パスワードの使い回しを減らす打ち手
シングルサインオンとは、一度の認証で複数のサービスへログインできるようにする仕組みです。パスワードを覚える負担が減るため、使い回しへの対策として検討されます。
覚えるパスワードを減らす仕組み
使い回しが生じる背景には、サービスごとに異なるパスワードを設定し記憶することの負担があります。連携したサービスについては個別のパスワードを入力せずにログインできるため、記憶する数を減らせます。
ただし、連携に対応していないサービスが残る場合、そのサービスのパスワードは個別に管理することになります。導入前に、社内で使用しているサービスの一覧を作り、それぞれの対応状況を確認しましょう。対応していないものについては、パスワードを安全に管理する別の仕組みや、利用者への案内とあわせて検討する必要があります。
認証の入り口を強める
ログインの入り口が一つにまとまると、その入り口の安全性が重要になります。パスワードだけに頼らず、スマートフォンのアプリや生体情報を組み合わせた認証を導入する構成が検討されます。
選定時に確認したいのは、対応している認証方式の種類、標準の機能に含まれるか追加契約が必要か、従業員が使う端末で運用できるかという点です。全員が業務用のスマートフォンを持っていない環境では、代替となる方式が用意されているかも確認が必要です。利用者の状況を踏まえて、実際に運用できる方式を選んでください。
複数サービスのログイン管理を整理する
使用するサービスが増えると、誰がどのサービスを使えるかを把握しにくくなります。ここでは整理の進め方を見ていきます。
利用状況を可視化する
まず着手したいのは、現在の状況を把握することです。契約しているサービスの一覧、それぞれの利用者、最終のログイン日時を集めると、使われていないアカウントや、必要以上の権限が残っている状態が見えてきます。
シングルサインオンを導入すると、これらの情報を一つの画面で確認できるようになる場合があります。選定時には、記録される項目の範囲、絞り込みの条件、レポートの出力形式を確認しましょう。利用実態が分かると、契約しているサービスの見直しにもつながり、費用の検討材料としても使えます。
設定の属人化を防ぐ
連携の設定を作った担当者しか内容を把握していない状態は、異動や退職の際に運用が滞る要因になります。設定した理由や経緯が記録に残っていないと、後から変更してよいかを判断できません。
対策としては、設定の一覧に対象のサービス、設定した理由、担当者を記載して保管する方法があります。サービス側で設定変更の履歴が自動で残るかも確認項目です。あわせて、管理者を複数登録し、権限を役割ごとに分けられる構成にしておくと、特定の担当者だけが操作できる状態を避けられます。
セキュリティ上の不安に対応する
ログインの仕組みを一つにまとめることへの不安が挙がる場合があります。懸念の中身を整理し、対応できる機能を確認しましょう。
入り口が一つになることへの備え
認証の入り口がまとまると、その情報が漏れた場合の影響範囲が広がるという指摘があります。この点への備えとして、複数の要素を組み合わせた認証、接続元による制限、通常と異なるログインの検知といった機能が用意されている場合があります。
選定時に確認したいのは、これらの機能が標準に含まれるか、条件をどこまで細かく設定できるかという点です。例えば、社内からの接続と社外からの接続で認証の強さを変える設定ができると、業務の負担と安全性の両立を検討できます。設定できる条件の種類を、資料請求時に確認しておきましょう。
仕組みが停止した場合への備え
認証をまとめると、その仕組みが利用できない状態になった際に、連携している複数のサービスへログインできなくなる可能性があります。サービス提供会社の稼働状況の公開方法と、過去の稼働実績を確認しておきましょう。
あわせて、そうした状況が生じた場合の対応方法を決めておく必要があります。緊急時に管理者が個別にログインできる経路が用意されているか、業務をどのように継続するかを、導入前に検討してください。判断が難しい場合は、情報システム部門や専門事業者と相談しながら方針を固めることをおすすめします。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でシングルサインオンの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
テレワーク環境の認証を見直す
社外から業務システムへ接続する働き方が広がると、認証の考え方も変わります。現状の把握から始めましょう。
接続の状況を把握する
まず確認したいのは、社外からどのサービスへ接続しているかです。社内のネットワークを経由するもの、クラウドサービスへ直接接続するものが混在している場合があります。経路ごとに、どこで本人確認を行っているかを整理しましょう。
社内を経由しない接続では、ネットワークの位置による制限が働きません。この部分をどう扱うかが検討の分かれ目です。接続元の情報や端末の状態にもとづいて認証の条件を変える機能があるかを確認し、業務への影響と管理のしやすさを並べて比較してください。
端末の状態を条件に加える
認証の際に、利用している端末が会社の管理下にあるかどうかを条件に加える構成もあります。管理されていない端末からの接続には追加の認証を求める、あるいは利用できる範囲を限定するといった設定が検討されます。
選定時には、端末を管理する仕組みとの連携に対応しているか、対応する端末の種類はどこまでかを確認しましょう。すでに端末管理の仕組みを導入している場合は、その製品名を伝えて組み合わせの可否を確認してください。導入の順序や設定の作業量も、あわせて相談しておくと計画が立てやすくなります。
