セキュリティ要件が厳しい企業が確認したい導入条件
取引先や監督官庁から高いセキュリティ水準を求められる企業では、認証方式や社内規定との整合性が導入条件の中心になります。ここでは2つの観点から確認したいポイントを紹介します。
認証方式と権限設計の柔軟性
ICカードのみの認証では、貸し借りや紛失によるなりすましのリスクが残る場合があります。セキュリティ要件が厳しい企業では、生体認証や暗証番号を組み合わせた複数要素認証に対応しているかを確認しましょう。
あわせて、部署や役職ごとに権限レベルを細かく分けられるかも重要な確認項目です。権限設計の自由度が低い製品では、社内規定に沿った運用が難しくなる場合があるため、設定できる項目の粒度を事前に確認しておくと安心です。取引先から特定の認証水準を求められている場合は、その要件を満たせるかどうかをベンダーに個別に確認しておくと、契約後の認識違いを防ぎやすくなります。
ISMSなど社内規定との整合性
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証を取得している企業や取得を目指す企業では、入退室管理に関する規定を製品側の機能で満たせるかを確認する必要があります。ログの保存期間や権限変更の記録方法は、規定によって求められる水準が異なります。
製品によって対応できる範囲が異なるため、自社の規定文書を用意したうえで、ベンダーに具体的な項目を照らし合わせて確認するとよいでしょう。規定の改定にあわせて設定を見直せる柔軟性があるかもあわせて確認しておきたい点です。監査法人やセキュリティ担当部署から追加の証跡を求められる場合に備えて、ログの出力形式が監査でそのまま使える形かどうかも確認しておくと、対応の手戻りを減らせます。
システム連携を前提とした導入条件
勤怠管理システムやグループウェアなど、既存システムとの連携を前提に導入を検討する企業も多くあります。ここではAPI連携の可否と、連携時に確認したい事項を紹介します。
API連携の可否と連携範囲
API連携が必須の場合、まず対象システムとの連携実績があるかを確認しましょう。連携実績があっても、連携できる範囲がログの取得のみなのか、権限の同期まで含むのかは製品によって異なります。
API仕様が公開されているか、社内のエンジニアが連携方法を確認できるかも導入条件として重要です。API連携を検討する場合は、開発担当者やベンダーの技術窓口を交えて、必要な連携範囲を事前にすり合わせておくと後戻りが少なくなります。連携先システムのバージョンアップによって仕様が変わる可能性もあるため、変更時の対応方針についても契約段階で確認しておくと安心です。
連携時に確認しておきたい事項
システム連携では、連携先のAPI制限や通信障害によって同期が停止する場合があります。単一の原因に限らず、自社側の設定や連携先サービスの仕様変更が影響することもあるため、複数の要因を想定しておきましょう。
同期が停止した際に管理者へ通知が届くか、手動での再同期ができるかも確認しておきたい項目です。連携エラーが発生した場合の切り分け手順を、情報システム部門とベンダーの間であらかじめ決めておくと、復旧までの時間を短縮しやすくなります。未処理のデータが残っていないかを後から確認できる仕組みがあると、連携停止中に発生した差分を洗い出しやすくなります。
時間帯・エリアごとに権限を調整する導入条件
勤務形態が多様化している企業では、時間帯やエリアに応じて権限を細かく調整できるかが導入条件になります。ここでは時間帯別の制御とエリア単位のカスタマイズについて解説します。
時間帯別の入退室制御
シフト勤務やフレックスタイム制を採用している企業では、時間帯ごとに入退室できる権限を分ける必要が出てきます。曜日や時間帯を組み合わせて細かく設定できるかを確認しましょう。
深夜や早朝の入室を制限したい場合、例外的に許可が必要な社員への一時的な権限付与がスムーズにできるかも重要です。設定変更の反映にどの程度の時間がかかるかも、緊急対応の場面では確認しておきたいポイントです。臨時の残業対応など、通常と異なる勤務が発生した際に、担当者がその場で権限を調整できる操作性があるかもあわせて確認しておくとよいでしょう。
エリア単位でのカスタマイズ
フロアや部屋単位で管理レベルを分けたい場合、エリアごとに個別の認証方式や権限を設定できるかを確認しましょう。共用スペースと専用エリアで異なる基準を設けたい企業には特に重要な条件です。
エリアの追加や統合が発生した際に、設定の組み換えがどの程度の作業で済むかも確認しておくと安心です。オフィスの移転やレイアウト変更が多い企業では、柔軟に設定を変更できる製品かどうかが運用のしやすさに影響します。設定変更を担当者自身で行えるか、その都度ベンダーへの依頼が必要になるかによっても、運用にかかる時間やコストが変わってきます。エリアの新設や統合が頻繁に発生する環境では、変更履歴を確認できる機能があると、過去の設定内容を振り返りやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でアクセスコントロールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
生体認証を検討する際の導入条件
