管理職向け研修とはどのような取り組みか
メリットを判断する前に、何を扱う研修なのかを押さえておきましょう。役職に就いた人に求められる役割は、担当者だった頃とは大きく異なります。ここでは主なテーマと、一般社員向けとの違いを確認します。
管理職向け研修で扱う主なテーマ
管理職向け研修とは、課長や部長など部下を持つ立場の従業員を対象に、組織を運営するための知識と進め方を学ぶ取り組みです。個人として成果を出すことと、チームとして成果を出すことは求められる動きが異なるため、切り替えを支える内容が中心になります。
- ■目標設定と評価
- 部署の目標を分解して個人へ落とし込む進め方や、評価面談での伝え方を学ぶ
- ■部下の育成と面談
- 指導の仕方や定期的な面談の進め方、意欲を引き出す関わり方を扱う
- ■労務管理とハラスメント防止
- 勤務時間の管理や相談を受けた際の対応など、法令に関わる知識を確認する
- ■情報管理とコンプライアンス
- 部署で扱う情報の取り扱いや、社内規程にもとづく判断の基準を共有する
どのテーマを扱うかは、組織が抱える課題によって変わります。すべてを一度に扱うのではなく、優先順位を決めて組み立てる進め方が現実的です。
一般社員向け研修との違い
一般社員向けの研修は、担当業務を進めるための知識や技能の習得が中心です。管理職向けでは、自分ではなく他者を通じて成果を出すことが前提になるため、指示の出し方や判断の仕方といった内容が重みを持ちます。
あわせて、判断に責任が伴う点も違いです。労務やハラスメントへの対応は、誤った判断が組織全体のリスクにつながる場合があります。知識を伝えるだけでなく、実際の場面を想定した演習や事例の検討を組み込むと、現場での判断に結び付けやすくなります。
管理職向け研修を実施するメリット
ここからは、組織にとってどのような効果が見込めるのかを整理します。基準、育成、支援という三つの面から確認します。
マネジメントの判断基準をそろえられる
管理職の進め方が本人の経験に委ねられていると、部署によって評価の考え方や指導の仕方が異なります。異動した従業員が戸惑う、部署間で不公平感が生まれるといった状況につながる場合があります。
研修で共通の考え方を扱えば、判断の土台をそろえられます。評価面談での伝え方や、勤務時間の管理で確認すべき点を共有しておけば、対応のばらつきを抑えられます。あわせて、管理職どうしが同じ場で議論する機会になるため、部署をまたいだ相談がしやすくなる効果も見込めます。
部下の育成や定着につながる
従業員が職場を離れる理由は一つに絞れませんが、上司との関わり方が影響する場合があります。面談の頻度や内容、指導の伝え方が変われば、部下が相談しやすい状態を作れる可能性があります。
研修では、話を聞く姿勢や、目標を伝える際の具体的な言い方を扱います。実際の場面を想定した演習を通じて、自分の進め方を振り返る機会にもなります。効果がすぐに数字へ表れるとは限らないため、面談の実施状況や部下からの声を継続して確認していく進め方が必要です。
管理職自身の孤立を防げる
管理職は、経営層と現場の間で調整を担う立場です。判断に迷っても相談する相手が見つからず、一人で抱え込む状況が生じる場合があります。
研修は、同じ立場の人と課題を共有する場にもなります。他の部署でどう対処しているかを知ることで、自分の進め方を見直す手がかりを得られます。研修後も定期的に集まる場を設けている企業もあり、継続的な支え合いの仕組みとして機能させる方法もあります。
管理職向け研修の実施形式
形式によって、費用も参加のしやすさも変わります。目的と対象者の状況にあわせて選べるよう、それぞれの特徴を確認します。
集合形式とオンライン形式
集合形式は、同じ場所に集まって実施する方法です。演習や議論に取り組みやすく、参加者どうしの関係づくりにもつながります。一方で、会場の手配や移動の負担が生じます。
オンライン形式は、拠点が分かれている企業でも実施しやすい方法です。移動の時間を省けるため、日程の調整もしやすくなります。ただし、議論の場面では発言が偏りやすい面もあるため、少人数のグループに分ける進行や、事前の課題提出を組み合わせる工夫が必要です。
講師派遣型と公開講座型
講師派遣型は、自社に講師を招いて実施する方法です。自社の課題や業種の事情にあわせて内容を組み立てられる点が特徴で、受講者が同じ組織の人であるため具体的な議論をしやすくなります。
公開講座型は、他社の参加者とともに受講する方法です。少人数でも参加でき、社外の考え方に触れられる点が特徴です。対象人数が少ない場合や、まず試してみたい場合に選ばれます。どちらか一方に絞らず、階層や目的によって使い分ける進め方もあります。
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管理職向け研修を実施する前の注意点
実施したものの変化が見えないという状況を避けるため、計画の段階で押さえておきたい点を二つ挙げます。
受講しただけでは行動が変わりにくい
研修の場で理解できても、通常業務に戻ると従来の進め方に戻ってしまうことがあります。日々の業務に追われるなかで、新しい取り組みを続けるには意識的な働きかけが必要です。
対策としては、受講後に取り組む項目を本人が決めて上長と共有する、一定期間が経過した時点で振り返りの場を設けるといった方法があります。研修を単発で終わらせず、面談や目標設定の仕組みと結び付けておくと、学んだ内容を業務のなかで使いやすくなります。
対象者の階層と課題を見極める
管理職といっても、初めて部下を持った人と、部門全体を統括する立場の人では課題が異なります。同じ内容をまとめて実施すると、どちらにとっても物足りない結果になる場合があります。
