セキュリティシステムの機能を分類して捉える
セキュリティシステムの機能は幅広く、製品によって得意な領域が異なります。まず守る対象と対策の段階という2つの軸で整理し、全体像をつかみましょう。
守る対象で機能を分ける
機能は、端末、ネットワーク、メール、ログといった守る対象で分けられます。端末にはマルウェア対策、ネットワークにはファイアウォール、メールにはフィルタリングが対応します。この分け方は、製品を比較する際の入り口といえます。
ITトレンドのカテゴリーでは、ネットワーク防御、マルウェア対策、情報漏えい防止、インシデント対応、監視や運用のサービスなどが含まれます。自社の弱い部分がどの対象かを見きわめると、必要な機能を絞り込めます。
予防と検知と対応の3段階で考える
対策は、攻撃を防ぐ予防、侵入や不審な動きを見つける検知、被害を抑える対応の3段階に分けられます。予防だけでは、すり抜けた脅威に気づけない場合があります。各段階の機能が、どの製品に含まれるかを整理しておきましょう。
検知した後に何をするかも重要です。通知だけで終わるのか、端末の隔離や調査の支援まで行えるのかで、運用の負担が変わります。自社が3段階のどこに不足を感じているかを確認しましょう。
製品の範囲と守備範囲の違いを知る
ひとつの製品で複数の機能を備えた総合型もあれば、特定の機能に特化した製品もあります。名称が似ていても、含まれる機能の範囲は同じとは限りません。比較の前に、各製品の守備範囲を表に整理すると便利です。
総合型は管理画面をまとめられる利点があり、特化型は専門性の高い機能を選べる利点があります。どちらがあうかは、社内の運用体制や既存の環境で決まります。機能の一覧と対象範囲を、資料で確認しましょう。
マルウェア対策とEDRの機能の違い
端末を守る機能の中心は、マルウェア対策とEDRです。どちらも端末を守りますが、検知の仕組みと役割が異なるため、違いを整理します。
| 機能 | 主な役割 | 確認する点 |
|---|---|---|
| マルウェア対策 | 既知のウイルスなどを検出して除去する | 定義の更新方法と検査の方式 |
| EDR | 端末の振る舞いを記録して不審な動きを検知する | 調査と隔離の操作ができるか |
ウイルスやマルウェアを検出する基本機能
マルウェア対策は、ウイルスやランサムウェアなどの不正なプログラムを検出し、除去する機能です。過去に確認された特徴を照合する方式や、挙動から判断する方式があります。基本機能は多くの製品に備わっていますが、仕組みは同じではありません。
製品によって、検査の方式や更新の頻度、対応するOSが異なります。検査中に端末の動作が重くならないかも、使い勝手に関わる点です。自社の端末のOSや台数に対応しているかを、事前に確認しましょう。
EDRで端末の振る舞いを検知する仕組み
EDRは、端末上の操作や通信を継続的に記録し、不審な動きを検知する機能です。入り口の対策をすり抜けた脅威に気づく手がかりとして、使われる場合があります。EDRは、侵入後の動きを追うための機能として位置づけられます。
検知した後は、影響のある端末を切り離したり、侵入経路を調べたりします。ただし、警告を判断して対応する担当者が必要です。自社で運用できるか、専門家の支援を受けられるかも、機能とあわせて比べましょう。
両者を組み合わせる考え方
マルウェア対策は既知の脅威を防ぎ、EDRは未知の動きを見つける役割を持ちます。役割が補いあうため、組み合わせて使われる場合があります。組み合わせる場合は、検知結果の見方も統一しておくと運用が安定します。
ひとつの製品に両方の機能が含まれるものもあれば、別々に契約するものもあります。重複する機能に二重で費用をかけないよう、機能の一覧を見比べて整理しましょう。管理画面が分かれると、運用の手間が増える点にも注意が必要です。
ネットワークとメールを守る機能
外部からの侵入や、メールを経由した攻撃を防ぐ機能も欠かせません。ファイアウォールやUTM、メールのフィルタリングについて、役割と確認点を見ていきます。
ファイアウォールとUTMの役割
