セキュリティシステムの課題解決は現状整理から
課題を整理しないまま製品を選ぶと、必要な機能が不足したり、使わない機能に手間がかかったりする場合があります。まず現状の悩みを洗い出しましょう。
自社の課題を洗い出す観点
課題は、攻撃への備え、運用の負担、規程や記録の管理という三つの方向に分けると整理しやすくなります。それぞれについて、現在困っている点と、その頻度や影響の大きさを、具体的に書き出して整理しましょう。
情報システム部門だけでなく、現場の利用者や管理部門にも聞き取りを行うと、見落としを減らせます。過去に起きたトラブルやヒヤリとした事例も加えて一覧にし、社内で共有すると、部門をまたいだ議論が進み、認識のずれも早く見つかります。
対策の優先順位のつけ方
多くの課題を一度に解消しようとすると、費用も手間も大きくなります。被害が起きたときの影響が大きいものや、すぐに対応できるものから、順に取り組みましょう。短期で取り組める対策と、時間をかける対策に分けると進めやすくなります。
優先順位は、事業への影響、発生の可能性、対策に必要な負担の三つで考えます。判断が難しい場合はベンダーや専門家に相談し、状況の変化にあわせて定期的に見直すことも大切で、年に一度は計画を確認しましょう。
課題と製品の機能の結びつけ方
課題が決まったら、その解消に役立つ機能を備えた製品を比較します。同じ名称の機能でも、できる範囲は製品によって異なるため、自社の運用に即して、画面や帳票の見本も添えて具体的に質問しましょう。
資料請求の際は、自社の課題を具体的に伝えると、提案の精度が上がる場合があります。導入後にどのような状態を目指すのかもあらかじめ言葉にしておくと、効果の確認がしやすくなります。導入後の評価の基準にもなり、社内への説明にも使えます。
ランサムウェアや標的型攻撃への備え方
ランサムウェアや標的型攻撃メールは、業務の停止や情報の流出につながるおそれがあります。複数の対策を重ねて備える考え方を押さえましょう。
| 課題 | 検討する対策 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 標的型攻撃メール | メールの検査、添付ファイルの隔離 | 検査の方法と対応する形式 |
| 端末への侵入 | 端末の挙動を監視する仕組み | 検知後の隔離や通知ができるか |
| 業務の停止 | データの複製と復旧の手順 | 復旧に必要な時間の目安を確認できるか |
攻撃の入口を多層でふさぐ
攻撃は、メールの添付ファイル、不正なWebサイト、脆弱性のあるシステムなど、さまざまな経路から入る場合があります。単一の対策では防ぎきれないため、複数の対策を重ねる考え方が有効です。
メールの検査、端末の保護、ネットワークの監視を組み合わせると、一つをすり抜けても別の層で検知できる可能性が高まります。被害の拡大を抑えることにつながります。自社が重視する経路は、過去の事例や社内の利用状況から確認し、優先して守る入口を決めましょう。
ウイルス対策ソフトだけの限界を補う
従来のウイルス対策ソフトは、既知のウイルスの検知が中心です。未知の手口や、正規の機能を悪用した攻撃は、検知が難しい場合があります。手口は変化し続けるため、対策の見直しも欠かせません。
端末の挙動を監視して不審な動きを検知するEDRが、補う手段の一つです。ネットワークの出入口を守るUTMとあわせ、自社の環境にあう組み合わせを検討しましょう。重複や端末への負荷も確認し、先に一部の端末で試すと安心です。
業務停止に備えて復旧を準備する
サイバー攻撃による業務停止を防ぐには、攻撃を防げることを前提にしない準備が大切です。データの複製を別の場所に保管し、復旧の手順と担当者を、あらかじめ決めておきます。連絡先の一覧は、紙でも持ち出せるようにしておくと安心です。
復旧の手順は、定期的に訓練して確かめましょう。製品が提供する復旧の支援や、緊急時に連絡できる窓口の有無も、比較の項目になります。復旧にかかる費用の扱いや、契約前に復旧時間の目安も聞いておくと安心です。
運用の属人化と工数を減らす課題解決
セキュリティの運用は、特定の担当者に集中しやすく、監視や対応の工数もかさみます。仕組みで負担を軽くし、続けられる運用を目指しましょう。
属人化を解消する仕組みの整え方