実施前に、対象者の在任期間や部下の人数、現在困っている場面を把握しておきましょう。人事部門の想定と本人の実感がずれていることもあるため、事前にアンケートや面談で確認する方法が有効です。把握した内容をもとに、階層を分けて実施するかどうかを判断します。
管理職向け研修サービスの選び方
提供する事業者によって、得意な領域も支援の範囲も異なります。比較の段階で確認しておきたい基準を三つ挙げます。
解決したい課題と対象者の整理
最初に、研修で何を変えたいのかを具体化します。評価のばらつきを減らしたいのか、若手の定着につなげたいのか、労務管理の知識を補いたいのかによって、選ぶべき内容が変わります。
あわせて、対象者の人数と実施の頻度も整理しておきましょう。人数によって適する形式が変わり、費用の試算にも関わります。今後の計画も含めて事業者に伝えておくと、単発ではなく段階的な提案を受けやすくなります。
内容の設計と講師の確認
用意された内容をそのまま実施するのか、自社の状況にあわせて組み替えられるのかを確認します。業種特有の事情がある場合は、事前の打ち合わせでどこまで反映できるかを確かめておきましょう。
講師については、担当する人の経歴や、これまでに扱ってきた領域を確認します。実施前に打ち合わせの機会があるか、当日の進行を事前に共有してもらえるかも判断材料です。可能であれば、体験版の受講や過去の実施内容の資料を求めるとよいでしょう。
効果測定とフォローの仕組み
受講後の変化をどう確認するかは、事前に決めておきたい部分です。理解度を測るテスト、受講者へのアンケート、一定期間後の振り返りなど、事業者が用意する仕組みを確認します。
部下からの評価を取り入れる方法を提供する事業者もあります。どの指標を使うかは、研修の目的によって変わります。数値だけで判断せず、上長との面談や現場の声とあわせて確かめる進め方が現実的です。フォローの回数や追加費用の有無も、契約前に確認しておきましょう。
マネジメント力の向上を支える管理職向け研修サービス
個別支援や実践練習といった形式にあわせて検討できる、研修サービスを紹介します。
Smartマイコーチ
- ビジネス経験が豊富なICF国際資格保有コーチのみが在籍
- 一人ひとりの目標・課題に合わせた最適なプランをご提案
- 適切なフィードバックと効果測定により、成果と変化の定着を支援
株式会社Smart相談室が提供する「Smartマイコーチ」は、管理職向けに個別のコーチングを提供するサービスです。集合研修だけでは補いにくい、個別の課題に応じた対話の機会を用意できます。継続的な支援を通じて、日々のマネジメントで生じる悩みに向き合う場として活用されます。
Smart Boarding
- 動画学習だけでなく、ライブ型のオンラインレッスンが受け放題
- 新入社員教育から管理職育成、コンプライアンス研修等幅広い内容
- 自社研修動画などを簡単アップ、オリジナルコースの作成可能
株式会社FCEが提供する「Smart Boarding」は、動画教材とオンラインでの学習を組み合わせた研修サービスです。管理職に必要な知識を体系立てて学べる教材が用意されており、集合研修の前後の予習・復習にも活用できます。受講状況を管理できる仕組みも備えています。
リクルートマネジメントスクールの管理職・マネジメント研修 (株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)
- 異業種交流の学びを深める独自プログラムを導入
- 熟練の講師陣が受講者の自発的な気づきを引き出す指導。
- 3時間〜2日間まで目的に合わせ選べる多彩な研修を用意。
インソースの管理職研修 (株式会社インソース)
- 実践演習で現場に即したマネジメント力を育成
- 部下育成や労務、評価など多岐にわたる管理職スキルを習得。
- 係長級から部長・幹部まで階層別に研修を提供します。
管理職向け研修に関するよくある質問
実施を検討する担当者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- Q1: 対象者が少人数でも実施できますか?
- 公開講座型であれば一人からでも参加できる場合があります。講師派遣型は最少人数が設定されていることもあるため、事前に確認が必要です。少人数の場合は、複数の階層をまとめずに公開講座を活用する進め方も検討できます。
- Q2: 実施にどのくらいの費用がかかりますか?
- 形式や時間、対象人数によって幅があります。講師派遣型は一日単位の設定、公開講座型は一人あたりの設定が中心です。会場費や教材費が別立てになる場合もあるため、総額で見積もりを取り、複数社を同じ条件で比べるとよいでしょう。
- Q3: どのくらいの頻度で実施すべきですか?
- 一律の目安はありません。昇任時に一度実施したうえで、年に一度の振り返りを設ける形を採る企業もあります。組織の課題と受講者の負担のバランスを見ながら、継続できる頻度を決めることが望まれます。
- Q4: オンラインでも十分な効果が見込めますか?
- 知識の習得や事例の共有には対応しやすい一方、演習や議論では進行の工夫が求められます。少人数のグループに分ける、事前課題を組み合わせるといった設計ができるかを事業者に確認しましょう。内容によって形式を使い分ける方法も有効です。
まとめ
管理職向け研修は、マネジメントの判断基準を組織として共有し、部署ごとのばらつきを抑えるための取り組みです。部下の育成や定着への働きかけに加え、管理職自身が相談できる場になる点も利点といえます。一方で、受講しただけでは行動が変わりにくいため、振り返りの場や目標設定の仕組みと結び付ける設計が欠かせません。解決したい課題と対象者を整理し、内容や講師、効果測定の仕組みまで比べて選びましょう。まずは資料請求から検討を進めてみてください。


