広告運用ツールの導入効果が見えにくくなる背景
導入の失敗と感じる状況の背景には、ツールを入れること自体が目的になっていたり、比較の基準となる導入前の数値がなかったりすることがあります。個別の原因を見る前に、共通する背景を確認しておきましょう。
導入そのものが目的になる
「業務を効率化したい」という漠然とした目的で導入すると、どの作業をどれだけ減らすのか、どの指標を改善するのかが定まらないまま運用が始まります。その結果、ツールの機能を一部しか使わず、効果を実感できない状態が続く場合があります。
導入の目的は「週次レポートの作成時間を半分にする」「入稿ミスの件数を減らす」のように、作業や指標と結びつけて設定しましょう。目的が具体的であれば、使うべき機能や設定の優先順位も明確にできます。
導入前の現状が数値で把握されていない
導入前の作業時間やミスの件数、獲得単価などを記録していないと、導入後に改善したかどうかを判断できません。効果が出ていても実感しにくく、逆に悪化していても気づくのが遅れる可能性があります。
すでに導入済みの場合でも、現時点の数値を記録し、そこから変化を追うことは可能です。作業時間と成果の指標を月ごとに記録し、設定の変更とあわせて振り返る習慣をつけると、効果の有無を判断しやすくなります。記録は表計算ソフトでも十分なので、無理なく続けられる形で始めましょう。
導入しても広告運用の属人化が解消しない理由
属人化の解消を目的に広告運用ツールを導入したものの、結局は特定の担当者に頼った運用が続くケースがあります。ツールで作業を自動化しても、判断の根拠や権限が共有されていなければ、属人化は形を変えて残る可能性があります。
設定の意図と判断基準が共有されていない
自動入札のルールやアラートの条件をツールに設定しても、なぜその数値にしたのかが担当者の頭の中にしかないことがあります。この状態では、ほかのメンバーが設定を見ても変更してよいかを判断できず、結局は担当者への確認が欠かせない状態が続きます。
設定の目的と判断の基準、変更の履歴を記録として残し、誰でも参照できる場所に置きましょう。ツールの備考欄や社内の共有資料を使い、定期的に内容を更新していくことが、属人化を防ぐうえで効果的です。
操作できる人と権限が偏っている
ツールの管理者権限を持つ人が1人だけだと、設定の変更や利用者の追加をその人しか行えず、作業が集中します。担当者が不在の間は運用が止まる可能性もあり、属人化が解消されたとはいえない状態です。
役割に応じて複数の人に権限を付与し、主担当と副担当で操作を分担できるようにしましょう。副担当が定期的に実際の操作を行う機会を設けておくと、いざという時にも迷わず対応できます。退職や異動の際に権限を見直す手順も決めておきましょう。
管理画面とExcelからの移行でつまずく原因
各媒体の管理画面からデータを書き出し、Excelで集計する運用から広告運用ツールへ移行する際に、つまずきが生じる場合があります。移行の失敗につながりうる代表的な原因を3つ紹介しますので、移行計画の見直しに活用してください。
指標の定義と集計方法の不一致
Excelで独自に計算していた指標と、ツールが自動で算出する指標の定義が異なると、同じ名前の数値でも結果が一致しません。例えば、コンバージョンに含める行動や、集計の基準となる日付の扱いが違うことがあります。
数値のずれに気づかずに移行すると、過去の実績と比べた評価が誤ったものになるおそれがあります。移行前に、主要な指標の定義と計算方法を一覧にし、ツール上の定義と照らしあわせておきましょう。ずれがある場合は、どちらの定義を正とするかを関係者で合意しておくことが大切です。
並行運用期間の不足
Excelでの集計をすぐに止めてツールに切り替えると、数値のずれや設定の漏れに気づく機会がなくなります。問題が見つかった際に、比較できる元のデータが残っていないと、原因を調べることも難しくなります。
