医薬品販売業の分類と必要な許可
医薬品販売業は、以下の4つに分類されます。
それぞれの概要と必要な許可を紹介します。
出典:薬事法施行規則等の一部を改正する省令の概要|厚生労働省
薬局
薬局とは薬剤師が常駐し、調剤業務や医薬品全般の販売業務を行う場所を指します。接客する場とは別に調剤室があり、調剤室以外での調剤は、薬剤師法の規定により原則認められていません。
処方箋にもとづいて調剤する薬局を、保険薬局と呼びます。薬局開設許可を得ていればドラッグストアでも薬局と呼べます。なお、病院・診療所の調剤所は、薬局開設許可を必要としません。
- 必要となる許可
- 薬局開設許可申請時に必要な書類一例(東京都の場合)
-
- ●薬局開設許可申請書
- ●平面図
- ●調剤及び調剤された薬剤の販売または授与の業務を行う体制の概要
- ●登記事項証明書
- ●管理薬剤師及び勤務薬剤師の薬剤師免許証の写し
- ●登録販売者の販売従事登録証の写し
など
※詳細は各自治体にお問い合わせください。
出典:薬局開設許可申請書|東京都福祉保健局
店舗販売業
2009年施行の改正薬事法で新たに設けられた区分で、薬種商販売業と一般販売業が店舗販売業に統合されました。調剤を行わない、薬店やドラッグストアを指します。薬局以外で消費者に一般医薬品を販売できるのは、この店舗販売業と配置販売業に限られています。
販売するのは要指導医薬品と一般用医薬品で、医療用医薬品は扱えません。また、薬剤師はすべての種類の医薬品を販売できますが、登録販売者は一般用医薬品のうち第二類・第三類医薬品のみ販売可能です。
- 必要となる許可
-
- ●店舗所在地の都道府県知事(所在地が保健所を設置する市または特別区の区域にある場合においては、市長または区長)から得た店舗販売業許可
- 店舗販売業許可申請時に必要な書類一例(東京都の場合)
- ●店舗販売業許可申請書
- ●平面図
- ●調剤及び調剤された薬剤の販売または授与の業務を行う体制の概要、医薬品の販売または授与を行う体制の概要
- ●登記事項証明書
- ●管理者または勤務薬剤師等の資格などを証明する書類
- ●薬剤師の場合は、薬剤師免許証の写し(登録販売者の場合は、販売従事登録証の写し)
- ●登録販売者を店舗管理者とする場合は、業務従事証明書・実務従事証明書・勤務状況報告書または業務従事確認書・実務従事確認書・勤務状況報告書
など
※詳細は各自治体にお問い合わせください。
出典:店舗販売業許可申請書|東京都福祉保健局
特定販売
店舗販売業のうち、インターネット販売や郵便販売など、ほかの区分に分類できない販売方法の場合は、特定販売に区分します。店舗販売業許可を取得し、実店舗を構えていないとインターネットや郵送での販売ができません。販売できる医薬品は、一般用医薬品のみと制限があります。
出典:【薬局・薬店向け】一般用医薬品の特定販売(インターネット販売)について|東京都福祉保健局
しかし、近年では規制緩和の動きもあり、その動向とネット販売への注目が集まっています。以下の記事では、医薬品に関する規制緩和の動向とネット販売への対応について詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
配置販売業
販売員が消費者の家庭に医薬品の入った箱(配置箱)を配置し、次回の訪問時に使用した分の代金を精算・集金する業態です。日本独自の医薬品販売の形態で、置き薬とも呼ばれます。
さらに経年変化による影響がないなどの一定基準を満たした一般用医薬品のみが、販売対象です。登録販売者は第一類医薬品の販売には携われませんが、薬剤師はすべての一般用医薬品を販売できます。
2009年の改正法により、薬剤師または登録販売者の資格を持たない販売員は、医薬品販売をできないことになりました。代金回収や、情報提供が不要な医薬品の補充などは行えます。配置販売を行うのは、薬剤師や登録販売者に限定されます。
- 必要となる許可
- ●都道府県知事から得た配置販売業許可
- ●配置従事者身分証明書