ICカードの管理負担を減らしたい企業では、生体認証への切り替えを検討する場合があります。ここでは代表的な方式の特徴と、導入前に確認したい点を紹介します。
顔認証・指紋認証の特徴
顔認証はカードをかざす動作が不要で、手がふさがっている場面でも認証しやすいという特徴があります。指紋認証は比較的安価に導入できる場合がありますが、指の乾燥や汚れによって認識しにくくなるケースもあります。
どちらの方式も、マスク着用時や手袋着用時の認証精度に差が出る場合があるため、自社の業務環境を踏まえて確認することが大切です。複数の認証方式を併用できる製品であれば、状況に応じた使い分けもしやすくなります。
導入前に確認したい精度・環境要因
生体認証の精度は、照明環境や設置場所によって左右される場合があります。導入前に実際の設置場所でデモ機を試せるかを確認すると、想定していた精度と実際の使用感のずれを減らしやすくなります。
認証エラーが発生した際の代替手段が用意されているかも確認しておきましょう。生体情報の登録や更新にかかる手間、個人情報としての取り扱いに関する社内規定との整合性もあわせて確認しておくと安心です。生体情報の保管場所が端末内かクラウド上かによって、社内のセキュリティポリシー上の扱いが変わる場合もあるため、事前にすり合わせておくとよいでしょう。
外国人従業員が多い職場での導入条件
外国人従業員が多い職場では、操作画面の多言語対応が導入条件として挙げられることがあります。ここでは対応範囲と、画面以外で確認したい点を紹介します。
多言語対応の範囲
多言語対応といっても、管理者向けの設定画面まで対応しているのか、利用者が見る認証画面のみの対応なのかは製品によって異なります。自社で必要な対応範囲を明確にしたうえで確認しましょう。
対応言語の種類も製品によって差があるため、実際に在籍する従業員の母語に対応しているかを具体的に確認する必要があります。対応言語が限られる場合は、ピクトグラムなど言語に依存しない表示を併用している製品も選択肢になります。従業員の在籍国籍が今後変わる可能性がある場合は、対応言語を追加できる仕組みがあるかもあわせて確認しておくと、将来的な変更にも対応しやすくなります。
操作画面以外で確認したい点
多言語対応は画面表示だけでなく、マニュアルや問い合わせ対応が多言語で用意されているかも確認しておきたい点です。トラブル発生時に母語で状況を説明できないと、対応が長引く場合があります。
あわせて、緊急時の避難誘導や注意喚起の表示についても、多言語での掲示物や音声案内を併用する運用ルールを整えておくと、システムだけに頼らない安全対策につながります。新しく入社する外国人従業員向けに、入退室方法を説明する多言語の資料を用意しておくと、初回利用時の戸惑いも減らしやすくなります。
セキュリティ要件や生体認証の条件に対応するアクセスコントロール製品の例
ここまで紹介した導入条件をふまえ、複数の認証方式やエリア単位の権限設定に対応する製品を紹介します。自社が優先したい条件と照らし合わせながら比較する際の参考にしてください。
ALLIGATE(アリゲイト)
- いろいろな扉・既存システムからのリプレイスに対応
- 設置工事から24時間365日の保守窓口まで、一気通貫のサービス
- 社内ネットワークの構築不要で導入コストを軽減
株式会社アートが提供する「ALLIGATE(アリゲイト)」は、クラウド型の入退室管理システムです。ICカードやスマートフォン、生体認証など複数の認証方式に対応しており、エリアや時間帯ごとに権限を細かく設定できます。部署や役職に応じた権限設計にも対応しているため、セキュリティ要件が厳しい企業や、時間帯によって入退室のルールを分けたい企業でも運用しやすい設計になっています。クラウド上の管理画面から設定変更をまとめて行える点も特徴です。
Safie Entrance
- 顔認証による高セキュリティ・高速解錠を実現
- 〔拠点・ドア・人・時間〕、複雑な権限も、柔軟に一元管理可能
- Safieカメラ連携による、ログ×映像の確かな証跡管理
セーフィー株式会社が提供する「Safie Entrance」は、クラウドカメラと連携した入退室管理サービスです。顔認証による解錠に対応しており、ICカードの受け渡しに伴うなりすましのリスクを抑えたい企業に向いています。入退室のログと映像をあわせて確認できるため、ISMSなど社内規定に沿った記録の保存や、監査対応で求められる証跡の確認を行いたい場合にも活用しやすくなっています。
WelcomID顔認証 (HOUSEI株式会社)
- 顔認証とQRコードで汎用性が向上
- マスク未着用時に音声・画面で注意喚起
- 短期・長期イベントに対応したレンタルサービス
HID モバイルアクセス Origo (ビック情報株式会社)
- スマホを認証媒体として入退室が可能。
- 遠隔解錠に対応し、利便性を向上。
- クラウドでIDを管理し、発行や停止を遠隔操作可能。
まとめ
アクセスコントロールの導入条件は、セキュリティ要件やISMS対応、システム連携、時間帯・エリアの柔軟性、生体認証、多言語対応など多岐にわたります。自社が優先すべき条件を明確にしたうえで、複数の製品を比較しながら検討を進めましょう。導入後に条件が変わる可能性も踏まえ、拡張性や設定変更のしやすさもあわせて確認しておくと安心です。