移行の際は、一定期間はExcelとツールの両方で集計し、主要な数値が一致するかを確かめる並行運用の期間を設けましょう。期間の長さは運用の規模によって異なりますが、少なくとも月次のレポートを一度は比べられる期間を目安にすると安心です。
既存レポートの再現へのこだわり
これまでExcelで作っていたレポートを、ツール上でも同じ形で再現しようとすると、設定やカスタマイズに多くの時間がかかる場合があります。再現できない部分を補うために、結局Excelでの作業が残ってしまうこともあります。
移行を機に、レポートの項目が本当に必要かを見直すことも一つの方法です。レポートを受け取る関係者に確認し、ツールの標準的な形式で代替できる部分は置き換えると、移行の負担を抑えられます。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で広告運用ツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
入札調整の遅れや入稿ミスが減らない原因
予算の無駄を減らす目的で広告運用ツールを導入しても、入札調整の遅れや入稿ミスが続くことがあります。自動化の前提となる条件が整っていないことや、確認の工程が抜けていることが要因として考えられます。
自動入札の前提となる計測と学習の条件
自動入札は、コンバージョンのデータをもとに入札を調整します。そのため、計測タグの設置漏れや重複計測があると、誤ったデータにもとづいて入札が調整される可能性があります。また、成果の件数が少ない場合や、設定を頻繁に変更している場合は、入札が安定するまで時間がかかる場合があります。
まずは計測の設定が正しいかを確認しましょう。あわせて、機械的なクリックなど無効なアクセスが成果の判断をゆがめていないかも確かめておくと安心です。
入稿の確認工程の抜け
一括入稿の機能を使っても、入稿データを作る段階で誤りがあれば、そのまま多数の広告に反映されてしまいます。まとめて処理できる分、1件のミスが広い範囲に影響する可能性がある点に注意が必要です。
入稿データを作成した人とは別の人が内容を確認する工程を設け、確認項目をチェックリストにまとめましょう。リンク先URLや配信期間、予算の桁など、ミスが起こりやすい項目を重点的に確認すると、確認の負担を抑えながら効果を高められます。
予算の上限と配分ルールの未設定
自動入札やルールによる調整を導入しても、予算上限や停止条件を決めていないと、想定を超えた支出につながることがあります。ツールは設定された条件の範囲で動くため、条件の設計が不十分だと無駄を防ぎきれません。
月間の予算上限と、獲得単価が一定の水準を超えた際の対応をあらかじめ決めておきましょう。予算消化のアラートとあわせて運用すれば、異常な支出に早めに気づき、対応までの時間を短縮できます。
繁忙期に処理速度が遅くなる可能性と備え
年末商戦や決算期など広告の出稿が増える時期に、広告運用ツールの処理が遅くなったと感じるケースがあります。原因はツールだけにあるとは限らず、媒体側や自社のデータ量など複数の要因が関係する場合があります。
処理が遅れる主な要因
処理の遅れには、さまざまな要因が考えられます。例えば、ツール側のサーバの負荷や媒体側のデータ提供の遅れ、APIの利用制限への到達、自社で扱うデータ量の増加です。繁忙期は、利用者が同じ時間帯にレポートの作成や一括の変更を行うことで、処理が集中する場合もあります。
どの処理が遅くなっているかによって、原因と対応先は異なります。データの取得、レポートの作成、媒体への反映のどこで遅れが出ているかを切り分けることが、原因の特定につながります。
繁忙期の前に確認したい対策
繁忙期の前には、提供会社に処理件数の上限や推奨される利用方法を確認しておきましょう。障害やメンテナンスの情報をどこで公開しているか、稼働率の目標を示しているかも、選定や契約の段階で確かめておきたい点です。