設定や判断を特定の担当者の経験に頼ると、不在時に運用が止まるおそれがあります。手順を文書にし、複数の担当者が同じ画面で状況を確認できる状態にしておきましょう。設定を変えた日付と理由も、記録に残します。
権限を複数人に付与し、操作の履歴を残せる製品なら、引き継ぎもしやすくなります。ナレッジを共有する場を設け、定期的に対応の事例を振り返って手順書に反映していくことも、属人化を和らげる手段です。振り返りは、月一回など定期の予定として組み込みましょう。
監視とインシデント対応の工数削減
アラートの確認や対応の判断には、多くの時間がかかる場合があります。重要度で自動的に分類する機能や、定型の対応を自動で実行する機能があると、日々の工数を抑えられます。ただし、自動化の設定が自社の運用にあうかは、事前に確認しましょう。
社内で夜間や休日の監視が難しい場合は、監視を代行する運用サービスも選択肢です。対応時間と検知後にどこまで対応するかを確認し、社内で判断が必要な場面も事前に整理しておくと連携が円滑です。委託先から連絡を受ける窓口の担当者も、決めておきましょう。
通知とレポートの整理
通知が多すぎると、重要な警告を見落とす原因になります。通知の条件や宛先を調整できるか、日々の状況を自動でレポートにまとめられるかを、デモなどで確認しましょう。休日にも通知を受け取れる設定かも、見ておきます。
レポートは、経営層への報告にも使えます。見たい指標を選べるか、出力の形式は何かを確かめ、報告の頻度にあわせて自動送信を設定できるかも見ておくと、毎回の作業を減らせます。経営層向けの簡易な形式と、詳細な形式の両方が出せると便利です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でセキュリティシステムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
規程や点検表のペーパーレス化の進め方
紙のセキュリティ規程や点検表は、更新や回収に手間がかかります。電子化すると、最新の内容を共有しやすくなり、記録の管理も楽になります。
紙の規程や点検表で起きる問題
紙の規程は、改訂のたびに配り直す必要があり、古い版が残る場合があり、利用者が最新の版を判断できないこともあります。点検表も、回収と集計に時間がかかり、実施状況の把握が遅れがちで、集計の転記ミスも起こり得ます。部署が増えるほど、手間も大きくなります。
こうした手間は、担当者の負担になるだけでなく、点検の抜けにもつながります。誰がいつ確認したかを残しにくい点や、紙の保管場所が分散して探す手間が増える点や、閲覧の記録を取れない点も、課題として挙げられます。
電子化を進める手順
電子化は、現在の規程と点検表の棚卸しから始めます。内容を整理したうえで、閲覧できる人の範囲と、改訂を承認する流れを決め、旧版の扱いも定めておきましょう。電子化の対象は、重要度の高い文書から選んで進めると、負担を抑えられます。
セキュリティシステムの中には、ポリシーの配信や、利用者の確認の記録を管理できる製品があります。機能の有無は製品ごとに異なるため、自社の規程の形に対応するか、既存の文書を取り込めるか、利用者が内容を読んだ記録を残せるかを確認します。
点検の記録の残し方と活用
点検の結果を電子的に記録すると、実施状況を一覧で確認できます。未実施の部署に自動で通知する機能があると、点検の抜けを抑えられ、担当者が個別に催促する手間も減らせます。未実施が続く部署への対応は、責任者に通知する運用が考えられます。
記録は、監査や取引先からの確認にも使えます。保管期間と出力の形式を事前にベンダーへ問い合わせ、点検項目を自社で追加できるかも確認しておくと、運用が続けやすくなります。項目の追加や削除の履歴を残せると、点検の基準を確認する際にも便利です。
内製と外部委託の判断による課題解決
セキュリティ対策の運用を自社で行うか、外部に任せるかは、判断に迷いやすい点です。それぞれの特徴を知り、自社の状況にあう形を選びましょう。
| 運用の形 | 向く状況 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 内製 | 専門の人材がおり育成も続けられる | 退職や異動時の引き継ぎの仕組み |
