薬機法とは?
薬機法とは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」を指し、従来の法律であった薬事法が改正され再生医療に関する製品の規定が新設されました。
従来の法律であった薬事法とは
薬事法の施行は1961(昭和36)年の医薬品、医薬部外品、化粧品および医療用具などについて規制から始まります。さらにさかのぼると、1874(明治7)年施行の「不良薬品の禁令」と1912年(明治45年)の「毒物劇物営業取締規則」に端を発します。
医薬品の製造・販売したり輸出・輸入する際のルールや、商品容器への表示(成分、内容量、毒性など)を定めた、極めて古くからある法律です。
「薬事法」から「薬機法」へ
すべての医薬品製造事業者や医薬品販売事業者は薬事法に従って、事業を展開してきました。この薬事法が半世紀を経て、2014年11月25日「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(2015年4月1日施行)」という長い名前に変わりました。「医薬品医療機器等法」と略され、名称が示すように、日本における医薬品や医療機器などの運用を定めています。
出典:
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律|e-gov
薬機法3つの改正ポイント
薬機法への改正は、以下3つのポイントがあります。
スピードアップ:医薬品と医療機器を別扱い
旧薬事法では、医療機器については医薬品に準ずるものとして記載されてきましたが、薬機法では独立した章として取り扱われています。「医療機器」と「医薬品」とは別物であると認識されているのです。
最近の「医療機器」は、パソコン等のIT製品と同様に真価が目まぐるしく極めて短いサイクルで入れ替わっています。このため、製品寿命が長く入れ替わりも遅い「医薬品」と同じように扱うのが困難になってきたことが背景にあります。「医療機器」のスピードに対応する規制の簡略化や合理化を図りながら、安全性を徹底していこうとする意図が見られます。
安全強化:医療機器の特性を踏まえた規制
医療機器の安全性を強化する取り組みも見られます。医薬品、医療機器に課せられていた添付文書では、最新の知見の動向が不明確で、現場との認識にズレが生じる危険性がありました。今後増加する医療機器に備え、添付文書のフォーマットを設ける必要性が唱えられています。
また、医療機器の専門性高度性、リスクの程度からクラス分けを行い、今まで高度管理医療機器とされてきた部類の一部は大臣承認ではなく、厚生労働大臣による登録を受けた民間の第三者認証機関による認証となりました。これにより、スピードと安全性の認証を同時に行えるようになると期待されています。
再生医療:再生医療への規制対応
再生医療等の新しい医療技術についてもいち早く医療現場で実施できる環境作りが求められています。
そこで、再生医療技術を利用した手術をクラス分けし、高リスクなものを含めるクラスでは「特定認定再生医療等委員会」による審査が、それより下位のクラスにあたる手術では「特定認定再生医療等委員会」の意見が必要とされています。リスクの高低により基準を分けることで、安全性と迅速性の両方を確保しているのです。
医薬品販売への影響
今回の薬機法への法改正は、医薬販売にはどのような影響を与えるのでしょうか。
ポイント1 資料の事前提出の義務化
医薬品や医療機器を製造販売する際の添付資料。これまでは特に決まり事がなく、行政の事前チェックなども必要ありませんでした。しかし改正後は、事前に行政に提出することが義務付けられています。届け出た添付文書はウェブサイトに掲載することも企業に義務付けられています。
ポイント2 高度管理医療機器における登録認証機関の変更
高度管理医療機器の登録認証機関の範囲が広がりました。「高度管理医療機器」の製造販売については、これまで厚生労働大臣の承認が必要でしたが、一部のクラスⅢ機器はクラスⅡ機器と同様に登録認証機関の承認で製造販売が可能になりました。
今後も薬機法の展開に要注意
薬事法から薬機法に改正されましたが、医薬品の販売においては、大きな変化が求められるわけではありません。しかし、従来同様、業界に大きな影響を与える法律であることに変わりはありません。当局も法律の名前を変えるということで、大きな決意を表明しています。今後の展開も踏まえて、注目していきましょう。
もし、医薬品の販売について課題を抱えているのであれば、医薬品に対応した販売管理システムの導入検討を行ってみてはいかがでしょうか。
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