補助金・助成金申請代行とは
補助金・助成金申請代行とは、企業に代わって最適な制度の選定から申請書類の作成・提出までをサポートしてくれる専門業者のことです。複雑な手続きをプロに任せることで、社内の負担を減らしながら、申請成功の可能性を高められます。
補助金・助成金申請の課題と代行会社の必要性
補助金・助成金の申請には、制度ごとの要件確認や細かな書類作成、期限内の提出など、多くの作業が発生します。制度によって対象経費や条件も異なるため、自社だけで対応しようとすると時間と労力がかかり、申請を諦めてしまうケースも少なくありません。
こうした課題を解決する手段として、申請代行会社の活用が注目されています。
代行会社の仕組みと支援内容
申請代行会社は、企業の事業内容や目的にあわせて、活用できる補助金・助成金制度を選定します。そのうえで、申請書類の作成、必要書類の整備、電子申請手続き、採択後の報告業務など、一連の流れをトータルでサポートします。
企業の業種や規模に応じた最適な制度を提案してくれるため、社内での調査や準備にかかる時間と負担を大きく軽減できる点が大きなメリットです。
法人向け補助金・助成金申請代行会社の選び方
補助金・助成金の申請を代行会社に依頼する際は、「どこに依頼するか」が採択結果やその後の運用にも大きな影響を与えます。ここでは、信頼できるパートナーを選ぶために押さえておきたい５つの比較ポイントを解説します。
得意分野と自社との相性がよいか
補助金・助成金には、人事労務、IT導入、設備投資などさまざまな分野があります。代行会社ごとに対応実績が異なるため、自社が申請したい制度や業種に強みをもつ会社を選ぶことが重要です。特に助成金の場合、制度内容が細かく専門性も高いため、自社が対象とする制度に強い会社を選ぶと安心です。
豊富な支援実績や申請成功率をもつか
支援件数や採択実績は、その代行会社がどれだけ多くの企業に信頼されてきたか、そして結果を出してきたかを示す指標です。特に「直近３年での採択件数」「制度ごとの採択率」「支援企業の規模や業種」などを比較することで、単なる経験の有無ではなく、成果の質を見極められます。
経験豊富な会社は、審査で評価される書類の書き方や要点も熟知しており、結果につながりやすいのが強みです。
自社にあったコミュニケーション体制か
申請期間中や審査段階では、代行会社との円滑な情報共有や確認作業が欠かせません。チャットやメール、オンライン会議など、希望する連絡手段に対応しているか、対応スピードはどうかを確認しておきましょう。
また、担当者が頻繁に変わると情報共有ミスが起こりやすいため、専任担当制かどうかも確認ポイントです。日程管理や申請書の進捗が可視化されていると、社内調整もスムーズに進みます。
成功報酬型か着手金型か
代行会社の料金体系は「成功報酬型（受給できた場合のみ報酬発生）」と「着手金＋成功報酬型」のいずれかに大別されます。成功報酬型は初期費用を抑えられる一方、着手金型は計画立案や書類作成に力を入れてもらいやすい傾向があります。
補助金の種類や企業の予算状況によっても適した料金体系は変わるため、契約前に報酬額の目安、成果条件、返金規定などを明確に確認しておくことがトラブル回避につながるでしょう。
サポート体制が充実しているか
補助金・助成金申請は、書類提出後も「採択後の交付申請」「事業実施報告」「証拠書類の提出」など、多くのフォロー業務が発生します。初期対応のみでサポートが終わる会社もあるため、アフターフォローの有無とその内容を確認しておきましょう。
また、継続的に新たな制度情報を提供してくれるような会社であれば、今後の資金調達や事業計画にも大きく貢献してくれるはずです。
法人におすすめの補助金・助成金申請代行会社を比較
ここでは、法人向けに補助金・助成金申請支援実績のある代行会社を厳選して紹介します。各社の強みや特徴を比較しながら、自社にあったパートナーを見つける参考にしてください。
株式会社アカウンティングプロ