ファイアウォールは、社内外の通信を許可と拒否のルールで制御する機能です。UTMは、ファイアウォールに侵入の防止やウイルスの検査、Webの閲覧制限などを統合した仕組みを指します。役割の違いを理解すると、必要な機器の選定がしやすくなります。
機能を追加するほど、機器にかかる負荷が増える場合があります。通信の量や利用者数に対して、処理の余裕があるかを確認しましょう。設定の変更を誰が行うのかも、運用前に決めておくと安心です。
メールのフィルタリングで見る項目
メールのフィルタリングは、迷惑メールや不審な添付ファイル、偽のリンクを含むメッセージを検出する機能です。受信前に隔離することで、利用者が開封する機会を減らせます。検出の精度は、試用で自社のメールを使って確かめるのが確実です。
確認したいのは、検出の方式、隔離したメールを管理者が確認できるか、誤って隔離した場合に戻せるかです。使用中のメールサービスと連携できるかも、導入前に確認しましょう。送信側の対策に対応する製品もあります。
機能の重なりの事前確認
ネットワークとメールの対策は、複数の機能が重なる場合があります。例えばUTMにもメールの検査機能が含まれる製品があり、別途契約すると二重の対策になる場合があります。重なりを把握するには、機能ごとの担当範囲の一覧が役立ちます。
重複が悪いとは限りません。多層で守る考え方もあるため、役割を明確にしたうえで判断しましょう。どの機能がどの脅威を担当するかを一覧にすると、不足と重複の両方に気づけます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でセキュリティシステムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
ログ監視のSIEMと対応支援のSOC機能
検知した情報を集めて分析し、事故への対応につなげる機能も重要です。ログ監視のSIEMと、対応を支援するSOCの役割を整理します。
SIEMでログを集めて分析する
SIEMは、サーバや端末、ネットワーク機器のログを集約し、相関的に分析する仕組みです。個別の機器では気づけない不審な動きを、組み合わせて見つけられる場合があります。取り込むログの種類が多いほど、分析できる範囲も広がります。
導入時には、どの機器のログを取り込めるかが重要です。ログの保管期間や、検索のしやすさ、警告の条件を調整できるかも比べましょう。ログの量が増えると、保管や処理の費用が変わる場合もあります。
SOCで監視と対応の支援を受ける
SOCは、セキュリティの監視や分析を行う専門の組織や、その機能を指します。委託できるサービスでは、警告の確認から初動の助言までを任せられる場合があります。自社の体制では対応できない時間帯を補う目的で使われる場合があります。
確認したいのは、対応時間帯、連絡の方法、報告の頻度です。事故が起きたときの支援範囲は契約により異なるため、含まれる作業と別料金の作業を明確にしておきましょう。
自社運用と委託の分担を決める
高度な監視機能を導入しても、警告に対応する人がいなければ効果は限られます。自社の担当者の人数や経験にあわせ、どこまでを任せるか決めましょう。体制が整わないうちは、委託の範囲を広めにする選択肢もあります。
全体を委託する方法もあれば、日常は自社で対応し、緊急時のみ支援を受ける方法もあります。分担を決めておくと、事故が起きたときの連絡先と判断の流れが明確です。契約前に役割分担の案を作成しておきましょう。
セキュリティシステムの機能を比較する確認項目
機能の名称が同じでも、できる範囲は製品ごとに異なります。比較するときの確認項目を整理し、導入後の機能不足を防ぎましょう。
- ■対象
- 端末、ネットワーク、メールのうち守れる範囲
- ■検知
- 方式、更新の頻度、誤検知の調整の可否
- ■対応
- 隔離や調査、通知の機能の有無
- ■運用
- 管理画面、権限設定、レポートの内容
必要な機能に優先順位をつける
機能は多いほど良いとは限らず、使いこなせないと費用だけが増えます。守りたい情報と、過去に起きたトラブルを整理し、必須の機能と、あると望ましい機能に分けましょう。優先順位は、経営層や関係部門とも共有しておくと後で調整しやすくなります。
