能を備えています。
さらに、ToDoやサマリーを自動抽出し、メールやURLで共有することも可能です。そのため、議事録の録音から共有までをワンストップで管理できます。また、14日間の無料トライアルも用意されているので、気軽に試すことができるのも魅力です。
富士通Zinrai
「富士通Zinrai」は、富士通株式会社が提供するAIソリューションです。その中の一つに、AI議事録自動作成ツール「TalkVisible」があります。音声認識には、国内シェアNo.1の株式会社アドバンスト・メディアのAI音声認識エンジン「AmiVoice」を採用し、精度の高さが特徴です。また、辞書登録も可能で、AIによる声の明瞭化・雑音の除去などにより、会議録作成時間を最大半分にまで短縮した導入例もあります。
「TalkVisible」は、クラウドサービスとパッケージ商品の2種類から選択可能で、クラウドサービスはASPIC認定を取得したセキュリティの高さも特徴です。
Sloos
「Sloos」は株式会社QuantumCoreによる話者認識に対応したAI議事録自動作成ツールです。話者の特定にかかる時間を10秒程度に短縮することで、議事録作成の効率化を実現しています。Microsoft TeamsやZoomとも連携可能のため、Web会議にも対応可能です。
また、サービス拡大のため、現在(2023年8月)は完全無償で提供しています。気軽に利用を開始できるのが大きなメリットですが、無償である代わりに個別のサポートは基本的に行われていない点に注意が必要です。
Microsoft Teams
「Microsoft Teams」は国内では日本マイクロソフト株式会社が提供するビジネスチャットツールです。チャットやファイル共有などのさまざまな機能がある中に、ビデオ会議も実装されています。ビデオ会議ではライブ・トランスクリプションと呼ばれる文字起こしの機能があり、特定のライセンス(Office 365など)を有したデスクトップ版で利用可能です。
特徴はリアルタイムでの文字起こしと話者の特定による議事録作成時間の短縮です。ただし、スマホには対応しておらず、Teamsのビデオ会議のみで利用できます。そのため、使える場面が限られる点に注意が必要です。
COTOHA Meeting Assist
「COTOHA Meeting Assist」は、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社が提供するAI議事録自動作成ツールです。AIの活用で音声をリアルタイムに文字起こしし、発言内容から「重要」「タスク」などのラベル付けまで自動で行います。これにより、議事録の作成時間を大幅に短縮できます。
また、初期費用無料でクラウドサービスとして提供されているため、特別な準備をせずにすぐに利用を開始できるのも特徴です。
AI議事録自動作成ツールの選び方のポイント
一言でAI議事録自動作成ツールといってもその種類は多種多様です。その中で自社の目的にかなったツールを探し出すのが難しく感じる場合があるかもしれません。そこで、ここではAI議事録自動作成ツールを選ぶ時に注目してほしいポイントを紹介します。
AI認識機能
AI議事録自動作成ツールの機能の中でも、音声認識機能は特に重要です。その精度は全て同じではなくツールによって異なります。あまりに精度が悪いと手作業での修正に時間がかかり、議事録作成の効率化を望めません。
単純にAIであれば精度が良いと思わず、体験版が提供されていれば導入前に試しておくと安心です。また、実際に使った人のレビューを参考にするのも良いでしょう。
使いやすさ
どのようなツールでも直感的な操作が可能かという「使いやすさ」は重要な評価ポイントです。いくら多機能でも、操作方法が分からなければ使いこなせず、習熟のコストが上がります。
しかし、「使いやすさ」の基準は個々人により異なり、一概に判断はできません。確実なのは実際にツールを操作して確認することです。例えば、リアルタイムで文字起こしするタイプのツールであれば、すぐに起動や停止ができれば会議中のトラブルに対応しやすいでしょう。議事録の変更が多い場合は編集ツールの操作性が重要です。もし試用版が提供されていれば、実際の状況を想定した使用感の確認をおすすめします。
テンプレート機能や検索精度
議事録のフォーマットを揃ろえる作業を効率化してくれるテンプレート機能があるかどうかも、AI議事録自動作成ツールの選定時にチェックしたい点の一つです。議事録全体のフォーマットだけでなく、コメントやメモの書式を揃ろえて記入者の名前などを自動で挿入する機能も議事録作成の効率化につながります。
また、いくら議事録を残しても発言や要旨などが速やかに探し出せなければ業務の中で生かすことはできません。必要であれば発言内容や発言者、時間などから検索できる機能があるかも選ぶ前に確かめておきましょう。
AI議事録自動作成ツールで業務の効率化を
AI議事録自動作成ツールを活用すれば議事録を作る時間を大幅に短縮でき、業務の効率化につながります。しかし、実際に業務で役立つ機能があるかどうかわかりにくい部分もあるでしょう。
AI議事録自動作成ツールを提供している企業の多くは、資料請求にも対応しています。気になる方はまず資料請求して、どんな機能があるかチェックしてみてはいかがでしょうか。