株式会社アカウンティングプロは、事業再構築補助金やものづくり補助金などの申請支援において高い採択実績をもつ会計労務事務所です。補助金申請のための事業計画書作成から、電子申請・アフターフォローまで一括支援を提供。全国対応可能で、製造業・建設業など幅広い業種に対応しています。
株式会社アクセルパートナーズ
株式会社アクセルパートナーズは、補助金・助成金の専門コンサルティング会社として、事業再構築補助金やIT導入補助金の採択支援を数多く手がけています。ヒアリングから書類作成・ブラッシュアップまでを少人数制で徹底サポート。採択率の高さが特徴です。
株式会社WEEVA
株式会社WEEVAは、補助金・助成金の申請支援において、少ない手間で高品質な申請書を作成する完全伴走型のサポートを提供しています。事業内容や企業規模に応じて最適な制度を提案し、補助金の有効活用まで含めた総合支援を行っています。
株式会社経営力推進機構
株式会社経営力推進機構は、国の補助金制度だけでなく、自治体独自の助成金も含めた6,000以上の制度に対応可能なコンサルタント会社です。小規模事業者持続化補助金から大規模設備投資支援まで幅広く対応し、実績報告や受給後の事業計画実行支援も行っています。
税理士法人アピロ
税理士法人アピロは、補助金・助成金の申請支援とあわせて、財務・税務の専門家として事業計画の策定から実行支援までトータルにサポートします。経営革新等支援機関としての認定を活かし、実効性のある申請戦略を構築可能です。
助成金と補助金の違い
助成金と補助金は、いずれも国や自治体から交付される資金支援制度ですが、性質や申請方法に大きな違いがあります。
助成金は、要件を満たせば原則として受給できる「条件達成型」の制度で、主に雇用・労務関係の取り組みに対して支給されます。助成金の申請代行は、社会保険労務士（社労士）のみが法的に対応可能です。
一方で、補助金は事業計画や費用計画に基づき、提出された内容が審査を通過した場合に採択・支給される「競争型」の制度です。補助金の申請支援については、社労士に限らず、コンサルティング会社や中小企業診断士、税理士など幅広い専門家が対応可能です。
また、制度の実施主体にも両者に傾向があります。助成金は厚生労働省が所管するものが多く、補助金は経済産業省や自治体などが実施するケースが中心です。
助成金は要件を満たせば確実性が高く、補助金は採択によって決まる競争性のある制度であることを理解し、目的に応じて適切に使い分けましょう。
活用できる主な補助金・助成金の例
現在活用しやすい代表的な補助金・助成金には、以下のようなものがあります。対象となる企業規模や目的によって適用制度は異なるため、自社の事業内容や課題にあった制度を選定することが重要です。
- ■キャリアアップ助成金
- 非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善など、雇用の質を高める取組みに対して支給される助成金。パートや契約社員の正規雇用転換や、賃金規定の整備、研修制度の導入などを支援します。
参考：キャリアアップ｜厚生労働省 - ■人材開発支援助成金
- 従業員のスキル向上や職業訓練を目的とした研修の実施に対して支給される助成金。OJT（職場内訓練）やOff-JT（社外研修）を対象に、研修費用や賃金補助が行われます。
参考：人材開発支援助成金｜厚生労働省 - ■業務改善助成金
- 中小企業等が最低賃金の引き上げに対応するための生産性向上設備（機械・ツールなど）導入などに取り組む際、設備費用の一部を補助する制度。業務効率化や労働環境改善を目的としています。
参考：業務改善助成金｜厚生労働省 - ■IT導入補助金
- 中小企業・小規模事業者の業務効率化・DX推進を支援するため、ITツール（ソフトウェア・クラウドサービスなど）の導入費用の一部を補助する制度。会計・受発注・在庫管理など幅広い業務分野が対象です。
参考：IT導入補助金2025｜独立行政法人中小企業基盤整備機構・中小企業庁 - ■ものづくり補助金