優先順位を決めておくと、各社の提案を同じ基準で比べられます。将来の拡張に備える場合も、今回は見送る機能として整理しておくと、後から追加を検討しやすくなります。
既存の環境や業務との適合を見る
導入済みの機器やOS、業務で使うソフトとの相性も大切な観点です。対応していない環境があると、機能が使えない、または動作が不安定になる場合があります。確認の結果は、導入計画に反映させておくと安心です。
特に古い業務システムや専用機器がある場合は、事前に動作確認の方法を相談しましょう。導入後に業務へ影響が出ないよう、段階的に展開できるかも確認項目のひとつです。古いOSや専用機器が対象外になる場合もあるため、早めに洗い出してください。
デモや試用で機能を確かめる
資料の説明だけでは、機能の使い勝手までは分かりません。デモや試用を依頼し、検知の通知や管理画面の操作を実際に確かめましょう。複数の担当者で試すと、気づける点が増えます。
試用では、自社の環境で動作するか、誤検知の件数、設定に要する時間を記録します。確認した内容を一覧にまとめると、社内の合意形成にも役立ちます。気になる点は導入前にベンダーへ質問し、検証の結果を製品ごとに比べて機能の過不足を見きわめましょう。
EDRやSIEMなど機能別に見る製品
この記事で取り上げたEDR、SIEM、SOC、マルウェア対策の機能に関連する製品をピックアップしました。対応範囲や提供形態は製品ごとに異なるため、資料請求で確認しましょう。
CrowdStrike (クラウドストライク合同会社)
- 単一基盤で統合運用。
- AI活用の次世代AVと攻撃痕跡検知
- EDR/XDRと脅威ハンティングで検知・調査・対応を支援。
ArcSight (マイクロフォーカスエンタープライズ株式会社)
- 多数ソース対応で収集・正規化・相関分析を一貫処理。
- Big Data分析で数億件のイベントから脅威を即時検出・可視化。
- SOC/CSIRT運用に必要な機能とフォレンジックを包括的に支援。
SOC (S&J株式会社)
- 多様な機器に対応した柔軟な監視分析体制。
- 専門家による365日24時間の監視と対応。
- 独自監視エージェントでランサムウェア予兆も検知。
SandSphere (株式会社レイ・イージス・ジャパン)
- ホワイトハッカーが最新攻撃手法を調査・収集
- ゼロデイ攻撃を含む攻撃手法の検知が可能
- ドラッグ&ドロップ、API等、多様なスキャン手段
セキュリティシステムに関するよくある質問
セキュリティシステムの機能についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:EDRとマルウェア対策は、どちらか一方だけで足りますか?
- A:役割が異なるため、片方だけでは不足する場合があります。既知の脅威を防ぐ機能と、侵入後の不審な動きを見つける機能のどちらを重視するかを整理し、不足する部分を補いましょう。
- ■Q2:UTMを導入すれば、メールの対策は不要ですか?
- A:UTMにメールの検査機能が含まれる製品もありますが、検出の方式や隔離の管理機能は製品により異なります。使用中のメールサービスとの相性も含めて、別途の対策が必要かを確認しましょう。
- ■Q3:SIEMは小規模な組織にも必要ですか?
- A:ログを分析して警告に対応する担当者が確保できるかが判断のポイントです。体制が整わない場合は、監視を外部に委託する方法や、機能が限定された製品も検討しましょう。
- ■Q4:SOCを外部に委託するとき、何を確認すればよいですか?
- A:対応の時間帯、連絡の方法、報告の内容、事故発生時の支援範囲を確認しましょう。含まれる作業と別料金となる作業を、契約前に書面で整理しておくと安心です。
まとめ
セキュリティシステムの機能は、守る対象と、予防や検知、対応の段階で整理すると全体像が見えます。マルウェア対策やEDR、ファイアウォールやUTM、メールのフィルタリング、SIEMやSOCは、役割が異なります。同じ名称でも対応範囲は異なるため、確認項目をそろえて比べることが大切です。複数の製品の資料請求から比較を始めてみてください。