| 外部委託 | 専任の担当者を置けず夜間の監視も必要 | 委託の範囲と社内に残す役割 |
| 併用 | 日常は社内で行い高度な分析を任せたい | 責任の所在と連絡の流れ |
内製が向く条件
社内に専門知識を持つ人材がおり、継続的に育成できる環境があれば、内製が向く場合があります。自社の業務や環境を深く理解した対応ができ、判断が早い点が利点で、環境が変わったときも柔軟に動けます。社内の事情を踏まえた優先順位をつけやすい点も利点です。
ただし、担当者の退職や異動で運用が止まるリスクがあります。人材の確保と後任の育成、引き継ぎの仕組みが、内製を長く続けるための条件です。教育の機会や、公的機関の情報など最新の脅威を知る手段も用意しておきましょう。
外部委託が向く条件
専任の担当者を置けない場合や、夜間や休日の監視が必要な場合は、外部委託が候補になります。専門の事業者の知見を活用でき、社内の負担を抑えられる点が利点です。高度な分析が必要な場面でも、支援を受けられる場合があります。
一方で、委託先に任せきりにすると、社内に知識が残りません。委託する範囲と社内に残す判断の役割を、契約前に確認しましょう。委託先と定期的に報告する場を設け、報告の内容をもとに改善を依頼できる状態にしておくと安心です。
併用による負担の分け方
日常の運用は社内で行い、高度な分析や夜間の監視のみ外部に任せるなど、併用する方法もあります。費用と負担のバランスを見ながら、任せる範囲を段階的に調整できる点が利点で、体制の変化にも対応しやすくなります。
どの形でも、責任の所在を明確にしておくことが大切です。検知から対応までの連絡の流れを社内と委託先で共有し、判断が必要な場面で誰が決めるのかも、あらかじめ取り決めておきましょう。取り決めは、契約書や運用の手順書に残します。
攻撃対応の負担を減らす製品
ウイルス対策ソフトだけでは対応しきれない場面や、インシデント対応の工数が課題の場合に向けて、検知や初動対応を支援する製品を紹介します。
インシデント対応サービス (トレンドマイクロ株式会社)
- SANSモデルに基づき封じ込めから復旧まで段階支援。
- 侵入起点を特定し、感染タイムライン解析で全体像を提示。
- 調査結果報告、再発防止策提案で防御強化。
ウイルスふるまい検知サービス (エフサステクノロジーズ株式会社)
- 専門エンジニアが24時間365日監視し、脅威を即時検知。
- マルウェア解析から駆除ツール提供まで一貫支援
- ログ相関分析で侵入範囲の可視化に対応
CrowdStrike (クラウドストライク合同会社)
- 単一基盤で統合運用。
- AI活用の次世代AVと攻撃痕跡検知
- EDR/XDRと脅威ハンティングで検知・調査・対応を支援。
セキュリティシステムに関するよくある質問
セキュリティシステムの課題解決についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:課題が多い場合、どれから対策すればよいですか?
- A:事業への影響、発生の可能性、対策に必要な負担の三つで優先順位をつけましょう。影響が大きく、すぐに対応できるものから取り組むと進めやすくなります。
- ■Q2:ウイルス対策ソフトのほかに、まず何を検討しますか?
- A:端末の挙動を監視する仕組みや、ネットワークの出入口を守る仕組みが選択肢です。自社の環境や担当者の体制によって、あう組み合わせが異なるため、ベンダーに相談しましょう。
- ■Q3:規程や点検表を電子化するとき、注意することはありますか?
- A:閲覧できる人の範囲、改訂の承認の流れ、記録の保管期間を先に決めましょう。製品によって対応する機能が異なるため、自社の規程の形にあうかを確認してください。
- ■Q4:内製と外部委託は、どう判断すればよいですか?
- A:社内の人材と夜間や休日の監視体制を基準に考えます。人材の確保が難しい場合は外部委託、日常は社内で行い一部を任せる併用も選択肢です。責任の所在も決めておきましょう。
まとめ
セキュリティシステムによる課題解決は、悩みの整理と優先順位づけから始まります。攻撃への備えには多層の対策、運用の負担には仕組みの整備、規程や点検表には電子化という方法があります。内製と外部委託は、自社の人材や体制にあわせて選びましょう。まずは複数の製品の資料請求から、比較を進めてみてください。