- 中小企業・小規模事業者が行う設備投資や製品開発、サービス改善などに対し、設備導入費用などの一部を補助する制度。生産性向上や競争力強化を目的とした革新的な取り組みが対象です。
参考：ものづくり補助金総合サイト｜独立行政法人中小企業基盤整備機構・中小企業庁
法人で補助金・助成金申請代行を利用するメリット
ここでは、法人が代行サービスを利用することで得られる主なメリットを紹介します。
審査に通りやすくなる
補助金や助成金の申請は、書類の書き方や内容の伝え方によって結果が大きく変わります。自社で作成すると、制度ごとの細かい条件や評価基準を見落としてしまうことも。申請代行サービスを利用すれば、申請のコツを熟知した専門家がサポートしてくれるため、内容の精度が上がり、審査に通る可能性を高められます。
手間のかかる作業を任せられる
補助金や助成金の申請には、申請書の作成、必要資料の収集、期日の管理など、時間と労力を要する作業が多くあります。代行サービスを利用すれば、こうした手続きを専門家に任せられるため、自社の担当者は本業に集中できます。申請に関する不備や期限遅れのリスクも減らせ、効率的な申請が可能です。
自社に合った制度を教えてもらえる
補助金や助成金は国・自治体・省庁ごとに数多くあり、条件や対象業種もさまざまです。自社に合う制度を見つけるのは容易ではありません。代行サービスを利用すれば、最新の制度情報をもとに、自社の業種・事業内容・目的に合わせた最適な補助金を提案してもらえるため、チャンスを逃さず活用できます。
法人が補助金・助成金申請代行会社を利用する際の注意点
補助金・助成金の申請を外部に依頼することで、手続きの効率化や採択率の向上が期待できますが、注意すべき点もあります。ここでは、代行会社に依頼する前に知っておきたいリスクや確認事項について解説します。信頼できるパートナー選びと社内準備の両面から、安心して制度を活用するためのポイントを押さえておきましょう。
補助金・助成金の対象外となるケース
補助金や助成金には、制度ごとに細かい支給要件や対象事業の条件が定められています。例えば、対象となる業種や従業員数、実施する取り組みの内容が制度の基準に合致していなければ、申請しても不採択、あるいは不支給となる場合があります。
また、過去の事業内容や経営状況によって、制度上の対象外となるケースも。制度の内容を正しく理解し、自社が申請条件を満たしているかどうかを事前に確認することが、申請成功への第一歩です。
虚偽申請のリスクとコンプライアンス
補助金・助成金は、国や自治体が支給する公的資金であるため、意図的に虚偽の内容を記載したり、実態と異なる資料を提出したりすると「不正受給」と判断され、重大な法的リスクを招きます。
不正が発覚した場合は、返還命令に加え、悪質なケースでは刑事罰や企業名の公表といった厳しい処分が科される可能性もあります。こうしたリスクを回避するには、法令に基づいた正確な申請を行うことが不可欠です。
制度に精通した代行会社と連携し、コンプライアンスを重視した手続きを進めることで、安全かつ信頼性の高い補助金・助成金活用が実現できます。
自社での最低限の準備も必要
たとえ申請を代行会社に依頼する場合でも、助成金や補助金の支給には企業側での一定の体制整備が必要です。例えば、就業規則の整備、雇用契約書や給与台帳の作成・保管、設備導入計画の根拠資料など、必要書類を社内で準備しておくことが求められます。
代行会社に丸投げするのではなく、協力しながら体制を整えていくことで、スムーズな申請と支給後のトラブル防止につながります。
まとめ
補助金・助成金制度は、企業の人材育成・業務効率化・IT導入・設備投資といったさまざまな場面で活用できる公的支援制度です。ただし、制度の仕組みや申請要件は複雑で、準備不足や手続きミスによって不採択となるケースも少なくありません。
信頼できる申請代行会社をパートナーに選ぶことで、制度選定から書類作成、アフターフォローまでをスムーズに進められ、通過率も高まります。自社の目的や状況にあった制度を活用し、成長戦略に役立てましょう。
