広告運用ツールの運用で行き詰まりが起こる背景
4つのケースを見る前に、運用の行き詰まりが起こる共通の背景を整理しておきましょう。導入時の想定と実際の運用とのずれや、ルールを決めないまま使い始めることが、問題の出発点となる場合があります。
導入時の想定と運用の実際のずれ
導入を検討する段階では、ツールの自動化によって作業が大きく減ると期待しがちです。しかし実際には、初期設定や媒体との連携、自動化のルールづくり、結果の確認といった新たな作業が発生します。媒体の仕様変更にあわせて設定を見直す作業も、継続的に必要です。
こうした作業にかかる時間を見込まずに導入すると、担当者の負担がかえって増え、ツールを十分に活用できないまま時間が過ぎることがあります。導入前に、運用開始までの作業と担当者を洗い出し、必要な時間を見積もっておくことが大切です。
運用ルールを決めないままの利用開始
誰がどの設定を変更できるのか、変更内容をどこに記録するのかを決めずに使い始めるケースがあります。この状態では設定の意図が共有されず、成果が変化した際の原因がわかりにくくなります。利用者が増えるほど、この影響は大きくなる傾向があります。
運用ルールは、最初から細かく作り込む必要はありません。権限の範囲、変更時の記録方法、定期的な確認の場の3点から決め、運用しながら見直していく方法が現実的です。ルールは共有フォルダなど、関係者がすぐに参照できる場所に置いておきましょう。
担当者1人では広告運用ツールを回しきれないケース
広告運用の担当者が1人の会社では、ツールの導入で作業を減らせると期待される一方、運用の負担が1人に集中しやすい状況があります。行き詰まりやすい状態と、負担を分散する方法を紹介します。
設定と確認の作業が1人に集中する
担当者が1人の場合、ツールの初期設定から日々の数値確認、レポート作成、改善策の検討までを1人で担う必要があります。ほかの業務と兼務していると、ツールの設定を見直す時間が確保できず、導入時の設定のまま運用が続く場合があります。
また、担当者が休暇や異動で不在になると、アラートに対応できる人がいない、設定の意図がわからないといった状況が起こりえます。1人に知識が集中した状態は、担当者本人にとっても大きな負担です。結果として、改善の取り組みが止まってしまうことも考えられます。
自動化の範囲を絞り、確認を分担する
負担を減らすには、まずレポートの自動作成や予算アラートなど、少ない設定で効果が出やすい機能から使い始めることが有効です。多くの機能を一度に使おうとすると、設定と確認の作業が増えてしまいます。効果を確かめながら、使う機能を段階的に広げましょう。
あわせて、アラートの通知先に上長や他部門のメンバーを加えましょう。設定内容と変更理由を手順書に残しておけば、担当者以外も状況を把握できます。運用の一部を外部の専門会社に任せる方法も選択肢の一つです。
情シス不在の導入で起こりうるトラブル
情報システム部門がない会社でも、クラウド型の広告運用ツールは導入できます。ただし、システムの管理に詳しい人がいないことで、導入後に対応が滞る場面が生じることがあります。起こりうるトラブルと、備え方を確認しましょう。
連携設定や権限の管理が後回しになる
広告運用ツールと媒体の連携には、アカウントの認証や権限の付与が必要です。認証の有効期限が切れたり、媒体側で権限が変更されたりすると、データの同期が止まる場合があります。管理の担当が決まっていないと、こうした変化に気づくのが遅れがちです。
また、退職者のアカウントが残ったままになる、パスワードの管理方法が決まっていないといった問題も起こりえます。セキュリティの観点からも、アカウントと権限の管理は後回しにできない作業です。
相談先と管理責任者を決めておく
備えとして、社内でツールの管理責任者を決め、アカウントの発行や削除、連携状況の確認を担当してもらうことが有効です。責任者は1人に限らず、副担当を置いて引き継げる体制にしておくと安心です。
あわせて、提供会社のサポート窓口で相談できる範囲や、初期設定の支援があるかを導入前に確認しましょう。社内で判断が難しい場合は、外部のITサポート事業者に相談する方法もあります。相談先の連絡方法と対応時間を一覧にし、関係者で共有しておくと、トラブル時に慌てずに済みます。
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複数拠点でアカウントと配信データが混乱するケース
店舗や支社など複数の拠点で広告を運用する企業では、広告運用ツールで一元管理しようとしても、アカウントやデータの整理が不十分だと混乱が生じることがあります。代表的なケースと、混乱を防ぐ方法を紹介します。
アカウントの重複や命名のばらつき
拠点ごとに広告アカウントを作成していると、同じ地域に向けた広告を複数の拠点が出稿する場合があります。キャンペーン名の付け方が拠点ごとにばらばらになることもあります。こうした状態でツールに集約すると、どの広告がどの拠点のものかを判別しにくくなります。
拠点同士の広告が同じ検索語句で競合すると、自社の広告同士で入札を押し上げあう可能性もあります。集約の前に、アカウントの棚卸しと命名規則の統一を行いましょう。新しい拠点を追加する際の手順も、あわせて決めておくと安心です。
拠点間での数値の定義の違い
拠点によって、コンバージョンとして数える行動が異なることがあります。ある拠点は来店予約、別の拠点は電話の問い合わせを成果としていると、ツール上で数値を並べても正しく比較できません。
成果の定義や計測の方法を拠点間でそろえることが、一元管理の前提です。定義を統一しにくい場合は、共通で追う指標と拠点独自の指標を分け、レポート上で区別して表示する方法もあります。決めた内容は文書にまとめ、全拠点で共有しましょう。
本社と拠点の役割分担の明文化
