金融機関に適したアクセスコントロールの選定軸
金融機関では、顧客情報や資金にかかわるエリアの管理が特に重視されます。ここでは認証方式と監査対応という2つの観点から、選定時に確認したいポイントを紹介します。
金融機関で重視される認証方式
金融機関では、ICカードのみの認証よりも、生体認証や暗証番号を組み合わせた複数要素での認証が選択肢になります。これは、カードの貸し借りや紛失によるなりすましのリスクを減らすためです。
製品によっては、指静脈や顔認証を組み合わせられるものもあるため、既存の本人確認ルールとの整合性を確認しましょう。あわせて、認証エラー時にどのような代替手段が用意されているかも確認すると、現場での運用イメージがつかみやすくなります。窓口担当者と後方部署で求める認証精度が異なる場合は、エリアごとに認証方式を使い分けられるかもあわせて確認しておくと、実際の店舗運用に近い形で比較しやすくなります。
監査・ログ管理で確認したいポイント
金融機関では内部監査や検査対応のため、入退室ログを一定期間保存し、必要なときに検索できる体制が求められる場合があります。ログの保存期間や検索のしやすさは製品によって差があるため、事前の確認が有効です。
具体的には、誰がいつどのエリアに入退室したかを日時・部署単位で絞り込めるか、CSVなどの形式で出力できるかを確認しましょう。監査対応の頻度が高い場合は、担当者以外でも操作できる画面設計かどうかも判断材料になります。加えて、ログの改ざんを防ぐための保存方式や、アクセス権限を持つ担当者 範囲が限定されているかも、内部統制の観点から確認しておきたい項目です。
製造業の工場における入退室管理の考え方
製造業の工場では、生産エリアと事務エリアで求められる管理レベルが異なります。ここではエリアごとの権限設計と、外部関係者の入退室という2つの視点を紹介します。
生産エリアと事務エリアの権限分け
工場では、生産ラインや薬品保管庫など安全上の配慮が必要なエリアと、一般的な事務エリアを同じ基準で管理すると、かえって使いにくくなる場合があります。エリアごとに権限レベルを分けて設定できるかを確認しましょう。
例えば、正社員は生産エリアと事務エリアの両方に入退室できるが、パート従業員や派遣スタッフは事務エリアのみに制限するといった運用が考えられます。部署や雇用形態単位で権限をまとめて設定できる製品であれば、担当者の設定作業の負担を抑えやすくなります。人事異動や配置換えが多い時期には、権限の一括更新機能があるかどうかも運用の手間に直結するため、事前に確認しておくとよいでしょう。
来訪者・協力会社の入退室管理
工場には保守業者や協力会社の担当者など、社外の人が出入りする機会が一定数あります。来訪者用の一時的な入退室権限を発行できるか、対応期限を過ぎたら自動的に無効化されるかは、確認しておきたい項目です。
あわせて、来訪者の入退室履歴を社員とは別に記録できるかどうかも確認しましょう。受付システムと連携できる製品であれば、来訪者情報の入力から入退室権限の発行までを一連の流れで進めやすくなります。協力会社の出入りが多い工場では、企業単位で権限をまとめて管理できるかどうかも、日々の受付業務を軽くするポイントになります。
医療法人における個人情報エリアを守るための設計
医療法人では、電子カルテ室や検体保管エリアなど個人情報を扱う場所の管理が課題になりやすい領域です。ここでは権限設計と現場特有の運用配慮について解説します。
電子カルテ室など機密エリアの権限設計
電子カルテ室や個人情報を保管するエリアは、対応する職種や役職に応じて入退室できる範囲を限定することが選定の出発点になります。医師や看護師、事務職員など職種ごとに権限を分けられるかを確認しましょう。
加えて、夜間や休日など通常の勤務時間外にどの職種が入退室できるかを個別に設定できると、当直体制にあわせた運用がしやすくなります。権限変更の履歴が残るかどうかも、個人情報保護の観点で確認しておきたいポイントです。委託職員や実習生など一時的に施設を利用する立場の人に対して、期間を区切って権限を付与できるかも運用面で見落としやすい確認事項です。
医療現場特有の運用上の配慮
医療現場では手袋を着用したままの操作や、緊急時に素早く解錠する必要がある場面が想定されます。手が濡れていても反応しやすい認証方式か、非常時に一括解錠できる機能があるかを確認しましょう。
停電時の対応も見落とされやすい項目です。停電時に自動で解錠する設計か、それとも施錠を維持する設計かは製品や設定によって異なるため、防災計画とあわせて情報システム部門や設備担当に確認しておくと安心です。バッテリーによる一定時間の稼働継続に対応しているかも、災害対応マニュアルを見直す際にあわせて確認しておきたい項目です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でアクセスコントロールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
IT企業のサーバールーム管理に求められる機能
IT企業ではサーバールームやデータセンターの入退室管理が重要な検討項目になります。ここでは求められるセキュリティ要件と、監視・記録の仕組みという2つの観点から解説します。
サーバールーム特有のセキュリティ要件
サーバールームは、社内でも限られた担当者しか立ち入らないエリアであるため、通常のオフィスより厳格な認証方式が選ばれる傾向があります。生体認証と管理者による事前承認を組み合わせられるかを確認しましょう。