- 配置販売業許可申請時に必要な書類一例(東京都の場合)
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- ●配置販売業許可申請書
- ●業務従事証明書
- ●実務従事証明書
- ●勤務状況報告書
- ●身分証明書交付申請
- ●配置従事届
など
※詳細は各自治体にお問い合わせください。
出典:配置販売業|東京都健康安全研究センター
卸売販売業
医療機関や薬局などに医薬品を卸売りする業態で、倉庫が主体であるため一般消費者への店舗販売はしません。医療関係者以外に、直接医薬品を販売することは禁じられています。原則として営業所には、管理者としてすべての種類の医薬品を取り扱える薬剤師を置かなければなりません。
- 必要となる許可
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- 卸売販売業許可申請時に必要な書類一例(東京都の場合)
- ●卸売販売業許可申請書
- ●平面図
- ●登記事項証明書
- ●管理者との使用関係を証する書類
- ●放射性医薬品を取り扱うときは放射性医薬品の種類及び放射性医薬品貯蔵設備の概要を記載した書類
- ●管理者の資格を証明する書類
- ●実務経験証明書
など
※詳細は各自治体にお問い合わせください。
出典:卸売販売業許可申請書|東京都福祉保健局
医薬品販売のために必要な資格
医薬品を販売できるのは薬剤師と登録販売者です。薬剤師または登録販売者に必要となる資格や勤務地、取り扱える薬の種類は以下のとおりです。
- 薬剤師
- 資格:大学の薬学部(6年制)を卒業し、国家資格を取得
- 勤務地:病院内の薬局・保険薬局
- 取り扱える薬の種類:医療用医薬品・要指導医薬品・一般用医薬品・全種
- 登録販売者
- 資格:年1回開催される筆記試験に合格すると資格を取得できる(学歴・年齢不問)
- 勤務地:ドラッグストア・薬店など
- 取り扱える薬の種類:第二類医薬品・第三類医薬品のみ
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等について|厚生労働省
医薬品製造販売業に必要な許可
自社開発の医薬品や委託製造した医薬品を国内で販売する事業者(製薬会社)は、医薬品製造販売業に該当します。輸入した医薬品を販売することも可能です。
医薬品の製造には、医薬品医療機器等法により医薬品製造業許可が必要とされており、製造した医薬品の販売には医薬品製造販売業許可がなければなりません。医薬品製造販売業許可を受けた者は、市場に出ている当該医薬品に対し責任を負い、品質や安全管理を行います。
さらに、医薬品を製造販売するにあたって、取り扱う医薬品の品目ごとに製造販売承認を取得しなければなりません。これを取得すると厚生労働大臣により、医薬品として適当であることが証明されます。
- 必要となる許可
- 医薬品製造販売承認申請時に必要な書類一例(東京都の場合)
- ●医薬品製造販売承認申請書
- ●承認基準対比表
- ●外字表
- ●構造式図面
- ●装置図
- ●容器の図面
- ●実測値/安定性の添付資料
など
※詳細は各自治体にお問い合わせください。
出典:医薬品製造販売承認申請時の手順と注意点||東京都福祉保健局
必要な許可を得て正しく医薬品販売を行おう
医薬品販売業は、薬局・店舗販売業・配置販売業・卸売販売業に分けられ、それぞれ許可を得て販売が可能です。許可申請時の申請先や届出の方法、必要書類などは自治体によっても異なるため、各自治体に詳細を問い合わせ、正しく手続きを行いましょう。
そのほか、医薬品販売には多くの法令や規定が定められています。法令や規定に則って医薬品の販売管理をするなら、法令対応している販売管理システムの利用がおすすめです。以下の記事では人気の販売管理システムを紹介しています。機能やタイプ、選び方についても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。