本社と拠点の双方が広告の設定を変更できる状態では、どちらが変更したのかがわからなくなったり、変更が重なったりする場合があります。予算や入札の決定権がどちらにあるのかが曖昧だと、対応の判断が滞る要因にもなりえます。
予算の配分や設定の変更は本社、広告文の地域情報の更新は拠点といったように、役割と権限を文書で定めましょう。ツールの権限設定を役割にあわせて分け、操作履歴を確認できるようにしておくと安心です。
マーケティング部門と営業部門の分業で生じる問題
広告の運用をマーケティング部門、問い合わせ後の対応を営業部門が担う分業体制では、部門間の連携が成果を左右します。ツールを導入しても、部門間の情報の受け渡しが整っていないと問題が起こることがあります。
成果の定義が部門で異なる
マーケティング部門は問い合わせの件数や獲得単価を、営業部門は商談化や受注の件数を成果として見る傾向があります。この違いが共有されていないと、マーケティング部門の数値は改善しているのに、営業部門からは「質の高い見込み客が来ない」と評価が分かれるケースがあります。
評価が分かれたままでは、どの広告に予算を配分すべきかの判断もぶれてしまいます。両部門の成果の考え方を並べて確認することが第一歩です。そのうえで、広告の評価に使う指標を話し合って決めましょう。
問い合わせの引き渡しと結果の返却が滞る
広告経由の問い合わせを営業部門へ引き渡した後、商談や受注の結果がマーケティング部門へ戻ってこないと、広告の効果を売上まで追えません。結果の返却が手作業の場合、繁忙期には記録が後回しになる場合があります。
SFAやCRMと広告運用ツールの連携で、結果の返却を自動化できる場合もあります。ただし、連携の項目や入力のルールが決まっていないと、データが欠けて活用できない可能性もあります。連携後も、データが正しく反映されているかを定期的に確かめることが大切です。
共通の指標と連携の手順を決める
分業の問題を防ぐには、両部門で共通して追う指標を決め、広告運用ツールのレポートで同じ数値を確認できるようにすることが有効です。例えば、問い合わせ数に加えて商談化率や受注件数を共通の指標にする方法があります。
あわせて、問い合わせの引き渡し方法、結果を入力する期限、データの連携方法を手順として定めましょう。定期的に両部門で数値を確認する場を設けると、認識のずれを早めに解消できます。指標や手順は、体制の変化にあわせて見直していきましょう。
分業や多拠点の運用を支える広告運用ツール
拠点間や部門間でデータが分散する課題に対しては、データの集約や共通指標での可視化に対応した製品が選択肢となります。代表的な製品を紹介します。
AIR Connect
- 媒体間CVのズレを共通基準で可視化し真の成果を把握
- AIがデータを解釈し改善レポートとバナー案を自動生成
- ログインひとつで全媒体の最新広告状況に24時間アクセス
株式会社ガラパゴスが提供する「AIR Connect」は、GA4と広告配信データをAIで統合し、広告効果を共通指標で可視化する広告分析SaaSです。媒体間で生じるコンバージョンのズレを共通基準で可視化できる点が特徴です。ログインひとつで全媒体の最新の広告状況に24時間アクセスできるため、関係者が同じ数値を確認したい場合の選択肢となります。AIによる改善レポートとバナー案の自動生成に加え、レポート自動作成、一元管理、予算管理の機能を備えています。
Adriel
- 多様な広告データを中心に650以上のコネクタをノーコードで連携
- すべての指標を明確にできるデータ統合ダッシュボード
- 一箇所にデータを集約し、成長のためのインサイトへ変換
Adrielが提供する「Adriel」は、広告データの収集、標準化、可視化までを一気通貫で担うBIツールです。広告データを中心に650以上のコネクタをノーコードで連携でき、複数の拠点やアカウントに分かれた配信データを一か所に集約できます。集めたデータは標準化したうえでダッシュボードに統合されるため、本社と拠点で指標を同じ基準で確認しやすくなります。レポート自動作成、一元管理、アラート通知の機能を備え、クラウドで提供されています。
サイバーエージェント (株式会社サイバーエージェント)
- インターネット広告やメディア事業を展開
- AIやDX技術を活用した支援を提供
- 複数領域でサービスを展開
WISEAds (デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社)
- 複数広告媒体の統合管理と効果測定を一元化。
- データに基づく自動最適化機能
- 詳細なレポートとカスタマイズ機能
アドレポ (株式会社イルグルム)
- 導入実績No.1の広告効果測定ツール。
- 最新の計測方式で流入施策の成果を正確に把握
- CV経路把握でユーザー行動を可視化
XmediaOne (デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社)
- 予約型と運用型広告を統合し効率的なプランニングを実現。
- ダッシュボードで配信データを可視化し新指標に対応。
- PMP取引管理を自動化し広告枠の最適運用を支援。
Lisket (株式会社カルテットコミュニケーションズ)
- レポートの自動作成で広告運用業務の手間を大幅に削減
- 複数媒体の予算消化状況を1画面で確認・管理できる
- 「これで十分」のシンプル設計と低価格
まとめ
広告運用ツールの運用が行き詰まる背景には、体制や役割分担、運用ルールの整備不足が関係している場合があります。担当者1人のケースでは、自動化の範囲を絞って確認を分担しましょう。情シス不在なら管理責任者と相談先を決め、複数拠点では命名規則や成果の定義を統一します。部門の分業では、共通の指標と連携の手順を定めることが大切です。自社の体制にあう製品を探す際は、資料請求を活用して比較してみてください。