複数人が同時に入室した際に、それぞれの入退室が個別に記録されるかどうかも重要な確認項目です。共連れ(ともづれ)と呼ばれる、認証した人に続いて別の人が一緒に入室する状況を検知できる機能があるかもあわせて確認すると、より実態に近い記録を残しやすくなります。
運用担当者による監視・記録の仕組み
サーバールームでは、入退室があった際に運用担当者へ通知が届く仕組みがあると、異常時の対応が早まりやすくなります。監視カメラの映像と入退室ログをあわせて確認できるかも選定時のポイントです。
ログの保存期間や、外部監査で提出を求められた際の出力形式についても事前に確認しておきましょう。情報システム部門が単独で運用する場合は、設定変更の権限を誰に付与するかも社内であらかじめ整理しておくと、運用開始後の混乱を避けやすくなります。夜間や休日にトラブルが発生した際の連絡体制やベンダーの対応時間帯も、導入前にあわせて確認しておくと安心です。
士業・官公庁・研究機関など専門施設の管理
ここまでの業種に加えて、法律事務所や会計事務所などの士業、官公庁関連施設、研究開発機関でも入退室管理の考え方に特徴があります。それぞれの視点を紹介します。
法律事務所や会計事務所のオフィス管理
士業のオフィスでは、依頼者の契約書や決算関連資料など機密性の高い書類を扱う書庫や応接室の管理が課題になりやすい領域です。書庫へのアクセスを一部の担当者に限定できるかを確認しましょう。
顧問先との打ち合わせで来訪者が多い事務所では、応接エリアと執務エリアを分けて権限設定できると、来訪者が執務エリアに立ち入る状況を減らしやすくなります。小規模な事務所でも管理しやすいよう、設定項目がシンプルな製品を選ぶという考え方もあります。専任の情報システム担当者を置いていない事務所も多いため、初期設定や設定変更をベンダーに相談できる体制かどうかも確認しておくと安心です。
官公庁関連施設や研究機関での機密管理
官公庁関連施設や研究開発機関では、機密情報や実験データを扱うエリアが多く、外部からの立ち入りに対する規定が定められている場合があります。導入前に、自組織の規定に対応できる認証方式や記録項目を満たしているか確認しましょう。
研究機関では、共同研究先の担当者など外部の関係者が一時的に立ち入るケースも想定されます。期間限定の権限発行や、退出後の自動無効化に対応しているかは、実際の運用に即して確認しておきたい項目です。実験データの持ち出しリスクを減らすため、エリアごとの入退室記録に加えて、あわせて機器の持ち込み・持ち出し状況を管理する運用ルールを整えておくことも有効です。
業種を問わず比較したいアクセスコントロール製品の例
ここまで紹介した業種別の観点をふまえ、認証方式の柔軟さや来訪者管理、クラウドでのログ確認に対応する製品を紹介します。自社の業種で重視したい機能と照らし合わせながら比較検討する際の参考にしてください。
Safie Entrance
- 顔認証による高セキュリティ・高速解錠を実現
- 〔拠点・ドア・人・時間〕、複雑な権限も、柔軟に一元管理可能
- Safieカメラ連携による、ログ×映像の確かな証跡管理
セーフィー株式会社が提供する「Safie Entrance」は、クラウドカメラと連携した入退室管理サービスです。顔認証による解錠に対応しており、入退室のログと映像をあわせて確認できる点が特徴です。誰がいつどのエリアに出入りしたかを記録として残せるため、監査対応や異常時の状況確認を行いたい場合に活用しやすくなっています。管理画面はクラウド上で提供され、複数拠点の状況をまとめて確認したい企業に向いています。
ALLIGATE(アリゲイト)
- いろいろな扉・既存システムからのリプレイスに対応
- 設置工事から24時間365日の保守窓口まで、一気通貫のサービス
- 社内ネットワークの構築不要で導入コストを軽減
株式会社アートが提供する「ALLIGATE(アリゲイト)」は、クラウド型の入退室管理システムです。ICカードやスマートフォン、生体認証など複数の認証方式に対応しており、エリアや部署単位で権限を細かく設定できます。来訪者用の一時パスを発行できる機能も備えており、協力会社や委託先の担当者が出入りする施設での運用にも対応しやすくなっています。設定変更や権限管理をクラウド上でまとめて行える点が特徴です。
Akerun (株式会社フォトシンス)
- 世界初の後付け型スマートロックで、7つの特許を保有・出願。
- 20社以上のサービスと連携可能な業界最大級のAPI連携数。
- オフィス、ジム、病院など多様な場所・用途に対応。
セサモTRII (セコム株式会社)
- 最大50拠点の入退室をブラウザで集中管理。
- 共連れ防止や動線管理など多彩な出入管理機能。
- オンラインセキュリティ連動で防犯管理に拡張可能。
WelcomID顔認証 (HOUSEI株式会社)
- 顔認証とQRコードで汎用性が向上
- マスク未着用時に音声・画面で注意喚起
- 短期・長期イベントに対応したレンタルサービス
まとめ
アクセスコントロールは、金融機関の監査対応、製造業のエリア分け、医療法人の個人情報保護、IT企業のサーバールーム管理、士業や官公庁関連施設の機密管理など、業種によって確認すべき観点が異なります。自社の業種や運用体制に近い条件を整理したうえで、複数の製品を比較しながら検討を進めましょう。