運用面では、大量の入稿や設定変更を繁忙期の直前に集中させず、前倒しで進めることが有効です。処理が遅れた際に管理画面で直接操作する手順を用意しておくと、影響を最小限に抑えられます。繁忙期の後には処理の状況を振り返り、翌年の計画に反映しましょう。
導入効果を数値で追える広告運用ツール
導入前後の数値を比べやすくする仕組みや、入稿前の確認工程を補う仕組みなど、この記事で挙げたつまずきの原因に関連する製品を紹介します。
AIR Connect
- 媒体間CVのズレを共通基準で可視化し真の成果を把握
- AIがデータを解釈し改善レポートとバナー案を自動生成
- ログインひとつで全媒体の最新広告状況に24時間アクセス
株式会社ガラパゴスが提供する「AIR Connect」は、GA4と広告配信データをAIで統合する広告分析SaaSです。広告効果を共通指標で可視化し、次の打ち手まで提示します。媒体間で生じるコンバージョンのズレを共通基準で可視化できるため、導入前後の成果を同じ基準で追いたい場合の選択肢となります。AIが改善レポートとバナー案を自動生成する仕組みもあり、分析から施策づくりまでの負担軽減が期待できます。レポート自動作成、一元管理、予算管理の機能を備えています。
Adriel
- 多様な広告データを中心に650以上のコネクタをノーコードで連携
- すべての指標を明確にできるデータ統合ダッシュボード
- 一箇所にデータを集約し、成長のためのインサイトへ変換
Adrielが提供する「Adriel」は、広告データの収集、標準化、可視化までを一気通貫で担うBIツールです。広告データを中心に650以上のコネクタをノーコードで連携でき、管理画面とExcelで行っていた集計作業からの移行を検討する企業の選択肢となります。集めたデータは標準化したうえでダッシュボードに統合されるため、指標を同じ基準で確認しやすくなります。レポート自動作成、一元管理、アラート通知の機能を備え、クラウドで提供されています。
表現チェックツール『TRUSQUETTA(トラスクエタ)』シリーズ
- 2019年特許取得。オンリーワンの表現チェックツール
- 各業界特化で抜群のカスタマイズ性。追加開発も弊社チームが対応
- AIが搭載され、アノテーションも手厚くサポート可能
株式会社トラスクエタが提供する「表現チェックツールTRUSQUETTA シリーズ」は、確認作業をスマートにすることを掲げた表現チェックツールです。2019年に特許を取得しており、AIも搭載しています。入稿前の広告表現の確認を、担当者の経験だけに頼らず整えたい場合に検討できます。各業界に特化したカスタマイズが可能で、追加開発にも同社チームが対応します。レポート自動作成、キーワード提案、一元管理、アラート通知の機能を備えています。
Ad-IS (池田・染谷法律事務所)
- AIが景品表示法のチェックポイントを自動で指摘
- 誤字脱字や広告表現の矛盾点を自動検出可能。
- 審査結果を保存・共有でき広告管理体制の構築を支援。
サイバーエージェント (株式会社サイバーエージェント)
- インターネット広告やメディア事業を展開
- AIやDX技術を活用した支援を提供
- 複数領域でサービスを展開
アドレポ (株式会社イルグルム)
- 導入実績No.1の広告効果測定ツール。
- 最新の計測方式で流入施策の成果を正確に把握
- CV経路把握でユーザー行動を可視化
Shirofune (株式会社Shirofune)
- 新規配信から改善施策の提案・実施までワンストップで支援
- プロの思考を再現する緻密なアルゴリズム
- 広告効果の高いキーワードを自動提案
まとめ
広告運用ツールを導入しても成果が出ない場合は、ツールの性能だけで判断しないことが大切です。導入の目的や運用ルール、計測の設定、外部環境といった要因を切り分けて見直しましょう。属人化には設定の意図と権限の共有、移行のつまずきには定義の確認と並行運用、予算の無駄には計測の確認と入稿の確認工程が有効です。見直しを進めても課題が残る場合は、資料請求で他の製品と比較してみてください。