ログイン管理の工数を減らす進め方
作業時間を減らすには、自動化できる範囲を見極めることが有効です。あわせて、自社で仕組みを作る方法との比較も整理します。
自動化できる範囲を見極める
まず、現在手作業で行っている処理を洗い出します。アカウントの登録と停止、権限の変更、利用状況の集計、レポートの作成といった作業が候補です。人事システムの情報と連動させると、入退社にともなう処理を自動化できる場合があります。
選定時に確認したいのは、連動できる項目の範囲、反映までにかかる時間、例外的な扱いを個別に設定できるかという点です。すべてを自動化できるとは限らないため、手作業が残る部分は手順書へ明記し、複数の担当者が対応できる状態にしておきましょう。導入前に作業時間を記録しておくと、効果の確認がしやすくなります。
自社で仕組みを作る方法との比較
認証の仕組みを自社で構築する方法もありますが、設計や運用に専門的な知識が必要になります。連携先サービスの仕様変更への対応も自社で行うことになるため、担当できる人員と継続性を踏まえた判断が求められます。
比較する際は、初期の構築費用だけでなく、運用にかかる工数と、担当者が変わった際の引き継ぎまで含めて考えましょう。既存の仕組みを活用したい事情がある場合は、その仕組みと外部サービスを組み合わせられるかも選択肢になります。判断が難しい場合は、複数の方法について見積もりと工数の試算を取り、条件をそろえて比べてください。
ログイン管理の課題に向き合うシングルサインオン
パスワードの扱いや利用状況の把握など、解決したい課題によって重視する機能は変わります。対応の幅を確かめたい製品を集めました。
CloudGate UNO
- 認証機能とアクセス条件機能を組み合わせた柔軟なアクセス制限
- ゼロトラストモデルのシングルサインオンでユーザーの利便性向上
- ユーザーの活動状況などを一元管理することで管理コストの削減
株式会社インターナショナルシステムリサーチが提供する「CloudGate UNO」は、クラウドサービスへのログインをまとめるシングルサインオンのサービスです。接続元や端末の条件を組み合わせた認証の制御に対応し、状況にあわせて求める確認の強さを変える設定を検討できます。パスワードだけに頼らない構成を整えたい場合の材料になります。
HENNGE One Identity Edition
- SAML認証で300超のクラウドサービスと連携が可能
- わかりやすいSSOマニュアルによりスムーズな導入が実現
- ID/パスワードを統合化し、パスワード管理の利便性が向上
HENNGE株式会社が提供する「HENNGE One Identity Edition」は、クラウドサービスの利用に関する認証をまとめて扱うサービスです。シングルサインオンやアクセスの制御に対応し、社外からの接続を含めた運用を想定した作りになっています。利用状況を把握したい場合に確認できる項目をあわせて聞いておきましょう。
GMOトラスト・ログイン
- 社内システム、業務アプリ、複数SaaSのIDを効率的に一元管理
- シングルサインオンで情報漏えいのリスクを減らし、利便性も向上
- 迅速に多要素認証を導入し、セキュリティを強化
GMOグローバルサイン株式会社が提供する「GMOトラスト・ログイン」は、複数のサービスへのログインを一度の認証でまとめるシングルサインオンのサービスです。利用者の登録や停止を管理画面から扱え、認証を強める仕組みとの組み合わせも検討できます。
Secure Access by Duo (シスコシステムズ合同会社)
- 多彩な認証方法が魅力!なりすましなどを未然に防ぐことが可能
- 複数のアプリケーションへ一回の認証でスムーズにログインが可能
- 徹底した安全管理!ユーザーの端末の安全性を検証する機能を搭載
シングルサインオンに関するFAQ
シングルサインオンによる課題解決について、よく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1: 導入すればパスワードの使い回しはなくなりますか?
- 連携できるサービスについては入力の機会が減りますが、対応していないサービスのパスワードは残ります。利用サービスの一覧を作り、対応状況を確認したうえで検討しましょう。
- Q2: 入り口が一つになることに不安があります。
- 複数の要素を組み合わせた認証や、接続元による制限、通常と異なるログインの検知といった機能で対応を検討できます。設定できる条件の種類を確認してみてください。
- Q3: サービスが利用できない状態になったらどうなりますか?
- 連携している複数のサービスへログインできなくなる可能性があります。稼働状況の公開方法と、緊急時の対応経路を導入前に確認しておきましょう。
- Q4: 自社で認証の仕組みを作る方法とどちらがよいですか?
- 担当できる人員と継続性によって判断が変わります。構築費用だけでなく、運用工数と引き継ぎまで含めて条件をそろえて比較する方法が現実的です。
まとめ
ログインにまつわる課題は、記憶するパスワードを減らす仕組み、利用状況を把握する仕組み、認証の条件を細かく設定できる仕組みに分けて整理すると打ち手が見えてきます。テレワーク環境では接続経路と端末の状態を条件に加える構成が検討対象です。手作業が残る部分は手順書へ明記しておきましょう。自社の課題を整理したうえで、複数の製品資料を取り寄せて比較検討を進めてください。


